ジャンル : 外国の小説
他人の強い思いをビジョンとして視ることのできる少女クララは、ある日を境に若い女たちが傷つけられる不吉なビジョンを頻繁に視るようになる。カジノのスパ施設で働くリリーの協力を得て彼女たちを救おうとするが……。エドガー賞受賞のサスペンス。
もし別の治療を試していれば、 もしもっと早く出会っていれば、 もし別の人と結婚すれば、 ぼくたちは幸福だったのだろうか? 几帳面な「ぼく」と自由なアントワネットは、愛に満ちた理想の二人だったーー子供に恵まれないことをのぞいては。 病院で診察を受けるも原因は不明。時はいたずらに過ぎ、夫婦の間の亀裂は少しずつ広がっていく。 不妊治療に臨む夫婦を夫の視点から描く、オランダの実力派による文芸作品。 美しい過去への憧憬が、静かに、確かに、胸を打つ。 【著者プロフィール】 ロベルト・ヴェラーヘン(Robbert Welagen) 1981年、オランダ・ドルトレヒト生まれ。2006年に執筆した初作品で、セレクシース文学新人賞(オランダ大手書店が主催していた文学賞)を受賞した。本書は8作目の小説にあたる。 オランダ文学界の中堅として重要な作家の一人。2009年よりアムステルダムの作家養成専門学校の講師を務めており、現在もユトレヒト郊外の町ザイストの森で執筆活動を行っている。 【訳者プロフィール】 國森由美子(くにもり・ゆみこ) 東京都生まれ。桐朋学園大学を卒業後、オランダ政府奨学生として渡蘭。演奏家ディプロマを取得し、音楽活動を続けるかたわら、オランダ語翻訳を手がけるようになる。ライデン在住。 訳書に、ヘラ・S・ハーセ『ウールフ、黒い湖』、ルイ・クペールス『オランダの文豪が見た大正の日本』(以上作品社)がある。 【原題】 Antoinette
この日から、私たちは二度とおまえの声を聞くことはできなくなった。軍隊にいて立ち会えなかった出産、家族で訪れた古都の思い出、苛烈な有名中学校受験、文化大革命の受難、許されない恋、脳の神経膠腫の発見…。難病で急逝した息子と父が初めて心を通わす「魂の対話」。やがて息子は天国で人生の真実を学んでいく。
〈ピーター・ウィムジー卿〉シリーズの第一短編集” Lord Peter Views the Body”を新訳。英国ドロシー・L・セイヤーズ協会公認推薦翻訳書! 鋼の指を持つ男の忌まわしき物語(ヒストリー) 口吻をめぐる興奮の奇譚 メリエイガー伯父の遺書をめぐる魅惑の難題 瓢箪から出た駒をめぐる途方もなき怪談 面皮を剥ぐ婆(ジョーカー)にまつわる理屈無視の逸話 不和の種をめぐる卑しき泣き笑い劇 逃げる足音が絡んだ恨み話 嗜好の問題をめぐる酒飲み相手の一件 竜頭に関する学術探究譚 盗まれた胃袋をめぐる釣り人の一口噺 顔なき男をめぐる解けない謎 訳者あとがき 解説 塚田よしと(クラシック・ミステリ愛好家)
「現実を転覆する」韓国SFのめくるめく想像力による新しい時代の、新しい未来。ヒト、機械、鯨、ドローン、虫、ウイルス…星々に生きるものたちの6つの物語。新鋭から巨匠まで、韓国SFの最前線。
自動機械の自立性向上に特化された近未来の軍事的進歩は、効果的かつ高価になり、その状況を解決する方法として人類は軍備をそっくり月へ移すことを考案、地球非軍事化と月軍事化の計画が承認される。こうして軍拡競争をAI任せにした人類であったが、立入禁止ゾーンとなった月面で兵器の進化がその後どうなっているのか皆目わからない。月の無人軍が地球を攻撃するのでは? 恐怖と混乱に駆られパニックに陥った人類の声を受けて月に送られた偵察機は、月面に潜ってしまったかのように、一台も帰還することがなかったばかりか、何の連絡も映像も送ってこなかった。かくて泰平ヨンに白羽の矢が立ち、月に向けて極秘の偵察に赴くが、例によってとんでもないトラブルに巻き込まれる羽目に……《事の発端から話した方がいいだろう。その発端がどうだったか私は知らない、というのは別の話。なぜなら私は主に右大脳半球で記憶しなくてはならなかったのに、右半球への通路が遮断されていて、考えることができないからだ》レムの最後から二番目の小説にして、〈泰平ヨン〉シリーズ最終話の待望の邦訳。 1 倍増 2 秘密の開示 3 隠れ家で 4 ルナ・エージェンシー 5 ルナ高技能ミッショナリー 6 二回目の偵察 7 殺戮 8 不可視 9 訪問 10 コンタクト Ⅺ ダ・カーポ 最後から二番目の傑作長篇ーー訳者あとがき(芝田文乃) 解説 『地球の平和』と一九八〇年代のレム(沼野充義)
〈錆の砂漠〉と、滅亡の美。 レトロな戦闘機械と、騎士たち。 黄昏の陰翳、プリズムのように煌めく寓喩ーー スチームパンクの祖型とも評され、広範な影響を及ぼしてきた、 イギリスを代表する作家M・ジョン・ハリスンの傑作ダークファンタジーが、全面改訳版で登場! 読むほどに味わい深まる魅惑の連作群です! ◎収録作 ヴィリコニウムの騎士 ラミアとクロミス卿 奇妙な大罪 混乱の祭主たち パステル都市 解説 もっとも再評価されるべき作家、M・ジョン・ハリスン/岡和田晃 訳者あとがき/大和田始 〜〜〜〜〜 いまもっとも再評価されるべき作家が、M・ジョン・ハリスンだ。 レトロスペクティヴに機械文明のあり方が問い直されるという意味で、 『パステル都市』はキース・ロバーツの『パヴァーヌ』と並んで スチームパンクの祖型にも準えられる。 また、宮崎駿〈風の谷のナウシカ〉の系譜に連なるSF・幻想文学の先行作として、 私が知る限り20年以上前から、フランク・ハーバートの〈デューン〉シリーズや ブライアン・オールディスの『地球の長い午後』と並んで、 『パステル都市』の名が挙げられるのは珍しくなかったのだ。 ーー岡和田晃 〜〜〜〜〜 ヴィリコニウムの騎士 ラミアとクロミス卿 奇妙な大罪 混乱の祭主たち パステル都市 解説 もっとも再評価されるべき作家、M・ジョン・ハリスン/岡和田晃 訳者あとがき/大和田始
韓国における女性作家の草分け 朴景利による大河小説『土地』第四部完結! 全五部・20巻のうち第四部の完結編にあたる15巻では、満州事変、上海事変、盧溝橋事件そして日中戦争へと争いが拡大していく時期(1931年〜1938年)の中国、韓国、日本を舞台に物語が進みます。 15巻 あらすじ 独立運動の資金を得るために寛洙が中心となって計画した晋州での強盗事件には、吉祥も陰で協力していた。平沙里の村人の間では、社会の変容から世代間に齟齬が生じ、家族が揺らいでいる。学校を追われて家出した寛洙の長男・栄光は、東京で進む道を模索していた。日本の傀儡政権・満州国が建国され、間島の独立運動に対する圧力も強まり、活動家たちは活路を探っている。 そんな中、一時は東京に滞在していた仁実がハルビンに姿を現した。彼女を捜し続けていた緒方次郎も、新京で職を得ていた。新京で自動車修理工場を経営する弘の元には、異父姉の任や密偵だった金頭洙が訪ねてきて、不気味な影のようにつきまとう。 第四部 第四篇 仁実の居場所 三章 強盗事件 四章 葬式の日の夜 五章 東京の仁実 六章 栄光の負傷 七章 永鎬の母の頼み 八章 牛耳里で 九章 満州事変 十章 趙容夏の自殺 十一章 養子の話 十二章 姉と弟の再会 十三章 良絃と李府使家 第四部 第五篇 悪霊 一章 自動車修理工場 二章 東盛飯店で 三章 仁実の変身 四章 老婆になった任 五章 南京虐殺 六章 日本人の時局観 七章 旅立つ馬車 訳注 訳者解説
生誕200年!難解で長大な世界文学の金字塔をていねいに解説した読む集中講義。 世界中の作家のみならず、村上春樹や平野啓一郎など日本の現代作家にも影響を与えたロシアの大作家・ドストエフスキー。彼の生誕200年にあたるその年に、「100分de名著」で取り上げた『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』に『悪霊』『白痴』『未成年』の三作品の書き下ろし解説を加え、好評の「集中講義」シリーズとして刊行する。著者は、本書で取り上げる五大長編のうち、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『悪霊』『白痴』の新訳を手掛けており、集中講義の「講師」として最適・最強の存在。時代背景や登場人物に投影された作者の思いを詳説、人物相関図や物語の流れを示した表などを駆使しながら、難解な物語をクリアに腑分けする。
「子供の父親はあなたよ」 そう伝えたい一心で遠い異国へと旅立った。 「おなかの子の父親はぼくだというのか? ありえない!」 世界的複合企業の社長、ジュン・リーに妊娠を告げたとたん、 黒い瞳に冷たく見据えられ、アイビーは呆然とした。 あの夜、情熱に陰る黒い瞳で愛を囁いた彼とは別人のようで、 すばらしい夢の一夜には想像もしなかった、辛い現実だった。 けれど彼女は涙をこらえて言った。子供は私一人で育てると。 すると彼の豪邸に連れていかれ、父子鑑定を受けることに。 自分の子に違いないと知るや、彼にプロポーズされたが、 アイビーは拒んだ。彼とは住む世界が違いすぎる。でも……。 身分違いと知りながらゴージャスなヒーローと恋におち、思いがけず愛の証を授かった天涯孤独のヒロイン。最初、父親であることを信じなかった彼との結婚をためらいますが、両親のそろった家庭に憧れていた彼女は、お腹の子が幸せになれるならと受け入れます。
雪の魔法がとけたとき、 彼と見た甘い夢は冷たい現実に変わった。 パーティの給仕係として働き、疲れた体で帰途についたモリー。 天候が急変して困っていると、傍らに1台の高級車が停まり、 乗っていくよう促される。声の主はスペイン富豪マキシモ── 最近この町の古城を買ったという、世界的な実業家だ。 彼の漆黒の瞳に魅入られ、すっかり舞い上がったモリーは、 一夜限りの約束で、誘惑されるまま身も心も捧げてしまう。 2カ月後、モリーは愕然とした。まさか妊娠するなんて! 報せを聞いたマキシモは、別人のような冷酷さで言い放った。 「経済的な援助はする。ただし、その子の父親は手に入らない」 人気のS・ケンドリックが描く、一夜の情事から始まるピュアなシンデレラロマンスをお楽しみください。お菓子作りが得意で、いつか小さな店を開くことを夢見るヒロイン。大富豪の子を身ごもったことから、運命の歯車は思いがけない方向へ回りだして……。
囚われの乙女は決して忘れなかった。 地下牢の闇から垣間みた、輝く彼の姿を。 豪奢な邸宅で、アニックは主の帰宅を待っていたーー 有名な美貌の実業家、マキシマス・キングに頼み事があるのだ。 クーデターで10年間、王宮の地下で過ごした王女アニックは、 少し前、突然現れた逞しくハンサムな“王子様”に 光の世界へと救い出された。そして王子様の名はマキシマスで、 大富豪と政府特命の暗殺者という2つの顔があることを知る。 戴冠式を控え、身の危険を感じた彼女には助けが必要だった。 どうすればもう1つの顔を隠す彼に願いを聞いてもらえるの? 考えあぐねたすえ、アニックは思いつめた表情で切り出した。 「どうか私を助けてください。代わりに、私の純潔を捧げます」 ヒロインの突拍子もない言葉を一笑に付したヒーロー。男性的魅力あふれる彼に、ヒロインは形だけの結婚を申し込まれますが……?リン・グレアム顔負けの劇的展開で大人気、メイシー・イエーツが別名義で綴る、ロマンティックな再会のシンデレラ物語!
妊娠したとたん冷たくなり、 渋々、求婚するなんて……。 わたしが妊娠? ターシャは、医師の診断に愕然とした。 相手は、ブリスベーンきっての法廷弁護士ジャレッドだ。 彼はいったいどう思うかしら……? 体を重ねるときはとても情熱的な二人だが、 今まで一度だって、将来について口にしたことはない。 ためらいながら妊娠を告げると、彼は急に冷ややかになり、 「そんなことをしてくれとぼくが頼んだか?」と言い放った。 だがそのあと、静かに「結婚しよう」と告げられ、 ひどく傷ついたターシャは、彼のもとを去ることにしたーー。 大御所作家ヘレン・ビアンチンには名作が多くありますが、今作は妊娠から始まる大人のロマンス。身ごもったままジャレッドのもとを去ったターシャは、彼に言い寄る女性がいることを知り……。
僕が君を、変えてやるよーー 誰よりも美しい蝶に。 ルシアナは1歳半で母親を亡くし、父親と兄たちに育てられた。 4人の兄弟と男同然に育ったせいで、女らしさのかけらもない。 そんな彼女にも、近ごろ、ほのかな想いを抱く男性ができた。 彼の心を射止めるには、どうしたらいいのだろう……? すると、長兄の親友ジェイクが指南役を買って出た。 ルシアナを、大人の女性らしく変身させてくれるというのだ。 ハンサムで裕福なプレイボーイのジェイクは、ルシアナにとって むしろ苦手とするタイプだった。彼の助言なんて要らないのに。 ところが彼の巧みな指導に、なぜか胸は熱くざわつきーー ハーレクイン・マスターピース《特選ペニー・ジョーダン》。今作はピュアでかわいらしい〈華麗に変身〉をテーマにした物語です。手練れのジェイクの手ほどきにどぎまぎしっぱなしのルシアナは、いつしか彼の手によって、美しい大人の女性へと変身を遂げます。
急なトラブルで夏休みのあいだ宿なしになったニッサは、長年の友人デズモンドの屋敷に居候させてもらうことになった。10年前、憧れのデズモンドがエスコートしてくれたハイスクールのダンスパーティは夢のようなひとときだったけれど、あの夜、恋に落ちたのはわたしだけだった。そしていま、わたしは平凡な教師で、彼はセクシーな大富豪。住む世界が違いすぎるデズモンドとひとつ屋根の下で暮らすなんて…。胸のざわめきを押し隠しながら、ニッサは彼のもとへと向かった。かつての失恋が誤解によるすれ違いだったことなどーデズモンドもニッサを強烈に意識していることなど知るよしもなく。
猛吹雪の日、テッサは林の中で気を失ったハンサムな男性を助けた。高価そうな服は汚れ、体じゅう傷だらけの彼を自宅へ連れ帰ると、ほどなく目覚めた彼は、いっさいの記憶を失っていた。戸惑うテッサだったが、二人きりで過ごすうち彼の人柄のよさに惹かれ、いつしか互いの気持ちを確かめるように、身を捧げたのだった。だが、彼が“アッシュ”という自分の名を思い出したことで、テッサは不安に苛まれた。いつか彼は元の生活に戻っていくのね…。そのときの彼女は、まだ知らなかったー彼が巨万の富を有する大富豪、アッシャー・ブラボーで、1カ月後には美しい婚約者と結婚する予定であることを。
ブレアは元婚約者のアリクに会いに、ニューヨークを訪れたー生まれたばかりの、彼に生き写しの息子を連れて。1年前、学生だったブレアは、13歳年上で大富豪一族出身のアリクと恋におちて婚約したものの、やむなく身を引かなくてはならなくなった。ある人物に脅されたから、とは口が裂けても言えなかった。彼と別れたあとに、おなかに赤ちゃんがいるとわかったことも。でも、こうしていま会いに来たのは、彼の黒髪とオリーブ色の肌をみごとに受け継いだ息子の存在を黙っているのは罪だと思ったから。純粋にそれが目的と示すため、婚約者がいることにしたブレアに、アリクは告げた。「これから1カ月、君は僕と一緒にここで暮らすんだ」
子爵が乙女の唇に残した 永遠に消えない、キスの刻印。 18歳のルーシーは、遠方の父親から思いも寄らぬ手紙を受け取った。 なんと彼女を結婚させるというのだ。ずっと年上の、中年男と! 婚約を社交界公認のものにするため、彼女は無理やり盛装させられ、 婚約者となる男とともに、華やかな舞踏会に連れていかれた。 と、二人の間に割って入ったハンサムな男性がいた。ロックリー子爵だ。 彼はルーシーを静かな庭園に連れ出すと、優しく慰めた。 「君は無垢で、若すぎる」そう言いながらも、甘いくちづけをして……。 ルーシーは、子爵こそ私の愛する人と悟ったが、このキスによって 婚約は破談になり、ルーシー自身も欧州に身を隠すことになる。 1年後、美しい淑女となって戻った彼女に、ロックリー子爵はーー ヒストリカル・ロマンスのベテラン作家ヘレン・ディクソンによるみずみずしい初恋の物語をお贈りします。美しい大人の女性となり再び子爵とめぐり会ったルーシーですが、実は彼と元婚約者との間には因縁があることがわかり……。波瀾万丈なロマンスの行方は?
「叔父さん、ぼくを猿と結婚させるなんてひどいよ!」紅顔の美少年が口にしたその言葉が、幼き花嫁ベスの心をえぐった。訳もわからず父に手を引かれて祭壇に連れてこられただけなのに…。少年の名はドルー。将来、高貴な伯爵家の跡を継ぐ、若き花婿だ。ベスは泣きながら結婚したくないと訴えたが、結局儀式は行われた。しかし、まもなくしてドルーは妻を置いて去っていった。歳月が過ぎ、ベスは外出先でばったり再会したー10年ぶりに、夫と。誰もが振り返るその美貌は以前と変わらず、すぐに彼とわかった。だがドルーのほうは、目の前にいるのが妻のベスとはわからぬ様子で、彼女のうなじに唇を寄せ、囁いた。「美しい妖精さん、きみの名は?」