2023年3月発売
少年時代を過ごし、父母を見送った愛媛県新居浜市の家、劇団「第三舞台」を立ち上げた早稲田大学・大隈講堂裏。かけがえのない“場所”を通して人生の物語を描く。初の自伝小説集!
卵生生物の生殖を手伝う“孵化コーポ”でバイトしながら、自身は産むことがおそろしいうみ。美大の授業で才気煥発なみみと出会い、彼女の「産まれたくなかった」意志に触れー。中原中也賞受賞気鋭の詩人、存在の根源をめぐる初小説集。
「ジェイムズ・ジョイスの分身」にしてアイルランド独立運動に身を投じた20世紀の知られざる巨匠による奇蹟の短篇集。「すべて差しおいて欲しいものはありますか」-ある男の言葉で、夫婦の運命は動きだす。(「欲望」)旧友を道の向こうに見つけると、彼は死に物狂いで追いかけてきた。(「同級生」)3人の男女、20年の終わらない夢ー。(「月かげ」)輝くばかりの成功を求める男が、気に入らない部下を馘にしようと決意するがー。(「支配人」)ほか3篇。
新宿歌舞伎町。二日酔いで事務所に現れた竜次は、今日も事務員の頼子に咎められている。ワイルドターキーとジャズを愛する男の日常だ。指定された喫茶店で客を待っていると、やって来たのは大物代議士の秘書だという男で、首筋と額に脂汗を浮かべながら何かに怯えるようにガタガタと体を震わせていたー。過激なアクションを数多く経験してきた役者、工藤堅太郎が描く探偵小説の快作!
ここは、「ニッポン」誰も俺が「勇者」だなんて知らないー。ギスギスしたパーティメンバー間の軋轢に悩まされていたストレスフルな剣と魔法の国出身の勇者・アルフレッドはある日突然、神より予算イチマンエンを授けられワンダーランド「ニッポン」へ転送!食べて、飲んで、気の向くままに、癒しを求めて練り歩く!週に一度、24時間限定の至福の時間を満喫するお疲れ勇者の異世界探訪コメディが開幕!!
自社の社長が勇者として異世界に召喚され、それに同行する羽目になってしまった秘書の桃香。取引先となった異世界の担当者は、聖騎士という肩書きを持つ超美形の王子ヴィルフレッドだった。好みの属性てんこ盛りな彼に桃香の胸は躍るが、初対面から呼び捨てられたり、連日仕事場に押しかけてきたりと、中身は全然好みじゃない!なのに、言い寄る令嬢たちに困った王子の依頼で恋人役を演じるうちに、そばにいないと寂しくなっちゃうのはなぜ…?
忌み嫌われる魔女の力を持ってしまったことで、貴族令嬢としての恋や結婚を諦めているヴィオラ。身元を隠して魔女見習いをしていたある日、一目惚れしたという貴族紳士からいきなり求婚されてしまう。断固拒否するもお互い名を明かさないまま交流することに。彼の飾らない人柄に惹かれるが、なんとこの国の王太子フェンネルだった。絶対に正体を知られるわけにはいかない!情熱的なアプローチに心揺れながら、悩むヴィオラはある覚悟をして!?
高校2年生のなずなのクラスメイト鈴白くんが突然命を絶った。 彼は明るくて容姿も成績も良く、悩みがなさそうな人。だから自殺なんてしない。皆そう思っていた。 彼の悩みに気付いていたらと後悔が膨れ上がり、鈴白くんと一緒に作った思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願って眠ると、 翌朝なずなは一ヶ月前に戻っていた。あれは夢だったんだと安堵し、普通に毎日を過ごしていたが、彼はまた死を選んでしまいーー。 ループする中で、なずなは鈴白くんを救えるのか? 学校では教えてくれない大切なことの全てがここにある! 何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。
祝・30周年&映画公開!「タクミくんシリーズ」の魅力を完全網羅!おおや和美の豪華カラーイラスト。総勢200名以上に及ぶキャラクター紹介。映画のW主演対談&豪華キャストインタビュー。あの日の文化祭の舞台裏をえがいた未商業化SS『飛翔』。ごとうしのぶ×おおや和美スペシャル対談。『タクミくんシリーズ完全版(全11巻)』解説集。ほか豪華コンテンツを収録!
離婚を望む歌手である妻と、寡黙な技術者の夫ー離婚の審議にあたる判事と、野菜の研究者として生きる妻ー。二組の夫婦の姿を軸に、彼らをとりまく社会と家族の姿を描く。2020年、米国の「ライブラリー・ジャーナル」Best Books翻訳文学部門の10冊に選出。韓国、フランス、アメリカで翻訳出版された北朝鮮の文学作品。
近所の木に身も世もなく恋をする「五月」、地下鉄駅構内で死神とすれちがう「生きるということ」、他人に見えないバグパイプの楽隊につきまとわれる「スコットランドのラブソング」、恋人がベッドの中で唐突に浮気を告白する「信じてほしい」、クリスマスイブの夜、三人の酔っぱらい女が教会のミサに乱入する「物語の温度」…。重層的な物語に身をゆだね、言葉の戯れを愉しむうちに、思いがけない場所に到達する12の短篇集。
イングランド・ドーセットの海辺の町ディンマス。復活祭を前に人々の生活は活気づいている。教会運営に悩む若い牧師夫婦、海岸を徘徊する退役軍人とその妻、息子に家出された老夫婦、互いの親が再婚して同居するようになった少年と少女、そしてタレント発掘番組に出演することを夢見る孤独な少年ティモシー。やがて彼は悪魔的な言動で人々の平和な生活の裏に潜む欲望・願望・夢を暴き出していく…トレヴァーのダーク面が炸裂する群像劇にして、1976年ウィットブレッド賞を受賞した傑作長篇がついに邦訳。
雹と雨と雷鳴の狂乱とも形容すべきすさまじい嵐の夜、没落した名家バナーワース家の館の一室で眠るフローラは、ふと得体の知れない何者かが窓を破って部屋に侵入しようとしていることに気づく。恐怖で凍り付き、四肢を硬直させ、「助けて」とつぶやくことしかできないフローラが目にしたのは、血の気のない蒼白な顔、磨かれたぶりきのような目、深く裂けた唇、そしてぞっとするような瞳にも増して、なにより目を引く、白くぎらぎらした鋭い牙のような、猛獣のそれを思わせる突き出た醜悪な歯を持つおぞましい生き物であった。部屋に侵入した怪物は、不気味な咆哮をあげながらフローラに近づき、その長い髪を手にからめとって体をベッドに押しつけると、鋭い金切り声を上げるフローラの喉笛に牙のような歯を突き立てた。ほとばしる血潮が滾々とあふれ、室内にはそれを吸う異様な音が響いた…ヴィクトリア朝時代のイギリスで、週刊の安価な媒体に連載された“ペニー・ドレッドフル”の代表的な作品であり、以後のあらゆる吸血鬼作品や吸血鬼造型の原点ともなったゴシック・ホラー小説の伝説的作品、世紀を超えて、ついに刊行開始!