出版社 : 新潮社
60万部超え大ヒット作『三千円の使いかた』の著者、最新刊は「お金のつくりかた」! 会社の同僚と平凡な結婚をし、ひとり息子にも恵まれ、専業主婦として穏やかに暮らす葉月みづほ。彼女はある夢を実現するために、生活費を切り詰め、人知れず毎月二万円を貯金していた。二年以上の努力が実り、夢を実現した喜びも束の間、夫に二百万円以上の借金があることが発覚してーー。様々な事情で「今より少し、お金がほしい」人達の、切実な想いと未来への希望を描く!
ひとりの女が愛を知り、悪に目覚めるとき。東京は、再び戦火に燃える。1945年、東京。大物極道である父の死により、突如、その「代行」役となることを余儀なくされた綾女。大物議員が巡らす陥穽。GHQの暗躍。覇権を目論む極道者たちの瘴気……。綾女が辿る、鮮血に彩られた謀略と闘争の遍歴は、やがて、戦後日本の闇をも呑み込む、漆黒の終局へと突き進む! 脳天撃ち抜く怒濤の犯罪巨編、堂々開幕。
灼熱のバカンス地で、病身の母とふたり。夏の幻の果てに、娘が出した答えとは? 原因不明の病で歩けない母の治療のために、イギリスから南スペインの町を訪れた夏。介護のために学者の道を諦めた25歳のソフィアは、母親を怪しげな医師ゴメスに診せつつ、地元の男子学生と謎の長身女性に惹かれてゆく。私の人生って何なんだろう? やがてソフィアは本当の痛みと向き合う。ブッカー賞最終候補作、映画化決定!
今なお話題のサリンジャーの煌めく才能。これが最後の「9つの物語(ナイン・ストーリーズ)」! 若い頃の留学先のウィーンを終戦後に再訪した男が行方を探す美少女、謎の女とともに行方不明になった天才詩人、少年が見てしまった悲劇の黒人ジャズ歌手。グラース家の物語の無垢、そして『ライ麦畑でつかまえて』の異議申し立て……サリンジャーが後年描いたエッセンスを湛えながら本国では出版されることのない幻の短篇集!
教えて下さい。どうしたら、この憎しみから解放されるのでしょうか? 悲痛な叫びが胸をうつ、静かに昂ぶる最終章に涙せよ! 父は、私達姉妹が幼い頃、外に女を作って家を出た。女手一つで私達を育てた母は、過労がたたって数年前に亡くなった。すべて忘れて過ごしていたはずなのに、唐突にあの女が現れた。可愛らしい女の子の母親として。私はあの女を許さない。私達の家族を奪って、自分だけ幸せになるなんて! 怨讐と贖罪の長編ミステリ。
泣いてるのはたぶん、自分の無力さに対してだと思う、わかんないけど。海辺のちいさな部屋で。もう二度と訪れることはないかもしれない東京で。延々と改装工事が続く横浜駅の地下通路で。そして、タイの洞窟にサッカー少年たちが閉じ込められていたあの夏、きみは部屋から姿を消した。どうしようもなくこんがらがっていく世界を生きるわたしたちの姿を演劇界の気鋭が描きだす、15年ぶり待望の第二小説集。
ミステリ界の超新星が仕掛ける、五つの罠。日常に潜む小さな“歪み〞を、あなたは見抜くことができるか。子供が四人しかいない島で、僕らは「YouTuber」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとたちがよそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)。日本の〈いま〉とミステリが禁断の融合! 緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の波状攻撃に瞠目せよ。日本推理作家協会賞受賞作を含む、痺れる五篇。
狂気とは、怪奇とは、そして、それを語るということとはーー。恐怖の概念を揺さぶる、唯一無二の「怪談小説」集。深夜の高速道路で語られる百物語、学校を彷徨う伝説の幽霊、子連れでの散歩中に遭遇した呪いの物件……。古今語り継がれる「怪談」の数々を、ホラー界の旗手が戦慄のアップデート。精緻な技巧と無慈悲な想像力が邂逅を果たすとき、そこに真の〈恐怖〉が現出するーー。「小説」ならではの企みに満ちた、著者真髄特濃短編集。
これが、僕と君が共にある、唯一の手段ーー。生きる理の違う美しき人魚と半人前な青年が築いた愛と幸せの形とは。若隠居した大店の跡取り息子・孫一郎は、人魚のおたつに求婚されてしまう。諦めさせるためにも、おたつにねだられるままに御伽話を語る孫一郎だったが、次第にその心は変化していく。しかし、人魚と人間がともに暮らせる未来があるわけでもなく……。「これ以上のラストはない」と選考委員を唸らせた驚嘆の受賞作。
ブレグジットからパンデミックへ。苦悩深まる世界の新たな希望を描く最終巻。私が自分の人生の主人公だとしても、私たちはこの星で生きる資格がない。感染症の流行が始まった英国で、環境破壊に心を痛める少女が海岸で出会ったのは、母の形見の丸い石を届ける途中の男とその相棒。少女も家族と一緒に彼らの旅に加わりーーEU離脱をきっかけに始まった不協和音だらけの交響曲、祈りに満ちた最終楽章。
描きたいんだよ、おれが見てきた江戸の青空をーー。〈青の浮世絵師〉歌川広重が謳歌した遅咲き人生! 美人画は「色気がない」、役者絵は「似ていない」と酷評されてばかりの歌川広重。鳴かず飛ばずの貧乏暮らしのなか、舶来の高価な顔料「ベロ藍」の、深く澄み切った色味を目にした広重は、この青でしか描けない画があると一念発起する。葛飾北斎、歌川国貞が人気を博した時代に、日本の美を発見した名所絵で一世を風靡し、遠くゴッホをも魅了した絵師の、比類なき半生を描く傑作長編。
芸能界の先駆者にして伝説。その孤高の闘いを描く怒濤の長篇小説。モロッコへ旅立ったカーニバル真子は日本で初めて「女の体」を手に入れた。帰国後、待ち構えていたのは雑誌のグラビア撮影と日劇での凱旋ショーの大喝采だった。が、「性転換お色気路線」だけでは芸能界で生き残れそうになく、歌手、地方興行などに打って出るものの追い詰められていく。小説でしか描けない実在の人物の孤独と苦悶に迫る大傑作。
外界から隔絶された学園で寮生活を送る少女たちの間で流行する、「森を作る」という遊び。誰もが森を持つ中、揺は一人だけ森を作ることができない。思い悩む揺だったが、激化する戦争の影が学園にも忍び寄る。一方、目的を持って森を観察してきたある生徒は、秘密の計画を進めていた。少女たちの魂が共鳴する時、奇跡が起きるー。
読む者を狂気の淵に叩き落とす、呪われし伝説の作家・堀永彩雲。次なる生け贄を求め、現代日本に降臨! 徴兵されながらも戦争を生き抜き、戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家・堀永彩雲。しかしその後半生は、絶望と狂気に彩られていた。昭和四九年に享年五〇で自害した作家の作品は、世間からは忘れ去られたが、一部で狂乱の読者を生み育んだ。そして今、彩雲の子らは真の目覚めを迎え、世紀末日本で覚醒する!
「町医者」が、ぼくの家の天職だったーー。大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれーー。現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く感動作完成!