1996年発売
中学生-大人と子供の間羽化を待つ蛹。小説現代推理新人賞作家・釣巻礼公が、今まで誰にも書かれなかった思春期の神秘を描く本格推理長編第一作!名門・岩清水中学の将棋部部室で副部長の小雪が殺された。死体の両耳は無惨にも切りとられていた。小雪が残した詰め将棋に隠されたメッセージを手掛かりに、ノホホン少女・九十九桂が事件に挑む。しかし、またしても女子部員が第二の犠牲者に。今度は舌を切りとられて…。彼女には『援助交際』の噂があった。やがて、犯人の魔の手は桂にも襲いかかる。大人と子供の間の『蛹』の季節を生きる中学生。成長、いじめ、自殺そして援助交際といった、様々な問題に不安と戸惑いを感じながらも彼等は「負けるもんか」と事件に立ち向かう。
謎の長編ミステリの著者を捜せ!同人誌に掲載された長編推理小説『ネメシスの哄笑』を巡って次々と起こる奇怪な殺人事件!推理小説同人誌「オフショット」の会誌に載っていた長編ミステリ『ネメシスの哄笑』は、近年まれに見る大傑作であった。ぜひ出版したいのだが、残念ながら前半がない。ミステリ編集者である私は、著者に連絡をとろうとするが次第に不可思議な連続殺人事件に巻きこまれていく…メタ・ミステリの鬼才・小森健太朗が、奔放なストーリーテリングで読者を夢幻の世界に誘う、書下し超本格推理。
弁護士資格を取得してわずか三カ月の青年に勝ち目はあるのか?難癖をつけて、法の名の下に骨髄移植への保険金支払いを拒否しつづける巨大企業。企業の論理に個人は敗北しなければならないのか。法は弱い者の味方では…企業側の強力弁護団を相手に無謀な戦いを挑む新人弁護士の勇気ある行動を通して法社会の現実に迫る。
天保十年。尾張藩江戸下屋敷で催された正月の祝いで余興を演じた角兵衛獅子、みつと文吉。二人は屋敷の庭に、一つの“宿場町”が造られているのを見た。十年後、質屋に奉公する文吉は、主人の供で行った小田原宿で、たかと名を改めたみつに再会する。二人はそこで、江戸で見た“宿場町”とそっくりな“虎屋”を発見する。たかの正体は“悪女”。箱根山中に埋められているという百万両の黄金を狙っていて、その鍵が“虎屋”にあるという…。
みずから望んで“ホームレスの猫”になったものの、この暮らしは容易でない。やはり、プライドを失わずに人間と共生する道を探そうか。理想の飼い主を求めて…。実話をもとにした、ユーモラスでほろ苦いお話。
愛なんて、くつ下みたいなものだわ。ずっとペアだと思っていたのに、ある日突然、片っぽだけになっちゃうんだから…。ショッピング、スポーツ・クラブ、テレフォン・セックス、ニュー・エイジ、不倫、ロックン・ロール、バイ・セクシャル、ヴェジタリアン…。恋にお悩みの人はもちろん、お悩みでない人にも贈る、最高に元気が出る90年代の恋愛小説。
女薬剤師ヘラはハイデルベルクの産婦人科病院に入院中。病院の夜は長く、退屈だ。二人部屋の隣のベッドにいるのは、初老のローゼマリー・ヒルテ。暇つぶしに、ヘラは夜ごと彼女に自分の過去の秘密を打ち明けはじめる。相手の病状は芳しくなさそうだし、どうせ先は長くないはず。だが、ローゼマリーは恐ろしい聞き手だった…。
シリコンバレーの大企業でロボット開発に携わるジャージーは、ひょんなことからサイバースペースで一匹の蟻を目撃した。どうやら会社が研究中の人工生命プログラムが、彼のマシンに迷いこんだらしい。だが自力で進化し増殖するこの蟻が、試作品のロボットを乗っ取って世界を覆う光ファイバー網に侵入してしまったために、思いもよらぬ騒動が…!高度な機械知性の誕生をポップな感覚で描き出す近未来コンピュータSF。
エディンバラの新聞社に勤務するはみだし者の記者キャメロンは、特ダネを告げる謎の男の電話に振りまわされていた。折りしも、悪辣な権力者たちが次々と惨殺される事件が発生。被害者は、キャメロンが記事で悪行を非難した人物ばかりだった。彼は殺人の容疑で逮捕され、やがて驚くべき真相が…全英ベストセラー第一位を記録した噂の作家の鮮烈なミステリ。
1962年10月、キューバをめぐる米ソ反応兵器の応酬によって、これまでの国際体制は崩壊した。日本政府は、多角的な視点で新たな世界における長期的な安全保障策を研究する会合を組織し、日常生活を維持しつつ大戦後を生き延びる方策として、最終的に目指すべき場所は地球の外にしかないとの結論を得る。北崎重工から宇宙開発事業団へと転出した黒木正一は、人生最後の熱情をかけて、南太平洋上に建設中の宇宙港・JSP-03の完成に邁進していた。しかし闇部では旧合衆国テロ集団の恐るべき策謀が渦巻いていた。