2020年9月発売
ホラー作家の「僕」に、デザイナーの松尾は昔ある四阿で出会った奇妙な一家の話を語る。山小屋での恐怖体験、障子に映る異常な影絵、宿直中の学校での異変。一家が怪異譚を語るたび、近隣で不可解な事件が起き……。
子供の頃から勧善懲悪の物語に憧れていた青年は、不慮の事故で命を落とし異世界の少年クロノ・マクに転生した。この異世界には魔力や魔法があり、鍛え方次第ではどこまででも強くなれることを知ったクロノはかつて夢見た正義と悪の物語を自分の手で再現するため、あえて最強の魔王を目指すことに。だがようやく見つけ出した勇者の卵ハクトと王国の姫セレスティアはまだ幼く未熟だった。クロノはいつか彼らと熱い戦いを繰り広げて倒されるため、二人の成長を影から見守りつつ、自分以外の「誇り無き悪」の排除を決意するのだがー!?やられ役を目指す最強魔王の物語が今始まる!
理不尽な理由で殺された俺は、なんと異世界に転生。アストレア王国第七王子、デュラン=アストレアに生まれ変わっていた!王子なら人生バラ色と思ったのも束の間、鏡の中に見苦しい「白ブタちゃん」を発見してこれが自分かと愕然…。でもここでへこたれる俺じゃねぇ!バラ色の人生のためまずはダイエット!努力を重ねて容姿端麗、眉目秀麗、垢ぬけたイケメンに大変身!!さらに、駆け出しのデザイナーだった前世の知識を活かしてファッションブームを起こし大注目。そんな俺に、国の中心人物である優秀な兄王子達、そして国中の憧れの人“百人斬りの英雄”フレイムが「兄弟以上」「友達以上」の愛を捧げてきてー?
ねえ君、わたしは生きていく。このクソみたいで美しい世界を。 魂を揺るがす、少女たちのレジスタンス。 創作が芥川賞候補になったわたしは、意外な人物からの電話を受ける。17歳のとき入院した精神科で、患者たちのボスを気取っていた「安城さん」だ。8年ぶりに再会した彼女は、別人のように痩せこけ点滴に繋がれながらも、変わらず悪態をつき、わたしの封印した記憶を甦らせていく。精神病棟で出会った仲間たちとの日々、救えなかった親友、そして子供時代の傷ーー。長い沈黙を越えて、わたしは真実を語り始める。 デビュー作『ジニのパズル』で群像新人文学賞、織田作之助賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した注目の新鋭が、傷ついた魂の再生を描く圧倒的感動作。第33回三島由紀夫賞候補作。
彼女のもとに1通の招待状が届いた。書かれていたのはー“参加費50万円”“幸せで安全な出産と、愛する我が子の輝かしい未来を獲得する未曾有のチャンスを進呈”“デリバリールームへの入室が必須”尋常ではない申し出に困惑しつつも、宮子はこの招待を受けることにする。それぞれの事情を抱えた妊婦5人がそこに集った。一体何が始まるのか?そして誰に安産の女神は微笑むのか!?
第66回江戸川乱歩賞受賞作! 綾辻行人氏(選考委員)、推薦。 「序盤の地味な謎が、物語の進行とともに厚み・深みを増しながら読み手を引き込んでいく」 元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。 途方に暮れていると、当の娘が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいる、というのだ。その老人は、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。 これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。 刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていくーー。 残された時間で、自分に何ができるのか。 「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 序章 宣告 第一章 身元不明者 第二章 行動監視者 第三章 犯罪当事者 終章 残された時間
ある事件のため、署内で最も無気力になったと言われている、北杉並警察署生活安全課の片山修也巡査部長32歳。その片山に時期はずれの辞令が下った。新たな配属先は、かつて聞いたことのない、警視庁総務部第八別室。訝しみつつ、早速第八別室へ顔を出した片山の目に入ってきたのは、想像を絶する人物だった。7、8歳の女子小学生にしか見えない超絶美しい八代ヒメ。あまりの驚愕に自己紹介をし損ねた片山は、早くも、警視正という信じがたい階級のヒメに連れ出される。しかも、現場に向かう車両はただのパトカーではなく、超高級スポーツカー・ホンダNSXだ。ほどなくふたりは現場に到着。ヒメに命じられた片山は、トランクに収納されている大きな楽器ケースを引っ張り出した。その直後、片山は信じられないものを見るー。バイオレンス&コミカル少し泣ける警察小説!
母のお葉とともに暮らす又兵衛は、寺の下働きをしていたが、生来、吃音が激しく、ままならぬ日常を送っていた。そんなある日、寺の襖絵を描きに来た絵師・土佐光吉と出会い、絵を描く喜びを知る。 その後、自分の出自を知らぬ又兵衛は何者かに追われ京に移るが、新たに狩野派で学ぶ機会を得て、兄弟子でもあり師ともいえる狩野内膳と出会い、更なる絵の研鑽を積む。しかしある日、何者かに母を殺される。 その後もなんとか絵の道で生きていた又兵衛だったが、じつは自分の父は荒木村重であること、母だと思っていたお葉はもともと乳母で、しかも彼女を殺した首謀者が村重だったことを知る。 母を想い、父を恨み、人と関わることも不得手な又兵衛にあるのは、絵だけだったーー。 最近の学説では「浮世絵の祖」といわれ、また「奇想の絵師」のひとりとして江戸絵画で注目の絵師を正面から描く、力作長編。
ある日、祖父はペンギンになった。 そして僕は今、取調室にいるーー。 独特の空気感のある作品。 私には絶対に書けないタッチで人物が描写され、嫉妬すら覚える。 作家・赤松利市 説明し過ぎない文章にある想像の余地。残る余韻。 何か気になる……。 彫刻家・吉村浩美 闇が深すぎて底が見えない。 心の痛覚を刺激される衝撃のサスペンスです! 文芸編集部編集長 ある日起きると、祖父がフンボルトペンギンになっていた。この異常事態をなぜかすんなり受け入れた柊也は、ペンギンを祖父として世話をすることにする。身寄りはなく、その上引きこもりの柊也。誰にも相談できないまま、一人と一匹の閉じられた世界は平穏に続いて行くかに思われた。しかし、一人の少女との出会いをきっかけに、柊也の日々に亀裂が入り始めて……。 第三回大藪春彦新人賞受賞者長篇デビュー作
澁澤龍彦生前に企画されながらも実現を見ずに終った幻の選集が、半世紀の歳月を経てついに刊行。 最終第4巻は高野聖、天守物語、通夜物語、活人形、式部小路、化鳥、処方秘箋、山僧、絵本の春、祝杯、全10篇を収める。三島由紀夫と澁澤の伝説の対談「鏡花の魅力」も収録。全巻ついに完結。 高野聖 化鳥 通夜物語 活人形 処方秘箋 式部小路 山僧 天守物語 絵本の春 祝杯 鏡花の魅力(三島由紀夫×澁澤龍彦) 解説 山尾悠子
高校生の「わたし」は親友の「彼女」と監視カメラだらけの街を歩き、携帯端末の小さなレンズをかざして世界を切り取る。かつて「わたし」の母や、祖母や、曾祖母たちがしてきたのと同じように。その昔から、レンズがうつした世界の一部は、あるときには教育や娯楽のために、またあるときには兵器として戦争や弾圧のために用いられてきたー。
社畜・大野タダシは、転生の最中、これまで誰も選ばなかった農業の加護を選んだことで神に感激され、前代未聞の手厚い加護を受ける。そして異世界で夢のスローライフを営むーーはずが、そこは土地が荒れ、瘴気ただよう辺獄《へんごく》と呼ばれる巨大な半島!?タダシは苦戦しながらも、持ち前の真面目な性格と神からの加護でグングンと農業の規模を大きくしていく。さらにはタダシの作る物資を求め、迫害されたエルフの元女王、獣人の女勇者、ドワーフの名工も集まってきてーー。農業・建国・スローライフ!ほのぼの異世界農業ファンタジー!
父である国王が病に倒れ、10年ぶりに祖国に戻ってきた第一王子の俺が王都に到着すると、そこには目を疑う光景が広がっていた。大通りに人はおらず、商店では閑古鳥が鳴き、田畑は荒れ果てて、完全に廃れている。調べた結果、どうやら貴族たちが反乱を起こしたらしい。このままでは俺の代で国が滅んでしまう…せっかく贅沢三昧できる地位があるというのに!絶対に俺がこの国を立て直してやる!まずは、優秀な人材をかき集める。それがたとえ魔王でも…。歴代最高の王子?王国の救世主?俺はただ、自分のために金を稼いでいるだけなのだがー。「小説家になろう」発、大人気王国再建ファンタジー!
闇組織に支配されていたルナを解放したレダは、辺境の町でミナとルナと平穏な家族生活を送る。町の住民たちとも打ち解け、順風満帆と思いきや、レダが所属していた元パーティーのリーダー・ジールが野盗落ちしたとの噂が耳に入ってくる。ジールはレダが幸せな生活を送っていることを知り、その生活を滅茶苦茶にしようと動き出していた。小説家になろう発!娘たちの天使さマシマシのハートフルファンタジー第二弾!
キュネイとミカゲを恋人したユキナは二級傭兵になることを目標に鍛錬と実績を重ねていた。幸せなユキナだったが、以前助けた赤髪の少女(アイナ)のことが忘れられなかった… そんな中、朝の街を歩いているとユキナは偶然にもその赤髪の少女(アイナ)を再び助けることに。二人はまた出会い、楽しい時間を過ごしていた。しかし別れの時は訪れるーー。 小説家になろう発!己の欲望に忠実に生きる青年の冒険譚第3弾!!
「俺たち、結婚しました」 錬金術師アレクサントは、看板娘アインスの「死の呪い」を解くためにエルフの聖域へと向かうが、ある掟により入ることができない。そこで彼が取った手段は『偽装結婚』だったーー。「まさか、六人と同時に結婚することになるなんてな……」 アインスの誘拐、温泉宿でのトラブル、恐ろしいエルフの最長老……様々な障害を乗り越え、アレクサントはアトリエの平穏を、仲間たちを守ることが出来るのか! 「小説家になろう」発、ハプニング満載のアトリエライフ第三弾。
田舎育ちのラウルは、とくに目立つところのない普通の魔法使い見習いだった。しかし、生まれ持った「精霊の目」のスキルで光の精霊レリアと契約したことで、帝国の歴史上でも有数の特別な存在となった。精霊は契約することで、初めて人間の目に触れることが出来る。レリアの存在自体が、とても珍しいことなのだ。そのため、帝国最高の研究機関でもある帝立学院への入学も認められ、特別待遇まで与えられている。そんなラウルだが、性格的に出世願望もなく、のんびりした学院生活を送っていた。人間の暮らしに興味津々なレリアと暮らすだけでも、充分に刺激的で、楽しい毎日だ。それにレリアといると、ある不思議な現象が起こる彼女と過ごしたり、エッチなことをするたびに、ラウルの魔力量が規格外なほど伸びていくのだ。そのことを調べたいという女教師フラヴィや、学院最優等生の美少女ベルナデットの接触もあって、ラウルの周辺は賑やかになっていく。とくに、侯爵家の令嬢でもあるベルナデットはラウルに執着しているようで、ことあるごとに接近してくることになり…。
不吉な色の瞳を忌まれていた皇女アディーヤは、停戦条約の一環で亡き母の故国ヴァジレウスの皇帝リュークヴェルトに嫁ぐ。暴虐帝との噂に反して彼は有能で優しい美丈夫だった。「頭で理解できなくても身体はわかってる。こんなにしっくりとなじんで…」夫に溺愛され、人生で初めての幸せを知る彼女だったが、二人の命を狙う幾つもの陰謀に襲われて…!?