2025年3月26日発売
原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていたーー。 装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」 装幀/坂野公一(welle design) プロローグ 第1章 依頼 第2章 変死 第3章 解読 第4章 遍在 第5章 交換 第6章 突風 第7章 巫女 第8章 孤島 第9章 昇華 第10章 播種 エピローグ
この本を手に取ったあなたは、いつしか捜査本部の一員となっている。膨大な捜査情報をその眼で見極めてほしい。--今野敏 構想十年。愛知県警エース刑事と岡崎署変人刑事が追う、哀しき高齢風俗嬢殺人事件。 圧巻の取材による、圧倒的な熱量。 警察小説を新生する、超爆発! 灼熱の岡崎市の沼で、ある高齢女性の遺体が引き上げられた。47ヵ所もの刺創があり、その残忍な犯行に市民は戦慄する。刑事たちの地を這うような捜査の中で浮かび上がってきたのは、被害者の人生の光と闇だったーー。東大を卒業し、大手局アナとして華々しい世界に身を置いていたが、亡くなる前は極貧生活を送っていたという。しかも、驚くことに、彼女は現役の風俗嬢だった。なぜ、彼女は殺されなければならなかったのか? 愛知県警本部のエース刑事湯口と岡崎署の変人刑事蜘蛛手が、時に衝突し、時に協力しながら、底なしの謎に挑む!
「老夫婦 消味期限が 過ぎている」「減塩だ 高血圧だ いまさらだ」 妻から突然「料理定年」を宣言された夫。魔改造シニアカーで爆走する95歳の元カミナリ族。畑違いの出版社に就職したシニア社員。 妻に愛想を尽かされ、若者に哀れまれ、それでも老体に鞭打って果敢に挑戦する。するよりほかに道はない。人生の後半戦にこんなにも難題に見舞われるとは、誰が予想し得たか。60代〜アラ100(ハン)男女7人の七転八倒、悪戦苦闘。 人生100年時代の新・シニア像を、とぼけたシルバー川柳に乗せて描く書き下ろし8編 料理定年 高額香典 暴走老人 自分語り 待合室にて 仕返し合戦 白バアと黒バア シニアチャレンジ
【松井玲奈が4年ぶりに贈る待望の新作小説】 あの日、フィクションのような人生が始まった。 著名な劇作家・野上が主宰する劇団の新作公演初日まで、残り3週間。 晴れてヒロインに選ばれた元国民的子役のアイドル・中野ももは、 野上の厳しい指導に応えることができず、徐々に追い詰められていた。 どうにか端役を手にしたとある中年の女優は、中野ももが憔悴していく様子を気に掛ける。 そして、やってきた公演初日。 幕が上がった瞬間、二人の人生は大きく変わる! 俳優としても活躍する著者が3作目の舞台に選んだのは、「演劇」の世界。 ふたりの女性が織り成す関係は、ゆっくりと、繊細に、絡み合う。 現実にうちひしがれる絶望、強運を手にして舞い上がる歓び、突然やってくる予想外の衝撃。 幾つもの感情を抱えた先の終着点で、それぞれが決断した選択とはーー。 「演じる」とは何かを問う、唯一無二の物語。 【著者略歴】 松井玲奈(まつい・れな) 1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。俳優・作家。 2019年『カモフラージュ』で作家デビュー。その他の小説に『累々』、エッセイに『ひみつのたべもの』『私だけの水槽』がある。本作『カット・イン/カット・アウト』が、3作目の小説となる。
空襲で焼け落ちた明治宮殿に代わる、戦後日本、象徴天皇にふさわしい「新宮殿」をーー。敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行!
空襲で焼け落ちた明治宮殿に代わる、戦後日本、象徴天皇にふさわしい「新宮殿」をーー。敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。『火山のふもとで』前日譚ついに刊行!
他人の命のため、自らの命を削る。過酷な救命の現場を描く、魂の衝撃作。感染症の拡大を背景に周囲の病院の救急態勢が崩壊する中、青年医師・公河が働く病院は「誰の命も見捨てない」を院是に患者を受け入れ続ける。長時間の連続勤務による極度の疲労で、死と狂気が常に隣り合わせの日々。我々の命だけは見捨てられるのかーー芥川賞受賞の気鋭が医師としての経験を元に描いた、受賞後初の単行本。
時空を超え、鮮烈に蘇る古の声、声、声。高村文学の極限と愉楽がここに。老いて死に瀕した一人の男が、意識の塊と化して長い仮死の夢を見る。そこに沸き立つのは高らかな万葉びとの声、野辺送りの声、笑い転げる兎や蛙の声、源氏の男君女君の声、都を駆けるつわものたちの声、定家ら歌詠みたちの声、そして名もなき女たちの声ーー。古文と現代文の自在な往還を試みた独創的文体、渾身の長篇小説。
累計240万部突破! 大人気和風ファンタジー「八咫烏」シリーズ最新作。 博陸侯雪斎が独裁を敷く〈山内〉で、 〈登殿の儀〉を経て皇后を選んだ金烏代・凪彦。 しかし二人の間に子が生まれる気配はない。 一方、谷間出身者たちの叛乱を生き延びた少年・トビは 北家の朝宅で博陸侯の母と出会いーー。 博陸侯の治世を揺るがす「亡霊」の影。 終幕に向けて、時間が進み始める。
「わたしが呼吸する空気のなかで流れてゆくこの瞬間たち、それらは花火のように空間のなかで弾じけて消える。わたしは時間の原子を自分のものにしたい。そして、本性からしてわたしには禁じられている現在を、捉えてみたい。現在は逃れてゆき、わたしは今の瞬間においてつねに現在である。」(本文より) 〈わたし〉から〈あなた〉へ、思考の背後に潜むものを求める言葉の奇蹟。 いまこの瞬間の生を描くという不可能な試みが生み出した、比類なきイメージの奔流。ウルフ、マンスフィールドと並ぶ世界文学の巨匠リスペクトルの極北にして頂点となる作品が、ついに刊行。
野党カワウソ党の陰謀で国を追われた魚類学者のクロイツークヴェルハイム男爵は、ウィスキー樽の中で六百年前から生きているスコットランドの先祖の加勢を得て、気球戦団を率いてウィーン征伐に出発するも、嵐でピレネー山麓に不時着を余儀なくされる。だがそれは世紀の発見への入口でもあった。神と人、獣と人が自在に交わる博物学の楽園で、ホムンクルスや天上界の存在をも巻き込む一大ページェントここに開幕。
小学校図書館司書のまふみは製本工房が併設されたアパートに暮らすなかでさまざまな人と出会い、製本の世界に触れ、本が人の心を救いうることを学んでいく。本好きに贈る心温まる物語。
鷲田清一氏、伊藤比呂美氏ら ──「70歳の新人作家の登場」と絶賛! 経営学から詩の講義まで、マルチな才能で知られる著者の自伝。 1950年、大田区の金属加工業の家に生まれた著者が下町のさまざまな人間関係の中で成長していく『平川版「三丁目の夕日」』。話のメインは70年代〜80年代だが、そこから一転して2010年代へとジャンプして、旧友たちがふたたび集まって冒険をしていくという点ではスティーブン・キング『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせる。誰もが経験した甘美な子ども時代を追体験させてくれる傑作である。 【本書の内容】 1960--東京の南/1960--負け犬たち/1960--反発と友情/ 1970--描かない絵描き/2010--帰還と再会/ 2022--偶然の旅行者/2022--結末 【著者略歴】 東京都大田区に生まれ育つ。1975年に早稲田大学理工学部を卒業。77年、渋谷区道玄坂にアーバン・トランスレーションを内田樹とともに設立。01年、(株)リナックスカフェを設立。株式会社ラジオカフェ代表取締役。11年4月、立教大学特任教授。14年3月、隣町珈琲店主。16年4月、立教大学客員教授、早稲田大学講師。著書多数。
2025年に取り壊しが決まっている期限つきの“棲み処”。そこで生きる人間たちの「欲望」を描いた著者初の連作集! 俗世というジャングルをサバイブする男女はアニマルか。 グランドホテルならぬグランド古マンション形式の物語は、混沌として続いてゆく。----桐野夏生氏 両親が離婚し、母とふたりで暮らしている高校生の羽衣。母の自己中ぶりには慣れたが、母の今の恋人のことは心底気にくわない。その男と別れてくれたら母の全てを許してやるのに。 「501号室 十七歳はこたつで美白に明け暮れたい」 十年以上ホストとして生きてきた春樹。いずれは店を辞め同棲中の女を実家に連れていこうと考えていたが、女は勝手に出ていってしまい……。 「309号室 三十三歳はコインロッカーを使わない」 子どもが欲しいかどうかもよくわからないまま卵子凍結することを決めた有希子。人生の選択を先送りする最良の方法だと思ったけれどーー。 「403号室 三十九歳は冷たい手が欲しい」 ほか、全7篇を収録 【目次】 204号室 二十八歳は人のお金で暮らしたい 403号室 四十三歳はどうしても犬が飼いたい 402号室 八歳は権力を放棄したい 501号室 十七歳はこたつで美白に明け暮れたい 309号室 三十三歳はコインロッカーを使わない 403号室 三十九歳は冷たい手が欲しい 1階 二十六歳にコンビニは広すぎる 【著者プロフィール】 鈴木涼美 すずき・すずみ 1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部在学中にAV デビュー。その後はキャバクラなどに勤務しながら東京大学大学院社会情報学修士課程修了。修士論文はのちに『「AV 女優」の社会学』として書籍化。2022 年『ギフテッド』が第167 回芥川賞候補作、23年『グレイスレス』が第168 回芥川賞候補作に。他の著書に『身体を売ったらサヨウナラ夜のオネエサンの愛と幸福論』『浮き身』『トラディション』『YUKARI』『娼婦の本棚』等多数。
「魔道祖師」の墨香銅臭が描く中国BLファンタジー最新作 待望の第4巻! 黒水鬼蜮での一件は、天界を揺るがす悲痛な幕切れを迎え、黒水沈舟と風師(フォンシー)は姿を消した。 謝憐(シエ・リェン)は花城(ホワチョン)とともに千灯観へ赴くが、突然錯乱状態に陥った彼に押し倒され、唇を奪われる。深く抱き合い、貪り合ううちに、謝憐(シエ・リェン)は自分の中に抑えがたい感情があることに気づくのだった。そして、銅炉山が開かれるーー。百年に一度、銅炉山では数多の鬼が殺し合い、最後に残った者だけが三界を震撼させる「絶境鬼王」となる。君吾(ジュンウー)と花城(ホワチョン)の駆け引きの末、新たな鬼王の誕生を阻止すべく花城(ホワチョン)と二人で鬼の群れに潜入することになる謝憐(シエ・リェン)だがーー⁉