出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
17歳の春、タラは親友の若き義父ジェームズに恋をした。叶うはずのない恋だったけれど、彼のそばにいられるだけで幸せだった。だが、純潔を捧げたただ一度の関係で、タラの人生は急転。妊娠がわかったときには、彼は何も言わず海外へ飛び立ったあとで、拒絶されたことを理解したタラはひどく打ちのめされた。世間は父親のいない子を産む女性を冷たい目で見ていて、彼女の母親とて例外ではなく、おなかの子をあきらめるよう言われた。それでもタラは学校を中退し、住む場所も変え、独りで双子を産んだ。その子供たちも今は6歳になり、裕福でないながらも平穏に暮らしていた。偶然再会した親友に誘われて訪れた別荘で、ジェームズに会うまでは!
牧師の娘イライザは高貴な生まれではなく、持参金もわずかばかり。社交界デビュー2年目となる今年こそ、結婚を決めるか、それがだめなら一生独身か、二つに一つー最後のチャンスだ。だがいまだに、地味で縁故もない彼女に関心を示す若者は現れない。ある日、舞踏会で中老の子爵が転びそうになったところを助け、子爵と仲よくなったイライザは、互いに好きな読書の話に花を咲かせる。それを苦々しく見ていたのは、子爵の息子のストラサム男爵ジャイルズ。あの若くて貧しい娘は、裕福な子爵の後妻の座を狙っているのでは?そこでジャイルズは監視するために自らイライザに近づくが、一緒にダンスを踊り、連弾をし、会話を交わすうち、彼女に魅了され…。
出生時に母を失い、父も知らずに育ったマリアは、母方の伯母のもとで、召使い同然に働かされていた。そんなある日、さる客人の口から衝撃の事実を漏れ聞くーなんと、死んだ母はどこぞの名高き公爵の妻だったというのだ!しかも、母が所有していた領地は娘のマリアに遺された、と。私は名もなき娘などではなかった。ああ、すぐにでも父に会いたい。居ても立ってもいられず、まだ見ぬ領地へと馬を走らせたマリアだったが、不運にもカーカム侯爵ニコラスの駆る馬と衝突しかけ、落馬してしまう。怪我の手当てを申し出た彼をマリアが警戒する一方、姓を明かさない謎めいた彼女に、ニコラスはただならぬ興味を抱き…。
シェルビーは男友達のダニーに頼みこまれ、婚約者のふりをして一緒に帰省することになった。だが、彼の実家に着いたとき、シェルビーは唖然とした。不在のはずのダニーの兄で大富豪のキングが現れたのだ。キングはシェルビーのことを甘やかされた小娘と軽蔑しており、こちらを圧倒するような態度で事あるごとにつらく当たってくる。キングがいると知っていたら、ここへは来なかったのに…。案の定、シェルビーが弟と婚約したと聞いた彼は怒りに燃え、彼女に向かって冷ややかに、だが内なる激情をこめて言い放った!「きみのような女と弟を結婚させはしない、絶対に」ファンが選んだ最高のヒーロー!ベスト作品コンテスト各部門上位入賞作。
ハワード王立学園に通うアレックス・ヒューバートは、ある日突然、“運命の赤い糸”が見えるようになる。どうやらこの糸は、周囲の人には見えていないらしい。そんな中、学園で“赤い糸”をハサミで切っている少女に出会う。彼女は、伯爵令嬢のサラ・クローリア。「邪魔だったから切ったの。文句ある?」と言い放つ彼女は、恋人たちの仲を斬り裂く“破局の魔女”と恐れられていたー。
“妊娠しています”という医師の言葉に、エリンは呆然とした。おなかの子の父親は、大富豪エイジャックス・ニコラウー。出会った瞬間に強く惹かれ、彼の誘惑に抗えず一夜を共にした。さらにもう一夜を共にしたあと、冷たく別れを言い渡されたのだ。今さら彼に妊娠を知らせても、きっと追い払われるだけ。エリンは彼の前から姿を消し、ひとりで産み育てると決めた。2年後、突然エイジャックスがエリンの自宅を訪ねてきた。彼が足を踏み入れると、火がついたように赤ん坊が泣きだす。エイジャックスは鋭く光る眼で言った。「この子は…僕の娘だ」
母親が娘の名で作った莫大な借金に、ヤナは途方に暮れていった。そこへ現れたのがかつての義兄、富豪ナジールだった。「君が必要なんだ」そう言うと彼は借金の清算と引き換えに、妻の死以来、心を閉ざしてしまった幼い娘の世話を頼んできた。忘れたい初恋の記憶がよみがえり、ヤナは気を失ってしまう。19歳のとき、私はナジールに純潔を捧げようとして拒絶された。その後彼は結婚し、病気で妻を亡くしたが、彼女は私の親友だった。決して振り向いてくれない人と一つ屋根の下で暮らすのはつらすぎる。けれどヤナはわかっていた。彼のためなら自分がなんでもすると。
ケリーは教会でウエディングブーケを手にして、花婿のアレコス・ザゴラキスを今か今かと待ちわびていた。だが結局、ハンサムな大富豪が結婚式に現れることはなかった。哀れにも、ケリーは土壇場で冷酷に捨てられたのだ。4年後。傷ついてどん底に落ちた彼女は小学校教師となり、ようやくアレコスのことをきっぱり忘れる決心がついた。彼に贈られたダイヤモンドの婚約指輪を思いきってオークションに出品したとたん、すぐさま400万ドルの高値で落札され、ケリーは呆然とした。いったい誰があの指輪を欲しがったの?すると不敵な笑みのアレコスが現れ、強引に彼女を連れ去り…。
リンジーは世界的に著名なカメラマン、ジョエルの秘書。どんな女性も夢中にさせる魅力にあふれたジョエルは、過去や家族の話をいっさいしない秘密主義者だ。そんな彼をもっと知りたくて、この半年一緒に暮らしてみたが、悲しいことに、それは変わらなかった。ジョエルにとって、私は住み込みの愛人でしかないの?彼への想いは衰えるどころか、日ごとに増すばかり。もう彼のそばにはいられない…。しかし退職届を出した矢先、思いがけずジョエルとパーティに出ることになってー?
おなかの子の父親アントニオと連絡がつかず、ティアは途方に暮れた。そっとおなかに手をあてる。妊娠6カ月で、赤ちゃんはもう蹴ってくる。相手は王国のプリンスで、私はただのウエイトレス。彼の所在がわからず王宮に問い合わせるしかない身の上がつらかった。亡き兄の親友だったアントニオとは一度だけ会ったことがあったが、6カ月前、さる慈善パーティでティアが給仕をしていたとき、主賓のアントニオが声をかけてきて、二人は再会した。兄の思い出を語らううち、ホテルで一夜を共にし、そして…。アントニオにも、生まれてくる子供のことを知る権利があるはずだ。ティアは身重の体を押して、彼が住む地中海の王国へ向かったー。
“あなたを見ると、ママを思い出します。ママは天国にいます。弟もじきママのところに行くので、その前にあなたに会いたがっています”子供たちのアイドル“ストーリー・プリンセス”を演じるドミナイは、ファンから大量に寄せられた手紙の中の1通に心を動かされた。不幸な幼い兄弟にすっかり同情し、彼らを共演企画へ招くことにするが、そう決めた理由はじつはほかにもあった。“パパはあなたをB級女優だと言います”というくだりにひっかかり、誤解を解きたかったのだ。楽しい思い出を作れたら、誤解も解けるはず。共演を来週に控えたある日、ジャロッドと名乗る魅力的な男性が現れた。一目で惹かれたドミナイは驚いた。彼が、あの手紙の“パパ”だと知って!
十人並みの器量だが賢さではきょうだいで一番のポリーは、学術書の手書き原稿を清書するアルバイトに応募し、採用された。ところが雇い主の友人で“教授”と呼ばれる医師サムの登場により、楽しいはずのアルバイトはとたんに緊張の連続となった。ある日、雇い主が突然の病で亡くなり、故人の遺志を継ぐため、ポリーがサムの屋敷に住み込んで清書を完成させることになったのだ!サムは気品があり、とてもハンサムだが、いつも不機嫌そうだ。彼と同じ家に住み、美しい婚約者から冷たい目で見られるのに耐えられず、ポリーは急いで仕事を終えると屋敷をあとにした。だがサムとの再会は、新しい職場となった病院で、不意に訪れたー
メレディスはある小包を待ちわびながら、不安を募らせていた。13年前に手放さざるをえなかった娘の成長を知るすべは、養母が送ってくれる写真しかないのに、それが今年は届かないのだ。まさか、何かあったんじゃ…。病気、あるいは事故とか…?最悪の事態を考え始めたころ、突然玄関のチャイムが鳴り響いた。扉の前には、片時も忘れなかったニックー娘の父親の姿があった。ああ、ニック!もしかして、やっと私に会いに来てくれたの?たちまち封印したはずの愛がよみがえり、期待に胸が高鳴る。だが彼の瞳を見つめたとたん、メレディスは気づいた。二人が愛し合った記憶を、彼がいまだに取り戻していないことに。
エリンは16歳のときから、親友の兄で社長のタイに片想い。25歳になった今は、恋心を隠して彼の下で働いている。そんなある日、エリンはタイにデートに誘われ、胸をときめかせた。目的が彼にしつこく迫る女性を退けるためとはいえ、長年の夢が叶うのだ。二人の距離は急速に縮まり、エリンはついに純潔を捧げたが、その直後から、彼女の人生は不幸のどん底へと突き進む。父が急逝したうえ、生前に家を売っていたため、住む場所を失った。さらに、他社へ情報を売ったとタイに疑われ、会社も追い出されたのだ!「君はもう我が家でも歓迎されない」ひどい、私はやっていないのに…。何もかもなくしたエリンは町を去ったータイの子を、その身に宿して。
図書館司書のアメリアは夜間にウェイトレスの仕事を始めた。品行方正な彼女がめがねを外し、きわどい服を着るのは、退屈な人生を変えるためにどうしても資金が必要だから。このことが知れたら、町中が大騒ぎになるだろう。ある晩、思わぬ客がーアメリアが長年片想いをしているタイラー・サヴィジが来店した。こんな姿をタイラーに見られたのも衝撃だったが、彼の注文にはさらに驚いた。彼は目の前のセクシーなウェイトレスがお堅い司書とは気づかず、陶酔したまなざしで「俺が欲しいのはきみだよ」と言ったのだ!(『夜は別の顔』)。田舎暮らしの司書ジョイはバレンタインの夜、初めて訪れたロンドンのレストランで著名な大物スターのマーカス・バレンタインと出逢い、ひと目で心を奪われてしまう。そして思いがけず彼からダンスに誘われたとき、彼女は勇気を出して承諾した。いつもは地味な私だって、今夜くらいは楽しんでもいいはず。そう思いながら踊っていると、不意に唇を重ねられ、ジョイは我を忘れて激しく応えた。するとその直後、彼女をふしだらな女性だと思い込んだマーカスは打って変わって険しい顔になり、侮蔑の言葉を浴びせてきた!(『蝶になった司書』)。
ボスはこのダイヤの婚約指輪を誰に贈るのかしら?指輪を戯れにはめてみた秘書マレカの胸中は複雑だった。ボスである大富豪カエタノに頼まれて指輪の選定に来たものの、彼への密かな憧れは隠せない。そのとき、高級宝石店の店内に突然火災報知器が鳴り響いた。指輪をはめたままのマレカは、店に飛びこんできたカエタノに抱きかかえられて救出された。だが、この写真と共に彼女が婚約者だと誤って報道されてしまう。呆然とするマレカに、彼は百万ドルの契約結婚をもちかけた。結婚初夜の一夜限りの関係ー偽りの夫婦だったはずが…。
素行の悪い令嬢を更生させるロンドンの私立学校の校長を辞める日、ベアトリスはイタリア富豪チェーザレに異父妹の家庭教師を頼まれた。トスカーナの大邸宅へやってきた彼女は、雇い主を見て愕然とした。私がヴェネツィアで純潔を捧げた人が目の前にいる。恋いこがれた名も知らぬ男性が、実はチェーザレだったなんて。だが彼の前まで行ったとき、再会の喜びは吹き飛んだ。この人は私が誰なのか、まったくわかっていない。野暮ったい格好のベアトリスを一瞥し、富豪は近々結婚すると告げた。もちろん、花嫁は彼女ではなかった。彼の子を身ごもっていても。
スペインのリゾート地で、キャロラインは父親の豹変を目の当たりにして凍りついた。まるで取り憑かれたように賭博に夢中になり、土地や屋敷まで注ぎ込もうとしているのだ。するとそこへ、思いがけない男性が姿を現した。7年前、結婚を約束しながら心を踏みにじった大富豪ルイスー彼はキャロラインの父親に莫大な賭け金の大勝負を申し出る。お願い、やめて!懇願するキャロラインをルイスは嘲った。「ベッドを共にするなら勝負から手を引いてもいい」さらに、僕の妻になれば父親の借金を棒引きにすると請け合った。私は受け入れるしかないの?屈辱の花嫁になる運命を。
結婚式当日、花嫁になるはずのリアの姉が失踪したー黒髪に黒い瞳のたくましい花婿アイアスは、リアの幼い頃からの憧れの人。父に目をかけられた彼は、姉と結婚後、父の会社を引き継ぐはずだった。でないと、すぐさま会社が他人の手に渡ってしまう事情があるから…。でも今、私に何ができるというの?美人で華やかな姉の陰でいつも地味に生きてきた、太めで冴えない私に。父の会社を守る方法があるとすれば…。「アイアス、私があなたと結婚するわ」それはリアにとって、人生で初めての大胆な決意だった。