1999年4月発売
意外なことにこの3人が顔を合わせたのは本作が初めて。現在もっとも精力的な活動をおこなうプレイが、お互いを知り尽くした仲間と既成の音楽観にとらわれることなく斬新な演奏を繰り広げる。その新鮮な感動は、真の美しさを感じさせる。
このところ絶好調のポール・ブレイの最新ソロ・ピアノ・アルバム。ソロ・ピアノという最小限の世界の中で、彼の耽美的なサウンドが淡々と展開されている。その1音1音の存在感はすごい。キース・ジャレットなどとはまた違った、とても深い音世界だ。
旧東独圏から登場の唯一の古楽アンサンブルは手堅さと先進性がバランスした上質さ。さすがに仏HMの録音は、独シャルプラッテンには望めなかった彼らの演奏の特質をよく捉えている。同レーベル初のブランデンブルク録音とあってか、装丁も豪華版。
武満の60年代〜90年代、広い選曲。最近、武満作品を非常に甘く演奏して魅力よりも弱点を浮き立たせる演奏家が多くそれを喜ぶ批評家も多いが、ここではむしろセッコに演奏されていて気持ちがいい。繊細さ不足の指摘もあろうが武満作品食傷人に。
ロータは徹底してメロディで音楽を書く。しかしそれが不思議にアナクロにオチないのは、内面に屈折するのでも響きに遊ぶのでも仕掛けで圧倒するのでもなく、聴き手の記憶の中の情景を喚起して物語的想像力を漂わせてくれるから。「間奏曲」にゆらいだ。
小編成でアット・ホームな雰囲気を醸し出しているリーダー第5作。10曲中5曲がベースの上村信とのデュオで、ほかにソロ・ギター2曲、原朋直を加えたトリオ演奏3曲という構成。曲は(6)だけ自作で、ほかはスタンダード。シンブル&エレガントな作品。
ジャズのスタンダード・ナンバーが全13曲、持ち替えなしの1本のギターで、アンプを通さず、オーバー・ダビングも編集もなしというこれぞ究極の一発録り。スタジオでのプレッシャーはいかばかりのものであったか。やはりギターは小さなオーケストラだ。
90年代の日本ジャズ界を代表する若手No.1ドラマー、大坂昌彦が待望のソロ・アルバムを発表した。1人1曲ずつ、12人のゲストを迎えた凝った構成。独断的で派手なソロはなく、演奏全体の色調を熟慮したプレイに、彼独特の繊細な美意識を感じさせている。
大坂にとって個人名義の第2作。前作と違ってメンバーを固定したクインテットで演奏した成果が、きわめて精緻なサウンドに結実した。多彩な曲想の楽曲それぞれに一貫したグルーヴがあり、メンバー全員の意志もぴったりと合致。本邦ジャズの勢いを実感。