2024年9月発売
「客は選ばねぇよ。選ぶのは武器だけさ」 山奥に佇む古風な建物。 そこで武器屋を営む店主の老人、元異世界の剣聖で地球に帰還した久我道実に武器を選んでもらえば、人生が変わると噂されている……。 とある事情から暗殺組織を抜け、追われる羽目になった藤堂迅。 不治の病の母を救うため、ダンジョンにある秘宝を求め探索者となった白銀巳夜。 二人は道実の武器屋を訪れ武器を与えられると、瞬く間にダンジョン探索者として名を上げ、武器屋の常連となっていた。 そんな道実のもとに、異世界で魔王討伐の旅をともにし、地球へついてきた元勇者のラディアが訪れる。 彼女から力を失った自分の後継者となる新たな勇者を探していると告げられたことで、自身も武器屋の客にもっと何かしたいと感じた道実は、迅と巳夜とともにダンジョン攻略に向かう。 しかしそこでは、探索者や治安維持の騎士団までも巻き込まれる異常事態が発生していてーー!
才知に長けた令嬢は常識を覆す!豊富な知識と巧妙な策略を用いた国家改革譚、開幕! 魔法至上主義の国で唯一魔法が使えない公爵令嬢・エルトリーデは、金や権力を利用し悪逆非道の限りを尽くし処刑されたはずだった。 しかし、気が付くと10年前の8歳の誕生日に時間が巻き戻っており!? 前世を悔いたエルトリーデは、貴族社会から離れて生きることを決める。 魔法に頼りきりで技術力などが著しく停滞している自国ではなく、他国の発展した知識や技術を身に付けたエルトリーデは、才知に長けた聡明な女性へと成長した。 貴族社会と関わらずそのままのんびりと暮らしたいエルトリーデだったが、半ば強制的に王太子妃候補として選定に参加することとなってしまい!? どうせ貴族社会と関わるのならば、前世で自分の策略の犠牲になった不遇の人々を今世で幸せにしてみせようと決意したエルトリーデは、知略を巡らせ行動を開始するーー! 死に戻り令嬢が前世の経験と今世で得た豊富な知識で、人々を幸せにする逆行転生ファンタジー!
押しかけてきたのはロリ爆乳メイド邪龍!? “暗黒破壊龍ジェノサイド・ドラゴン”として転生した元社畜は、“ほどほど”の異世界生活を送るため、最強の力をひた隠して三級冒険者・ジェイドとして活動していた。 そんなジェイドの当面の目標はマイホームを持つこと……なのだが、一向にお金が貯まらない。 それもそのはず、無意識のうちに人助けのためにマイホーム用の貯金を配り歩いていたのだ。 しかし、独身の男性冒険者限定の安宿住まいはもう限界。 本格的にお金を貯める決意をする。 「陛下ぁっ! 会いたかったでしゅ〜〜〜!」そんな折、人化してメイド服を着た『バジ子』こと『石邪龍バジリスク』が押しかけてくる。 ジェイドは成り行きで行く宛てのないバジ子を借宿(アパート)に迎える。 しかし、バジ子の過激な発言が隣人に漏れ聞こえた結果、マイホームを建てるどころか、住んでいる借宿すら追い出されてしまいーー? これは最強の邪龍に転生した男の、自由気ままな異世界暮らしの物語。
交錯する運命ーー譲れぬ信念を掲げ、少女たちは闘う。 光の聖女、輝聖リトル・キャロルとその相棒エリカは、来るべき戦いに備え、正体を隠しながら各地の封印を強める巡礼を続けていた。 ある日訪れた町で、女性が連続で失踪しているという噂を耳にしたキャロル達。 周辺の森の魔物に刻まれた紋章から、事件を裏で仕組んでいるある男の存在に気付く。 事態解決のため調査を開始するが、一筋縄ではいかないようで……? 一方、キャロルの聖隷カタリナ学園時代の同級生で大地の聖女として選ばれたメリッサも、教会の命により巡礼を行っていた。 しかしその裏では、失った故郷を取り戻す野望のため、危険な計画を進行させていてーー。 キャロル達を巡る騒動とメリッサの画策、それぞれの思惑はやがて交錯していく。 そして降り立った決戦の地で、キャロルはとあるひとつの決断をするーー! 「--私を逃すなッ! 私を意識しろッ! この世界には輝聖がいるッ!」 最強“不良”聖女が世界を救う冒険譚、第二幕!
リング上のドラマが、異世界に熱狂を呼ぶ!? 異世界へと召喚されたものの、未開の地に追放されてしまったキダン。 彼が農場として地道に開拓を続けていた土地は、ギフトと呼ばれる力《至高の担い手》と仲間達によって大きな発展を遂げていた。 S級冒険者・ピンクトントンはダンジョン攻略競争の際のグラシャラとのエキシビションマッチをきっかけに、自らが指揮を執ってプロレス団体を立ち上げることに! 初興行にあたって、世間を賑わせるファームブランドの主宰であるバティがリングコスチュームを手掛け、元人間国の王女であるレタスレートは正体を隠してミス・マメカラスとしてリングに降り立つ。 さらに、天界の宝箱に再封印されていた“彼女”も参戦しーー? 未開の土地を賑やかな隣人たちと開拓していく、異世界スローライフ、第17幕!
天保年間、相次ぐ大飢饉。大坂でも奉行所の無策、商人の金儲け主義などにより餓死者が続出した。元東町奉行所与力の大塩平八郎は、民の窮状を救うべく、自身の磔・獄門や親族の累刑をも覚悟で、徳川の絶対体制に立ち向かった。大塩と彼を取り巻く者たちの葛藤、生きざまを描く歴史小説。 一 この世の地獄 二 天保飢饉 三 再びの大飢饉 四 東町奉行所与力 五 陽明学者の顔 六 剛腕にして、人情あり 七 若隠居となる 八 東町奉行、跡部山城守 九 噴出する怒り 十 決起への葛藤 十一 巧妙な作戦 十二 強硬な反対者 十三 秘かな準備 十四 密訴者出る 十五 泣いて馬謖を斬る 十六 決起の強行 十七 あっけない結末 十八 惨めな逃避行 十九 執拗な探索 二十 潜伏 最後の時 二十一 苛烈な処分 大塩事件のその後 大塩平八郎「檄文」
カジノで働く仮面の女、ファントム。 そこに現れた組長の愛人、知奈と その組長の娘、死体から生まれたユウ。 仮面で隠した醜貌の秘密。 激しくぶつかる復讐心と憎悪。 ファントムと知奈の思いの行方はーー ================= 忌々しい記憶を追い払う。仮面の下が痛む。 ファントムはうっかり爪を噛まないように両手を握りしめ、 今度こそ知奈に気に入られるように笑った。 「本当も何も、これが私ですよ。 私は『ジャンケットのファントム』です。 つまらない名前よりも、ファントムの方がこの島じゃ相応しいでしょう?」 …… 恐る恐る宙に浮かせていた手を、知奈の身体に添わせた。 彼女が側にいるだけで、こんなにも安らぐのはなぜだろう。 …… ユウが知奈と自分にとっての疫病神なのは間違いなかった。 この悪縁を断ち、解放されなくてはいけなかったーー 「死に腐れ! お前の思い通りになるかよッ」 ================= 傷ついた者たちの魂が交錯する、 壮絶な“家族”の寓話! ーーーーーーーーー
村上春樹と安西水丸、名コンビによる貴重なコラボレーションが時を経て1冊の単行本としてよみがえる。 村上春樹と安西水丸、名コンビによる貴重なコラボレーションが時を経て1冊の単行本としてよみがえる。
異色の歴史本『信長殺し、光秀ではない』で一躍有名になった八切止夫は、戦中から終戦直後までは耶止説夫の筆名で小説を発表していた。ジャンルは多彩で、探偵小説のみならず、ユーモア小説、科学小説などを、ユニークな発想で数多く執筆。それらの中から、東南アジアやオーストラリア、満洲国時代の中国東北地方など、海外を舞台にしたミステリ風の小説を集成する。装画はグレゴリ青山。『外地探偵小説集 南方篇』所収「南方探偵局」の続編、「ボルネオ怪談」も収録。 海豹髭(シールビアド)中尉 聖主復活事件 マカッサル海峡 銀座安南人 熱帯氷山 笑う地球 曲線街の謎 ボルネオ怪談 漂う星座 異変潮流 外国小包 沙漠の掟 青海爆撃隊 瞑る屍体 編者解題 装画・グレゴリ青山
人生を物語に刻んで。 ロングセラー『掃除婦のための手引き書』(2020年本屋大賞翻訳小説部門第2位)、『すべての月、すべての年』に続く待望の短編集。 「彼女の書く文章はほかの誰とも似ていない。読むものの心を鷲づかみにして、五感を強く揺さぶる。読んだときは文字であったはずのものが、本を閉じて思い返すと、色彩や声や匂いをともなった「体験」に変わっている。(中略)まるで自分もそこにいて、それらを見、聞き、感じたような錯覚にとらわれる。それほどに、彼女の言葉の刻印力は強い。」(「訳者あとがき」より) 【目 次】 オルゴールつき化粧ボックス 夏のどこかで アンダード あるゴシック・ロマンス 塵は塵に 旅程表 リード通り、アルバカーキ 聖夜、テキサス 一九五六年 日干しレンガのブリキ屋根の家 霧の日 桜の花咲くころ 楽園の夕べ 幻の船 わたしの人生は開いた本 妻たち 聖夜、一九七四年 ポニー・バー、オークランド 娘たち 雨の日 われらが兄弟の守り手 ルーブルで迷子 陰 新月
不朽の名作『1984』 画期的新訳愛蔵版! 山形浩生(『21世紀の資本』訳者)×つくみず(『少女終末旅行』) 解説 木澤佐登志「現実に対峙する一つの武器として『一九八四』は今こそ読まれる必要がある」 主人公ウィンストンは、ビッグ・ブラザーと党が支配する、どこが相手かもはっきりしない戦時下の超管理社会オセアニアの真実省で、公式の歴史改変を担当している。だがふとしたきっかけで禁断の日記を書き始め、そして若いジュリアとの禁断の逢瀬にふける中で、次第に自分の暮らす社会に対する疑問と反発を強める。しかし反政府組織に参加したと思った瞬間、彼は国家に捕らえられーー現在のハイテク監視社会、情報操作とフェイクニュースによる大衆支配、戦争やテロを口実にした社会的自由の制約、密告と労働改造所や矯正収容所の思考操作、社会階級の固定化と格差社会、その他現代管理社会のありとあらゆる側面が恐ろしいほどの密度で詰め込まれた、不世出の傑作。
コバルト短編小説新人賞&氷室冴子青春文学賞出身の著者が贈る、 令和の青春×アイドル文学が、今ここに生まれる! アイドル事務所「ユニバース」に所属するデビュー前の青年、通称「リトル」。 彼らはデビューに向けて、限られた時間の多くを費やしレッスンに励んでいた。 そんなある日、リトルたちが出演するイベント「サマーマジック」で最も活躍した一人を、デビュー間近のグループ「LAST OZ」に加えるという噂が流れだす。 この噂をきっかけに皆が熱を帯びていく中、リトルの一人である加地透は疑問を抱いていた。 “恋心も、学校生活も、自分の体も、全てを捧げなければデビューは叶わないのか?” デビューに対して人一倍強い野心を抱いている持田、 わずか14歳にしてソロデビューを打診された遥歌、 誰よりもストイックで自分の見え方を計算し尽くした振る舞いをする葵、 芸能人一家の複雑な環境で育った問題児の蓮司、 デビューができる期限まで残り一年を切った若林、そして透。 デビューを目指すこと以外はすべてバラバラの6人が出会った時、 彼らの未来は大きく変わるーーかもしれない。 【著者略歴】 佐原ひかり (さはら・ひかり) 1992年兵庫県生まれ。大阪大学文学部卒業。2017年「ままならないきみに」で第190回コバルト短編小説新人賞受賞。2019年「きみのゆくえに愛を手を」で第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞し、2021年、同作を改題、加筆した『ブラザーズ・ブラジャー』で本格デビュー。他の著書に『ペーパー・リリイ』『人間みたいに生きている』『鳥と港』、共著に『スカートのアンソロジー』『嘘があふれた世界で』がある。
数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺にーー。なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。
時空を超える〈北の地の想像力〉の新星が鮮烈に登場。三島由紀夫賞候補作。「今夜、国際宇宙ステーションが降ってくるんだって」。北海道が全停電した日、わたしは剥製のウミガメを放つため、真夜中の公園を彷徨う。響き合うアイヌの血脈。癒やし難い生の痛み。地面から滲む歴史の声。〈内なる北海道〉と向き合い、恩寵の一瞬を幻視する大型新人デビュー! 新潮新人賞受賞作「彫刻の感想」を併録。
大使夫妻はなぜ軽井沢追分から姿を消したのか。12年ぶり、待望の新作長篇小説。2020年、翻訳者のケヴィンは軽井沢の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。親しい隣人だった元外交官夫妻は、前年から姿を消したままだった。能を舞い、嫋やかに着物を着こなす夫人・貴子。ケヴィンはその数奇な半生を、日本語で書き残そうと決意する。失われた「日本」への切ない思慕が溢れる新作長篇。
大使夫妻はなぜ軽井沢追分から姿を消したのか。12年ぶり、待望の新作長篇小説。2020年、翻訳者のケヴィンは軽井沢の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。親しい隣人だった元外交官夫妻は、前年から姿を消したままだった。能を舞い、嫋やかに着物を着こなす夫人・貴子。ケヴィンはその数奇な半生を、日本語で書き残そうと決意する。失われた「日本」への切ない思慕が溢れる新作長篇。
村上春樹の新訳と山本容子の銅版画で、マッカラーズの名作がよみがえる。さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方はーー。
「世紀のロマンス小説」ではない? 20世紀のロマンス小説として知られる大長編『風と共に去りぬ』。しかし、原文を精緻に読むと、その本質が「恋愛」ではないことがわかるという。「ヒロインは二人いる」「実は戦争小説である」「ディストピア小説としても読める」「養護と扶養という視点で読むと面白い」--。翻訳を手がけた著者だからこそたどり着いた、実に多様な読み方を味わう。Eテレ「100分de名著」テキストに、特別章・ブックガイドなどを大幅加筆のうえ、書籍化。
「自然を愛する」とは、こういうこと 動物の言葉を使いこなし、個性豊かなたくさんの動物たちと暮らす博物学者・ドリトル先生。助手のスタビンズ少年とともに、その独特な能力と知性とユーモアで愉快な旅を繰り広げる物語は、多くの子どもたちを魅了し、長く読み継がれてきた。今回は、子どもの頃にドリトル先生の物語を読んだことがきっかけで生物学者を志したという福岡伸一氏を講師に迎え、シリーズの最高傑作『ドリトル先生航海記』を新たな視点で読みとく。奇想天外で痛快な冒険物語の旅を楽しみながら、自然や動物との関わり方、「公正」であることの意味、豊かな創造力の源となる「好奇心」の大切さなど、現代にも通じる知恵や生き方のヒントを学んでいく。