小説むすび | 出版社 : 二見書房

出版社 : 二見書房

リグレティング・ユー あの日の自分に戻れたら 下リグレティング・ユー あの日の自分に戻れたら 下

モーガンとクリスの娘クララは十六歳になっている。 ある日、クララは車で学校から帰る途中、道端に上級生のミラーの姿を見つけた。何をしているんだろう……これまでミラーとは話したこともない。何があったわけでもないのに、ミラーが自分を避けている気がするし、彼にシェルビーという年上のガールフレンドがいることは知っている。一度はそのまま行きすぎたものの、うだる暑さの中で放置はできず、クララはミラーのところまで戻った。聞けば、ミラーは市の境を示す標識を移動させている最中だという。家の近くにあるピザ屋が市を越えてデリバリーをしないから、毎日少しずつ、標識を移動させ、自分の家を配達区域に含めようという計画らしい。突拍子もない発想にクララは唖然としたが、結局、移動を手伝い、彼を家まで送った。驚いたことに、ミラーは街はずれのボロ家で祖父と暮らしていた。クールなイメージのミラーが、甲斐甲斐しく祖父を気遣う様子に、クララは興味を掻き立てられた。帰り道、インスタに、ミラーのフォローを知らせるメッセージが届き、嬉しくなったクララは叔母に電話をした。 モーガンの三十四歳の誕生日。グラント家では毎年、家族の誕生日には皆が集まってパーティーを開く。お祝いにジェニーとジョナもやってきた。ジョナは十七年前、突然姿を消したが、去年、父親の葬儀で帰省したとき、再会したジェニーと一夜限りの関係を持ち、ジェニーが妊娠した。ジョナは結婚を決意、この街に戻ってきて、クララの高校で歴史の教師になった。ジェニーは息子が生まれて二ヵ月になった今、翌日からクリスのつとめる病院で看護師として働くことになっていた。

ひとひら怪談 森にしずみ 水にすむひとひら怪談 森にしずみ 水にすむ

気鋭の作家14名による掌編ホラー・アンソロジー、待望の書籍化! 人気沸騰の同人誌「ひとひら怪談」の<水>と<森>の2冊の掌編(見開き完結)作品集を一部改稿して合本にまとめ、全作品の1/3にもおよぶ24作品を新規書き下ろし!  「巡回バス」「ねじれ森」「眠る湖」「夏の思い出」「今はもういない」「轢いた」「ヘリウム」「神様のお嫁ちゃん」「開眼キノコ美味しいキノコ」「音になる日」「直江さんちのテラリウム」「Cさんのこと」「マグノリア」「妻の花」「花嫁」「半地下の妻」「井戸の底」「水が気になる」「Summer Of Katabiragawa 1993」「漂泊の森」「無窮の島」「第三公園」「水が採れる」「一匹」「君よ胃酸の河を涉れ」「歩留まり」「指定席」「スダさん」「どこにもいなかった」「命の証明」「検索してはいけない言葉『ハッピーフォーエバーファーム』」「やまくじら」「紹介」「還森」「森の炭焼き小屋」「ぬばたまの森」「森と飼い主/ブロッコリーのB」「検索してはいけない言葉『おいしいチーズケーキを食べる会』」「三途の禁」「空き地」「蔓の窪地」「歌う女」「クガリの自負」「なんか」「誘引灯」「怪談蒐集の最中」「セックスとヒューマニズム」「みまちがい」「二万哩はまだ遠く」「潜水」「水霊」「祈る森」「命の水」「夢でよかった」「雪崩コタール」「僕が、剝いであげる」「ノーマンズランド」「夜明け前の森の練習曲」「キリングジョーク」「たとえ出会いが水商売でも」「今度こそ」「神託」「Y不動産にて」「届けもの」「すいぞくかん」「夜の川」

新訳 エマニエル夫人新訳 エマニエル夫人

全世界で5000万人を動員したシルビア・クリステル主演の大ヒット映画『エマニエル夫人』から半世紀、新たに映画化! 2025年1月10日、日本公開! 20世紀を代表する官能文学の「無削除完全版」がついに刊行! 1969年、二見書房は『エマニエル夫人』を翻訳出版したが、内容が猥褻にあたるとの理由で警視庁より発行禁止処分を受けた。 しかし、当時の社長堀内俊宏の機転で猥褻表現にあたる箇所を担当官から聞きだし、きわどい表現を修正してふたたび発売、50万部を超える大ベストセラーになった。 『新訳 エマニエル夫人』は、当時削除修正しなければならなかった原作を未削除で新たに読みやすい日本語にした完全版! パリから夫の赴任先であるタイのバンコクに向かうエマニエル。飛行機内で見知らぬ男性客と思いもかけず、みだらな行為をすることに……。バンコクに着いたエマニエルはビジネスマンの妻として、幸福ではあるが平穏すぎる日常にどこか退屈さを感じていた。そんなある日、エマニエルは知人の紹介で「性の儀式」を受け入れていくことになる……。

氷住灯子教授と僕とYの世界氷住灯子教授と僕とYの世界

そっちには行くな。 二度と戻れなくなるぞ。 過去のトラウマに囚われ、殻にとじ籠もっていた大学生・直希。 直希の目がとらえる世界は不思議にあふれ、彼を悩ませてきた。 彼の目の秘密を知る若き大学教授・氷住(ひずみ)灯子のもとで、不思議な事象を解き明かしていく。はたしてY研究所とは? 氷住教授とは? ーー珠玉の短編連作集。 茂鳥直希は大学に受かり、田舎から上京した。 直希は幼い頃から不思議なものが見え、そのために周囲から孤立し、傷つき、人とどのように接して良いかもわからなかった。 直希はこの大学進学を機に、友人をつくれるようになりたいと考えていた。 直希が大学近くでバイト先を探していたところ、偶然「Y研究室 雑用係募集」という学内のバイト先を見つける。超常現象を研究しているという大学非公認の《Y研究室》。 離れ校舎地下にあるY研究室はチグハグなインテリアに、洗い物が溜まったシンク。 研究室の主、大学教授で傍若無人な振る舞いをみせる氷住灯子は、そのまま直希を採用する。 研究室には、どうにも相談できない悩み(霊や超常現象)を持つ人が直希を通じてふらりと相談にやってくる。 直希の目には、それらの悩みには必ずといっていいほど、黒い靄のようなものが見えていた。過去に死にかけたことがある直希。 そして直希の目の秘密を知る氷住教授とは一体ーー

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