著者 : ラフカディオ・ハーン
理不尽な離縁を恨んで死んだ女の亡霊に恐怖する「女の死体にまたがった男」、散文詩の到達点を示す一幅の絵画のような「蓬莱」、円朝の同題の人情話としても有名な「牡丹燈籠」、深刻な幼年期の恐怖体験を綴るハーン文学の原点ともいえる「私の守護天使」-アメリカから日本時代に至るまで、人間の心や魂、自然との共生をめぐる、ハーン一流の美意識と倫理観に彩られた代表的作品37篇を精選。詩情豊かな訳で読む新編第2弾。
「耳なし芳一の話」「むじな」「ろくろ首」「雪女」…。日本をこよなく愛したハーンが、古来の文献や伝承をもとに流麗な文章で創作した怪奇短篇集。日本の文化、伝統、習慣を世界に紹介し、いまや「日本文学の古典」とも言えるハーンの代表作。昆虫エッセイ「虫の研究」も収録。
定評ある名訳の全面改訂版と半数以上の新訳作品とで贈る個人完訳・決定版。その訳文は、ハーンが基にした怪談・奇談の原拠に出てくる日本語表現や固有名詞の表記をハーンの英文に即して巧みに活かしながら、最新のハーン研究の成果を反映。従来、ほぼ割愛されてきたハーンによる原註をすべて訳出。詳細な訳註・解説を巻末に付す。
日本を終世愛してやまなかったハーン(一八五〇-一九〇四)が我が国古来の文献や民間伝承に取材して創作した短篇集。有名な「耳なし芳一のはなし」など、奇怪な話の中に寂しい美しさを湛えた作品は単なる怪奇小説の域をこえて、人間性に対する深い洞察に満ちている。
アニミズム的な妖精譚の「ちんちん小袴」、永遠の愛を語る「帰ってきた死者」、オノマトペを凝らした「幽霊滝の伝説」、ハーンの心理的外傷の表象ともいえる「むじな」……。ユーモラスで哀切に満ちた小話から恐ろしい怪談まで、傑作42編を叙情あふれる新訳で紹介。江戸時代の狂歌をハーンが解説した貴重なエッセイ「妖怪のうた」も直筆の挿絵とともに収載する。朗読や読み聞かせにも最適、ハーンの再話文学世界を味わう決定版。 第一章 「怪談」への旅 小豆磨ぎ橋 水飴を買う女 子捨ての話 鳥取の布団の話 帰ってきた死者 幽霊滝の伝説 菊花の契り 第二章 おとぎ国の妖精 若がえりの泉 ちんちん小袴 団子をなくしたおばあさん 猫を描いた少年 化け蜘蛛 第三章 転生譚 お貞の話 十六桜 乳母桜 蠅の話 雉子の話 お亀の話 力ばか 梅津忠兵衛の話 勝五郎の転生記 鏡と鐘 僧興義の話 安芸之介の夢 第四章 妖怪と悪霊のたくらみ むじな 茶わんの中 常識 生霊 死霊 ろくろ首 果心居士の話 耳無し芳一 第五章 女と男の恐い話 おしどり 雪女 青柳ものがたり 和解 因果話 破られた約束 振り袖伝説 衝立ての娘 鏡の乙女 忠五郎の話 第六章 妖怪のうた 一 狐火 二 離魂病 三 大蝦蟇 四 蜃気楼 五 ろくろ首 六 雪女 七 船幽霊 八 平家蟹 九 家鳴り 十 逆さ柱 十一 化け地蔵 十二 海坊主 十三 札へがし 十四 古椿 資料 ラフカディオ・ハーン略年譜 あとがき──ハーンの怪談ハンティングの旅
庶民詩人ハーンは、日本の珍書奇籍をあさって、陰惨な幽霊物語に新しい生命を注入した。盲目の一琵琶法師のいたましいエピソードを浮き彫りにした絶品『耳なし芳一のはなし』等、芸術味豊かな四十二編。