出版社 : NHK出版
ひとりの弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語。国を失い、父を亡くし、母と離れ、心に傷を抱えた孤独な少年・竹千代は、今川家の人質として、ひっそりと生涯を終えると思っていたー。しかし、三河武士の熱意に動かされ、弱小国の主として生きる運命を受け入れ、織田信長、武田信玄という化け物が割拠する、乱世に飛び込んだ。待っていたのは生きるか死ぬかの大ピンチ!個性派ぞろいの家臣団を頼りに、夢と希望にあふれた波瀾万丈の物語がここに幕をあける。
第二次世界大戦下の一九四二年、アンネ・フランクは、十三歳の誕生日に父親から贈られた日記帳に、思春期の揺れる心情と「隠れ家」での困窮生活の実情を彩り豊かに綴った。そこに記された「文学」と呼ぶにふさわしい表現と言葉は、いまを生きる私たちに静かな勇気と確かな希望を与えてくれる。
明治になり松江藩でも、武士たちはその身分、家禄を失った。幼いころは武家の娘として大切に育てられてきたセツは、住まいを追い出され、働く意欲を失った父に代わって、縫物仕事や機織りで糊口をしのいでいた。折しも日本に憧れ、来日したものの、原稿が採用されず、英語教師となったラフカディオ・ハーンが松江の尋常中学校に“ヘルン先生”として赴任する。縁あってセツはハーンの身の回りの世話をすることに。セツが語る怪談に興味を示したハーンは、何度も繰り返し話すように頼む。こうして二人の共同作業が始まった…。
「一億玉砕」から「民主主義」へー。標語は変われど、その本質は何も変わらなかった戦後日本。そんな中、それを言われると世間が困る「声」を持つ人たちがいた。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原に恋するかず子、麻薬中毒に苦しむ弟・直治。彼らの葛藤とその「声」に、太宰治が込めた思いとは何だったのか。一九四七年に発表された爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に、太宰文学の核心を見る。
50代半ばの男性が、健康を理由にはじめたロードバイクにのめり込む。折しもコロナ禍、会社の業績不振という息苦しい状況が訪れるなか、会社では部下、自転車では師匠となる女性とともに新しい扉を開いてゆく。
「恋愛って、つきあったらそれで終わりじゃない。好き同士になってからも、気持ちは日々、増えたり減ったりを繰り返している」何気ない日々の中できらめく、はかなく、かけがえのない瞬間の数々。こぼれ落ちそうな小さな喜びや幸せを噛みしめるように、あるカップルの一年の記憶から60のピースを紡いだ、無垢でまっすぐな物語。優しく温かく、時に切なく心を揺さぶる文章とイラストが、大切な誰かとの日常をさらに慈しみ深い時間へと導いてくれる。SNSフォロワー23万人超の人気文筆家・蒼井ブルーと、アニメーター・演出家・イラストレーターと多彩に活躍する新井陽次郎による強力タッグ!
「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫…」兒玉咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アロマンティック・アセクシュアル」というセクシュアリティを自認する男性・高橋羽と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とはー。NHKよるドラ「恋せぬふたり」をオリジナル書き下ろし小説化!
明治新政府から出仕の要請を受けた渋沢栄一は、いまだ武士の習わしから抜け出せない政府の中で果敢に改革を推し進め、銀行の設立にも奮闘する。そして三年半後、栄一は官を辞し、民の立場で実業の一線に立つことを決意。一筋縄ではいかない商人たちがうごめく世界に飛び込んだ栄一が目指すものとはー。話題の大河ドラマ「青天を衝け」第32回〜第41回の内容を収載した、完全小説版ここに完結!
慶喜が将軍となり、心ならずも幕臣となった渋沢栄一。そんな折、慶応三(一八六七)年のパリ万国博覧会に派遣される徳川昭武ら使節団の随行員に選ばれ、渡欧を決意。産業発展めざましいフランスの地で、株式会社や銀行の仕組みを知り、官と民が平等の社会に影響を受ける。「大政奉還」の知らせを受けた栄一たちは、急遽帰国の途へ。徳川の時代が終わり、一変した日本の様子に栄一は驚きを隠せずー。話題の大河ドラマ「青天を衝け」第22回〜第31回の内容を収載した、完全小説版第3弾。
官尊民卑の世の中を変えるため、目指せ、攘夷の志士!ところがー従兄の渋沢喜作らとともに、尊王攘夷に傾倒していく渋沢栄一。江戸に出入りして同志を集め、ある暴挙を企てるが、実行直前にして断念することに。一転、幕府から追われる立場となった栄一は、喜作とともに京へ逃げる。そんな彼らに助け船を出したのが、徳川慶喜の側近・平岡円四郎だった。一橋家に仕えることを決意した栄一の運命が、再び大きく動き始める。話題の大河ドラマ「青天を衝け」第11回〜第21回の内容を収載した、完全小説版第2弾。
虐げられる身分のままでは終われない。俺は、武士になる!武蔵国血洗島村(現・埼玉県深谷市)の藍玉作りと養蚕を営む富農の家に生まれた主人公・渋沢栄一は、頭の回転は早いが、大人や権力に物おじしない“やんちゃ坊主”に育つ。商才に長けた父の背中に学び、商売のおもしろさに目覚めていく栄一だったが、17歳の頃、人生を変える最初の事件が起こるー。幕末から明治へ、時代に翻弄され挫折を繰り返しながらも、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢栄一の、熱き青春の日々がここに始まる!
作曲家として活躍する古山裕一と、彼を明るく支える妻・音。終戦後、裕一は、自分の曲が人々を戦争へと駆り立てたことを悔い、音楽から距離を置くようになる。やがて家族や仲間とのふれあいを通じて音楽の力を再発見した裕一は、復興に向かう人々の心を勇気づけようと、新しい時代の音楽を奏でていくー。音楽の力を信じ、奏で続ける応援歌(エール)!夫婦の物語、ここに完結!
勝田繁太郎(26歳)は、働く意欲がなく、これといった趣味もなく、恋愛経験もゼロで、ただただ平穏にのんびり過ごす日常を愛する男。人に気を遣うことができず、仕事でミスをくり返してもまったく気にしないマスペースさゆえ、彼の周囲では珍事が尽きず、周囲からは疎まれている。だが、高名な陶芸家として知られる祖父だけは繁太郎の人間性に好感を持ち、彼の陶芸の才能を見出していた。陶芸への興味を引き出し、あとを継がせようと画策する祖父の思惑は果たされるのか。そして、繁太郎が成長する日は訪れるのだろうかー。破天荒な祖父との交流と、26歳にして訪れる初恋。笑って、笑って、少ししんみりして、心温まる。世のおかしみと愛すべき人々を、疾走感あふれる筆致でユーモラスに描く至極の長編大衆小説。