ジャンル : 外国の小説
買われた花嫁の涙はいつか、 愛の喜びに昇華するのかーー 幼い頃に両親を事故で亡くしたドミニは、伯父に愛情深く育てられた。 その伯父が今、窮地に陥っていたーー息子が会社で横領を働いたのだ。 会社の社長でギリシア人大富豪のポール・ステファノスは、 ドミニの伯父には内緒で彼女に取引を持ちかけた。 「君が僕と結婚するなら、事件は公にしないでおこう」 最愛の伯父を救うため、ドミニはうなずくほかなかった。 結婚式がすむと、悔し涙を流した。私はお金で買われた花嫁なのね……。 そしてドミニがハネムーン先から逃げ出そうとしているのに 気づいたポールが、恐ろしいほど静かに告げた。 「僕は君を放さない。僕の気がすむまで、君を捕まえておくつもりだ」 ハーレクイン・ロマンス日本創刊を前にサンプル本として選ばれた、巨匠ヴァイオレット・ウィンズピアの幻の名作! 15歳年上のヒーローは、じつはヒロインがまだ学生の頃から彼女の魅力に気づいていて……。耽美的な世界観をご堪能ください。紙書籍限定発売です。
名門の夫を望めない孤児の私が、 王子様に恋してしまうなんてーー。 亡き母の出自を知るために、三つ子姉妹はロンドンへ向かっていた。 道中、宿で次女イゾベルが中庭を散歩していると、金髪の男性が現れた。 「おお、黄金のアフロディーテよ!」芝居がかったしぐさで一礼する。 酔っているらしい。イゾベルは唇を引き結んだ。「通してください」 「キスと引きかえでどうだ? ぼくはプリンスだ」質素な服のせいで、 メイドだと思われたのだ。「プリンスはキスを迫ったりしませんわ」 イゾベルは慌てて逃げだした。不躾な人! でもとてもハンサムだった。 数日後、彼女はあろうことか、ロンドンの王妃の謁見の間で彼と再会する。 彼ーークラウディオ王子は三つ子姉妹の顔を見比べ、イゾベルに言った。 「はじめまして」と、意味ありげな表情で。 ああ、私ったら、本物のプリンスになんてことをしてしまったの! RITA賞受賞作家キャサリン・ティンリーの『子爵と出自を知らぬ花嫁』に続く出自不明の三つ子姉妹“ベルたち”を描く3部作の第2話です。爵位のある夫との結婚など夢のまた夢だったのに、正真正銘の王子様が、次女イゾベルを見初めてーー!?
過去をなくした美貌の貴公子を巡る、 煌びやかなダイナミック・リージェンシー! アマンダは見慣れない部屋のベッドで目を覚ました。 隣には緑色の瞳をした長身の見知らぬ男性が横たわっている。 うっとりするほどハンサムなその男性は笑みを浮かべ、 こちらに身を乗りだしてきたーー。いったい、何が起こったの? アマンダはびっくりしてベッドから落ちた瞬間、すべてを悟った。 この美しい男性と乗り合わせた馬車が横倒しになって 地面に激突したとき、彼はわたしを抱き締めてくれていた……。 大変! そのまま気絶したわたしたちは、夫婦と勘違いされたのだわ。 評判に傷がつくことを恐れ、アマンダは男性の妻を装い、 宿を出ようとした。ところがーー彼は記憶喪失に陥っていたのだ! Jと刻まれた金の指輪をはめた、優美な物腰の男性をジェイと名づけ、仕事を見つけてあげたヒロイン。ある日ジェイは、彼女に劣情を抱く男が襲いかかり間一髪のところを助けようとして頭を殴られた拍子に記憶を取り戻しますがーーその正体は驚くべきものでした!
画家になることの断念から「新しい小説」を書く作家へとみずからを変貌させた小説家クロード・シモンーー作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳。
漢詩は必ずしも中国由来のものばかりではなく、わが国の文学作品にも強く結びついている。では漢詩はどう日本で読まれてきたのか。そんな漢詩はどう教育のなかで教えられてきたのか。漢文教育の必要性をより客観的な観点から論じるための、読み歴史と教育の歴史がわかる。 定番化した「漢詩」教材を取りあげ、その受容状況と教材的な観点を柱として論じる。 日本における唐詩受容の変遷を、平安時代・五山時代・江戸時代・明治時代以降の諸書を通して詳細に俯瞰し、唐詩作品を教材的な観点から分析する。受容変遷については、精緻を極め、ときに戦争漢詩教材まで言及される。明治時代以降は平成、令和とつい最近のものまで視野に入る。 国語教育としては、近代教育における漢詩教材の取り扱いについて述べた「第一章 漢詩教育史ー近代教育から漢詩創作指導までの道程ー」は必読。国語教育としての漢文教材の位置づけに関して、考えるヒントを示す。漢詩鑑賞指導についてのコラムも多数掲載。 王翰「涼州詞」、孟浩然「春暁」、王維「陽関三畳」、李白「白帝城」、崔コウ「黄鶴楼」、杜甫「春望」、張継「楓橋夜泊」、白居易「香炉峰下」などの唐代名詩の受容状況と、教育の歴史がわかる本です。 【本書は国語教科書においてもなじみのある唐代の定番漢詩教材を取りあげて考察したものである。中国においてはそれぞれの詩語をもとに後世の漢詩作品が生み出されたことは論を俟たない。ただし、わが国では各漢詩人に立脚した作品論が多く報告されているものの、各詩語からの考察がなされることはほとんどなかった。これが本書の他書とは異なる画期的な点であろう。本書を一読していただければ、わが国で唐詩をどのように受容して日本漢詩を生み出してきたのか体感していただくことができるものと思われる。】……「序章 日本人と漢詩」より
文学賞に輝いた作品、教科書に掲載された作品などの代表作をはじめ、詩集10作から選んだ66篇を、詩人が時代とどのように呼応してきたかわかるよう年代順に配した日本オリジナル詩選集。 巻末の編訳者解説「小さなものたちと紡ぐ共生の詩」では、 詩人の来歴や、これまでに発表された著書について詳しく紹介している。 アン・ドヒョンが詩壇にデビューして40年以上が経った。 1980年代という韓国の激動期から詩壇を彩り続ける彼の作品は、 社会の変化に伴って主題が異なっている。しかし、 常に根底にあるのは「共生」だ。人と人、社会、自然との共生を 奥行きのある背景にして、目に見えないものごとを 目に見えるかのように日常の言葉で詩を書いてきた。 ーー五十嵐真希(編訳者解説より) 詩人の言葉 一部 生を希望へと前に進ませて(一九八〇年代) 二部 洗いたての陽ざし(一九九〇年代) 三部 水に乱文を綴る心だて(二〇〇〇年代) 四部 捨てられないわたしの脱け殻(二〇一〇年代以降) 編訳者解説 小さなものたちと紡ぐ共生の詩 編訳者あとがき
少年のイノセンスを瑞々しく描いたカポーティの名作を、村上春樹が新訳。1940年代アラバマ州の田舎町。母を亡くした少年コリンは遠縁にあたるドリーとヴェリーナの老姉妹に引き取られる。ドリーは妹との諍いを機に、コリンとメイドのキャサリンを連れてツリー・ハウスで暮らし始めるのだが……。初期の名作「草の竪琴」のほか、「最後のドアを閉めろ」「ミリアム」「夜の樹」の短篇3作を収録。
名作「怪談」の新訳版。小泉八雲氏が妻セツから聞いた日本各地に伝わる幽霊話を再話し、独自の解釈を加えた情緒豊かな作品。翻訳家・小宮由氏が10篇をセレクトし、朗読に適した美しい日本語訳でお届けします。
「児童文学書全情報」シリーズ全8冊分の人名総索引。「作品」および「挿絵画家索引」の人名を横断検索できる。「著訳者」部は15,526人、「挿絵画家」部は7,117人が引ける。
シリーズ第7巻「ブレーメンの音楽師」は、表題作のほか、「ヘンゼルとグレーテル」「六羽の白鳥」「杜松の樹」「うまい商売」など17篇を収載している。「ブレーメンの音楽師」は、長年、人間に飼われていたロバが老いて働けなくなり処分されそうになった。ロバは逃げ出し、道中で同じ境遇の犬、猫、オンドリと出会い、ブレーメンを目指す旅に出るが…。今でも世界中で愛され続けているグリム童話の代表作の一つである。ほかにも短い物語が多く読みやすく、世界で最も多くの言語に翻訳され、最も多くの人々に読まれた「グリム童話」の作品の数々が楽しめる。 ブレーメンの音楽師 ヘンゼルとグレーテル 手なしむすめ うまい商売 としよりのお祖父さんと孫 ならずもの 土をまるくもった おはか ひとつ目、ふたつ目、三つ目 三つのことば 森のなかの三人の小人 三まいの 鳥のはね 六羽の白鳥 わらと炭と豆 麦の ほ きつねと 馬 杜松の樹 なぞ
アメリカの作家、レベッカ・ブラウンの代表作を復刊。 逃れようのない死の前で、料理を作り、家を掃除し、洗濯をし、入浴を手伝う。 喜びと悲しみ、生きるということを丸ごと受け止めた時、私は11の贈り物を受け取った。 エイズ患者とホームケア・ワーカーの交流が描き出す、悼みと希望の連作短篇。 著者書き下ろし「『体の贈り物』三十年後」を収録。 金井冬樹の装画による新装版。 “横溢するケアに包まれました。ホームケアワーカーの「私」が派遣されるのは死の恐 怖に向き合う患者たちのところ。ケアする側が彼ら、彼女らの生を“尊重されるべき もの”として丸ごと抱擁するとき、曇っていた生がみるみる輝きを取り戻していく。 まさに奇跡のような贈り物。” 小川公代 “透きとおるような日本語で訳されたこの小説集における、死にゆく人々の生を支える主人公の冷静さ、 心身の痛みにたいする想像力の深さ、そこから生まれる交流のぬくもりは、 いま、世界でなにより大事なものに思える。” 木村紅美 汗の贈り物 充足の贈り物 涙の贈り物 肌の贈り物 飢えの贈り物 動きの贈り物 死の贈り物 言葉の贈り物 姿の贈り物 希望の贈り物 悼みの贈り物 謝辞 『体の贈り物』三十年後 二〇二五年版訳者あとがき
何度も作り直せばいい。器を焼くことは、心に明かりを灯すようなもの。 テレビ局の放送作家の仕事を突然辞めるはめになった30歳のジョンミンは、何ヵ月も抜け殻のようになり家に引きこもっていた。 ある日久しぶりに外に出て、歩いているうち、彼女はカフェと間違えて陶芸工房の扉を開ける。突然現れたジョンミンに、工房の主ジョヒは珈琲をふるまう。コーヒーのおいしさのわけは器にある、自分で作ってみない? というジョヒの誘いを受け、ジョンミンは陶芸教室に通い始める。 土の匂い、手を動かしてものを作る喜び、人懐こい猫、年代も悩みもさまざまな仲間たち。自分に向き合い、人生を見つけていくということ……。工房を舞台に繰り広げられる癒しと希望の物語。 手を動かすこと食べること。それが、力をくれる。
1930年代テキサス。愛を知らずに育ったエルサは、幸せな家庭を夢見た。やがて手に入れた夢は、大干ばつによって崩れ去る。飢えと絶望の中、彼女は決断を迫られる。愛する義父母とここに残るか、希望を求めて子どもと西へ旅立つか。試練を乗り越える女性の物語
五年前の強姦事件の被害者リザは控訴審の弁護をアリスに依頼した。アリスが調査を進めると、当時15歳のリザの嘘により誤審が下ったことが判明する。嘘をつかざるを得なかった少女の痛み、社会の偏見により歪む司法……法廷記者の著者が放つ繊細な倫理の物語
ブルトンが絶讃した狂気と幻覚の手記 ペルシア語文学史上に現われた「モダニズムの騎士」による、狂気と厭世に満ちた代表作を含む中短篇集。「人生には徐々に孤独な魂をむしばんでいく潰瘍のような古傷がある」--生の核心に触れるような独白で始まる「盲目の梟」。筆入れの蓋に絵を描くことを生業とする語り手の男が、心惹かれた黒衣の乙女の死体を切り刻みトランクに詰めて埋めにいくシュルレアリスム的な前半部と、同じ語り手と思しい男が病に臥しての「妻殺し」をリアリスティックに回想する後半部とが、阿片と酒精、強烈なペシミズムと絶望、執拗に反復されるモチーフと妄想によって複雑に絡み合う。ドストエフスキーやカフカ、ポーなどの西欧文学と、仏教のニルヴァーナ、イランの神秘主義といった東洋思想とが融合した瞠目すべき表題作とさまざまな傾向をもつ九つの短篇に加え、紀行文『エスファハーンは世界の半分』を収める。解説=中村菜穂 変わった女 こわれた鏡 ラーレ ハージー・モラード サンピンゲ 赦しを求めて 野良犬 三滴の血 ダーシュ・アーコル 盲目の梟 解説 エスファハーンは世界の半分 サーデク・ヘダーヤトの作品について(中村菜穂) サーデク・ヘダーヤトの作品一覧
漢詩を愛好・研究する著者が、数多の文献・資料をもとに蒐集した中で、日本の古代から近代に至る歴史上の人物368名(菅原道真から田中角栄に至る)の作品をまとめた漢詩集。作者各人の世代の葛藤や生きざまを詠んだ作品を14の分野ごとに鑑賞。付記として、時代を概観する年表、読み下し文(ルビ付き)、詩語の注記、人名索引、出典・参考文献を収載。 1.菅原道真 2.禅と五山文学の漢詩 3.貴族・武将の漢詩 4.日本と中国・海外に関わった人々の漢詩 5.良寛 6.水戸光圀 7.日本の田園漢詩 8.儒学者、医学者、画家達の漢詩 9.頼山陽 10.広瀬淡窓と日田咸宜園の詩人達 11.横井小楠 12.西郷隆盛 13.幕末・明治の志士達の漢詩 14.近代の漢詩人
ジャングルの王さながら野性的で、光り輝くばかりの堂々たるオーラ。17歳のエロイーズは、兄の親友でギリシアの大物実業家コンスタンティン・ガラニスに、一瞬で恋をしたー。だが兄が事故死し、6年後、生活は困窮を極めていた。強欲な継父に学費も生活費も奪われ、今は母の連絡先もわからない。ある寒い日、妖精の扮装をして高層住宅でのアルバイトに出向いた彼女は、エレベーターで凍りついた。憂いをおびたハンサムな横顔ーコンスタンティンだわ!驚きつつペントハウスでのディナーに誘ってくれた彼に、エロイーズは悲惨な身の上を語りだす。気づけば彼の胸に抱かれ…。
生活苦の中、報酬のいいパーティで給仕をしていたエデンは、カルタナのアザール皇太子にいきなり逮捕されそうになった。罪を犯したと言われるが、彼女にはまるで心当たりがなかった。翌日、エデンが息子と出かけて自宅へ帰ってくると、またしてもアザールが護衛の者とともに現れ、彼女を尋問した。我が子と皇太子を見比べて、エデンはとてつもない真実に気づく。事故で記憶を失い、息子の父親が誰なのかわからなかったけれど、この子はアザールにそっくりだし、銀色の瞳も同じだ。まさか…私の子供はカルタナの皇太子の子供なの?
罰と知りつつ、彼女は結婚を受け入れた。 ただ、彼に愛されたい一心で。 両親を亡くし、住む家を失ったサラにとって、 自分を受け入れてくれた祖母は、なによりも大切な存在だった。 だから、心臓が悪い祖母のためと言われると、 大富豪ルークとの結婚を断る理由が見つからなかった。 彼は、亡き妻の肉親である私の祖母を安心させたいだけ。 しかも継妹の嘘を信じ、私を財産めあての女と思っている。 つまりルークは私に、妻という罰を与えるつもりなのだ。 けれど前に彼からされた、熱く強引なキスの記憶がよみがえると、 無垢なサラの胸は、おびえつつも小さくときめくのだった……。 どういう運命のいたずらか、真実の愛にあこがれる純真なヒロインが初めて恋い焦がれたのは、彼女を誰よりも嫌うヒーローでした。夫となってからも、彼は妻をベッドでは求めながらも、しいたげるのをやめません。ロマンスの女王の実力が冴えわたる作品です!
彼にとっては、利用できる道具だった。 私の愛も……二人の赤ちゃんさえも。 その夜、メイドのレイニーは強欲でわがままな伯爵夫人に従って、 モナコの王族が主催する舞踏会にいた。 そこで突然、世界的な億万長者カシウスからダンスに誘われる。 気づいたとき、レイニーは彼のペントハウスにいた。 「僕が君を喜ばせられなかったら、1千万ドルやろう。 だが喜びを味わえたなら、僕の子供を宿してもらう」 カシウスの冷酷だが熱い誘惑に、無垢なレイニーはとまどった。 バージンの身で彼に従ったのは、病弱な祖母と盲目の父に お金を送るため? それとも……彼が運命の男性だと信じたため? ハーレクイン・ロマンスに欠かせないトップ作家、ジェニー・ルーカス。冒頭の、伯爵夫人の白い高級毛皮にヒロインがコーヒーをこぼすシーンを読んだら最後、ページをめくる手がとまらなくなるはず。ロマンスのジェットコースターを、どうぞお楽しみください!