出版社 : 二見書房
旅籠付き小料理のどか屋のあるじ時吉は、十年ほど前、江戸で一番の料理人を決める“味くらべ”に出たことがある。その折に闘った若き女料理人がその後、品川で夫と田楽と蒲焼きの見世“紅葉屋”を出し人気となった。だが夫が病で亡くなり、幼い童と二人、悪辣な地攻め屋に立ち退きを迫られている。縁あって、お上の“黒四組”から秘かに十手を預かっている時吉と息子の千吉は…。
長崎奉行からの出島のオランダ商館長にキリシタンの疑いありとの報を受け、目付・稲葉徹太郎が赴く。また商館長の蔵から盗難があったことも判明し、稲葉が探索。そんな折、北九州沿岸に唐船出没との報せに、目付筆頭の妹尾十左衛門が急遽赴く。敵は大砲を備えた巨船群との報もあり、近隣の藩も及び腰だった。一方、江戸では目付を騙る者たちの悪行が横行し…。
金曜日の夜、怜史は高速バスターミナルの待合室にいた。翌朝、大阪に到着する高速夜行バスに乗るためだ。乗車後、最後尾の席に座った怜史だったが、隣の空席を挟んで、一人の女性が座った。連れは誰もいなさそうだ。彼の頭の中に、ある邪悪な計画が芽生え始めるが、いざ実行に移すと事態は思わぬ方向へ…。人気作家による書下しノンストップ官能!
母を突然の自殺によって亡くしたスヴェティ。ある日参列した結婚式で元刑事のサムと再会し、命を狙う脅迫状が何者かから届いていることを話してしまう。心配したサムと熱いキスをかわすが、その夜、家に戻ると誰かが侵入しているのに気づき、そのままサムのアパートメントに避難した。2年前、初めて会った瞬間に恋に落ちながら、男性経験の少なさから彼を避けてしまったスヴェティ。愛を交わし、初めての官能を知るが、母の自殺を巡る陰謀の影が忍びよっているとは知るよしもなく…
22年前、ゼインによる教団施設炎上を経験した犯罪心理学者のジャックは、隣人の女性ウィンターに一目で惹かれてしまう。ある日、彼女をストーカーから救った彼だったが、軽傷のはずの犯人が死亡。彼は、ゼインが再び姿を現す徴候ではないかと調査を開始する。一方のゼインも自分の出自を知り、「父」の企業乗っ取りを画策していた…。やがてウィンターが誘拐され、ジャックたちはゼインとの最後の対決に向かうことにー。
老中の駕籠行列は、登城の際、走るのが慣例だ。事件が起きたときだけ走れば、人々に異変を知られる。いつも走っていれば、気づかれようがない。そのために走ることが定着し、飛駕籠と呼ばれる。その飛駕籠に六人の百姓衆が駆け込んで直訴した。郡上藩からの者であった。御庭番の加門がそれを目撃していた。加門は本丸中奥の将軍家重の御用取次・田沼意次の部屋を訪ねた。
旗本武田作之介家の門前に行き倒れがあった。まだ前髪も取れぬ侍姿の子ども。小袖も袴もぼろぼろで土や泥塗れ、腹が空いているらしく息も絶え絶えの薄汚い小僧。津軽藩士・鹿取真之助の一子、寒九郎と名乗り、叔母の早苗様にお目通りしたいという。父が切腹して果て、母も後を追ったので、津軽からひとり出てきたと叔母に告げた。こうして寒九郎の孤独の闘いが始まった。
昇介は、会社の倉庫を使って女性社員を相手に快感を貪っていた。ある日、社長である夫を亡くして新社長となった貴梨子から、倉庫の件を問題にしない代わりに、夫の浮気相手だった女を捜せとの命が。手がかりは、録音されていた女の喘ぎ声のみ。疑わしい女性に接近し、声から特定しようとするが、意外な真実がー。巨匠の傑作官能!
俺はただの飲み屋の親父だ。 元刑事の立ち飲み屋の主人と、謎の家出少女、多彩な登場人物が織り成すハードボイルドコメディ ☆新・卵メニュー有☆ 転がり込んできたちひろとの同居が始まるも、朝倉の妻・遙香に高校入学準備を整えてもらうほど保護者役はイマイチな二宮。 そんなぎこちない暮らしにも形のようなものができ始めた矢先、常連客である「教授」の周辺に不穏な影が…。 一方、二宮が元捜査一課の刑事だということが客にばれ、今度は強盗殺人事件の捜査に関わることに!? 新宿の片隅に佇む立ち飲み屋「二宮」は今宵も主の本意と違う方向に営業中ーー…。 ◆ 著者について 谷崎泉 Izumi Tanizaki たにざきいずみ 1月9日愛知県在住。犬猫好き。 「月影骨董鑑定帖」「鎌倉おやつ処の死に神」シリーズ(KADOKAWA)「逆境ハイライト」(中央公論新社)など。 一 君に花咲け 5 二 涙雨、降りし 73 三 夏の尾 96 四 主任の主任 161 五 それぞれの真実 181
別れはね、すべきときに、しなくてはいけないんですよー。関わる人に不幸を招く疫病神体質で、大学進学を機に親戚宅を出た譲吉。だが上京当日に下宿は燃え、再会した幼馴染のすず子の家は突風で半壊してしまう。途方に暮れる譲吉が紹介されたのは作家・七雲静宅。出入りする小学生の舞人は静の兄だというし、副業の薬処の客は人じゃない。譲吉を招き入れたのは「不幸を呼び込んで静を死なせてほしい」からー!?
越前大野藩の御耳役・落合勘兵衛は身重の妻を連れ帰郷した。だが勘兵衛は大野に流れる奇妙な風説に驚愕した。無茶の勘兵衛ではなく、無駄の勘兵衛という風説。そして上司の江戸留守居役・松田への誹謗。なにかがおかしい。誰が、どんな意図で…。やがて江戸に戻った勘兵衛は、深更、藩邸に騎馬で上意を伝えに来た使番からの“大名総登城”の触れにおののいて…。
「藩の大事を、お聴き願わしうござります」柳生藩一万石の藩主で将軍の影目付・柳生俊平を、豪華な駕籠で加賀百万石の重臣らが訪れた。藩財政再建のため藩主を先頭に努めているが、ある者らが幕府の法度にかかわる手法で、大坂堂島の米相場に手を出している。大事とならぬうちに影目付の手で藩の膿を出してほしいーというのだ。はたして加賀藩重臣の真の狙いはー?
新内流しの弁天太夫と相方の松千代は、母子心中に出くわし二人を助ける。母親は理由を語らないが、身の振り方を考える太夫。一方太夫に、実家である江戸の様々な大店を傘下に持つ総元締め「萬店屋」を継げとの話が舞い込む。超富豪になった太夫が母子の事情を調べると、ある大名のとんでもない企みが…。悪徳大名を陥れる、金に糸目をつけない大芝居の開幕!
20歳の吾郎はある日、60歳くらいの男に声をかけられた。彼は43年後の吾郎で「官能を書けば23歳でデビューする」と教えてくれ、さらに、「お前のアパートの女性たちは後年、誰もがお前とならしてもよかったのにと言っていた」と語り、去っていく。その言葉に押されて、管理人の人妻から口説いていくが…。超人気作家による書下し官能エンターテインメント!
地方に住む女子生徒四人組は性的な興味あふれる年頃。ある日、その一人が発した言葉によって、誰ともなく互いの身体検査をしたり、一人は絶頂まで体験してしまった。さらに担任の男性教師を軽い罠にかけることに。彼を四人の「男性の肉体研究」の材料としてさまざまにいたずらし、好奇心を満たしていくがそれでも治まらず…。甘酸っぱい青春官能エンタメの傑作!
ショーナが4歳のとき、父親たちの取り決めにより伯爵の息子ブレイクと許婚同士となるが、その後父親が仲違いし、ショーナは伯爵家の悪口を聞きながら育った。彼女が24歳になったとき、国王の命でようやくブレイクが花嫁を迎えに来るが、結婚に夢を持てなくなっていたショーナは逃げ出す決心をする。まずは修道院に逃げ込み、つかまりそうになると飛び出した。追いかけっこが楽しくなったふたりは徐々に惹かれあうが、彼女の身にはある危険が迫っていて…
テロリストの息子として生まれたナセル。争いと恐怖に満ちた日々に疲れ、諜報員となって反テロ活動に携わったのち、すべてを捨てて渡ったアメリカの港町でストリッパーのキーリンに出会う。一方のキーリンは、悪夢のような生家と継父から逃れ、ストリッパーとしてプライドを持って生きてきた。出会った瞬間に惹かれ合い、孤独を埋め合わせるように体を重ねるふたり。だが過去との訣別は決して容易ではなく…ダークでホットな世界を描く官能サスペンス!
元大和梨川藩の磯貝徳右衛門は侍を捨て、料理人時吉となった。女房おちよと旅籠付き小料理のどか屋を開き人気を博している。そんなのどか屋に素人落語家で元乾物屋主の元松が宿をとった。夜ふけて元松は起きだし、思い詰めた顔で大川に向かった。これに気づいた、のどか屋の一人息子千吉は後を追う。不自由な左足で必死に走る。噺家のおじちゃんが死んじゃう。
長崎奉行を勤め上げて江戸に戻ってきた柘植長門守正寔は、作事奉行の任についていたが、ある日、謎の人物から屋敷に誘われる。疑心暗鬼で誘いに乗ると、そこには幕閣の若き俊英がいたー。「松平定信じゃ、見知りおけ」。そして、正寔が伊賀の血を引くことから、定信にある人物の守りを頼まれるのだが、時の幕閣の思惑が絡み、命を狙われることになり…。