1997年発売
麻薬の不法所持で勾留中の容疑者・中原雅美が留置場内で自殺した。彼女を死に追いやったものは!?担当の巡査部長・宇佐美は、背後に麻薬の麻売組織が絡んでいると推理し、部下と共に独自の捜査を開始する。生前の雅美を知るうち、その自殺に疑問を抱く宇佐美。一方、留置場内ではもう一つの事件が芽ばえつつあった…。宇佐美に組織の罠が忍び寄る!人間の闇を鋭く描く、書下し長篇ハード・アクション。
敗色迫る昭和19年末-母港呉に向かってひた走る巨艦があった。日本海軍に残された最後の切り札、不沈空母「信濃」である。追いすがる米潜水艦の魔手からどうにか逃げのびた乗組員たちだったが、このとき成し遂げた偉業にまだ気づかずにいた。彼らは海軍の希望を守り通すことで、呉で待つもう一艦に奇跡とも呼ぶべき幸運をもたらしたのである。翌20年4月、連合艦隊最後の水上部隊に出撃命令が下された。もはや生還の望みなどない第二艦隊死出の旅立ちであった。しかし二艦隊旗艦、帝国海軍いや日本が誇った世界最大で最強の戦艦の行く末を、神のほかに何人が知りえたであろうか…。誰も知らない「大和」の新たなる歴史が始まろうとしていた。
香港黒社会「開心」で、互いを支えに生きる隆之とアーサー。そんな二人の前に突然、義姉・マーゴが現れる。アーサー達から「開心」を奪うために策略を巡らすマーゴは、まず手始めにクレイグに近づき…。松岡なつきが贈る香港ノアール・ノベルズ、クレイグとジェイソンの過去を描いた書き下ろし番外編を加え、第二弾登場。
一見平凡な少年、安住繭。だが、愛する従兄弟、〓@51B3@の為にみせる貌は、ミステリアスなモデルAZUMIだった。誰もが虜になる、その魔性にも似た魅力は、危うい征服欲をも煽る蠱惑に充ちていて…。南のリゾート阿子島編と夜景きらめく香港編。2話をゴージャスに収録した衝撃のセンシュアル・ノベルズ、遂に登場。
南方を遍歴して医術をきわめた医〓は、瀕死の美少女〓@49A3@を救うことができるのか。名医の登場で新たな生彩を放つ巻。異色の孔子伝。古代中国の医術と呪術の対決。中島敦記念賞受賞。
おまえが今、抱いているのはおまえの死だ。おまえは、おまえの死を愛撫しているのだ。そう、そうやってもっときつく、もっと強く抱いておくれ。おまえが抱いている死は、おまえ自身になるのだから、おまえは恐くはないだろう。恐くはないはずだ。そんなにいとおしく愛撫してくれているもの。おまえの死を…屈折した若者の心と、生への歯軋り。
駅のベンチで拾ったピンクのトウシューズに恋した僕は、その持主の出現を心待ちにするー「アンジェリーナ」。猫のペーパーウェイトによって導かれたベストセラー小説とはー「バルセロナの夜」。佐野元春の代表曲にのせて、小川洋子が心の震えを奏でて生まれた、美しい10の恋物語。物語を紡ぐ精霊たちの歌声が聞こえてくるような、無垢で哀しく、愛おしい小説集。
1932年、資産家の家に生まれた本山高一郎は、アメリカへ修業の旅にでることになった。その前日、横浜で久しぶりに会った旧友の河坂から、一編の謎の探偵小説の原稿を譲り受ける。高一郎は大型客船・氷川丸の船上の人となるが、この原稿の謎にせまるうちに数々の不可解な出来事に遭う…。
1936年、北京。劇団員と荷物を山積みにした馬車隊が、古びた劇場の到着する。その場所はかつて壮麗なオペラハウスだったが10年前火事によって廃墟となり果て、当時大人気だったスター、ソン・タンピンも焼死したと噂されていた。その夜、タンピンに憧れる若き劇団員ウェイチンは不思議な歌声を耳にする。そして暗い劇場を走る去る女の姿。すべては幻影なのか、それとも…?管理人のマー老人はその歌声の秘密を静かに語り始めた…。