著者 : 深山咲
ラナは朝から晩まで身を粉にして働いていた。信じていた人が勝手に彼女の名義で莫大な借金を作ったからだ。そんなある日、偶然知り合ったイタリア富豪サルヴァトーレから、ラナは耳を疑うような依頼を持ちかけられた。「つきまとう女性を退けるため、契約結婚をしてくれないか?」期間は1年間。その見返りに借金を肩代わりしてくれるという。窮地にあるラナは法外な話に不安を覚えながらも受け入れたー“彼に惹かれ、ベッドを共にするなんて絶対だめ”と自戒した上で。それなのに、ある夜、ついに愛の炎が燃え上がり身を捧げて…。
「君がどんなに魅力的でも、僕は君と結婚するべきではなかった」夫のチェーザレの口から放たれた言葉に、アーヴァは凍りついた。イタリアの湖畔に大邸宅を構える億万長者との出会いは電撃的で、二人とも瞬時に燃えあがり、気づけば純潔を捧げていた。そのあとの妊娠と結婚は、家族との縁が薄いアーヴァにとって、やっと安らぎの地を見つけたような奇跡だった。ところが娘が生まれるやいなやチェーザレは仕事に没頭し、まったく家庭を顧みなくなる。理由を聞いても無視されるだけ。もう愛は終わったの?独りの寝室で、アーヴァは涙に暮れ…。
生後間もなく親に捨てられ、里親宅を転々として育ったヘイリー。フラワーデザイナーとなり、結婚式の打ち合わせをしていたある日、同席していた顧客の友人からディナーに誘われた。彼こそは、ヨーロッパのアドリア王国皇太子ジオだった。今まで出会った中で最も美しい男性との夢のようなひととき。ヘイリーは彼の魅力にあらがえず、一夜を共にしてしまった。2ヵ月後、彼女はジオに会いに行くー今度は妊娠を伝えるために。だが、独りで産んで育てると言う彼女に、ジオは結婚を申しこんだ。この天涯孤独の私がお后になるですって?まさか!うれしいはずのプロポーズなのに、とまどいしか感じられず…。
ロクサーヌは生まれてすぐに母親を亡くし、父親と乳母から厳格なしつけを受けて育った。ある日、ロクサーヌは親友のバースデーパーティで、スペインの血を引く大富豪フアン・アルマンド・ラミレスと出会う。漆黒の髪と鋭い瞳を持つ彼は、鷲を思わせる威圧感を漂わせている。射抜くような視線を向けられ、ロクサーヌはおののきながらも、経験のない胸のときめきを感じ、気づけば彼とダンスを踊っていた。これが運命の出会い?だが、うぶな彼女は想像もしていなかった。まさかフアンが意図的に彼女の名誉を傷つけ、彼の妻にならざるを得ない状況を作り出すとは!
世界に冠たる高級ブランドの社長アレクセイは、セクシーな魅力あふれる、女泣かせのプレイボーイ。ケイトがそんなアレクセイの秘書に抜擢されたのは、ちょっと太めで冴えない彼女となら過ちを犯さずにすむからだった。だからずっと、ケイトは彼への密かな想いを隠しつづけてきた。ところが、事故に遭ったアレクセイが療養中に事態は一変。会社の経営権を奪おうとする者を退けるために、アレクセイが役員たちを味方につけようと一計を案じたのだ。見せかけの婚約劇を演じ、彼の私生活にまつわる悪評を返上するという。そして相手役として彼が選んだのは、なんとケイトだった!
「あなたの子供をもう一人産ませて。私たちの娘を助けるために」イタリアにあるヴィンチェンツォの豪邸を訪れ、ローリは懇願した。忘れられていても、頭がおかしいと思われても当然だわ。ヴィンチェンツォにとって私は、5年も前のゆきずりの女なのだから。私にとってあの夢のような日々は、生涯忘れえぬ恋だけれど…。その後ひそかに独りで産み育ててきた娘が難病とわかり、適合するドナーが見つからない今、父親である彼にすがるしか道はない。震える声で人工授精の手順を説明しようとするローリの心を、ヴィンチェンツォの冷徹な声が切り裂いた。「僕の人生計画に子供は入っていない。今までも、これからも」
病弱な母を抱えながら農場を営むディレイニーの前に、ある日、見たこともないほど美しく、魅惑的な男性が現れた。高貴な血を引くカエターノと名乗る彼は、驚いたことに、ディレイニーを花嫁にするために迎えに来たという。「君こそ、出生時に取り違えられた、僕の国の真の王女なんだ」二人の結婚が国に平和をもたらす唯一の方法などだと聞き、彼女は混乱する。そんなばかげた話を私が信じると思う?だが、カエターノの金色に輝く瞳と芽生えた好奇心に抗えず、ディレイニーは地中海に浮かぶ彼の国へと飛び立った。
パーティの給仕係として働き、疲れた体で帰途についたホリー。天候が急変して困っていると、傍らに1台の高級車が停まり、乗っていくよう促される。声の主はスペイン富豪マキシモー最近この町の古城を買ったという、世界的な実業家だ。彼の漆黒の瞳に魅入られ、すっかり舞い上がったホリーは、一夜限りの約束で、誘惑されるまま身も心も捧げてしまう。2カ月後、ホリーは愕然とした。まさか妊娠するなんて!報せを聞いたマキシモは、別人のような冷酷さで言い放った。「経済的な援助はする。ただし、その子の父親は手に入らない」
ケンドラは多国籍企業総帥バルサザールのオフィスに赴いた。彼は昔パーティで出逢い、庭の東屋で情熱を教えてくれた男性。今、兄の不正を許してほしいと懇願する彼女に、無慈悲にもバルサザールは、その身を投げ出すならと迫った。嵐のように荒々しい黒い瞳がときに悪魔を思わせる、尊大な彼の強烈な魅力に抗えるはずもない…。ケンドラは熱い行為へといざなわれたー。3カ月後、彼は突如現れて言った。「君は妊娠しているはずだ」どういうこと?まさか、おなかの子を取り上げるつもりなの?
ロザリーは、清掃員をしながら病弱な母との生活を支えてきた。ところが母亡きあと、サンドロスと名乗る魅惑的な男性が現れ、故国ギリシアで成功した彼女の父親に頼まれ迎えに来たと告げた。驚きと喜びに舞いあがるロザリー。だが、初めて対面した父親は娘を温かく抱擁することもなく、サンドロスと結婚しろと命じた。彼の名家の血が欲しいからと。打ちのめされるロザリーだったが、父親の会社との合併を望むサンドロスは便宜結婚を提案してきた。半年だけ結婚すれば、離婚時に相応の手当を出す、と。ロザリーは抗えなかった。すでに彼に心を奪われていたから。
元夫の暴力から逃れ、旅に出たサミアは、立ち寄った町で野性的なのに品格と威厳を感じるハンサムな男性と出会った。豪華ヨットのクルーらしいそのルカという魅力的な男性は所持金が底をついた彼女に仕事を紹介するとヨットに誘う。だが黒い帆と黒い船体を目にして、サミアは息をのんだー彼は“海賊王子”の異名を取るマドレナ王国の王子ルカだった!しかも彼に王位を継ぐには花嫁が必要だと言って便宜結婚を持ちかけられる。出会ったばかりの住む世界のあまりにも違う男性がなぜ?だがすべてを失った彼女に、選択の余地はなかった。
清掃のアルバイトをしながら自活する苦学生イジー。ある朝、受け持ちの高級アパートメントに合鍵で入ると、バスルームからエキゾチックな男性が半裸で出てきた。気づいたときには、ラフィクと名乗る彼とベッドの中ーだが夢のようなひとときのあと、冷たく追い出されてしまう。1カ月後、あろうことかイジーは妊娠していた。調べると、ラフィクはなんと中東の国の皇太子だという。必死の思いで訪ねていったイジーが子を宿していると知るや、彼は一方的にイジーを妻にすると宣言した!
この手で命を奪うはずだった相手に、 身も心も奪われてしまうなんて……。 ステラはホテルの一室で眠る男に、震える手で銃を向けていた。 富豪ダンテ・カルディナリ──兄を死に追いやった男の息子だ。 私には無理よ……。でも、父の命令に背くことは許されない。 ところが目を覚ましたダンテの天性の魅力に篭絡され、 虜となったステラは、あろうことか純潔を差しだしてしまう。 5週間後、スラム街の貧しいアパートメントに身を潜めながら、 ステラは怯えていた。どうしよう、まさか妊娠するなんて。 そこへ突然ダンテが現れると、傲慢にも言い放った。 「きみをここから連れていく。もちろん……おなかの子もだ」 感情を揺さぶる描写を大切にしつつ、印象的な登場人物たちによるテンポのよい会話で読ませると評判のジャッキー・アシェンデン。本作では思いがけない妊娠から始まるロマンスを描きます。
婚約者に裏切られ、傷心のハンナはギリシアを訪れた。ホテルのバーに足を踏み入れると、謎めいた男性が目に入った。物憂げな横顔に瞬時に魅了されたハンナは彼に誘惑されるまま、抗うこともできず、情熱の炎に身を投じてしまう。翌朝目覚めると、置き手紙を残して一夜の恋人は消えていた。レオニダス・スタサキス?彼が有名な大富豪だったなんて!程なく妊娠に気づいたハンナは勇気を奮って彼の元を訪ねるが、返ってきたのは氷の刃のようなプロポーズだった。「これは義務としての結婚だ、愛を夢見るな」
幼い娘を女手一つで育てるジュリエットは、細々と営むサンドイッチ店が倒産したショックで運転を誤り、高級車に追突してしまった!車から優雅に降り立ったのは、セクシーなスペインの大富豪でプレイボーイと悪名高い、ラファエル・カシージャスだった。震えながら詫びるジュリエットに、彼は驚愕の提案をする。「君に僕の妻になってもらいたい。報酬は500万ポンドだ」そんな大金があれば今の苦境を乗り越え、娘を幸せにしてやれる。でも、なぜこれほどゴージャスな男性が私なんかに…?
ポピーは両親に顧みられず、祖父母に引き取られて育った。今は祖父は亡く、祖母と幼い娘リリーと暮らしている。娘の父親は2年前、スペインでただ一度愛し合ったリコ。旅先でお金をだまし取られたポピーが、帰国費用を稼ぐためメイドに雇われた公爵家の御曹司だ。ひと目見た瞬間からリコに恋していたポピーは、彼に身も心も捧げた…。でも翌日、帰国する彼女をリコは追ってはこなかったばかりか、婚約解消したはずの女性と結婚してしまったのだ。だがある日、彼は再び現れる。まさか娘を奪うつもりではー?実らなかった身分違いの恋を忘れられぬまま、娘を心の支えに生きてきたポピー。一方、リコは妻を喪ったあと、ポピーが娘を産んだと知って花嫁に望むが…。王道シンデレラ・ロマンス!
マディは、重い病を患う父の看病をしながらカフェで働く身。ある日、知り合った男性に頼み込まれて、恋人のふりをしているところへ、彼の兄レミレスが現れた。黒髪の優雅な男性にマディは目を奪われるが、それもそのはず、彼は世界中の女性の憧れの的、モンテゴヴァの皇太子だった。「君が弟と別れるなら、25万ポンド払おう。ただし…」彼は結婚を急かす母のため恋人役を演じるようマディに迫った。父の手術代の工面に悩んでいた彼女は、迷ったすえ承諾する。やがて、彼はなんと便宜結婚を申し込んできてー。
「今日、おまえは結婚の申し込みを受ける」冷酷な父の言葉に、オリヴィアは絶句した。相手は会ったこともない異国の王。部屋を飛び出し、館の外への地下道を、涙をこらえひた走るーすると突然、白檀の香りのする逞しい胸板に行く手を阻まれた。鋭い声をあげ、力強い腕から逃れようともがくが、無駄だった。暗闇で長身の男の顔は見えない。ああ、私は誘拐されるの?だが抱き上げられたまま光射す場所に出た瞬間、目をみはった。ダヴィデ像のような猛々しい美しさ。たちまち心奪われた彼は、富豪ローマン・ラザロフ。政略結婚相手の親友だった!
世界的なホテル王ルーカス・ブラックストーンが催す盛大な舞踏会に、ブロンテは必死の思いで潜りこんでいた。清掃係の彼女が独りで育てている亡姉の息子が難病を患い、骨髄移植が必要だが、甥の父親も亡くなり、ブロンテは不適合。最後の望みは甥の伯父にあたるルーカスにかかっていた。だが彼はブロンテを一瞥するなり睨めつけ、ダンスに連れだすと強引に唇を貪り、罵ったー彼女の姉が金目当てで妊娠したと。違うわ!酷い侮辱に身を震わせながら、ブロンテは耐えた。悪魔にこの身を捧げてでも、あの子は守ってみせる…。貧しいながらもいとしい甥を守り抜こうとするヒロインの無垢な強さ。愛を信じず、その表し方もわからないヒーローの孤独と哀しみ。読み進めるほどにじわじわと目頭にくる…泣けるロマンス。