2004年4月発売
「葬式は人生最後の花道、最後のイベントだ」-そう言って自らの葬式の総合演出・プロデュースに取り組んでいた源田金蔵が急死した。菊島真ら五人の老人ホームの仲間が見守るなか、つつがなく葬式は進行しているかに見えたが、火葬の際に奇妙な事件が発生した。北多摩署の捜査から意外な真実が判明し、大きな衝撃を受ける菊島たち。「老い先はわずかだ。死に花を咲かせよう」と一念発起し、彼らは人生最後の大バクチに出ることを決意するが…。「老い」の概念を根底から覆す、痛快エンターテイメント小説。
新宿で助けた藤村雅子と、金沢高一はホテルで一夜を過ごしてしまう。雅子との一夜は、あまりにも甘美で金沢の心を揺さぶるものであったが、翌朝、手紙も残さずに雅子は消えてしまう。ところがその夜、金沢の妻の愛人が新宿で殺されていた。金沢のアリバイを証明できるのは雅子だけだったー。そして驚くべきことに、同じ頃、雅子の夫も殺されていた!事件を追う棟居刑事は、二人の間に隠された事実に、捜査の糸口を見つけるが…。森村誠一が男と女の間の奇妙な関係を描いた、長編・社会派ミステリ。
内蔵助は裏で軍資金や武器を調達し、吉良新屋敷の見取図を前に周到な準備を重ねる。「吉良への復讐ではない。すべては侍たるおのれの志に殉じるため」。そして極寒の吉良新屋敷に決戦の火蓋は切って落とされた。
大手企業の総務部に勤務する江川一郎は、妹からある日、夫が同僚の女性と不倫を続け、滅多に家に帰らなかったことを告げられる。その夫とは、江川が紹介した同じ会社の後輩社員だった。怒りに捉えられた江川だったが、彼自身もかつては結婚後に複数の女性と関係を持ち、そのひとつが原因で妻は今も大きな障害を背負い続けていた…。(「不自由な心」)人は何のために人を愛するのか?その愛とは?幸福とは?死とは何なのか?透徹した視線で人間存在の根源を凝視め、緊密な文体を駆使してリアルかつ独自の物語世界を構築した、話題の著者のデビュー第二作、会心の作品集。
フルコンタクト空手の最高峰・武林館全日本オープントーナメント、開幕!!室戸武志、芥菊千代、加倉文平、志村礼二、竹智完の五人の獅子たちが、直接対決する瞬間が迫る!会場には、久我重明、羽柴彦六をはじめ、五人の闘いを見守る者が集まり始めていた。まるで、運命に導かれるように…!!不世出の格闘小説家・夢枕獏がさらに新しい領域に挑む、圧倒的傑作、第五弾。
社内でも評判の美女とふたりで、伊豆の高級旅館で迎えた朝。触れ合ったと思った心は-(「手遊び」)。「結婚」の二文字を言い出さない男に、女は迷いの果てに、答を出した(「心火」)。久しぶりのラブホテルで、上気する妻の顔。夫の浮気は気づかれていたのか(「遣り場」)。さまざまな愛のかたちを描いて、女という不可解な謎を解く、情感あふれる、九つの物語。
“南条家の星”サッちゃんが通う名門小学校の修行旅行先は、なんとドイツ!母の麗子はもちろん、その双子の妹・美知をはじめ南条家一同も、なぜかうちそろって同行することにー。今回は、旅先ドイツで起こった怪事件とともに、「なぜ美知は14歳で家出をして、ギャング団のボスになるに至ったのか?!」という“衝撃の過去”が明かされます。
2007年、頻発する暴動により中国は建国以来、初めて国内的危機に直面していた。その影にはアメリカが仕掛けたオペレーションの存在があった。潜在的スーパーパワーの顕現を恐れるアメリカと、反米の狼煙を上げた中国。二大国の激突がカウントダウンに入り、さらにロシア、朝鮮半島が不穏な動きを見せはじめる。激変する世界情勢の中、日本が選択した道はー!驚愕のクライシス・ノヴェル。
御茶ノ水署の迷コンビが恋に事件に大奔走! 御茶ノ水署の迷コンビ、斉木と梢田のもとに、とんでもなく優秀な堅物女刑事が配属された。3人の前に巻き起こる奇妙な事件の数々。人気ユーモアミステリシリーズ第2弾!(解説・池上冬樹)
曹操は長江の北岸に大軍を構えた。これに対し、劉備と孫権の連合軍は南岸に兵を配する。圧倒的な魏軍にも孔明は少しも騒がず、一夜に十万本の箭を作り、さらに季節外れの風を呼んだ。呉の名将周瑜はこれに奮起、曹操の軍に火攻めを敢行。火炎地獄となった赤壁を後に曹操は敗走、許都へと落ちる。激戦相次ぎ、魏、呉、蜀の三国が鼎立することとなった。
人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?怪作『イン・ザ・プール』から二年。トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
「おまえはヒップすぎるぜ、ベイビイ。そうだろ。ただのヒッピーなのさ」パリのジャズシーンで自由を謳歌する学生マレイと黒人ピアニストのバディとのクールにしてビターな出会いと別れを綴る青春/ジャズノヴェル「ヒップすぎるぜ」、「ハイになれば、ペテンやサギ、クソみたいな大ウソのすべてが透けて見える。その内側にある真実が見えるんだ!」-真夏のテキサスを舞台に、少年の“通過儀礼”をみずみずしい筆致でとらえた表題作「レッド・ダート・マリファナ」、JFK暗殺にまつわるグロテスクな妄想を鮮烈に描き、ウィリアム・バロウズをして「これまでに読んだ中で一番笑えた小説」と言わしめたアシッド・サイケ短篇「狂人の血」などの小説作品の他、トム・ウルフ、ハンター・S・トンプソンによる“ニュージャーナリズム”の先駆けとなった異色ルポルタージュ「オル・ミスでバトン・トワリング」、不条理作家と精神分析家が繰り広げるスラップスティック・コント「カフカVSフロイト」等も収録。“20世紀で最もヒップだった男”テリー・サザーンのヴァラエティあふれる唯一の短篇集がついに登場。
故郷への旅の途中で次々と現れる亡霊たち。彼らが呟くのは、半世紀前、朝鮮半島で起きた凄惨な戦争の生々しい姿である。それは南北米中の軍同士の戦いであっただけでなく、村人同士、隣人同士の血で血を洗う殺し合いでもあったーピョンヤン、ニューヨーク、ベルリンで実在の人物に取材し、ソウルの獄中で構想した、衝撃の小説作品。
特異な才能だけが突出した「天才」たちが社会生活に適応するため、船上セミナーに参加する。しかし、海上で彼らを待ち受けていたのは、トンデモナイ事態だった。ハリウッド顔負けのエンターテインメントを放ち続けるトカジの海洋エンターテンメント。
深川の老舗大店・桔梗屋のあるじ太兵衛と賭場の貸元・霊巌寺の猪之吉は偶然に出会う。ひとの目利きに厳しい太兵衛は、猪之吉の人柄を感じ取り、一献お付き合い願いたいと申し出た。大店のあるじと貸元の、肚をわった五分の付き合いが始まった。そんなある日、油問屋・鎌倉屋鉦左衛門による桔梗屋乗っ取りの企みが明らかになる。重い病を患う太兵衛は、桔梗屋の後見を猪之吉に託し、息を引き取る。やがて桔梗屋をめぐり、鎌倉屋の意を受けた乗っ取り屋一味と、猪之吉一党との知力と死力を尽くした闘いが始まるが…。直木賞作家の人情味あふれる時代長篇。
北イングランドに赴いたジャーナリストのアンドルーは、彼を呼び寄せた女性ケイトから思いがけない話を聞かされる。おたがいの祖先は、それぞれに“瞬間移動”を得意演目としていた、二十世紀初頭の天才奇術師。そして、生涯ライバル関係にあった二人の確執は子孫のアンドルーにまで影響を与えているというのだが…!?二人の奇術師がのこした手記によって、衝撃の事実が明らかとなる!世界幻想文学大賞受賞の幻想巨篇。