2024年10月11日発売
1968年、人より遅れて東京の大学に進学した恭平。ちょっとしたボタンの掛け違いから幼馴染みの雅子との関係が崩れ、無為な日々を過ごしていた或る日、清純で控えめな淳子と出会う。生きる目的を見つけ、学生結婚した恭平だったがー。才色兼備な自慢の恋人、本音で語れる幼馴染み、出会った瞬間に波長が合った女性。三者三様の魅力に惹かれつつも、彷徨いながらの未練と別れ。目立ちたがり屋なくせに臆病者の恭平が彼女たちの存在を原動力に、自らの殻を破ろうと葛藤する様を描いた団塊世代のラヴストーリー。
昭和58年から昭和59年にかけてスポーツニッポン新聞で連載され、当時、多くの読書を魅了した伝説的なポルノ小説、ついに書籍化!映画化不可能!事実か創作か?関本郁夫監督の映画人生と共に女優たちの強さ逞しさが詰まった一冊。成人指定。
マヤは12年ぶりに故郷ノルウェーに帰ってきた。18歳のとき、彼女にはイェンスという恋人がいた。交際に反対する権力者の父親から守りたくて彼とは別れたけれど、外国へ行ってからも忘れたことは一日もなかった。そのイェンスは今や億万長者の実業家として成功している。そして再会するなり、信じられないことを口にした。「君は僕と結婚すると約束した。その約束を果たしてもらいたい」マヤは知る由もなかった。イェンスが花嫁を教会で捨てる気なのを。12年前よりも彼を愛していると悟り、富豪の目に夢中だった。
ガブリエルは仕事で知り合った実業家アンドレスから、宮殿で催される女王の誕生日パーティへの同伴を頼み込まれ、戸惑いつつ承諾した。幼い息子とつましく暮らすシングルマザーが人生で一度だけシンデレラになってもいいでしょう?きらびやかなパーティのあと、ガブリエルは彼に誘われるまま、一夜限りのベッドで情熱に身を焦がした。だが翌朝、夢から覚めた彼女は早々に逃げだすー私が処女だったことに、気づかれていませんように。やがて彼女の妊娠が判明。アンドレスは認めるも、一方で厳しく問うた。「きみの息子の母親は、本当は誰なんだ?」
デザイナーのジャスミンは富豪一族の御曹司カイドと恋に落ちた。出会い頭のエレベーターでのキス。親密さを分かち合うベッド。何もかもが完璧で、ふたりの情熱は永遠に続くかに思えた。だが彼から、華麗なキャリアを捨てて、彼の経営する牧場で、妻や母として尽くしてくれる女性が理想なのだと聞き、絶句した。努力をして、ようやく幼い頃からの夢だった仕事に就けたのに、簡単に捨てるなんてできない…。ジャスミンは泣く泣く彼のもとを去るしかなかった。4カ月後、彼女の職場に突然カイドが現れる。和解に来てくれたの?ジャスミンは胸を弾ませて駆け寄るが、カイドはまるで別人のように冷たくにらみつけるばかりで…。
私を娼婦扱いした残酷な人── まさか彼の子を身ごもるなんて。 タクシー運転手のケーラは、イタリアのホテル業界の大物、 マッテオ・ヴァレンティの視察旅行に同道した。 途中、天候が急変して車が立ち往生し、やむなく宿を探すが、 見つかったのは唯一、小さなB&Bの屋根裏部屋だけだった。 嘘でしょう……こんな狭い場所にセクシーな富豪と二人きり? 互いの身の上話はやがて熱い囁きに変わり、気づけばケーラは 純潔を差しだしていた。だが翌朝、彼は忽然と姿を消した── 大金と命の芽をケーラに残して。10カ月後、出産と引き替えに 職も住処も失った彼女は、恥を忍んでマッテオに連絡するが……。 身分違いのマッテオの子を一夜で身ごもり、密かに出産したケーラ。身寄りも職もなく、追いつめられた彼女はマッテオを頼りますが、現れた彼の振る舞いはあまりにも冷たくて……。シャロン・ケンドリック得意の傲慢ヒーローの魅力を存分に味わえる一作です。
重い病におかされた姉に両親がかかりきりだったため、ピッパは幼い頃から、誕生日のお祝いも含めていろいろ我慢をしてきた。だが16歳のとき、女子生徒憧れの上級生ルークに図書館で声をかけられ、彼とつかのま会話を楽しんだピッパは天にも昇るような心地を味わった。しかしその日の夜、ルークが学校のダンスパーティに姉を誘ったと知り、ピッパの初恋は目の前ではかなく散ったのだった…。14年後、看護師として忙しく働く彼女を、運命の再会が待っていた。外科医となったルークが代理医師として同じ職場にやってきたのだ!今は亡き姉と初恋の思い出がよみがえり動揺するピッパの胸に、ルークの悪気のない言葉が突き刺さる。「君とはどこかで会ったことが?」
あなたは我が子のために帰ってきた。 わたしを愛していたからではなく……。 ベスとカラムは平凡ながらも幸せな夫婦……のはずだった。 けれど彼女にはなかなか赤ん坊ができず、不妊治療も失敗が続いた。 そんな妻に愛想を尽かしたように、カラムは離婚を切り出し、 仕事と言って遠い異国へ旅立ってしまう。 ところがその後、ベスは自分が妊娠していることに気づいた。 やっと苦労が報われた。これでカラムとわたしは親になれる……。 だが喜びは続かず、ベスが書いた手紙に彼からの返事はなかった。 捨てられた失意の中、彼女は待ち望んだ赤ん坊を出産して育て始める。 だから1年後、突然カラムが戻ってきても、ベスの気持ちは複雑だった。 心は親子で拒絶された悲しみと、今もつのる彼への愛に引き裂かれていた。 2017年、惜しくもこの世を去った名作家J・テイラー。今作は彼女が闘病中に執筆した一作です。元夫婦のあいだに生まれた、未来の象徴である小さな女の子に、作家がどんな思いを託していたか……。愛と命を紡ぐ温かな涙流れる物語を、どうぞお読みのがしなく!
イライザは雨に濡れながら、人里離れたロッジにたどりついた。2人の教授の研究を、看護師として手伝うためにやってきたのだ。きっと老教授たちが、ここで実験に夢中になっているのだろう。ところが目の前に現れたのは、そんな彼女の予想を裏切る、エレガントなスーツをまとった30代後半ぐらいの男性だった。一目見た瞬間からイライザに対して辛口の論評をしてきた彼に、彼女は思わず、わたしはあなたに雇われるわけではない、と反論した。すると彼は笑みを浮かべて言った。「きみはぼくの下でも働くんだよ」そう、彼こそがオランダから来たクリスチャン・ファン・ドイル教授。イライザに手伝いを頼んできた老教授のパートナーだったのだ…。
“彼女もあんな顔で式を挙げたくないでしょう…”元婚約者の心ない言葉を思いだし、リリーは涙をぬぐった。事故のせいで頬に残った醜い傷跡にそっと触れる。いっそうのこと、誰も知らない土地へ行って人生をやり直そう。そう思った矢先、ふと新聞の求人広告に目がとまった。“料理人求む。オクラホマ州クリントン”秘書の経験しかないリリーだったが、応募に迷いはなかった。そして雇い主の大富豪ケイスに会った瞬間、彼女は確信した。ロサンゼルスからはるばるここへ来たのは間違いではなかったわ。ケイスはたじろぐこともなく、澄んだ瞳でリリーを見つめていたー。
「鏡の中の女」(シャーロット・ラム/馬渕早苗訳)目覚めるとそこには、濃い霧に覆われた荒れ地だった。ここはどこ?わたしはなぜこんなところに?それより、自分が誰なのかすらわからない!寒さと恐怖に震えていると、霧の中に長身の人影が。衰弱した彼女は、通りがかりのその男性に連れられて病院へ行ったが、不可解なのは、ジェイクという名の彼が敵意のまなざしを向けてきたこと…。数日後、退院を許された彼女のもとに、再びジェイクが現れた。いまだ記憶が戻らず途方に暮れる彼女に、彼はあっさり言った。「君の名前はリン・シェリダン。君は僕のものなんだ」 「アンダルシアにて」(ヴァイオレット・ウィンズピア/斉藤雅子訳)青白い顔をしたアラベルの病室には、高価な見舞いの品々が毎日届けられる。送り主はスペイン人の名士で、彼女の“夫”であるコルテスだという。記憶喪失のアラベルには、結婚など身に覚えがなかった。そこはかとない不安を感じていた彼女の前に、ある日、夫が現れた。威厳に満ち、尊大な雰囲気漂うコルテスを見て、アラベルが思わず結婚の無効を申し出ると、彼は言った。「君には僕しかいない。君は僕の妻なんだよ」そして、豪奢な屋敷にアラベルを連れて帰ったコルテスは、名実ともに妻となることで要求してきて…。
韓国の文壇と読者から多くの人々に愛されてきた詩人、アン・ドヒョン。 4作目の詩集となった本作には、 世界的ヒットを記録したドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で朗読された、 「練炭一つ」を収録。 灰になった練炭をむやみに蹴るな 君は 誰かに一度でも熱い人であったことがあるのか ──「君に聞く」より 1980年の光州事件以降、文学より切実なことがあまりに多かった時代。 詩の力、言葉の力で、心を守り抜こうとした、 いまなお、読み継がれる詩集が待望の翻訳刊行! この詩集に載った「君に聞く」は「私」に厳しく問いかけ、 「私」に痛いほど鞭を打とうという詩である。 私でない他人に一度でも熱い人になること、 その思いで学校から追い出された自身の悲哀を自ら収めようとした。 そうして初めて、その険しい時代を耐えていけそうだと思えた ──「邦訳版 あとがき」より 1994年の初版刊行時から約30年を迎え、 著者による執筆当時を回想した、 邦訳版のための「著者あとがき」を特別収録。 時代のうねりのなかで、 何度も書いては消して、 自分へ、世の中へも屈することなく、 ペンを握り続けた詩人によって紡がれた、ことばの灯火。 自序 1 君に聞く/練炭一つ/半壊した練炭/太陽と月/機関車のために/芽項への道/ニンニク畑のほとりで/母岳山に登りながら /スミレ/土地 2 群山の沖合い/遠くの明かり/国防色のズボンについて/ポン菓子について/冬の夜に詩を書く/私の経済/あの家/服のせい/こんなに遅い懺悔を君は知っているか/この世に遠足に来て/私に送る歌/私をいらだたせるもの 3 木/白樺を探して/雪の止んだ野原/鮒/市内バスは行く/新築工事現場にて/葛藤/家について /古い自転車/井戸/ヒメジョオンの花/昔の風景画/洪水 4 この世に子どもたちがいなかったら/あのトネリコの幼い新芽も/学校へ行く道/その飯屋/群山の友 ── 李光雄先生/恋/新しい道/襲い掛かって来たら── アフリカ民謡を真似て/アメリカに関する研究/ソウルに住む友へ/草刈り 5 冬の葉書/法の通りに/教員労働者になって/マスの刺身を食べながら/妻の夢/ご飯/ミンソクの百日祝いが過ぎて外に抱いて出てみると/ステッカーを貼りながら/私の町のオリオン工場/懐かしい裡里中学校/希望事項 詩人の言葉 /解説 鍊鍛からの新しい道への風景/邦訳版あとがき/訳者あとがき
◆リトアニアを代表する詩人・ネリスの詩集 本書は、リトアニアの詩人サロメーヤ・ネリス(1904年11月17 日〜1945年7月7日)の第四詩集『オキナヨモギに咲く』収録の全ての詩、および、『選集(Rinktinė)』収録の小詩集「M.K. チュルリョーニスの絵より」の全ての詩を収めた、日本語では3冊目のネリスの対訳詩集である。 詩集『オキナヨモギに咲く』は、1938 年に刊行された。国家文学賞を受賞していることもあり、ネリスの代表作とも言われる詩集である。 (訳者あとがきより) 口絵:M.K.チュルリョーニス 我が子 旅人 行こう! 君は出て行った 青ざめた唇 誰が知っていたのか? 父さんは眠っている お母さんの涙 おばあちゃんのおはなし 大西洋の勝者よ どこでも私はそれを見る 白樺林 永遠の旅人よ 秋の近くに 秋の大通り 放蕩息子 凍える砂漠 走り去った幸せ 太陽の血 我が子 旅人 行こう! 君は出て行った 青ざめた唇 誰が知っていたのか? 父さんは眠っている お母さんの涙 おばあちゃんのおはなし 大西洋の勝者よ どこでも私はそれを見る 白樺林 永遠の旅人よ 秋の近くに 秋の大通り 放蕩息子 凍える砂漠 走り去った幸せ 太陽の血