小説むすび | 2021年8月発売

2021年8月発売

存在しない時間の中で存在しない時間の中で

『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生きることの根源的な意味を問う“いま読むべき物語”の誕生。 「この世界は何ものかが創ったものだ」と証明されてしまったら、あなたはどうしますか? 「とんでもない作品に出会ってしまって震えている」「なんて怖い小説だ」「驚愕。なにこの設定……」など、発売前から話題沸騰!! 「<神>からの問いに、人類はどう答えるか? 『三体』に正面から挑む、究極の宇宙論ミステリー」 ーー大森望(書評家) ■あらすじ 世界各国から百名以上の研究者や大学院生が集まり、宇宙の始まりや仕組みなどの疑問に答えるべく日夜研究に取り組んでいる天文数物研究機関。 ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。 誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。 つまりその数式は、この宇宙、そして世界の設計図を描いた<何ものか>が存在する可能性を示唆していたのだ。 悪戯のように思えるこの不可思議な出来事は、日本だけなく世界中23もの研究機関で発生していた。 にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、<神の存在>にアクセスしようと試みる。 そして、その日から現実は大きく変わることになるーー。

シンデレラと秘密の天使シンデレラと秘密の天使

あなたの重荷になりたくなかった。 あなたの夢は、わたしの夢だから。 神様、お願いです。どうか人違いでありますように。 看護師クレアの祈りもむなしく、近づいてきた新任の医師は 忘れられない元恋人ショーンーー愛する息子ベンの父親だった。 8年前、クレアは彼の夢を邪魔したくない一心で彼のもとを去った。 そして密かにベンを産み育ててきたーー父親は死んだことにして。 どんなに辛くても、この嘘を一生背負って生きる覚悟でいたのに……。 千々に乱れる心を抱えながら、再びショーンに惹かれていくクレア。 真実を告げられないまま、家族ぐるみのつきあいが始まったが、 ベンの誕生日を知るやいなや、ショーンは激しい怒りを燃え上がらせた。 「きみがぼくを振ったのは、ほかの男の子供を産むためだったとはな!」 クレアのことを誤解し、失望して辞表を出したショーン。また彼を失うのは耐えられないと気づいたものの、勇気を出せないクレア。そんなある日、ベンが喘息の発作を起こして二人の病院に搬送され……。魅惑のドクターと健気なナースの、切なくも美しい純愛物語。

家族ゲーム家族ゲーム

意地悪な言葉ばかりかけてくるのに、 なぜ私は彼を無視できないの……? 養母の死後、アントニアは自らの出生の秘密を遺書で知らされた。 21年前、実の母は若くしてアントニアを妊娠したことで勘当され、 出産後に娘を知人である養母のもとに養子に出したのだった。 今、遠い国の実業家の妻となった実母が、会いたいと言ってきた。 養母を失った悲しみに暮れていたアントニアだったが、 産みの母を見てみたいという純粋な気持ちで、招待に応じることにする。 現地へ飛び、母の住む邸宅を訪れたアントニアは、 傲慢さと威厳を漂わせた漆黒の瞳を持つ男性の登場にたじろいだ。 母の義理の息子ジャイメ・デ・アルメイダは、歓迎の意も示さず告げた。 「戦利品とともにすばやく帰国するのが君の目的なら、僕は許さない!」 魅力的ながら絶対君主のような態度をとる、血のつながらない義兄ジャイメからいきなり侮辱されたアントニア。やっぱりこんなところへ来るべきではなかったと後悔してみても、故郷にはもう家族はいなくて……。初版時、大好評を博した義兄妹ロマンスが蘇ります。

スター作家傑作選〜秘書は愛を胸に〜スター作家傑作選〜秘書は愛を胸に〜

社長秘書のフルールはひどく不安だった。勤め先の出版社の経営が、業界の“巨匠”キット・マローンによって引き継がれたのだ。新しいボスとなるキットは唯我独尊なプレイボーイらしいが、初めて顔を合わせた日、仕事について熱く語っていた彼が次に放った言葉に、フルールは甘やかな戦慄を覚えた。「これから僕の家に来てくれ」(『冷たいボス』)。ソレルは休暇中の親友から、出社前の上司のデスクに重要書類を届けてほしいと頼み込まれた。さもないとクビになると泣きつかれ、やむなく始業時間前に親友の会社を訪れたが、いかにも頭脳明晰そうな鋭い瞳の社員ケイレプに見咎められる。しかも、親友が旅から戻るまでの5週間、代わりにここで秘書として働くよう言われ…(『期限つきの秘書』)。貧しい家庭に育ち、家政婦をしながら大学を出たインディは、社会で成功するのが夢。週末、雇い側の家を訪れた際、誤って寝室に入り、客人の大富豪パーカーの一糸まとわぬ姿を目撃してしまう。厚い胸板に、引き締まったおなか。なんてセクシーなの!まさか彼の秘書を務めることになるとは、インディはまだ知る由もなくー(『胸騒ぎのオフィス』)。

緑の乙女に口づけを緑の乙女に口づけを

「いつも白衣を着ているように」 彼はなぜ、私にそんなことを求めるの? 夜勤の日、看護師のジョージーナが交通事故に遭った子どもたちを 手当てしていたところへ、背の高い見知らぬ男性が現れた。 父親だろうと思って接していたが、じつはオランダの高名な医師で、 子どもたちの後見人のユリウスだということがわかる。 勤務を終えて眠りに就く前、彼女はユリウスのことを思い出した。 すてきな人にぴったりの名前ね。口元もとてもやさしげだった……。 その後も、気づくと彼のことを考えてしまうジョージーナだったが、 ただの看護師が名医に恋するなんてと、慌てて想いを打ち消した。 ところが後日、彼女は憧れのユリウスから思わぬ申し出を受ける。 「住み込みの看護を頼みたいので、君を借りることはできないか?」 働き者でみんなから慕われているジョージーナは、ユリウスに誘われて彼の屋敷で働くことになります。やがて子どもの怪我が回復したら、嬉しい一方で、ユリウスと会うことももうなくなるのかと考えると暗い気持ちになるのでした。1970年代の貴重な初期作です。

人間襤褸/夕凪の街と人と人間襤褸/夕凪の街と人と

「原子爆弾は近代の世界的な性格破産を示したものだ。 人類はこれからもっと崩れて行き、 最後に精神を破産させてしまうのではないか」 (『人間襤褸』より) 被爆後の市井に生きる人々の姿を活写した 代表的長編『人間襤褸』『夕凪の街と人と』ほか、 短編「半放浪」、そしてエッセイ九編を収録。 大田洋子の作品は、決して忘却してはいけない、 被爆者の記録そのものである。 【収録作品】 人間襤褸 夕凪の街と人と 半放浪 海底のような光ーー原子爆弾の空襲に遭って 一九四五年の夏 『屍の街』序 作家の態度 生き残りの心理 文学のおそろしさ ノイローゼの克服 行進ーー死者の魂への共感 十五年たったというけれど 【解説】 「忘却できぬ原爆の記録の継承 ーー今を問い未来に発信する烙印としての表象」 (長谷川啓) 人間襤褸 夕凪の街と人と 半放浪 海底のような光ーー原子爆弾の空襲に遭って 一九四五年の夏 『屍の街』序 作家の態度 生き残りの心理 文学のおそろしさ ノイローゼの克服 行進ーー死者の魂への共感 十五年たったというけれど 【解説】 「忘却できぬ原爆の記録の継承 ーー今を問い未来に発信する烙印としての表象」 (長谷川啓)

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