小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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ローレンの赤ちゃんローレンの赤ちゃん

妹の忘れ形見を守るために、 冷たい富豪に仕えるしかなくて……。 ケリーンの18歳になる妹が亡くなった── 生まれたばかりの我が子の父親の名を言い残して。 富も名声も手に入れた著名人、トリスタン・ロスが父親だなんて! つい最近まで、妹はトリスタンの秘書として働いていた。 妹の訃報を知っているはずなのに、連絡ひとつよこさない男。 ケリーンの胸に怒りがふつふつと沸きあがった。 矢も楯もたまらず、ケリーンはトリスタンの邸宅を訪ねるが、 驚いたことに、彼は即座に子どもの父親ではないと断言したうえで、 聞くに堪えない妹への侮辱の言葉を並べたてた。 ケリーンは衝撃に打ちのめされた。いったい何が真実なの? トリスタンは赤ん坊を自分の子とは認めないながらも、ケリーンが住み込みの秘書になるなら、彼の家に赤ん坊を連れてきてもいいと言います。甥と一緒にいるにはほかに道はないと考えたケリーンは、妹のように弄ばれるのではと怖れながらもその提案を受け入れ……。

英国児童文学の舞台を訪ねて英国児童文学の舞台を訪ねて

著者は、40年以上にわたり、ヨーロッパの児童文学の舞台を訪ね、写真に収めてきました。現地を訪れ、撮影し、スライド上映会用にまとめたテーマは46タイトルにのぼります。今回は、『ブリジンガメンの魔法の宝石』、『オオバンクラブ物語』、「ヒルクレストの娘たち」などイギリス各地を舞台とする14作品を取り上げました。作品への愛情あふれる解説と貴重な写真で、物語の魅力に迫る1冊です。20年以上にわたり、東京子ども図書館をはじめ全国の図書館や文庫で「スライドとお話の会」と題し講演を行ってきた著者の記録をまとめました。2020年刊『世界の児童文学をめぐる旅』(エクスナレッジ)の続編。 まえがきにかえて/ブリジンガメンの魔法の宝石/銀の枝/オオバンクラブ物語/アルバム1『ロビン・フッドのゆかいな冒険』/地に消える少年鼓手/サティン入江のなぞ/海鳴りの丘/アルバム2『プークが丘の妖精パック』/かっこうの木/魔女とふたりのケイト/農場にくらして/アルバム3「ブルターニュに伝わるアーサー王物語」/古城の幽霊ボガート・ネス湖の怪獣とボガート/ヒルクレストの娘たち/『ドリトル先生航海記』との出会い/あとがき(張替恵子)/池田正孝年譜/スライドタイトル一覧

彼女はマリウポリからやってきた彼女はマリウポリからやってきた

半世紀以上を経て娘が探し当てた亡き母の生  ロシアとウクライナの血を引くドイツ語作家が、亡き母の痕跡と自らのルーツを見いだす瞠目の書。  母エウゲニアは、著者が10歳のとき若くして世を去った。幼い娘が知っていたのは、母がマリウポリで生まれたこと、第二次世界大戦中、両親が強制労働者としてウクライナからドイツに連行されたこと、曾祖父が石炭商人、祖母がイタリア人だったらしいことくらい。母の運命を辿ろうとこれまで何度か試みたが、成果はなかった。ところが、2013年のある夏の夜、ふと思い立ってロシア語の検索サイトに母の名前を打ち込んでみたところ、思いがけずヒットする。ここから手探りの調査と驚くべき物語が始まる。  「ここ一年ほど悲しい姿ばかりが報道されたウクライナのマリウポリだが、その多文化都市としての輝かしい歴史と、そこに生きた作者の親族の運命が、この小説には知的なユーモアと息苦しいほどの好奇心をもって描かれている」(多和田葉子氏)  ウクライナの船主、バルト・ドイツの貴族、裕福なイタリア商人、学者、オペラ歌手など、存在すら知らなかった親類縁者の過去が次々と顕わになり、その思いもよらぬ光景に著者は息を呑み、読者もそれを追体験する。忘却に抗い、沈黙に耳をすませ、失われた家族の歴史(ファミリーストーリー)を永遠にとどめる世紀の小説。ライプツィヒ書籍見本市賞受賞作。

グリーン・ロードグリーン・ロード

ロザリーンの子供たちは、“緑の小径”近くのこの家から巣立っていった。司祭になると言って家を飛び出した長男ダンは、ニューヨークのアート界周辺を漂浪して久しい。次男エメットは、アフリカ各地で途上国支援に身を捧げている。一番上の長女コンスタンスは、夫と子供たちとの平凡だが穏やかな毎日を送っている。末っ子のハンナは、女優になったものの、いまは赤ん坊を抱えて休業中。そんななか、夫亡き後独りで暮らす母ロザリーンから4人にクリスマスカードが届く。我が家を売ることにしたという一文に驚き、これまで帰郷を避けてきた子供たちがクリスマスに久しぶりに勢ぞろいする。だがぎこちない距離感とそれぞれのわだかまりからたびたび小さな諍いに。たまらずロザリーンは車で出かけてしまうが…。自分の居場所はどこなのか。現代アイルランド文学の第一人者が精巧な筆致でリアルに描き出す、潮の満ち引きのように離れても引き戻す強い家族の愛と変化の物語。2016年度アイルランド文学賞受賞作。

線が血を流すところ線が血を流すところ

サーガはここから始まった! 高校を卒業して自立のときを迎えた双子の兄弟を取り巻く貧困、暴力、薬物ーー。そして育ての親である祖母への愛情と両親との葛藤。全米図書賞を二度受賞しフォークナーの再来とも評される、現代アメリカ文学を牽引する書き手の鮮烈なデビュー作。 「デビュー作には作家のすべてがある」とはよく聞く言葉だが、本作はただ舞台が同一であるという以上に、後続の作品でも一貫して問われ続ける貧困、人種、格差といったテーマや問い、そして事物(人物、動物、植物、薬物)が描かれている。 (…)南部の黒人コミュニティが人種差別だけでなく階級的にも虐げられた存在であることは、カトリーナ後の政府の対応の酷さによりアメリカのみならず世界中が知ることになった。しかし、そもそもカトリーナ以前から南部の黒人たちが過酷な生を強いられていることを『線が血を流すところ』は痛烈に突きつける。その筆致に、一切の容赦はない。 青木耕平「狼の街(ウルフ・タウン)の慈悲深い神ーージェスミン・ウォードが刈り取れなかった男たち」より

誰?誰?

アメリカの天才物理学者ルーカス・マルティーノは、自らが立案した極秘のK88計画の実験中に大爆発に巻き込まれ瀕死の重傷を負った。事故の起きた研究所が、連合国支配圏とソビエト社会主義国支配圏の境界近くにあったため、マルティーノはいちはやく現場に駆けつけたソビエト側の病院に収容されてしまう。そして3か月後、外交交渉の末、マルティーノは解放されることになる。だが国境線の検問所のゲートから現れたのは、卵型の金属の仮面をつけ、体のほとんどが機械で出来た、変わり果てた姿のマルティーノであった! 果たして彼は本物のマルティーノなのか、それとも別人なのか、本物であれば洗脳されているのではないのか、解放したソビエトの意図とは? 解放に立ち会った中央ヨーロッパ国境地区の保安責任者ショーン・ロジャーズは、様々な方法でこの人物の正体をつきとめようと試みるもののことごとく失敗に終わる。その後、新たにマルティーノの追跡調査担当者に任命されたロジャーズは、マルティーノをニューヨークに送り届け、彼を泳がせ、その行動を追跡することで正体に迫ろうとするが……。全編に緊張感をみなぎらせ、独特の抒情を漂わせつつ展開する、SF界の巨匠バドリスの代表的長編SFサスペンス。 【炉辺談話】 『誰?』(山口雅也) 誰?

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