制作・出演 : 金聖響
最近話題のクラシック曲をCD2枚にまとめたコンピレーション盤。ヤナーチェクやハチャトゥリアンなど、フィギュア・スケートで取り上げられた曲や映画、ドラマ、アニメ、CMなどで話題となったクラシック曲が目白押し!
“オバマ・クラシック”の第2弾。ノーベル平和賞に決定したオバマ米大統領のチェコ・プラハでの核廃絶を謳った演説など、オバマが平和への願いを語った感動的なハイライトとクラシック曲を融合した作品となっている。
たっぷりとした響きで沸々と内に向かうロマンに浸るブラ4ではない。各声部がくっきりと明快、鋭敏に動く。相互の関係性がきわめて明瞭に腑に落ちるその音の姿が過激なまでに斬新である。発止と敏捷に響きが立つ3楽章。エモーション直截な4楽章。音楽が熱い。
ロマン派の交響曲を、現代的・古楽的な考察及び奏法両者を取捨選択して演奏する、しかもそれを小編成で行なうという、まさに昨今ならではの意欲的な試み。重厚長大・濃厚な情緒・暗欝な印象を与えてきたこれまでのブラームス像は、軽く澄明な響きと明快な細部、そして鮮やかな運動性と確かな形式感を備えたものに一変。でも考えてみれば、ブラームスはロマン的古典主義者。こうした方法論がふさわしいことは言うまでもない。番号が下るにつれ、コンセプト優先の演奏が次第に自由でのびやかになっていく過程も面白い。
アメリカン・アルバムだが、「エル・サロン・メヒコ」や「キューバ序曲」でラテン系のノリも楽しめる。アレンジがなかなか優れていて、ウインド・オケの美しさも聴くことができる。「ラプソディー・イン・ブルー」では外山啓介がきれいなソロを披露する。
ブラームスは重々しい音楽でも、分厚い響きでもない。小編成だからこそ可能となる、歯切れの良さと推進力を生み出す速度感を最大限に活かした新しいブラームス像を提案しようとしている。それが金聖響&OEKの意図だろう。録音にはもう少し冴えが欲しい。
ライナーノーツに片桐氏が書いているように、同じ時代にこんなに素敵なアーティストと出会える幸せを感じさせてくれる。いつもの勇猛果敢な彼ではなく、テクニックを披露しながら抑えた表現で歌い上げていく須川。サックスとオーケストラが溶け合う瞬間も美しい。★
編成の小ささゆえに声部の見通しがよく、対向配置も一層の効果をあげている。その上、音が痩せてしまうことがほとんどないのは秀逸。ただし、終楽章に向かって調子を上げてゆくものの、特に前半二つの楽章で指揮とオケが煮え切らず噛み合わない瞬間が少なくないのは残念だ。
コンピレーション・シリーズ『イマージュ』の第7作は、“優しさ”と“新しさ”がテーマ。ケイコ・リー、元ちとせ、中孝介ら人気ヴォーカリストの未発表曲も収録。新機軸のコンピレーションだ。
小編成オケ、古楽奏法によるブラームス。響きの量感が作る時間のたゆたいや情感の広がりの替わりに、リズムや音の動きの形の変化、厚みに埋もれていた響きの表情や楽器間の関係が明快に浮かび上がる。この曲にこんなにも“音”が! 斬新なアプローチである。
初めての宗教曲集。相変わらずのこの世への祈りを込めてのアルバムだそうだ。そういう真摯な気持ちがストレートに出ている。非常に丁寧にうたっている。ヴィブラートも控えめで、装飾音も華美にならず、端正で清楚。単なる癒し以上のアルバムで、感動を誘う。
どんなに音楽自身が高潮しようとしても、情緒を濃くしようとしても、不思議なことに加古隆の音楽は、少し醒めた叙情性を失わない。どの曲もメロディを紡いでいくだけのかなり平明な作りながら、それも特有の透明感を醸し出すことに貢献している。
日本最高ともいわれる圧倒的な吹奏楽の機動性を誇るオケ、シエナ・ウインドを金聖響がドライヴ。20〜21世紀にかけての映画音楽作家として、まさに頂点に君臨するジョン・ウィリアムズ。その圧倒的な迫力と華麗なサウンドとを最高の演奏で楽しめる一枚だ。
これまでパンチの利いたベートーヴェン演奏を聴かせてきた、金聖響とオーケストラ・アンサンブル金沢。今回の演奏は、「田園」という作品の持ち味のためか、果敢な攻撃性よりも、きめ細かなニュアンス付けと自然な音楽の流れが特徴だ。オケも好演。
2005年9月に吹奏楽界の大御所リードが亡くなった! 本盤は2006年1月に開催されたリードの追悼公演のライヴ録音。最新作はないもののどれも聴き応えのある代表作ばかり。とりわけ描写性の高い「オセロ」(全5楽章)は印象深く、演奏の質の高さとともに必聴に値する。
2003年の日本音楽コンクールで第1位を獲得した遠藤真理。デビュー盤でいきなり協奏曲で勝負を挑んでくるが、この若さにしてすでに音楽をナチュラルに息づかせる術をしっかり心得ている点が逸材たるゆえん。まろやかな深みのある低音も美しい。要注目の新星だ。
NHKの連ドラやドキュメンタリーのテーマ曲をナカリャコフのトランペットと金聖響/OEKの演奏で録音。加古隆の「黄昏のワルツ」「パリは燃えているか」、大野雄二の「小さな旅」など名曲の数々。とにかくうまい。すばらしく気の利いたアルバムだ。
いわゆるオーセンティックな奏法、解釈がみごとに実を結んできている最良の証しのひとつ。タイトなサウンドと歯切れのいいリズムが曲の構造を顕わにし、管と弦のバランス(弦が少ない)と、ティンパニの躍動感から来る荒々しくも革新的な音色感。みごとな演奏だ。★