小説むすび | 2025年9月26日発売

2025年9月26日発売

在る。 SOGI支援医のカルテ在る。 SOGI支援医のカルテ

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KADOKAWA

発売日

2025年9月26日 発売

「あなたの性にまつわる在り方は、あなたが決めて良いの。どんな選択をしたって、間違いなんてないしね」 富士見ウエスト病院には、性の在り方に関する不調をケアする「SOGI支援外来」がある。同外来を担当する、第七病棟医長の精神科医・海野彩乃先生は、マイペースな人だけど患者には優しい・意外と面倒見も良いという評判で、各地から患者が集まっていて……。 『藍色時刻の君たちは』で山田風太郎賞を受賞した現役看護師作家がおくる、希望が広がる医療連作短編集。 第一章「二人のエックス」 春、富士見ウエスト病院に勤める休職明けの看護師・倉木透子が配属になった第七病棟は、ストレスケアの治療を中心におこなう「病棟に見えない病棟」。病棟医長の海野彩乃先生とは、休職前にあるやりとりをしていた。復帰した倉木が紹介された患者は、十代のXジェンダーで……。 第二章「溶ける光」 夏、精神保健福祉士の岡田樹里は、アルコール依存症患者の退院支援をしている。担当する尾形佳奈のベッドの近くには、【公正証書 謄本】と書かれた封筒があった。 第三章「反転文字の向こうで」 秋、服飾学生の山口佑樹は、急性一過性精神病性障害で入院している。病室に持ち込んだ【自分史】には、「性別不合の診断を頂けたら、ホルモン療法を開始したいです」という文言があった。 第四章「種の行方」 冬、医師の滝本政成は、新しい病院への転職を予定している。海野先生が新担当となった患者の実姉の情報は、自身の境遇のことを思い起こさせるものだった。 エピローグ「春に」 当直明けの海野は、強迫性障害を患っている担当患者の千田光一から、亡くなった大学の同級生の話を聞く。 装画=しらこ 装丁=川名潤 第一章 二人のエックス 第二章 溶ける光 第三章 反転文字の向こうで 第四章 種の行方  エピローグ 春に

降りる人降りる人

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〇「滑稽でもあり哀れでもある主人公が、実在の人物に思えるほど描写が自然で的確」(冲方丁/選評) 〇「名作が名作として読者の心に届く瞬間を目の当たりにできた思いで胸が熱くなった。」(辻村深月/選評) 〇「選評を書いているいまも、得がたい余韻がつづいている。」(道尾秀介/選評) 〇「淡々とした、ときにはユーモラスな語り口ながら、最後の一行まで緊張感が失われないのは、主人公の根源的な戦いを、緻密に、正確に、描いているからだ。感銘を受けた。」(森見登美彦/選評) 〇「こういう人の、こういう日々こそを、青春と呼びたい。いや、呼ばせてください。」(尾崎世界観) 心身ともに疲弊して仕事を辞めた30歳の宮田は、唯一の友人である浜野から、期間工は人と接することの少ない「人間だとは思われない、ほとんど透明」な仕事だと聞き、浜野と共に工場で働くことに。 絶え間なく人間性を削り取られるような境遇の中、気付けば人間らしい営みを求めるようになっていく宮田だったが、実はある秘密を抱えておりーー。 選考委員の胸を打った、第16回小説野性時代新人賞受賞作! 春 夏 秋 冬 春隣 選考経過/受賞の言葉/選評/歴代受賞作

百日と無限の夜百日と無限の夜

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集英社

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初めて知るのだが、母体の内部は、らせんだ。 拗れて考えて、愛して爆発して、無限へ手をのばす。 らせんだ。凄い。 ーー古川日出男 女の体の全てがここにある。 自身の胎内めぐりの旅に出た女と共に 私たちにも闇の先の光が降ってくる。 これは生まれ直しの物語だ。 ーー中村佑子 第一子の妊娠中、切迫早産で急遽入院を余儀なくされた「わたし」。 医師からは「3ヵ月は出られない」という衝撃の事実を聞かされる。妊娠7ヵ月で子宮口がひらくとは、それほどの重症なのだった。 生業とする書き仕事や日常の営みを奪われ、ただすべての時間を横になって過ごす日々の中、 ある晩ひとりの女が「わたし」のもとを訪れる。彼女こそ、能『隅田川』に登場する女物狂い。 人攫いに遭い子を失った彼女を案内人に、中世・京の都から駆け込み寺、若狭のお水送り、海辺の産小屋へと、「わたし」と“班女”の時空を超えた道行きは続き……。 切迫早産での入院中の日々の詳細と、 子産みと生命にまつわる夢幻の地獄めぐりを編み上げた、 かつてない出産幻想文学。 【著者略歴】 谷崎由依 (たにざき・ゆい) 1978年、福井県生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。2007年「舞い落ちる村」で第104回文學界新人賞受賞。19年『鏡のなかのアジア』で第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。近畿大学文芸学部准教授。小説執筆のほか、英語圏小説の翻訳を手がける。その他の著書に『舞い落ちる村』『囚われの島』『藁の王』『遠の眠りの』、訳書にジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』『キャンディハウス』、ノヴァイオレット・ブラワヨ『あたらしい名前』、コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』など。

野性の富豪と光を失った乙女野性の富豪と光を失った乙女

たとえあなたの顔が見えなくても、 あなたを感じることはできるから。 病気で視力を失ったグレースは、暗闇でもがき苦しみながらも、 一歩ずつ自立を目指し、ようやく念願のソムリエになった。 あるとき、アルゼンチン大富豪からワイン鑑定の仕事を頼まれ、 相棒の盲導犬と共に彼女は現地の大農園へ飛んだ。 驚いたことに、グレースを出迎えたのは親友の兄で憧れの人、 ナチョ・アコスタだった! まさかこんな形で再会するなんて。 彼が“目”となって色を伝え、グレースがワインを口に含む。 共同作業はしだいに熱を帯び、祭りの夜、二人はついに結ばれた。 だが、なぜかナチョはその日を境に彼女を遠ざけるようになる。 あれは一夜の夢よ。傷心のグレースは帰国しようとするが……。 ハンディキャップ・ロマンスの旗手、スーザン・スティーヴンスが描く、心揺さぶる感動の逸作をお贈りします。早くに両親を亡くし、5人きょうだいの長男として、弟妹たちをひとりで守ってきたヒーローには、これまで誰にも話せなかったトラウマがあって……。

名も知らぬ大富豪に隠した愛し子名も知らぬ大富豪に隠した愛し子

名も知らず愛を交わした、かけがえのない記憶。 この娘の瞳にいつも、あの日のあなたがいた。 ニューヨークの高層ビルで働くブリーは、仕事に追われながら、 3歳の娘ソフィアを育てている。ある一夜の美しい記憶を胸に。 4年前、傷心を抱えて訪れたイタリアで、美しい漆黒の瞳の ジャクソンと出会い、ブリーはたちまち惹かれた。 情熱と切なさが入り混じる夜は、まるで夢のように過ぎ去ったーー 彼が何者なのかも知らないままに。 今、4年の時を経て、彼は世界を駆け回るホテル王ジャクソンとして、 ブリーの上司の結婚披露宴に現れたのだ! 彼は幼いソフィアの漆黒の瞳を見つめて言った。 「この子は、僕の娘か?」 その問いに、ブリーの世界は揺れはじめます。この3年間、一人で娘を守ってきたのに、彼はすべてを知るや言ったのですーー「結婚しよう。君たちをイタリアに迎えたい」けれど、父の愛を知らずに育った彼女には、温かい家族のイメージなど到底持てなくて……。

砂漠の王と千一夜砂漠の王と千一夜

最愛の人に出逢う前から、 運命の子を身ごもっていたなんて。 独身のシェリダンは人工授精を受けた。 不妊に苦しむ大好きな姉のため、代理母になるつもりだった。 だが1週間後、とんでもない事実を知らされて凍りつく。 病院で手違いがあり、義兄とは別人の精子が使われたというのだ。 取り乱すシェリダンのもとに、突然見知らぬ男性が訪ねてきた。 態度こそ傲慢だけれど、なんてハンサムで魅力的な人なの。 陶然とする彼女に彼が言った。「きみが生むことになるのは、僕の 後継ぎだ」驚いたことに、彼の正体は異国の王ラシードだった! おなかの子が未来の国王に? すぐにシェリダンの口はキスで ふさがれ、ラシードは彼女を強引に砂の宮殿へと連れ去った。 ヒーローから過去に妻子を同時に亡くしたと聞かされたヒロインは、彼を慰めたくてベッドを共にすることに。ところが妊娠が確実になったとたん、彼の態度が冷たくなって……。2008年度ゴールデン・ハート賞ファイナリストという実力派作家の代表作です!

二つの奇跡を抱く聖母二つの奇跡を抱く聖母

ごみ箱に捨てられた私は、 赤ちゃんを幸せにする。絶対に。 生まれてすぐにごみ箱に捨てられて施設で育ったリアは、 医療の現場で働くことで、家庭への憧れが人一倍強くなった。 子供が欲しいのに自分は妊娠が難しい体質のため、 親友に代理母となってもらい、7カ月後には母になる予定だ。 だから、先日一夜をともにした上司で医師のベンにもそう伝えた。 私はプレイボーイのあなたが興味を持つような女ではない、と。 本当は出逢った瞬間から彼に惹かれ、もっと近づきたいのだけれど……。 一方のベンも、ずっと弟や妹の親代わりをしてきたせいで、 もう二度とあんな責任は負いたくない、子供は欲しくないと話した。 なのに、思わぬ事態がーーリアの身にベンの子が宿っていたのだ! 命の現場を舞台に感動ロマンスを描いて人気急上昇中の英国人作家L・ヒートン。代理出産により母になる予定のヒロインが自らも予期せぬ妊娠をしてしまうという驚きのストーリーが繰り広げられます。父になるつもりのないヒーローはいったいどうするのでしょうか?!

貴公子に魅せられて貴公子に魅せられて

あなたのキスに怒ってみせたのは、 この気持ちを隠したかったから。 天涯孤独のケイトは住みこみで老婦人の話し相手をする仕事を見つけた。 初日、美しい田園の駅にやってきた彼女は列車の車両故障で立ち往生し、 居合わせたニコラスという長身の男性に屋敷まで送ってもらうことに。 「もしかして君、修道院から脱走してきたのか?」 ケイトの質素な服装を見てそう言ったニコラスはいかにも裕福そうだ。 彼女のプライドは傷ついた。彼を密かにすてきだと思っていたのに……。 さらにショックなことに、彼には美しい婚約者がいることを知った。 しかも、偶然にもケイトの雇い主の老婦人はニコラスのおばで、 彼は結婚生活を始めるために、老婦人を屋敷から追い出そうとしていた! そうと知っていたら、ここまで来たりしなかった。彼に恋したりもーー。 偉大な作家シャーロット・ラムの1970年代の秀作を紙書籍限定で再版いたします! ケイトがせっかく見つけた仕事は始まる前に終わったかに思われましたが、ニコラス自らがケイトを雇うと提案しますーー屋敷から出ていくよう老婦人を説得してほしいと言って。

まだ見ぬ面影まだ見ぬ面影

姿さえ見えない彼に、 こんなにも心を乱されるなんて……。 婚約者が車で事故を起こし、助手席にいたシャノンは失明した。 その彼女に婚約者が突きつけたのは、婚約破棄という非情だった。 失意のどん底で薄暗い部屋に閉じこもるシャノンのもとに、 ある日、元婚約者の異母兄ブレイズと名乗る男性が現れた。 シャノンはそれまで存在すら知らなかった彼に警戒心を抱くが、 彼の深みのある声、手探りで知った長身の輪郭に密かに胸を高鳴らせる。 家にこもる彼女をなんとか外へ引っ張りだそうとするブレイズ。 どうしてこの人は、こんなにも私のことを気にかけてくれるの? シャノンはブレイズの強い説得により、目の手術を受ける決意をする。 包帯が取れて初めて見えるのは彼の顔であってほしい。そう願うが……。 不運な事故で目の見えなくなったヒロインに、ヒーローは生きる希望を与えに来たのか、はたまた悩める恋心を芽生えさせに来たのか。ドラマ性に富んだ物語で大人気を博すサンドラ・フィールドが描く、珠玉のハンディキャップ・ロマンス! 紙書籍限定の再版です。

ダンシング・ガールズダンシング・ガールズ

『侍女の物語』前夜のアトウッド 世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから若い夫婦が深める孤独(「ケツァール」)、悩める医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など──アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びが、複雑と混沌のままに示される。  「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より)

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