2021年発売
第二次世界大戦後のルーマニアの政情を背景に,現実世界と神話的世界の交錯のうちにカフカ的状況がかもし出される。宗教学者・文学者エリアーデの代表的幻想小説。
大切なことは、いつも同じ。 仕事、愛、そして遊び── “ムーミン”の原作者であり、画家、イラストレーター、小説家…と多才に活躍した芸術家、トーベ・ヤンソンの決定版評伝が新訳で刊行。 本人とも親交のあった研究者が日記や手紙、草稿など膨大な資料から、その生涯を鮮やかに描き出す。 「私たちのトーベは、きっと偉大な芸術家になると思うんだ。とてつもなく偉大な!」 フィンランドで内戦が勃発していた頃、若き兵士ヴィクトル・ヤンソンは、前線から愛する妻シグネに宛てた手紙にこう記した。 父ヴィクトルの言葉どおり、トーベ・ヤンソンはやがて画家、イラストレーター、漫画家、小説家、そして「ムーミン」を生み出した偉大な芸術家として世界中にその名を知られることになっていく。 10代でイラストレーター、画家としてアーティストのキャリアをスタートさせたトーベは、戦禍の中で青春時代を過ごしている。最初はスノークという名だったムーミンは、そんな状況下で理不尽に対する怒りや自由への希望、表現への夢など、さまざまな想いの中から生まれてきた生きものだった。 「ムーミン」が世界的な人気を獲得したのち、トーベは「ムーミン」とその他の芸術活動のバランスに悩まされるようになる。 義務や責任、人々の期待と自身の想いとのあいだの駆け引きは、次第に苦痛を伴うようになり、その割り切れない気持ちは、生涯トーベを悩ますことになった。 「仕事と愛」はトーベの人生を表す最も重要な言葉だった。 トーベは人生の始まりから終わりまで働き続けた。 そして、最初に描いた絵から最後の本まで、トーベは生涯にわたって新しい芸術表現を追求したのだ。 トーベ・ヤンソン本人から私的な記録を自由に閲覧することを許された唯一の研究者である著者が、その膨大な資料(家族や友人への手紙をはじめ、覚書、草稿、物語、プレゼンテーション用の資料、分類表、キャラクター設定、スケッチ、ドローイング、さまざまなプロジェクトの計画、写真、日記、切り抜き、記事、パンフレット、カタログなど)を丹念に読み解き、トーベ・ヤンソンの豊かでダイナミックな人生を色鮮やかに描く。 家族や自然を愛し、自由を求め続けた芸術家トーベ・ヤンソンの生き様に迫った評伝の決定版。 1章 私は働く 2章 家族 3章 芸術家の卵 4章 旅する画家 5章 男たちの戦い 6章 ムーミンの物語と記念碑的絵画 7章 黙示録の時代 8章 ムーミンへの情熱 9章 トロールと人間と 10章 果敢な1950年代 11章 トロール、凍てつく世界に踏み出す 12章 表現への渇望 13章 島と恋に落ちた女 14章 石と物語 15章 谷を夢見て 16章 トーベとの旅 17章 言葉の時代 謝辞 訳者あとがき トーベ・ヤンソン 略年譜 図版クレジット
<b>「1935年に『鄭芝溶詩集』が出版された時、 朝鮮の詩は大きな転機を迎えた。 近代と現代を敢えて分けるなら、 ここから現代詩の時代に入ったと言っていいだろう」</b> (訳者解説より) 同志社大学在学中、北原白秋にその才能を称賛された鄭芝溶は、やがて母国の言葉で近代人の感情を繊細に描いた『鄭芝溶詩集』(1935年)で韓国詩壇を熱狂させ、尹東柱など多くの人々に影響を与えた。 代表作以外に、留学時代の思い出を綴ったエッセイも収録した詩選集。 『鄭芝溶詩集』( 詩文学社、1935)より 『白鹿潭』( 文章社、1941)より 未収録詩篇 韓国語エッセイ 日本語作品 散文詩 エッセイ 訳者解説 鄭芝溶年譜
陸上男子100m競技で日本人初の9秒台達成を目指す大学陸上部員と彼を支えるために彼専用スパイクを開発するサラリーマンたちによる汗と涙の奮闘劇を描いた完全オリジナルストーリー! 人気アイドル多数出演で2021年に舞台化決定!
日本と世界の狭間で生まれた中篇2本。 「鴨川ランナー」……外国から京都に仕事に来た青年の日常や、周囲の扱い方に対する違和感、その中で生きる不安や葛藤などを、「きみ」という二人称を用いた独特の文章で内省的に描く。京都文学賞受賞作。 「異言」……福井の英会話教室を突如やめる羽目になった主人公は、ある日同僚の紹介で結婚式の牧師役のバイトを紹介されるが……。
一族のクリスマスパーティーの準備のため、和典は母方の伯父の別荘がある、神戸の須磨にやってきた。駅で出会った女性が隣家の住人であり、和典が愛読していたブログの作者の妻だと知る。そのブログの更新が昨年の秋から更新が途絶えていたことを疑問に思っていたのだが、彼女の夫はその日、十三夜の月が出ていた晩に失踪したという。彼女と同居している往年の人気漫画家の伯母が事件の鍵を握っているのではないかと考え、接触を試みるが……。
「BUTTER」著者渾身の女子大河小説 大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、渡辺ゆりにプロポーズした。 彼女からの受諾の条件は、シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、という前代未聞のものだったーー。
小さい頃から、殴って、殴られるのが普通だった。誰も本当のことを教えてくれなかった。なぜ自分だけが、こんな目にあうんだろうー上京して芸人となった石山の前に現れる、過去の全て。ここにいるのは、出会いと決断があったから。著者渾身の初小説。
3.11直前に教え子をいじめ自殺に追いやってしまったかもしれない元教師の妙と、沖縄新基地建設反対デモの警備中にデモ参加者を不慮の事故で死なせてしまったかもしれない便利屋の忍。過去の出来事に苛まれるふたりは、「感染者第一号」を誰もが恐れる地で出会った。人が人を傷つけ、傷つけられる世界で、「東京からの移住者」が遂げた謎の死をめぐり、ふたりの運命は動き出すー。哀しみと、苛烈な祈りの物語。
英雄ガガーリンの母が“地球の心臓部”に突き進む「空のかなたの坊や」、厳格な校長だった母の思い出を抒情豊かに綴る「バックベルトの付いたコート」、ロシアの大都市を麻痺させたコンピュータ・ウィルスをめぐる数奇な物語「聖夜のサイバーパンク、あるいは『クリスマスの夜ー117.DIR』」、“ロシア文学史上もっとも汚い言葉で書かれた小説”と称される型破りな「ロザンナ」、孤独な女教師の追憶を流れるような文体で活写する「霧の中から月が出た」、ある知識人が罰として引き取ることになった“レーニン”が大暴れする「馬鹿と暮らして」、モスクワのバラックを舞台に悪臭と官能が入り混じる「赤いキャビアのサンドイッチ」、謎の作家が体験する鏡の中の世界を描く「トロヤの空の眺め」など、すべてがユニークかつオリジナルな12の物語。現代ロシアの多様な魅力を映しだすいまだかつてない「沼」アンソロジー。
誰かを怖がらせてほしい。戦慄させ、息の根を止めてほしい。そんな願いを考えてくれる不思議な存在ーー。「怖ガラセ屋サン」が、あの手この手で、恐怖をナメたヤツらを闇に引きずりこむ! 怪談は作りものだと笑う人、不安や恐怖に付け込む人、いじめを隠す子供、自分には恐ろしいことは起こらないと思い込んでいる人……。 こんなヤツらに、一瞬の恐怖なんて生ぬるい! 気づいたときは、あとの祭り。 ”怖がらなかったこと”を、後悔させてあげるーー。 一話ごとに「まさか!」の戦慄が走る、連作短編集。
俺たちは大事な約束を忘れていたよな。刑罰では拭いきれない加害者への憎しみ。二人きりの兄弟が選んだのは“仇討ち”だったー。鮮烈、圧巻、陶酔のハードボイルド。円熟の筆致で描き出す「男の美学」。表題作含む二編収録!!
「法律を知らないと不幸になる」と医師の側に立ち、法律問題や医療過誤訴訟を闘っている異能の弁護士・雨守誠に、ある日総合病院から依頼が入った。急死した2歳児の両親に医療過誤で訴えられそうで、病院と医師を弁護してほしいというのだ。救えなかったら医師が悪いのか?-自身の信念に基づき、雨守は医療現場の矛盾や不条理に斬り込んでいく。弁護士の執念を描き切る法廷サスペンス。
大事な旦那様の危機を前にして、祖先の竜が登場! その姿は自分と同じちんちくりん子竜で、子孫に対しとっても過保護。王家を取り巻く陰謀も甘々新婚生活も、竜のきまぐれのせいで大波乱が巻き起こる!? 大人気の年の差ラブストーリー、待望の第三巻!
各紙誌絶賛、即重版! 「本の雑誌」2021時代小説ベスト10選出! 「とにかく楽しめた。まさに手に汗握る、幕府を舞台とする大活劇である」本郷和人(東京大学史料編纂室教授) 「読むと驚く。本当に「真」だ。あっと驚く新解釈まで、一気読みである」北上次郎(評論家) 「破格の面白さ。よく知られた題材が真保によってまったく違った物語として生まれ変わった」杉江松恋(書評家) 「凄まじい謀略戦を活写。最後までスリリングな展開が楽しめる」末国善巳(書評家) 「本書は「作家活動30年」を記念するとともに、その新たなスタートを切る力作といえよう」縄田一男(書評家) 徳川の治世。戦世は遠くなり、政は将軍の意をくむ老中たちの掌中。度重なる改易によって主家を失い、幕府に恨みを抱く牢人があふれる江戸市中に一人の兵法者が現れる。名は由比正雪。その恐るべき企みとは。 夥しい血を流して平らげられた世を、命がけで守り抜こうとした男たち、女たち。 由比正雪の乱として知られる「慶安の変」の裏で、何があったのか。綿密な取材と大胆な仮説を元に歴史の脈動をあますところなく描ききった大河歴史小説。作家生活30年記念書き下ろし。 「慶安太平記」 慶安の変(由比正雪の乱)の実録本。のちに講談、歌舞伎の演目に脚色された。圧倒的な存在感を放つ乱の首魁・由比正雪が幕府へのクーデターを企て、天才的な人心掌握術を用いて人集めと金集めを着々と進め、計画を実行に移していく様を描く。異能の登場人物たちの躍動、壮絶なラストシーンが名高い。 〈目次〉 序章 第一章 将軍と弟/大御所の病/保科家相続/暗闘の果て 幕間 第二章 我が世の春/天地の違い/徳川の末 幕間の二 第三章 将軍の死/疑わしき男/変の真実 終章 後記 序章 第一章 将軍と弟/大御所の病/保科家相続/暗闘の果て 幕間 第二章 我が世の春/天地の違い/徳川の末 幕間の二 第三章 将軍の死/疑わしき男/変の真実 終章 後記
小説家とアーティストが出会い、新たな「物語」が生まれるーー 小説家の「歌詞」から生まれた5つの小説と楽曲。 収録作品 <小説> 「みちくさ」彩瀬まる 「南極に咲く花へ」宮内悠介 「透明稼業」最果タヒ 「星野先生の宿題」重松清 「Lunar rainbow」皆川博子 <楽曲> 「光る野原」彩瀬まる×伊藤沙莉×横山裕章 「南極に咲く花へ」宮内悠介×坂本真綾×江口亮 「透明稼業」最果タヒ×崎山蒼志×長谷川白紙 「ステラ2021」重松清×柄本祐×トオミヨウ 「哀歌」皆川博子×吉澤嘉代子×世武裕子 作曲・Project Produce 水野良樹