出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
大富豪マックスとケイトは、誰もが羨む理想の夫婦だった。しかし、尊大で高圧的な父親との不和に悩むマックスがしだいに人が変わったようになり、ケイトは耐えきれず家を出た。まだ彼に知らせていないお腹の子のために、できるだけ遠くへ。時が過ぎ、ケイトは入院中の家族を見舞いに訪れた病院で偶然、マックスと8年ぶりの再会をはたす。怒られるのではないかとケイトは恐れおののくが、彼は初めて恋した頃の、穏やかな自信あふれる男に戻っていた。でもマックスの魅力に屈してはだめ。だってわたしには秘密が…。そのときエレベーターの扉が開き、7歳になる娘が走り寄ってきた!
ルイーズは祖父母の遺灰を埋葬するため、シチリアを訪れた。10年前、18歳だった彼女はこの地で忘れえぬ過ちをおかしたー1400年続く公爵家の若き当主、シーザー・ファルコナリと。二人は愛し合っていると信じ、ルイーズは彼に純潔を捧げたが、翌朝、当主を誘惑したと周囲から断罪され、村を追われたのだった。彼からの連絡はなく、だからルイーズもその後のことは伝えていない。もう二度と会うことはないと思っていたのに、まさか、遺灰の埋葬に彼の許可をもらわないといけないなんて…。10年ぶりに会うシーザーは、鋭いまなざしと言葉で彼女を凍りつかせた!「ぼくたちの息子も、連れてきているのか?」
若きセリーナは亡くなった夫に莫大な借金を背負わされ、困窮していた。債権者の男から、借金を返済するか、さもなくば体で払えと迫られ、家財を売ってなんとか返すので月末まで待ってほしいと願い出る。男がひとまず帰ると、今度はグレンムーア公爵アレックスが弔問に訪れた。この公爵こそ、亡き夫から賭けで全財産を巻き上げた張本人。気品にあふれ、誇り高く、見目麗しい魔王ルシファーそのものだけれど、絶対に心を奪われてはいけない!セリーナは公爵を追い返した。気丈に振る舞いつつも本当は心細さを感じていた彼女のもとに、ある日、見知らぬ紳士“ミスター・アボット”から支援の申し出の手紙が届く。文通を続けるうち、セリーナはいつしか彼を恋い慕うようになっていた。愛しのミスター・アボットが、あの憎むべき公爵であるとも知らず。
生きて故郷へ帰ってきた勇猛な騎士サイモンの姿に、二十歳のリネットの胸はいっぱいになった。4年前のあの夜、わたしは暗闇のなかで彼に純潔を捧げ、そして…わたしのおなかに新たな命が芽生えた。一方サイモンもまた、あの夜のことを思い返していた。酔いつぶれた出征前夜に、夢うつつでかき抱いた薔薇の香りの乙女。かぐわしい乙女はいまもここで暮らしているのだろうか?もちろんサイモンはまだ知る由もなかったー彼が父の愛人と思って軽蔑する女性こそが、夢にまで見た、あの薔薇の香りの乙女だということを!
疎遠な双子の妹ナターリャの事故の知らせを受けたナターシャ。病院に駆けつけると、妹は無事で、婚約者のチェイスが重傷を負っていた。彼は富豪弁護士だが、体に障害が残る可能性を耳にしたナターリャは指輪を外し、彼を見捨てて病院から出ていった。一方、ナターシャは彼を放っておけず、そばで見守った。「ナターシャ…」意識を取り戻したチェイスがつぶやいた。ああ、妹はまた私の名を騙ったのね。昔から姉の名を気に入っていたから。だがチェイスに妹と勘違いされても、ナターシャは否定できなかった。いつしか彼に恋してしまった自分に気づいて。間違いを正せぬまま、ナターシャは彼と結婚し、小さな命を宿したー。本作は1998年上半期、日本デビュー作にして栄えあるベスト作品賞第2位に輝いた、感涙必至の秀作です!
幼い頃から毒を与えられていた雪花。その毒はある能力をもたらした。それは、くちづけした相手を殺してしまうというもの…前王朝の復興を企てる両親は、彼女を暗殺者として後宮に送り込む。雪花は正体の見えない内通者に怯えながら、人質に取られた弟と、皇帝暗殺の密命との間で揺れ惑う。ある日、美しい青年・紫蓮と再会した雪花。彼はかつて雪花を救おうと手を差し伸べ、「いずれ俺の妻にする」と将来を誓つてくれた初恋の人だったー。毒の運命に抗う、純愛後宮譚。
シングルマザーのエメラルドは悩んでいた。幼い息子の父親に、子どもの存在を打ち明けるべきかを。何しろ、彼ーコスタンディンは一国の王なのだから。6年前、仕事先で知り合ったハンサムな王子との一夜限りの関係。妊娠に気づいたときにはコスタンディンは国王に即位し、王妃を迎えていた。けれど今、彼は離婚し、しかもエメラルドの昔の職場でパーティーを開くらしい。息子のことを伝えるなら今しかない!再会したコスタンディンは、さらに魅力的になっていた。冷静でいなければとわかっていても、ときめきを抑えられず…。
シドニーは30歳の誕生日に突然現れたハリールから求婚され、動転した。学生時代、彼とは固い友情で結ばれていた。引っ込み思案の彼女を異国の王子ハリールはいつも励まし、勇気づけてくれた。やがて感謝の想いは恋心へと変わり、5年前、王位継承のため帰国するハリールについに愛を告げた。だがなぜか彼は冷たく拒絶し、絶縁を言い渡して去ったのだ。まだあのときの傷さえ癒えていないのに…。シドニーは求婚を一蹴するが、2週間だけ滞在してはと誘われ、思わず心が揺れるーハリールの密かな企みにも気づかずに。
「きみは10万ドルで、バージンを売ったんだ」最愛の人から刃のような言葉と小切手を投げつけられ、レティは凍りついた。やはり彼は私を許してはいなかった…。10年前、彼女はギリシア富豪ダレイオスと駆け落ちを誓ったが、直前に反故にしたのだった。ずっと音信不通だった彼が突然現れ、夢にまで見た情熱の一夜を過ごしたというのに、こんな手ひどい仕打ちを受けるなんて。みじめに捨てられた貧しいレティは、数週間後、ダレイオスの子を身ごもったことに気づいた。この子を守りたい。あの日、彼を守ったようにーレティは真実を伝えるため、ダレイオスのもとへ向かった。
誕生日の夜、コルテスと名乗る黒髪の男性にひと目で惹かれ、純潔を捧げたエリン。だが翌朝、彼は消えていた。1年後、養父が亡くなり無一文になったエリンのもとに、コルテスが現れ、裕福なスペインの銀行家だと明かす。黒髪に黒い目、そして瞳には金色の斑点ー彼が消えたあと、必死に産み育ててきた息子ハリーと同じ。「あなたの子よ」溢れる想いとともに告げたエリンの言葉を、コルテスは信じないばかりか、彼女を金目当てと決めつけた。だが後日、DNA鑑定でハリーが我が子だと知るや彼は言った。「1000万ポンドで、息子の監護権を買いたい」
ブリストルはウェイトレスのアルバイトをしていたとき、精悍でセクシーな男性客クープことララミー・クーパーと恋に落ちた。たった3夜でも、彼と過ごした時間は一生忘れられない思い出となったが、赤ちゃんができたとわかって彼に送った手紙は戻ってきてしまった。彼女が衝撃の事実を耳にしたのは、それからしばらくしてからのこと。クープが任務中に死んだという悲しすぎる知らせだった…。3年後、ブリストルは天国の父にちなんでララミー・クーパーと名づけた幼い息子を育て、母である彼女自身も改姓してクーパーとなっていた。それで問題ないはずだったー死んだはずのクープが現れるまでは。彼は生きていた!そして言った。「きみはなぜ俺の姓を名乗っている?」
それはローナが新たな人生に踏み出した矢先の交通事故だった。子宮外妊娠で第一子を失い、すれ違いから夫ジェイムズとも別れて以来、いつか大切な命を産みたいと、おなかの痛みにも耐えてきた。10年が過ぎた今、ようやく子供をあきらめて手術を受ける決心をし、故郷を離れてロンドンで暮らそうとしていたところだったのだ。病院に運ばれ、病室で意識を取り戻した彼女の耳に懐かしい声が届く。「ローナ…」ああ、なんてこと。ここはジェイムズの病院!思わぬ再会後、やがて快復したローナは、彼と一緒に働くことになる。その前に過去のわだかまりを解くように、二人は一夜を共にした。ローナは彼の腕の中で、じきに手術で子を望めなくなる切なさに震えた。
派遣看護師のコンスタンシアは仕事先のオランダで、イエルン・ファン・デル・ヒーセンという医師と出会った。年上のドクターは優しく穏やかで、笑顔がすてきな男性だ。一緒にいると心が安らぎ、いつしか彼女は恋に落ちていた。人づてに聞いた話では、彼は決して裕福ではないようだけれど、コンスタンシアはむしろそのほうがいいと思っていた。これまでに会ったお金持ちは皆、心が貧しく不幸な人ばかりだった。お金なんてなくていい。ささやかな幸せのほうが大切なのだから、と。しかし、コンスタンシアはまだ知らなかった。まさかドクターが本当は、お金持ちの男爵だったとは…。
ジェイコブズビルの大企業で役員秘書の仕事を得たレスリー。人に言えない悲劇的な過去から逃れたくて、心機一転この町へ来たのに、大富豪社長マット・コールドウェルが彼女の前に立ちはだかる。前評判によると、気さくで感じがいいと言われていたマットはしかし、初対面から傲慢で、レスリーにつらく当たってばかり。ああ、彼は私の過去を知っているのかもしれない…。彼女は内心怯えるが、あるパーティでマットからダンスに誘われる。不思議なことにふたりの息はぴったりで、男性恐怖症にもかかわらずレスリーは彼と楽しく踊ることができたー過去の悲劇のせいで後遺症がある脚が、痛みに耐えられなくなるまでは。
『一夜の波紋』ティナはギリシア大富豪ニック・レアンドロスの妻になった。事故死した彼の異母弟の子を宿している彼女は、おなかの子にレアンドロス姓と安定した生活を与えるべきだと主張するニックに説得され、偽装結婚に踏みきったのだ。だがティナは苦しんでいた。決して愛されない名目だけの妻なのに、彼を愛してしまったことに気づいて。『プリンスにさらわれて』ある晩、帰宅した英語教師のプルーはハンサムな侵入者に遭遇する。彼の正体は、さる国の王位継承者カリム。プルーの教え子である妹が行方不明になり、手がかりを求めて彼女に会いに来たのだった。突然のことに困惑するプルーを、カリムは王になる者らしい尊大な口調で脅した。「一緒に来なければ、君は後悔することになる」『結婚はナポリで』母が死に際に詳細を明かした実の父に会うため、キャサリンはイタリアへ飛んだ。そこで出逢ったのは、父の若き友人でダビデ像のように美しい大富豪アレッサンドロ。彼は妻に先立たれて男手一つで息子を育て、もう結婚はしないつもりだった。そうとは知らない彼女は、父を待つ間、親切にしてくれる彼になす術なく惹かれていく。
『恋はあせらず』家政婦のケイトはいつか自分の店を開きたくて、雇い主のわがままや薄給に耐え、こつこつとお金を貯めていた。ある日、雇い主の甥で高名な医師ミスター・テイト=ブーヴァリと出逢い、ハンサムな彼に恋心を抱く。こんな人と結婚できたら…。叶うはずもない大それた願いをそっと胸の奥にしまった彼女に、思いもよらぬ不幸が起こる。不良集団に大事な給金を盗まれてしまったのだ!悲嘆に暮れるケイトを、ミスター・テイト=ブーヴァリが優しく慰めるが、彼女にはわかっていたーこれは単なる同情で、愛ゆえではないと。『独りぼっちのシンデレラ』両親を早くに亡くしたケルシーは夢をあきらめ、家事代行業で3人の弟を育てあげた。これからは自由を満喫し、自分らしく生きていくつもりだ。そこへ、悪名高きプレイボーイ大富豪のルークが仕事を頼んできた。男らしい魅力を放つ彼に、ケルシーはどぎまぎした。しかも、夢を書き連ねたリストを偶然彼に見られてしまうー“熱烈な情事を経験したい”と記したものを。ルークは目を輝かせてリゾートにケルシーを誘った。「熱烈なひとときなら、この僕にまかせてくれ」ケルシーにはとてもあらがえない、魅力的な提案だった。
おなかの子に白血病の可能性が…。キャシーは相手がいないけれどどうしても子供が欲しくて、クリニックで人工授精を受けて現在、妊娠4カ月。胎児の異状を知らされた彼女は、骨髄提供をしてもらえるか確かめるため、見知らぬドナーの男性と連絡を取ることにする。不安にさいなまれるキャシーだったが、いざ電話で話すと、ウッドという名の彼はもちろん協力すると言ってくれた。それだけでなく、何くれとなく気遣ってくれる優しい彼に、キャシーは思わず胸をときめかせた。いいえ、だめよ、絶対。声しか知らない男性に恋なんてしている場合じゃないわ…。
やむにやまれぬ事情で生活苦にあえぐアリーは、姉の遺児を引き取って育てながら、病院で懸命に働いている。ある日、趣味の登山中に息が止まるほどハンサムな男性と出逢い、ショーンという名の彼と協力して、遭難していた少年を救った。緊迫した状況で的確な判断をくだす彼の姿を見て、アリーは胸のときめきを抑えることができなかった。かたや、ショーンは悪天候の中を独りで歩いていた彼女を傲慢な口調で責めたかと思うと、「君が欲しい」と言って戸惑わせる。良くも悪くもアリーの心を独り占めにしたショーンが、なんと翌日、彼女の勤める病院に新任医師としてやってきた!
ある嵐の夜、ライザは血のつながらない義兄ロークと結ばれた。クルージングに出た船上で、激情に駆られてのことだった。だが、直前にマストから落ちて脳震盪を起していたロークは、断片的に記憶を失い、翌朝には彼女と結ばれたことを忘れてしまう。義妹への潜在的な罪の意識からか、以来、彼はライザに冷たくなった。あの一夜の思い出に胸を焦がしても、報われることはないんだわ。耐えかねたライザは書き置きも残さずに家を出たー身重の体で。5年後、無事に生まれた息子を育てながらロンドンで自活する彼女の前に、突然、以前と変わらぬ非情さを漂わせたロークが現れる!しかも彼は、幼い息子を、ほかの男性の子供だと信じこんでいて…。