2022年3月発売
女とは、階級とは、国とは、人種とはー。海を越え、運命を切り拓く少女たちの物語。構想10年。国際アンデルセン賞韓国候補作家が、日本軍慰安婦、対日協力者、アメリカ日系人収容所など、複雑な日韓の近現代史を、女の視点から描く傑作エンタテインメント。人間は複雑で多面的な存在で、完全な善人も悪人もいない。誰もが自らの欲望や利益を前に、揺れながら生きている。人間を日帝強占期という歴史の枠組みに閉じ込めて、二分法的に描きたくなかった」--イ・グミ(本書より) 2018年度国際児童図書評議会オナーリスト選定図書。 「貧しく低い身分で、女として生まれたのは、自ら選んだことではない。植民地の民となったのも、国に力がなかったからだ。なのに、苦しみは個人や民が負わなければならない。」植民地期の朝鮮半島。貧しい生まれながら、韓国、日本、中国、ロシア、アメリカと、世界を渡り歩くごとに視野を広げ、勇気を蓄えていく少女、スナム。片や対日協力者の子爵の娘として生まれ、同じように世界を渡り歩くことで現実の厳しさを知っていく少女、チェリョン。蔦のように絡み合う2人の少女の人生を通して、日韓近現代史の複雑さ、そして歴史や国から自由になれない個人の、そして女性の人生を克明に描き出す。
「私たち…死ぬために、つながってるんだよね」「…せやな」「だったら、生きてる間だけでもさ、家族でいない?」かけがえのない大切な誰かのしあわせを祈る、せつなくも優しい命の捧げもの。
地方都市で暮らす三上咏子は、縫製工場でパートとして働きながら、高校生の翔琉と小学生の紗希、夫の丈史と平凡な毎日を送っていた。ある日の夕方、駅近くの商業施設から白い煙が上がるのを目撃。近くの塾に通う息子が気になり電話を掛けるが、「誰かが爆弾を仕掛けたテロだ」と興奮して語る様子に違和感を覚える。翌日、今度は市立図書館でも同様の事件が発生。いったいなぜこの町で、こんなことが?咏子は今まで気にも留めなかった、周囲の異変に気がついていく…。
日本文化史の大学教授・小宮山香織のもとに、教え子から相談事が持ち込まれた。山形の実家が所有する油彩画に、贋作の疑いがかけられたというのだ。明治期を代表する洋画家・高橋由一が描いたとされる《隧道図》は、真筆に近い特徴を持ちながら、いくつかの謎をはらんでいた。真贋を調べる香織はやがて、描画当時の事件が鍵を握ることに気づくがーー。 明治期の不可解な失踪事件、道路事業をめぐる百姓一揆、真贋不明の奇妙な絵、そして新たな殺人。 油絵が呼び寄せた謎の先に、驚天動地の真実が待つ!
米国南部の小さな町。16歳の双子は一緒に都会へとびだした。やがて姉は故郷に帰るが、その何年も前に妹は姿を消していた。いまは素性を偽り、裕福に暮らしているという。つながりは切れたかに見えた。あの日まではーー。米国170万部突破、西加奈子氏推薦
地球とコロニーである火星のあいだで戦争が起き、終結した。友好のため、火星の少年少女は使節として地球に送られるが、かれらは地球と火星のどちらにもアイデンティティを見いだせず……。「折りたたみ北京」でヒューゴー賞を受賞した著者の美しきSFドラマ
恋愛経験ないまま死んだら異世界トリップ!? 悪女の身代わりとして魔王様の生贄に! 食べられちゃう……と思いきや結婚希望? 淫乱と誤解され初夜から濃厚すぎるHを。 巧みな手で、舌で、そして巨根で── 何度も絶頂に導かれ、寝かせてくれません! 魔王様はテクニシャン、きっと経験豊富 ……と思いきやなんと私が初体験!? 独占欲たっぷりに毎晩、精を注がれて。 ついに懐妊。けれどまさかの事態が!? 最強&絶倫の愛を一身に受ける奥様ノベル!
いくら国境が隔てても、人の心はそれを飛び越える。分断を描く四部作の春篇。一人は、長年相棒だった脚本家を喪い悲嘆に暮れる老演出家。もう一人は、移民収容施設で心を殺して働く若い女。絶望を抱え、それぞれ北の国にたどり着いた二人は、不思議な力を持つ少女との出会いを通じ、人生の新しい扉を開ける。EU離脱に揺れ移民排斥が進むイギリスを描く、奇想溢れるシリーズ第三作。
笑いの大博覧会、完結!名翻訳家浅倉久志のライフワークである“ユーモア・スケッチ”ものを全4巻に集大成。最終巻は傑作展姉妹篇『すべてはイブからはじまった』とオンデマンドのみの刊行だった『ミクロの傑作圏』をカップリング。
山で生きてきた。国家など不要だった。都市の残酷に呑みこまれても、猟人の魂は生き延びる。記憶はいつも創造と壊滅の間でつなわたり。だから物語は書かれなくてはならない。 ワリス・ノカンの文章が、全球化社会に対する抵抗の線を引く。-- 管啓次郎 台湾原住民文学の旗手が描く、都市化された台湾の悲しみ。原住民の誇らしい魂が、都市化の波に呑まれ悲鳴を上げる台湾の現実。真の台湾を知るには避けて通ることのできない作品集。 目次 序 日本の読者の皆さんに ワリス・ノカン 作品舞台地図/凡例 第一部──記憶柔和 弔い 最初の狩猟 長い年月のあとのある夕暮れ タロコ風雲録 悲しい一日 独裁者の涙 野ゆりの秘密 女王の蔑視 失われたジグソーパズル 死神がいつも影のごとく寄りそう 第二部──都市残酷 奥の手 中秋の前 夜の行動 タクシー 小さなバス停の冬 この、もの悲しい雨 希洛の一日 銅像が引きおこした災い 私の小説「先生の休日」 ムハイス コウモリと厚唇の愉快な時間 第三部──山野漂泊 虹を見たか タイワンマス 人と離れてひとり暮らす叛逆者、ビハオ・グラス 父 初出一覧 訳者あとがき 下村作次郎
共感&感動! 30秒で泣ける、切ない恋の超短編 140字で綴られる、恋の始まりと終わりーー。(以下、本文『後悔しないように』引用) 「もっと早く告白しておけばよかった」幼なじみの彼は言った。慎重なところが魅力な彼だけれど、今回はその人柄が裏目に出てしまったらしい。「元気出して」「まあ大丈夫。お前は俺みたいに後悔するなよ」こんな時ですら私の心配だ。でも、私はそんな彼のことがーー。「じゃあ、後悔しないように言うね」
異国から来た少女は、眠りの世界で魔女修行をする。「夜の都」を望む異界を訪れて。 魔女の「クダン」から教わるのは、妖精の鱗粉を触媒とした、月の姫から授かりし魔術。 亡者どもを追い払う任務を、世界を守る役目を、図らずも背負わされた少女の運命は。 圧倒的な想像力が世界を創造する、あまりにも美しく苛烈な、ヒストリカル・ネオファンタジー×魔法少女物語。 === 1920年代前半(大正時代)、父と義母とともに、『ガリヴァー旅行記』に登場する東洋の島国を訪れた14歳の少女・ライラ。 7日間を保養地のホテルで過ごすことになったライラだが、古い祠として祀られていた岩井戸で、底から湧き出た星のような小さな光の粉が眼に入ってしまう。 部屋に帰り猛烈な睡魔に襲われた彼女がベッドに倒れ込むと、なぜかそのまま真っ暗闇の空間を落下し、気が付くと見知らぬ場所にいた。 月のように巨大なシャンデリア、大理石の環状列柱が支える絢爛の大広間。 夢だと思ったライラが不思議な空間をさまようと、何処かで電話機のベルが鳴っている。 応答したライラに語り掛けてきた相手は、「月の姫より直々に眠りの魔術を授かりし禍の魔女」で「クダン」と自らを呼ぶようにと言った。 クダンはここが「星の界の異界」であり、空の彼方に屹立する摩天楼群を「夜の都」だと語るのだが……。 日本ホラー小説大賞出身作家、待望の第2作。 === 装画=朱華 「眠る島」 2021 夜の都 もくじ 古代東洋魔術の萌芽 西洋による再発見 魔道概論 各論、及び魔術過剰使用による危険性 決闘礼法 魔道再興計画要綱
数々の企業の上場にCFO(最高財務責任者)として関わったことで巨富を得て、半ば人生を上がってしまった行先馨。経済的には充足しつつも深い孤独を抱える彼女は、マミヤと名乗る弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される。そこでは中国を統一した「始皇帝」や、水からガソリンを精製した「本多維富」を自称する者たちが、カードゲームに興じていた。はたして彼らは何者なのか。そして人間は、欠落や孤独から解放されることで、ネクストステージへ進むことは真に可能なのか。芥川賞作家が鋭い筆致で挑む、超現実の新地平。
限界集落に一人で暮らす老人の「いきがい」とは 娘一家の来訪を心待ちにする独り暮らしの和子。ここは琵琶湖の北、山間部の地であ る。田舎だが小さな畑で野菜を作りながら僅かな年金で暮らしている。横浜に住む 娘は一緒に住もうと言いだすが気が乗らない。アメリカに住む一人息子もまもなく日 本に帰ってくると言う。彼もまた和子の行く末を案じている。ここは何もないとこ ろかもしれないが……。他3篇収録
「隅田川御用帳」シリーズの著者が贈る、人情時代小説。書き下ろし2篇を含む3篇掲載! よろず御用承り所『千成屋』の女将お吟は、悩みを抱える人々に今日も寄り添う。 日本橋でよろず相談を受ける千成屋のお吟のもとに、京橋の呉服問屋・天野屋から依頼が舞い込んだ。四年前、娘のおはつの婚約者だった佐之助が何者かに襲われ顔に傷を負ったことから江戸を去っていたが、事件の犯人を捕まえたのが千成屋だった。今度はあそび惚けるおはつの今の亭主・多七を更生させてほしいという。おはつのため、多七について調べ始めるお吟だったが、やがて江戸を去ったはずの佐之助や、佐之助を切った犯人も江戸にいることがわかり……。 (「菜の花の道」より)