出版社 : 平凡社
「もうこんな暮らしはごめんだ」とグアドループ島を出、パナマ、サンフランシスコで暮らし金銭を蓄え財をなし、島の黒人中産階級になった曾祖父アルベールの流浪の人生。パリ留学後、ロンドン、ニューヨーク、ジャマイカを彷徨い、はてはフランスの夫の下に帰る母テクラの破綻の人生。アルベールとテクラのふたりの生涯を中心に、曾孫/娘ココが語るルイ家四代の“悪辣な生”は、一家系の物語をこえたカリブ海現代史ともいえる。アナイス・ニン賞受賞作。
岩波文庫改版以後でも50刷以上を数える、ロマン主義文学、いやフランス文学に燦然と輝く金字塔の新訳決定版。全5冊で贈る新定番。 ジャン・ヴァルジャンの来歴、愛娘を残したまま逝くファンチーヌ、主人公を執拗に追うジャヴェール、金目的にコゼットを手放さずこき使うテナルディエ。物語前史、壮大な伏線。
この世でいちばん哀しいのは、一度も語られることのなかった物語と、一度も奏でられることのなかった音楽だ。吉田篤弘のデビュー作、待望の復刊。書き下ろし解説を含む最新リマスター版!
この展開は、いったい何!?『捜神記』『唐代伝奇』『聊斎志異』『子不語』…六朝時代から清代まで、中国に綿々と受け継がれた変幻自在な奇想・幻想小説26篇を精選、練達の新訳でよみがえるー
二つの大戦、社会主義政権の樹立、プラハの春とチェコ事件、そしてビロード革命ー。激動の歴史を背景に中欧の小国チェコで育まれてきたSF。ハクスリー、オーウェル以前に私家版で出版されたディストピア小説から、J・G・バラードやブラッドベリにインスパイアされた作品まで、チェコSF界の最高峰“カレル・チャペック賞”受賞作を含む本邦初訳の傑作11編。
学生時代をともに謳歌した哲朗と真紀とラムは、四十年後、約束の場所で再会を果たせるのかー。晩成文学賞を処女作で受賞した表題作にさきがけ文学賞、埼玉文芸賞準賞の受賞作を加えた注目の定年後作家初の単行本!
カレルとともにチャペック兄弟として知られる兄ヨゼフ。彼はチェコの画家・作家・詩人としてのみならず、書物の挿画や装幀、舞台美術の分野でも活躍した多才な芸術家で、「ロボット」という語の創案者としても知られる。鋭い観察眼で人々の暮らしや社会、芸術、戦争などを見つめたエッセイ二六編とナチスの強制収容所で死の直前に綴られた詩九編。
ギルガメシュ叙事詩ほか、旧約聖書やホメロスの叙事詩よりもはるか以前、四千年前に近東で語られていた物語。遺跡の粘土板上に残されたそれらを復元・解説し、わかりやすく語り直す。
貧しさの根本原因に目覚めていく小作農たちー植民地時代の荒廃する農村にあって、たくましく生きる小作人群像とその家族たち、そして若い男女の心の葛藤を、朝鮮の風土を織り交ぜながら描く。朝鮮プロレタリア文学の代表作。
舞台は薩摩。戦国の世に出会った無双の美少年平田三五郎と青年武士吉田清家ー義兄弟の契りを結び、忠義を尽くし、生死を共にした二人の物語は、男子のあるべき姿として長く読み継がれ、明治期には自由民権運動の機関誌に連載されるなど、一大ブームを巻き起こした。この伝説的物語の現代語訳に、著者とされる「西国薩摩の婦女」を鍵として、当時の女性の教育や職業、執筆の可能性に迫る解説を付す。
近代「韓国語」はいかに作られたのか。帝国の支配下で帝国の言語で発言する被植民地人は一種の腹話術師である。主に日本語との格闘を通して作品を書いた文学者たちの活動に豊富な引用で光を当て、その実態に鋭く近づく、ユニークな試み!
文学作品はこれまで病をどう語ってきたか。病は文学によってどのように意味づけされてきたのか。消耗病・結核、ハンセン病、梅毒、神経衰弱、不眠、鬱、癌、心臓病、皮膚病ーコナン・ドイル、フィッツジェラルド、レッシングら名だたる作家によって書かれた9つの病を主題とする14編。最も個人的な出来事の向こうに、時代が社会が、文化が立ち現れる。
自伝的要素が濃厚な表題作ほか短編5篇を収録。朝鮮の「開化」の時代を、極貧に耐え志をもって生きた一青年の苦悩と民族の義憤を描く。待望の邦訳に詳細な訳者解説を附した。
LGBTの枠をも相対化する「クィア」な視点から巨匠たちの作品を集約。本邦初訳G.ムア「アルバート・ノッブスの人生」を含む不思議で奇妙で切ない珠玉の8編。 <目次> わしとわが煙突 ハーマン・メルヴィル モッキングバード アンブローズ・ビアス 赤毛連盟 アーサー・コナン・ドイル 三人のガリデブの冒険 アーサー・コナン・ドイル ティルニー 伝オスカー・ワイルド ポールの場合ーー気質の研究 ウィラ・キャザー 彫刻家の葬式 ウィラ・キャザー アルバート・ノッブスの人生 ジョージ・ムア 解説 大橋洋一 わしとわが煙突 ハーマン・メルヴィル モッキングバード アンブローズ・ビアス 赤毛連盟 アーサー・コナン・ドイル 三人のガリデブの冒険 アーサー・コナン・ドイル ティルニー 伝オスカー・ワイルド ポールの場合ーー気質の研究 ウィラ・キャザー 彫刻家の葬式 ウィラ・キャザー アルバート・ノッブスの人生 ジョージ・ムア 解説 大橋洋一
翻訳者がみた作家・作品を介した対話。「近代のイメージとモデル」であった小説に賭け、「実存の未知な部分」を探ろうと果敢な挑戦をつづける「反現代的なモダニスト」の半世紀の軌跡。ほとんどの作品を訳したからこそ書きえた「個人的」クンデラ論。