2013年11月発売
すべては、竹取翁の仕掛けた罠ー?かの有名な竹から産まれたという逸話も、五人の公達に課された尋常ならざる貢物も…。そして、翁の術中にはまり、禁裏を抜け出し、竹取館へ向かった帝は一体、何を見たのか。帝と月の天人との、かぐや姫をめぐる戦いの真実。秘匿されていた真の「竹取物語」。千年の時を経て、物語の祖が今、蘇る。
幕府の御目見医になるために長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の医長“赤髯”こと新出去定に呼び出され、見習医としての勤務を命じられる。強引な赤髯に反発し、療養施設での医療に戸惑う登だったが、一見乱暴な言動の裏に秘められた赤髯の信念を知り、貧しい人々と触れ合ううちに、しだいに真実を見る眼を開かれていく…。黒澤明監督による映画化でも知られる、医療小説の最高峰。底抜けに明るく、どこまでも善良なおしずを描く『おたふく物語』を併録。“脚注”で、さらに深まる物語の味わい。付録・主要登場人物一覧、地図。
世界各地で、スペースコロニー建設のための礎となる完全環境都市や、防衛の要である宇宙基地が急ピッチで建造されるなか、教育コロニー・アルケミスに設置された士官学校でも、有坂恵一をはじめとする教官の指導のもと、練習生が厳しい訓練を続けていた。ドローンを相手にした各個人の機動戦闘艇訓練、練習生総当たり戦、教場単位の集団戦闘訓練…そんなさなか、“教導者”は突然、訓練を前倒しにすると発表するが!?
人と交わらず孤独に暮らしていた老人が、ある日最高権力者である将軍に呼び出されて戸惑う様子を淡々と描いた「最後の言葉」。メキシコの田舎町を休暇で訪れた男が、偶然手に入れた大金を社会のために使おうと考えたことによって思いがけない事態を招く「宝くじ」-本邦初紹介となる未完の表題作をはじめとする、十六短篇を収録。移りゆく世界と人々の心情に向けられたイギリスの巨匠の冷静な視線を味わえる傑作短篇集。
ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札をーアメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。
シュウォーツとの猛特訓の結果、第三学年のシーズンが始まるころには、ヘンリーはウェスティッシュ大学はじめてのメジャーリーグのドラフト候補になっていた。打撃の腕をメキメキと上げ、守備でも、憧れのアパリシオ・ロドリゲスのもつ連続無失策の全米大学記録にあと一試合まで迫っていた。しかし肝心の試合で、なんでもないショートゴロを捕まえたその後の送球が、彼の周囲の人々-シュウォーツ、オーエン、アフェンライト学長、ペラーの人生を一変させる。もちろん、ヘンリー自身の未来をさえ…。『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー!今世紀最高のデビュー作。
迫りくる暗雲を打ち払え!“異形”の脅威から人びとを守るためジョン・スノウは黒の城で一人奮闘するが…絢爛たる戦闘絵巻、第5部堂々完結。ローカス賞ファンタジイ部門受賞の異世界戦史。
16歳のときギリシア・ケファリニア島のユダヤ人社会を飛び出した美貌の少年ソラル。たぐいまれなる美しさと野心を合わせ持つ少年は、「運命の女性」オード・ドゥ・モサヌと結ばれ、25歳の若さでフランスの労働大臣まで登り詰める。しかし自ら捨てたはずの出自と、西欧社会の間で苦悩し絶望に陥った彼は、やがて破滅への道を歩み始めるー。圧倒的に饒舌な語りと狂奔する熱情がからみあう傑作長編。アカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞した名作『選ばれた女』へとつながる物語。
最弱ゴブリンとして異世界に転生し、喰えば喰うほど強くなる“吸喰能力”で、強大な使徒鬼・絶滅種にまで進化した俺ことアポ朗。以前旅の途中で知り合ったシュテルンベルト王国のお転婆姫に実力を見込まれた俺達は、反乱を企てる“貴族派”に対する切り札として雇われる事になった。迷宮でのボス狩りや、謎の女武者との決闘で更なる力を蓄えてその時を待つ中、遂に“貴族派”が決起する。奴等の最高戦力は“神”に選ばれし勇者とあって、相手にとって不足なし!冒険者の命を呑み込み続ける奥深き迷宮、異常な熱狂に包まれた闘技場、そして血で血を洗うクーデター…新たな戦場を踏み越え、新たな敵を喰らい、どこまでも成り上がってやる!
召喚された異世界オールフェイルで、人間と魔族が共存するヒノモト国を創建したシンイチは、各国に現代地球の知識を伝え、平和な世界を実現しようとしていた。一方、人間と魔族の融和に不満を抱いた七人の天使達ー世界の管理者を自称し、人々から崇められる存在ーは、シンイチを抹殺し、再び世界に混乱をもたらそうと画策する。彼らは道具袋の力を無効化できる武器を生み出すと、絶望の淵にいる人々を巧みにそそのかし、「天使の使徒」に仕立て上げ、シンイチの殺害を命じていく。「魔族千体殺し」の異名を持つ冒険者までが使徒となり襲ってきたことで、道具袋を封じられた最弱勇者は窮地に追い込まれるー!
「アカイツタ」美大を卒業したものの、画家になることもなくくすぶっていた萩原は、美術評論家の真壁教授の紹介で、女子校の臨時教員として勤めることになる。美術準備室で見つけた、暗い目でこちらを見つめる少女の絵。自画像だと思ったそれは、謎の死を遂げた鈴木という女生徒が、真壁教授の娘・小波を描いたものだった。やがて萩原は小波に惹かれていくが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。「イヌガン」大手家電メーカーに勤める耀は、年上の彼女、澪と一緒に暮らして3年になる。掴みどころのない澪だったが、その穏やかな日々に満足していた。しかし、澪がときおり漏らす本音と怪しい行動に、耀は少しずつ不安を抱いていく。ある日、澪を尾行した耀は、思いがけない場面を目撃することになる…。過去を背負った哀しき女と、彼女に囚われていく男たち。2つの物語がつながったとき、隠された真実が明らかになる。あふれ出す情感を描き切った、心ゆさぶる墜落と再生の物語。
東京の府中刑務所から、一週間後に刑期満了で出所する筈だった受刑者・鹿島源太が脱走した。模範囚である彼は、刑務所長を殴り倒し、実弾の入った拳銃を奪い、行方をくらました。十津川警部は、東京駅から新幹線で郷里の博多に向かったのではないかと推察し、逃走経路を追い始める。そんな折、かつて鹿島と親交のあった情報屋・田所文雄が殺されているのが発見された。鹿島の逃走と関係があるのか…?脱走した理由を追い求めて、十津川は鹿島が逮捕されるにいたった7年前の事件を調べ直してみると、原発用地買収問題にぶちあたり…。高原鉄道を舞台に、愛と哀しみの幕があがる!!
激化する南校VS北校抗争。東校のトップ・西源重郎の手助けもあり、抗争もついに終幕かと思われた、がー。この騒ぎに紛れてミホを消そうとする、とんでもない奴が潜んでいて!!??命を狙われる危険の中で、失っていた幼い頃の記憶を取り戻したミホ。大好きだった母親の最期を思い出したその矢先、再び悲劇がー。魔法のiらんど大賞最優秀賞。読者人気ぶっちぎり第1位。ラブと感動2000%のスーパーハイテンションラブ。
本書は世界中から愛されている名作『星の王子さま』の中から大切な人に心をこめて贈りたい素敵な言葉を選びました。扉にはメッセージを書き込める、カードがついています。心にいる大切な人へ。いつまでも輝きつづける言葉の宝石。
設楽ヶ原の戦で織田・徳川連合軍を破った武田勝頼は、得意の絶頂にいた。やがてその慢心から、信玄の代より武田家に仕える宿老を疎んじ、軍師の真田昌幸に長篠城を与えて、甲府から遠ざけてしまう。勝頼を見限った昌幸は独立を決意し、手始めに野田城、足助城、二俣城を支配下に置いた。さらに、武田四天王の一人である山県昌景を筆頭に、昌幸のもとには多くの人材が集まり始める。一方、天才軍師の昌幸を失った武田家に、暗雲が立ち篭める。織田、徳川の逆襲が始まったのだ。織田軍は小里城、明智城、岩村城、吉岡城を次々と落とし、信濃を侵して飯田城に迫る。一方、徳川軍は吉田城、掛川城、諏訪原城を奪取した。その隙を狙って、上杉謙信は越前侵攻を狙うのだが…。
「その赤子を今すぐ殺せ」実母の久子が放った言葉。信長は、我が身が生まれ落ちた刹那の記憶を持っていた。親にも懐かない子供らしいところのない少年として育った吉法師ー信長。弟・信行を溺愛する久子。父・信秀亡き後、織田家を巡る母・兄・弟の争いは静かに深まっていくーなぜ信長は非情になったのか。母との知られざる関係に着目した傑作。