1999年1月21日発売
竹管を使った日本古来の楽器である篠笛と能管(能楽に用いられる笛)を中心に、太鼓、筝などで、純日本的なメロディを演奏。細くやわらかな音色の篠笛と勇壮な音色の能管が奏でる調べは、寂しさというより清冽な響きとして心に染みわたってくる。
インディーズでは地道に活動を続けていた青山陽一の、メジャー・ファースト・アルバム。ポップなロックではあるのだけど、単純な表層的なものではなく、音も歌詞も少し歪んだ感じがあって、いい意味で一筋縄でいかないような……。
整理されたメロディをこれまた清潔感の感じられる演奏で全11曲。耳障りなところがなく、リラックスした状態で最後まで楽しめる。逆を言うと少々スリルに欠けるということになるが、それは他のアーティストに求めればいいわけで、この人はこれでいい。
ギル・エヴァンス楽団、トニー・ウィリアムスのライフ・タイムなど多彩なキャリアを持つギタリストが初めてリーダーを務めた、本人いわく「これがファースト・アルバム」の78年作。派手さはないが一つ一つの音色に気を配っての丁寧なプレイが光る。
カウント・ベイシー楽団にも在籍したサックス奏者が80年に制作したアルバムの初のCD化。トミー・フラナガン(P)やジミー・コブ(DS)などの名手が脇を固め、ベテランらしい余裕と歌心あふれるプレイを展開。地味ながら、聴き応えは十分。★
アリンとバリー・ハリスの共演盤。いかにも白人らしいキメの細かいヴォーカルが独特の安堵感を与え、そこに絡み付くピアノも見事にフィットしている。この名演に耳を傾けていると思わず時間の経過も忘れる。ゆとりの中に豊饒な味わいを発見。
クインテットによる76年録音。まろやかな中音から切れのある高音までよく歌うソロを聴かせる(1)、軽快なテンポに乗せ、哀愁漂うフレーズが連続する(4)、高速ソロでまとめる(5)と、ノートの技が楽しめる。適度に品よく、リラックスしたアンサンブルも魅力。
ドロ・コーカーは数多いバップ・ピアニストの中でも地味な存在ではあるが、バド・パウエルの流れを汲む正統派。アート・ペッパー以外は前日録音の初リーダー作と同じ顔ぶれで、息の合ったサウンドを聴かせる。(3)でのドラム・ソロも本作のハイライト。
名前のとおり“ヴェニス流の解釈”とはこれだ! とばかりの過激な演奏を期待すると肩透かしを食う手堅い演奏。通奏低音がほとんど聴こえず響きたっぷりの不思議なバランス。87年結成のグループというが、ソリストのクレジットもなく、やはり不思議なCD。