1999年発売
望月祐太郎は超貧乏・倒産寸前の特撮プロの二代目若社長兼キグルミ役者。転職したいと切望しつつ奮闘の毎日だ。そんな祐太郎の前に現れたのが、バイト志望の南条千春。可愛い・素直・働き者と三拍子そろった千春は、あっという間に撮影所のアイドルに。だけどなぜか祐太郎にだけは態度が違って冷たいし、おまけに千春の身の上には何だか秘密の匂いが…?「お前はいったい誰なんだ!?」甘くせつないラブ・コメディ。
北アルプス西穂高で警察官が連続して転落死した。共に山に関してはベテランだった。その偶然に不審を感じた捜査一課の白鳥刑事は死んだ警察官の山仲間だった白バイ隊の月村を強引に巻き込んで捜査を始めた。目撃者もいない冬山の事件だけに捜査は難航したが、やがてひとりのアルピニストが線上に浮かんだ。だが、男には鉄壁のアリバイが…。本格山岳ミステリー。
白百合銀行の成城支店に赴任してきた鈴木昇は四十二歳。仕事の実績をかわれて渉外担当代理に抜擢されたが、彼は美女には目がない好色漢。仕事のついでに顧客の女性を次々と口説き落とし、手慣れたテクニックと自慢のモノで美女たちを絶頂へと導く。ある日、そんな鈴木の前に、ポスター撮影でアイドルタレントの西宮あかりが現れて…。書下ろしサクセスロマン。
プロ棋士への夢を目前に謎の死を遂げた姉。事件の真相を探るために弘子は姉と同じ道を志し、昇段をかけたリーグ戦に挑むが…。弘子との対局直前に天才小学生・千堂将が会場のトイレで殺される。現場には彼が得意とする戦法を記した棋譜がばらまかれていた。犯人の目的は?二つの事件のつながりは?姉と深い仲にあった男、K・Fとは?混乱する弘子。そして新たな犠牲者が同じ手口で…。
その町には幸と不幸の見えない境界線がひかれている。事業拡大を目論んだ鉄工所主・川谷を襲うウラ目ウラ目の不幸の連続。町のチンピラの和也が乗りこんだのは、終わりのない落ちるばかりのジェットコースター。「損する側のままで終わりたくない!」追いつめられた男たちが出遭い、1本の導火線に火が点いた。
「毀すこと、それがばさら」-六波羅探題を攻め滅ぼした足利高氏(尊氏)と、政事を自らつかさどる後醍醐帝との暗闘が風雲急を告げる中、「ばさら大名」佐々木道誉は数々の狼藉を働きながら、時代を、そして尊氏の心中を読んでいた。帝が二人立つ混迷の世で、尊氏の天下獲りを支え、しかし決して同心を口にしなかった道誉が、毀そうとしたものとは…。渾身の歴史巨篇。
室町幕府の権力を二分する、足利尊氏・高師直派と尊氏の実弟直義派との抗争は、もはや避けられない情勢となった。両派と南朝を睨みながら、利害を計算し離合集散する武将たち。熾烈極まる骨肉の争いに、将軍尊氏はなぜ佐々木道誉を必要としたのか。そして、道誉は人間尊氏に何を見ていたのか。「ばさら太平記」堂々の完結。
「金と銀」「AとBの話」「友田と松永の話」を収める。天才は金、能才は銀、芸術的素質において金の青野と銀の大川。Aは善の、Bは悪の文学者。また友田と松永は西洋と東洋との対立として描かれ、常に芸術の高みをめざす人間の、内に省みて葛藤、照応する二重性に焦点をあてた作品三篇。
夫の姿をしたこの男は誰!?妻である私にしか分からぬ違和感。いや、夫を別人と確信した男がもう一人。旗本屋敷に仕掛けられた悪意が、倫ならぬ恋に油を注ぐ…。江戸の闇を切裂くサイコサスペンス。
陰謀渦巻く政界の闇、甘美で危険な恋…。在原業平を主人公に、伴善男、藤原良房、天皇家の人々、小野小町ら多彩な登場人物が、読者を王朝絵巻の世界へひき込む。今こそ物語ろう、権力者たちの野望にみちた応天門炎上事件の疑惑の闇と、わが生涯の恋の秘めたる絵巻を。業平が仮面を脱いで語る、異色の長編小説。
白衣の聖天使の看護婦、紺色のエリート・スチュワーデス、怜悧なインテリ女医、青い果実のセーラー服、妖艶な墨染の尼僧…etc。清楚な制服の下に隠された豊満な肢体、白いつややかな肌、甘い熟れた匂いを晒され、官能の炎に身を焦がし、悶え喘ぐ女たち。そんな制服美女の奔放な性態を巨匠、新鋭の作家陣が書き下ろした充実の短編全10作。官能的なコスチュームに身を包んだ美女たちの愛欲物語を厳選セレクトした、好評シリーズ魅惑の新展開、堂々登場。
愛憎渦巻く家庭から私を救い出してくれた夫が、いま死につつある。その過程と交錯する、両親との過去。父の自殺。母との決裂。そしていま再び、怒濤のような悲しみのなか、差し伸べられた母の手…。その筆力で米文学界を騒然とさせた、驚異の女子高校生作家による珠玉の物語。
プルースト、ワイルド、ミュシャ…数々の芸術家をも魅了した、大女優サラ・ベルナール。彼女は「神秘の窓」と謳われたひとみと「黄金の声」で、「フェードル」から「椿姫」まであらゆる役をこなし、世紀末からベル・エポックまで長期にわたり、世界的な名声を欲しいままにした。人並みはずれた豪奢な生活、そして恋愛偏歴-スキャンダラスな伝説を身にまとい、不幸なき栄光の道をひたすら走りつづけた彼女の本当の素顔とは?サラの華麗な生涯にサガンの熱い夢を託した、架空の往復書簡による伝記ロマン。
世紀末ウィーンの華、グスタフ・マーラーの妻アルマ「絶対的ニンフ」と言われた彼女は、音楽・文学・建築・美術とあらゆる分野の芸術家たちを魅惑し、彼らの創造力を刺激しつづけた。天才音楽家マーラー、バウハウスの創設者グロピウス、劇作家・詩人のヴェルフェル、画聖クリムト、そして表現主義を代表する画家ココシュカ-彼らはアルマが存在したゆえに、その才能をみごとに開花させる。だが多くの芸術家の愛をほしいままにした彼女が、本当に求めていたものは、何か?フランスの元文化大臣、ジャーナリストのジルーが鮮烈に描く、美神アルマの苦悩と実像。