2018年発売
小学6年生の広瀬ゆうは「キッカーズ」のエースストライカー。裕福な家庭で育った秀才の蓮、かつて不登校児だった茂、チーム唯一の女子選手みすずたちとともに、全国大会出場を目指していた。ゆうの憧れは、かつてJクラブにも誘われたことのある父親だった。しかしその父はもうこの世にはいない…。ゆうは父の遺した言葉を胸に、仲間との衝突、ライバルとの対決、チームの崩壊危機など、様々な困難に立ち向かっていくー。若さと情熱ほとばしる爽快青春ストーリー、開幕!
気丈で働き者のおせんは、おとなしく控えめな庄吉と、乱暴者だが闊達な幸太の2人から相次いで求愛を受ける。幼さゆえに同情と愛とを取り違え、上方に修行へ行く庄吉の「待っていてくれるか」という言葉を受け入れた彼女は、しきりに会いに来る幸太のことをすげなく突き放す。たいへんな大火事が起きたのはそんな時だった。おせんは病気の祖父をかばって逃げ遅れ、窮地を救ってくれた幸太は、火に追われ逃げ込んだ川の中で、濁流にのまれ命を落としてしまう。火事で一切の身寄りをなくしたおせんは、幸太と不義を働いたという根も葉もない噂で心身ともに追いつめられてゆく。追い打ちをかけるように、月日を経て再会した庄吉からも幸太との不義を疑われ、婚約破棄を言い渡されてーー。火事から町が復興し、柳橋がかけられるまでの日々に起きた、おせんという一人の女性の哀しくもたくましい愛の物語。他「生きる」ことへの悩みに真正面から向き合った『しじみ河岸』を加えた中編2作による名作集。
彼女の自殺に妻は関与していたのか、それともー。濃密な親子関係から生じた歪みを描いた「氷雨降る林には」。死人のように青ざめた顔をしたその歴史のある街は、その日、死装束のような濃い霧に包まれていたー「閉じ箱」。死んだ母親と名付親の作家。献本に記された宛名に秘められた真実とは?「美樹、自らを捜したまえ」等。著者初の短篇から異色作まで独特のレトリックで集成された傑作ホラー・ミステリー短篇集。
悩める九十九三蔵の前に姿を現わした真壁雲斎。大鳳吼と久鬼麗一のキマイラ化を抑えるべく奔走していた雲斎は、亜室健之から聞いたキマイラの歴史を九十九に語り始める。その内容は驚くべきものだった。一方、フリードリッヒ・ボック一味に拉致された織部深雪を助けるべく立ち上がった菊地良二は、戦いの末敗れ、捕らえられた建物の一室でボックの仲間と思われる久鬼にそっくりな謎の少年と対峙する。キマイラの秘密に迫る19巻!
恋に落ちるときは、理屈じゃない。たとえそれが永遠に続くものでないとわかっていても…。マイアミでプロ・テニスプレーヤーとして奮闘する可奈と、はからずも“不法入国者”となってしまったジャマイカ人の青年。NYのバーでピアノを弾く絵未と、脚本家志望の風変わりな男。2つの出会いには、切ない期限があったー。試行錯誤しながらも、前を向いて歩く女性のしなやかな強さをさわやかに描く。スウィートでビターな恋愛小説。
地方の寂れゆく温泉町、津雲。父の亡き後、残された食堂『ののや』を守る継母の奈央と高校生の真子。支え合う暮らしの中で真子は、奈央を一人残して都会に進学することを迷っていた。ある晩、訳ありげな青年が客として現れるが、やがてとんでもない事件に発展する。「帰る場所がある。だから人は旅立つことができる」-小さな食堂を舞台に、精いっぱい生きる人々の絆と、少女の成長と旅立ちを描いた傑作長編。
謎の失踪を遂げた夫の良太を追って、鎌倉から江戸にやってきたはな。だが、疲労と空腹のあまり日本橋で倒れてしまった彼女は、巾着を盗まれ、小石川養生所に運び込まれてしまう。失意のはなを見かねた御薬園同心の岡田弥一郎は、住み込みで働ける一膳飯屋「喜楽屋」を紹介するのだった。料理の腕を活かして、夫捜しを続ける覚悟を決めるはな。女将と客たちとも打ち解けた矢先「喜楽屋」である騒動が巻き起こり…。
商店会長の鶴の一声でまちおこしのためAV監督修業をする事になった知春。てんやわんやで東京へ、業界取材をしていくが、実は彼はエロに接すると気絶してしまう体質!この男に今回の任務が果たせるか!?しかし現場で「お前は史上最強の童貞」の一言。なんと知春は気絶中に…!?そして幼馴染で今は女優のるみ子と会い…。まちおこしの行方は、知春の運命は!?疾風怒涛、「ところどころホント!」(著者談)のAV純愛物語。
幼少期のできごとが原因で男性不信のミサ。幼なじみで同居中のミカの失恋を癒やすために行った台湾で、思わぬ事件に巻き込まれー。(「シェアメイト」)知らない男が勝手に住み着いた母の実家。追い払おうと決意した麻美に起こった悲劇とは?(「おばあちゃんの家」)偶然見つけた、理想的な間取りの邸宅。住み込みで働けることになった女は、執着を強めていく。(「魔取り」)女と住まいをテーマに様々な種類の恐怖を描いた短篇集。
霊が見えるホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』での連載を目指して、担当編集者の善知烏とネタ探しを続けていた。フィクションの存在のはずの怪人、さびれた大観音像の内部に棲みついた霊、不遇のアーティストが死を遂げた呪いの屋敷…。ついに連載が実現しようとしたとき、ひるんだ熊野に対して善知烏が「欲がなさすぎる」と怒り、ふたりは険悪に。熊野が胸に秘めている、“書かなければならない理由”とは?
ついに長編の執筆を始めた御崎禅。しかし、御崎のもとには人外の存在が絡んでいる事件が相変わらず持ち込まれており、新作の進捗状況が気になる担当編集のあさひは気が気ではない。そんな中、都内に人狼が現れたとの情報が入る。1年ほど前に起きた連続猟奇殺人事件や、警視庁異質事件捜査係に協力している吸血鬼について探っているらしい。御崎とその人狼には因縁があるようで…。新作完成目前に、あさひ達に危険が迫る!!
父の後を継ぐため、見習い同心となった野呂丈一郎は、不器用で文字通りの馬鹿力だけが取得。ある日、上役から例繰方同心の香川景蔵に会うよう勧められた丈一郎は、与力の認める切れ者が気になり、訪射る決意をする。いざ訪問してみると、香川は飄々として驚きもせず丈一郎を受け入れるのだった。翌朝、昌平橋付近で髪を切られた女の死体が発見された。奇怪な事件を任されることになった丈一郎は、初めての探索に乗り出すが…。
1940年5月、ヒトラーはすでにチェコスロバキア、ポーランド、デンマーク、ノルウェーに侵攻。ヨーロッパを征服すべく準備を進めていた。フランスは陥落寸前、イギリスの緊張が高まるなか、新首相として指名されたのはーウィンストン・チャーチル、65歳。ドイツの圧倒的な軍事力に戦いをあきらめてヒトラーと交渉すべきという意見を退け、新首相は戦うことを決断する。アカデミー賞映画小説版。
聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠は、王命を受け、次の大神官を決めるために必要な「奇蹟の少年」を探している。彼が持つ「慧眼」は、人の心の善悪を見抜く力があるという。しかし候補となったのは、山奥育ちのやんちゃな少年、天青。「この子にそんな力が?」と疑いつつ、天青と、彼を守る屈強な青年・曹鉄と共に、鶏冠は王都への帰還を目指すが…。心震える絆と冒険を描く、アジアン・ファンタジー!書き下ろしあとがき付き。
徳川四代将軍家綱の死去と同時に、劇的な政変が勃発。新将軍には、若年寄堀田筑前守が擁立する綱吉が就任、それまで権勢を誇っていた大老酒井雅楽頭は失脚する。それに伴い、公儀隠密の要職にあった伊賀組が解任され、替って根来衆が登用される。主命を受けた二人の根来忍者、秦漣四郎と吹矢城助は、隠密として江戸を後にした。だが、彼らの行く手には復讐の怨念に燃える伊賀忍者たちの執拗な妨害が…。傑作長猛忍法帖!
1938年、ロサンゼルス。私立探偵エリザベス・コルトと、助手の少女クリスタルは、“特殊な身体”と知恵を駆使し、奇怪な事件の数々に立ち向かう!パルプマガジンの表紙絵そっくりな惨殺死体、幻の特撮映画上映中に消えた人々、甦る十七世紀イングランドの錬金術…。型破りな謎と解決法、全編を貫くマニアックな薀蓄に驚嘆必至の5篇を収録。物語を愛するすべての人に贈る、痛快で風変わりなミステリー!グラマーな美人私立探偵&SFオタクの少女助手が、不可思議な事件に挑む!
札差屋を手に入れ、ますます商いに精を出す角次郎と大黒屋一同に、かつての敵、佐柄木屋が恩赦で江戸に戻ったという報せが入る。同じ頃、大目付・中川より、政商千種屋の企みがちらつく事件の調査を命じられた角次郎。息子で武士の善太郎と共に警戒を強める中、隙をつかれ舅の善兵衛が暴漢に襲われてしまう。背後には四人の男の影。一家は団結して仇討ちを誓うが、次の刃は意外な者へと向けられ…。「大目付御用」完結巻!
月で異星人の遺物が発見され、未発見の“帝国の遺産”を求めて、太陽系に新たなるゴールドラッシュが訪れていた時代。日本の中小企業の社員が小惑星帯で途方に暮れていた。一攫千金を夢見た社長に「宝探し」を命じられたものの、会社が倒産!食料はない。地球はおろか、どこに行く船賃もない。まさに島流し状態!だが、彼らにはひとつだけとっておきの代物があった。彼らは見つけていたのだ、驚くべき“帝国の遺産”を!スペース・オペラの真髄!