2005年発売
サラミスの海戦。それは、かの歴史家ヘロドトスが『歴史』に記した、ペルシア戦争のなかでもっとも歴史的な戦いである。この海戦を、細大もらさず写し取ろうと試み、映画を凌駕する3Dの迫力を実現した、ディープな視覚小説とでも呼ぶべき、奇想天外な戦記。
訳者まえがき 第 一 回霊根を孕み源流が出ずること心性を持し大道が生じること 第 二 回妙理を悟り菩提を得たること妖魔を断ち元神に合すること 第 三 回四海も千山も手を拱き伏すこと冥界で十類の名を尽く除くこと 第 四 回弼馬の官など面白からぬこと斉天の名にも満足できぬこと 第 五 回大聖 蟠桃を乱し丹を偸ねること諸神 天宮に反く怪を捉えること 第 六 回観音 会に赴いて原因を問うこと小聖 威を施して大聖を降すこと 第 七 回八卦炉の中より大聖が逃れること五行山の下にて心猿を鎮めること 第 八 回仏陀 経典を造り極楽を伝えること観音 聖旨を奉じ長安に来たること 第 九 回袁守誠 算は妙なるも私心は無きこと老龍王 計は拙にして天条を犯すこと 第 十 回二将軍 宮門にて鬼を鎮ること唐太宗 地府より魂が還ること 訳 注
珍しく棉のような雪が静かに舞い降りる宵闇、一九四三年の満洲で梶と美千子の愛の物語がはじまる。植民地に生きる日本知識人の苦悶、良心と恐怖の葛藤、軍隊での暴力と屈辱、すべての愛と希望を濁流のように押し流す戦争…「魂の底揺れする迫力」と評された戦後文学の記念碑的傑作。
突然の父の事故死、ナンパやパチンコに明け暮れた日々、転職をくり返したサラリーマン時代、そしてついに、ひきこもりへ…。20代の紆余曲折を描いたこの自伝的物語は、目標を持てず、出口の見えない青春を過ごす若者たちへ贈る著者のエールだ。37歳で医師になった著者が、30歳で医学部受験を決意するまでの迷いと挫折の日々が、心に残る七つのメロディーと共に今よみがえる。
迷惑な妄想逆ギレ男が、夫の帰りを正座して待つ壊れた妻が、生き地獄を味わう可憐な美少女が、虐待される寝たきり老人が、自己の中心で愛を叫ぶ!勝手気ままに狼藉の限りを尽くす面々をあなたは愛せるか!エンターテインメントの旗手・新堂冬樹が「ここまで書くか!」とばかりに練り上げた、強烈すぎるキャラクターと刺激的なストーリー。
美人プロテニス選手・中野美代子の死体が伊豆下賀茂で発見された。十津川警部が下賀茂に急行するも、間もなく彼女のコーチ、大会スポンサーの社長が連続して惨殺されてしまう。その死体の傍には下賀茂の名物「メロン最中」がなぜか残されていた。捜査本部が翻弄されるなか、第四の犠牲者が発見され…。犯人の目的は一体何なのか?十津川と怜悧な連続殺人犯との熾烈極まる攻防戦!傑作長編ミステリー。
ラブホテルの一室で殺人事件が起きた。殺人現場で犯人として名乗り出たのは、まだあどけなさの残る女子高生。この事件の捜査にあたった三河刑事のもとに、「事件から手を引け」という脅迫状や爆発物が届けられて(「明日なき十代」)。表題作「明日なき十代」をはじめ、「泳ぐひと」「たそがれの維納」「愛情の瞬間」と、懐しの名画からタイトルを借りた珠玉の短編ミステリー四作を収録。
わんぱく少年トムは、宿なしっ子ハックを相棒に、騒動を巻き起こす。海賊気どりの家出、真夜中の殺人の目撃、洞窟で宝探し、そして恋。子供の夢と冒険をユーモアとスリルいっぱいに描く、少年文学の金字塔。