1988年10月1日発売
会議に出席のため、深夜、友人から借りたパリのフラットにたどりついたロレッタは、無人のはずのそこの寝室に男が眠っているのを発見した。彼女はやむなく別の寝室で一夜を過ごしたが、翌晩、今度はそこに血染めのシーツを見つけた。殺人事件が起こったような状況だった。だが、そうなると死体はどこに?前夜の男は、被害者なのか、加害者なのか?ロレッタは、フラットに残された一冊の本を手がかりに、真相究明に乗り出したが…。大学の女教師が巻き込まれた殺人事件の意外な真相をみずみずしい筆致で描く、英国新鋭作家の作気あふれる秀作。
1920年代、ジャズの鳴り響く黄金時代のパリ。冬霧に濡れたモンパルナスの石畳に、紫煙たなびくカフェに、アールデコの衣裳をまとった人々が群れ集う。そんな華やぎをよそに、ひっそりとパリに流れてきた女マリヤは、ある日突然ささやかな安寧をも奪われた。ポーランド人の夫ステファンが、美術品窃盗の罪で逮捕され、刑務所に入れられたのだ。そこへ手を差しのべてきたのは、同じ英国人のハイドラー夫妻-パリの芸術家のパトロンとして有名だった。マリヤは夫妻の自宅へ引き取られ、カフェへ、ナイトクラブへ、三人で繰り出す夜が続いた。やがて、ハイドラーがマリヤに言い寄ってきた。はじめは拒絶して出て行こうとしたマリヤだが、夫の浮気を黙認する妻ロイスに引きとめられ、よるべなさについハイドラーに身をまかせてしまう。そして引きずりこまれていく愛の罠-。ジェイムズ・アイヴォリイ監督が惚れこんで映像化した、英国女流作家の秀作。
ベトナム戦争の英雄の兄と、美しい詩人の姉と、フットボール・コーチのトム・ウインゴと-これは三人の育ったサウス・キャロライナの大自然の物語。そして暗い過去を秘めた家族の物語。また激しい闘いと情熱の物語。そしてマンハッタンに花開く愛の物語。アメリカで記録的ロングセラー!
ベトナム戦争の英雄の兄と、美しい詩人の姉と、フットボール・コーチのトム・ウィンゴと-これは三人の育ったサウス・キャロライナの大自然の物語。そして暗い過去を秘めた家族の物語。また激しい闘いと情熱の物語。そしてマンハッタンに花開く愛の物語。
貧しい殿上人の娘・六の宮の姫君は、新婚のつかの間のしあわせもむなしく、陸奥へ赴く夫と五年の約束で悲しい別れを強いられてしまったが…。『今昔物語集』を中心に、『古事記』や『お伽草子』、江戸時代の書物などに材を得て、原話の持つ自然の面白さを新鮮な語り口で描き、説話文学のおおらかなロマンを堪能させる好読物。
敗れゆく者に捧ぐ-長篇書下し小説。海運界の覇者と派閥の領袖。二つの顔を巧みに操り、総理・総裁をめざした男の熱き野望と波瀾の半生…〔三光汽船と河本敏夫〕をモデルに元一等航海士・谷恒生が書下す真実のドラマ!
六千枚に及ぶ「魔法陣」シリーズの記念碑的大長篇ミステリー!医療ミスによる死亡事故に端を発した連続殺人事件…。本シリーズでお馴染みの梶記者と真部警部が活躍!
〈魔道神話1・2のあらすじ〉ヒマラヤの魔道行者ジャハーシンラは、全宇宙の支配者たるべく、失われた真言を求め、日本へやってきた。竜神の裔であり、超人的なカンフーの達人・竜門剛と丹の比売神子との間に生れる子が、その真言を有するのだ。真言をめぐって、CIA特別顧問N・ハーツバーグや葛城一族の再興を計る夢の暁円と葛城の姫・環、謎の雲水・木喰の山楽、紅の民の長・蹈鞴道雲など、敵味方混然とした抗争が続き、遂に三輪山の志貴是範の屋敷で闘いは頂点に達した。まさにその瞬間、雷鳴が轟き、ドラゴンの水柱が奔しり、剛と比売神子は結ばれた。
死ぬことはなかったのだ-紀元前1496年、エジプト女王・ハトシェプストは自ら建設した巨大な葬祭殿の前にたたずみ、自害した忠臣・センムトに思いを馳せていた。葬祭殿建設の最大功労者であり、愛人でもあったセンムトを、女王は忘れることができなかった。葬祭殿の一角に自らの像を刻んだことが発覚し、毒を仰いで死んだセンムトを-それから150年後、「死人起し」と呼ばれ、かつて凄腕の墓あらしだったパキの許に、昔の仲間が転がり込んだ。葬祭殿で死んでいる筈の女王を見たというのだ。パキの冒険が再び始まる…。書下し長篇英雄活劇。
会員20万人、日本舞踊界最大流派・草柳流家元の草柳少緑は、実質的な家元の座を一人娘の夏子に譲っていた。が、実力の伴わない夏子に対する反発が次第に高まり、逆に夏子は、批判に対して厳しい制裁を加えていた。そんな折り、草柳流筆頭後継者の流山竜子が、夏子を無視して単独公演を計画、夏子は、強力なスポンサーを紹介するという名目で竜子に近づくが…(「姦通」)、他9篇を収録。社会派ニュー・ロマン。
長州から京に戻った鞍馬天狗は再起を期して白河三位との連携を計るが、勤王派公卿の連判状を握る裏切り者・梶谷主馬が白河卿に付きまとっていた。一方、杉作の手習いの師匠・香取任蔵は新選組隊士斬殺の容疑で捕えられ、その間に香取宅から海北友松作の名画が盗まれていた。連判状の隠し場所は?盗まれた名画はどこに。吉兵衛と杉作を従えた勤王の志士・鞍馬天狗が幕末の京を舞台に活躍する傑作時代長篇。
〈私〉のライセンスが再交付された。とたんに父親捜しの依頼が舞い込んできた。恋人ケリーとのよりも戻ったし、幸先のよいスタートだった。ところが、〈私〉はとんでもない殺人事件に巻きこまれたらしい。浮浪者になって行方不明だった依頼人の父は殺され、妹も姿を消してしまった。もと砂金の町、オロビルを舞台に十五年前の殺人事件が暴きだされ、新たな殺人劇が…。好調、“名無しの探偵”シリーズ最新作。
ロシアはアシュウィールドにとって禁じられた国だった。彼は以前、情報機関に属していたからだった。そんな彼がある日、元の同僚から1か月レニングラードに行かないかと誘いを受けた。語学研修コースに参加するだけでいいというのだが…。偉大なロシア文学と革命の地である、古都レニングラードの夏を舞台にくりひろげられる異色のスパイ・ミステリー。「プルトー・クライム賞」受賞作。
イギリスはホームズを生んだ国だけあって、シャーロッキアンも数多く、そうそうたるメンバーが顔をそろえている。たとえば本書に登場する、「熊のプーサン」のA・A・ミルン、推理作家のドロシー・セイヤーズ、ディクスン・カーなどもそうだ。彼らはホームズ物語と作者ドイルをめぐって蘊蓄を傾け、多彩な話題をくりひろげる。本書はその有名なエッセイを集めた古典的なアンソロジーである。
ロサンゼルスの私立探偵ジェイコブ・アッシュはシルヴィアという挙動不審な女性の依頼で、彼女のフィアンセ、ホフマンの素子調査に乗りだす。彼は埋立て地の技師なのだが、政治家とも親しいらしい。また特殊な趣味も持っていることがわかる。ある日シルヴィアが車にはねられる…。ハメット=チャンドラーの伝統を引き継ぎながらも独自の手法で現代を描きつづけているユニークなハードボイルド作家、アーサー・ライアンズの傑作。
南房総の海岸で3人組の男に襲われた冴子と母。だが、心の傷が癒えた頃に母は突然自殺をする。一方、男たちが残した1枚のフィルムについて父は口を開こうとはしない。孤独に犯人を探す冴子だったが、男たちは殺されてしまい、ネガフィルムが示す16年前のある出来事を軸として公判が開かれた。両親の秘密が明らかになり、二転三転する審理の末に弁護側証人として出廷した意外な人物は?著者会心の本格推理。
奥多摩・青梅の神社で、高校生の死体が発見された。被害者は医学部進学を目指す秀才。しかも、系列大学医学部への推薦枠をめぐる不正を探っていた。続いて、ライバルの女生徒を教えていた東大生家庭教師も殺される。背後には巨大な黒幕が…。そして舞台は成田へ。斬新なアイデアと、卓抜なトリックを駆使した気鋭の本格推理。