著者 : 水月遙
失った記憶さえ戻れば、 壊れた愛も戻るはずだった。 シングルマザーのマジェンタは、妊娠中に起きた脳出血のせいで、 今も記憶喪失に悩まされながら仕事探しに奔走していた。 高級ホテルチェーンの面接で採用が内定し、安堵した彼女は、 入室してきたCEOのアンドレアスをひと目見て、記憶の一部を 突然取り戻した。間違いない。私の息子の父親は……彼よ! そんな彼女の動揺を嘲笑うかのように、アンドレアスは非情にも 採用を取り消し、代わりに彼の個人秘書としてなら雇ってもいいと 告げた。どうして私を弄ぶようなことをするの? それでも、路頭に迷うわけにはいかないマジェンタは受け入れた。 彼が記憶喪失を疑い、息子の存在をも否定していると知らずに。 個人秘書としてヒーローの屋敷に住み込むようになったヒロイン。日ごと二人の間の熱い緊張は高まり、ついに一夜を共にした直後、彼女のすべての記憶がよみがえり……。驚きの真実が次々と明かされていく、究極の記憶喪失ロマンスをお届けします。
もう、なんて失礼な人なの! なのに目で追ってしまうのはなぜ……。 両親亡きあと、住み慣れた家を失い、職探しを始めたジェマイマ。 病弱な母に代わって家事をしてきたため資格など何もなかったが、 幸運にも、ある老婦人のつき添いになることができた。 慣れない仕事はつらく、雇い主の甥の大学教授アレクサンダーから とるにたりない存在と思われているのも腹立たしい。 それなのに、なぜか願ってしまうーー彼がほほえんでくれたら、と。 しかしアレクサンダーの近くにはいつも美しい女性がいた。 ある日、その美女から“ねずみみたい。女性としての魅力に欠ける”と 言われたジェマイマは恥ずかしくて赤面した。彼はどう思ったかしら? ふと教授のほうを見ると、何やら考え深げな彼と目が合い……。 自分に自信のないジェマイマですが、そのじつ芯の強いヒロインで、“相手が誰であれドアマットのように踏みにじられるつもりはない”と心に思ったりします。そんな彼女が人生で初めて恋した相手は、会うたびに失礼な態度をとる年上の教授で……。1982年の名作。
彼にとって、私はただの親友── 花嫁どころか、愛人にもなれない。 仕事中に呼び出されたケイラは、人生最大のショックを受けた。 社長のアンドレアスが家族をつくることに決めたので、 これから結婚相手を探すという。なぜ、私じゃだめなの? 6年前までアンドレアスとケイラは恋人同士だった。 だが彼が事業を立ち上げる際、彼女は振られ、“親友”として この会社に迎え入れられたのだ。今でも彼を愛しているのに。 ケイラは悲しみと屈辱のあまり、無断で休暇をとって旅に出た。 するとアンドレアスが慌ててケイラを追いかけてきた。 「きみは僕の人生の一部だ。結婚してもその事実は変わらない」 もどかしい気持ちを抱えたまま、ケイラは彼と一夜を共にして……。 ギリシア海運王の婚外子として育ったヒーローと、3歳で親に捨てられ、里親のもとを転々として育ったヒロイン。愛に不器用な二人が見つけた真実の愛とは……? ルーシー・モンローらしい軽妙さと切なさの絶妙なバランスが光る珠玉作です。
瞳も言葉も冷たいのに、ときに優しい。 彼の矛盾に戸惑うばかりで……。 アビゲイルはいま、早急にお金が必要だった。 看護師をしていた病院は亡き母の看病のために辞めていたし、 少しずつ切り崩していた貯金も、葬儀代で底をついてしまったのだ。 そしてオランダでの仕事で出逢ったのが、ファン・ワイケレン教授。 外科医の彼は容姿端麗で、聞き惚れるほどすてきな声の持ち主だけれど、 視線にも口調にも温かみはなく、なんだか嫌われているような気がする。 でもどんなにうとまれても、彼を見ると胸がどきどきしてしまう! 教授は昔、誰かに傷つけられて、冷たく気難しい人になったという。 彼がまた人を愛せるよう、私が役に立てたらいいのに。 だから今日も、涙を隠してほほえむアビゲイルだったが……。 唯一無二の作風で世界中のファンから愛される名作家ベティ・ニールズが1972年に発表した本作。けなげなヒロインのせつない片想いの行方やいかに?
“恋した女性に生涯を捧げる” その呪いを避けたい傲慢伯爵は……。 アンゼリカが初めて実の父と顔を合わせたのは半年前。 欧州随一の富豪である父は、存在すら知らなかった娘を歓迎したが、 世間に騒がれるのを嫌って父娘の関係は公にしていなかった。 ある夜、父に呼ばれたアンゼリカは、シチリアの伯爵で、 “ウルフ”ことカルロ・ガンブレリに引き合わされた。 彼の名はもちろん知っているーー稀代のプレイボーイとして。 噂に違わず、優雅ながらたくましい彼はとてつもなく魅力的だ。 しかし彼の目には、アンゼリカに対するあからさまな軽蔑の色が。 彼は私のことを、父の愛人だと思い込んでいる! 失礼な人! だが自らの寿命を危ぶむ父がウルフに告げる。アンゼリカを頼む、と。 アンゼリカの実父は重大な手術に臨む前に、アンゼリカの保護者役をウルフに託しますが、その際、彼女がじつは自分の婚外子だと明かします。それなのに傲慢なウルフは、誤解を認めるどころか、彼女が娘だと名乗り出たのは財産目当てではないかと疑い始め……。
彼が私と結婚したいのは恩人のため。 おなかの赤ちゃんを婚外子にしないため。 ギリシアを離れて以来、サマーは胸に痛みをかかえていた。 実父に会って失望したせいだと思いこみたいけれど、本当は……嘘だ。 大富豪セロンは私に近づいてきて親切にもギリシアを案内し、 楽しい食事に誘い、ベッドですばらしい時間を過ごさせてくれた。 でも翌朝になると私を金めあてとののしり、蔑みの視線で追い払った。 なのになぜ突然、イギリスまで訪ねてきたのだろう? それでもセロンに唇を奪われると、サマーは二人の未来に希望を抱いた。 彼がサマーを強く抱きしめた次の瞬間、はっとして身を離すまでは。 彼女のおなかははっきりとふくらんでいた。その大きさはちょうど……。 冷酷な声が響き、サマーの希望は砕かれた。「妊娠しているんだな?」 『百五十年秘めた愛』『百五十年待っていた恋人』で繰り広げられた愛と家宝をめぐる旅も堂々完結です! 妊娠を知って求婚するヒーローと、愛のない結婚はしたくないヒロイン。150年眠っていた日記のとおり、二人は真実の愛を手に入れられるのでしょうか?
窓の外でヘリコプターが着陸するのを見て、ギャビーは仰天した。あれはテモスの国旗!アンゲル王子がなんの用でこの田舎へ?ギャビーは大学時代、誰もが憧れる彼に熱烈な恋をしていた。5年後アンゲルと再会した彼女は、熱く誘惑されて純潔を捧げる。翌朝、姿を消した彼の赤ん坊を身ごもるとは想像もせずに。ところがギャビーが妊娠を伝えに行っても、アンゲルは信じず、弁護士を従えて“僕の子のはずはない!”と言い放った。あの屈辱から1年、彼は赤ん坊が我が子だと突きとめたらしい。結婚か裁判か迫られ、ギャビーは泣く泣く結婚を選んだ…。
ホノーラは十代のころからずっと、庭師の祖父の雇い主でイタリア富豪のニコに片想いをしていた。だからクリスマスの夜、彼にいきなりベッドへ誘われたときは驚いたけれど、天にものぼる心地で純潔を捧げた。だがその後数カ月たっても、ニコからはなんの音沙汰もなく、妊娠を告げに行っても、彼は君など名前も知らないと言った。私は愛の告白さえしたのに。嵐の中をひた走ってきたのに。しかし、彼女がいちばん傷ついたのはニコの冷たい一言だった。「だから、君のおなかの子の父親のわけがないんだ」
実業家マーコスの秘書である双子の妹の頼みに、ベスは驚愕した。 社内不倫をして妊娠したので、極秘に出産するまでの間、 ベスが妹になりすましてマーコスの秘書を務めてほしいというのだ。 話を聞く限り、マーコスは社内恋愛すら許さないワンマン社長らしい。 妊娠が知れたら仕事を辞めなくてはならないと悩む妹を放っておけず、 ばかげた計画と思いつつも、ベスはやむなく協力することにした。 緊張の初出勤。初めてマーコスと対面し、息が止まりそうになった。 傲慢さをにじませながらも、荒削りでセクシーなボス。 ぼうっと立ちつくすベスは、想像すらしていなかったーー まさか彼と恋に落ち、皮肉な運命を思い知ることになるとは。 〈私はイミテーション〉と題して、双子の妹になりすますことで思いがけない恋が展開するヒロインの物語をお届けします。ボスが憎からず思っているのは、妹の“ローラ”--ベスは身代わりでしかない自分が、マーコスへの愛を口にしてはいけないと苦悩し……。
パーティで給仕中のゾーイの前に、富豪マックスが現れた。彼に不審者と疑われたあげく、グラスを割った責任を問われ、ゾーイはその場でくびになってしまう。シャンパンをかぶったまま、グラスを片づけるのは屈辱だった。外に出ると、マックスが高級車で彼女を待っていた。意外なことに彼から食事に誘われ、「君はきれいだ」と誘惑されたとき、ゾーイはうれしさとともに恐怖を覚えた。私は顔に傷があるし、男性といると怖くてたまらなくなる。でも…マックスには胸がときめく。もう傷つきたくないのに。
妊娠7カ月のロザリーは執事に案内され、おどおどしながらまるで宮殿のようなベネチアの邸宅へ足を踏み入れた。場違いすぎて泣きそうだ。まさか依頼主が伯爵夫人だったなんて。代理母は引き受けたけれど、やっぱり自分の子でもあるから、おなかの子は渡せないと言いたい。断られるに決まっていても。だが、見たこともないほど魅力的な伯爵は彼女の妊娠すら信じず、奥さまに確認してほしいと言っても蔑みの目を向けつづけた。伯爵夫人は夫に内緒で代理母を雇っていたの?それはなぜ?そのとき、伯爵が言った。「妻は死んだんだ。愛人と一緒にね」
愛なき求婚をされて気づいたーー 彼を、ずっと好きだったことに。 看護師のカトリーナは、パーティでオランダの男爵ラフと知り合った。 落ち着き払った長身の彼は高慢な有閑人といった風情で、 カトリーナは何を話せばいいかわからず、天気の話をするほかなかった。 その夜は気まずく別れたが、後日、職場の病院で再会したとき、 外科医でもあるラフが急患の処置をてきぱきこなす姿に胸を高鳴らせた。 彼はとても優雅で、それでいて有能で頼りがいもあるわ……。 そんなカトリーナも周りから頼りにされる働き者だったが、ある日、 迷惑な同僚に言い寄られ、思わず、もうすぐ退職すると言ってしまう。 すると、次の仕事のあてもない彼女に、ラフが驚きの提案を投げかけた! 「僕は妻が欲しい。僕と結婚することを考えてくれないか?」 カトリーナより10歳以上も年上のラフは、自分は恋にのぼせあがるような年齢じゃないと言い、プロポーズをしました。彼が情熱的な愛を望んでいないのだと思うと、切なくなるカトリーナでしたが……。穏やかで優しい作風に癒やされる、不朽の名作です。
その日、ミリーは女優の姉に言われて身代わりを引き受けていた。貧乏だの無学だのとばかにされても、唯一の肉親は助けたかった。しかし次の瞬間ミリーは気を失い、目覚めたときには病院にいた。そばには、見知らぬハンサムな長身の男性がいるだけだ。なんとミリーは事故に遭い、1年以上も眠ったままだったという。さらには頭を打って記憶を失っているが、目の前のイタリア富豪ロレンツォと結婚している、と言われて衝撃を受ける。本当なの?でもこの人は私の回復を願う一方で、ひどく冷たい。それはなぜ?妻なら愛されたい、そう望んではいけないの…。邦題はTwitter投票により決定!大スター作家の記憶喪失もの。記憶が戻れば、二人の結婚は壊れてしまう。偽物の妻が夫に抱いた愛は、しょせん偽物なのか?
上司のセクハラに遭い、会社を辞めるはめになったキットは、新たな会社に再就職し、社長マーカスの個人秘書を務めることになった。だが、前任秘書の話では、マーカスはとんでもないプレイボーイらしい。前職での苦い経験をふまえたキットは、ボスに目をつけられないよう、地味な服装とヘアスタイルに野暮な黒縁眼鏡の変装を思いつく。半年後、相変わらず“お堅い秘書”として仕事を続けていたある日、ボスの現在の恋人が現れたと思ったら、かんかんに怒って帰っていった。マーカスからその理由を聞いたキットは、唖然とするー今週末、恋人ではなく、君と一緒に過ごすことにした、ですって!?内心で彼に強く惹かれていることを、悟られてはいけないのに…。
その日、キャットは息を切らして上司のもとに駆けつけた。そこで信じられないほどハンサムな男性に目を奪われる。人々から神のごとく崇められている王ゼインは、キャットに仕事を依頼し、その日のうちに自分の国へ連れ去った。外国人が訪れない土地で、彼女は王のために働くことになった。そしてある日の深夜、黄金の宮殿の夢のように美しい部屋へ迷いこんだとき、王に誘惑されて純潔を捧げてしまう。キャットは知らなかった。この国では王と結ばれた無垢な女性は、宮殿から出ていけなくなるのだとー。ヒーローと一夜を過ごしたあと、結婚という自分の運命を知り、恐れおののくヒロイン。彼は王として、国の人々から大変な尊敬と憧れを集めていた。冴えない自分がそんな男性の妻になる?妊娠がわかると、ヒロインはますます追いつめられて…。
父親の死後、実の母親に家を追い出されたセイディは、スペインの店でシェフとして腕を磨く日々を送っていた。ある日、彼女は店の上客のアレゴン公爵が事故に遭ったと聞き、心をこめて作った料理を病院へ届けてもらった。その後、セイディは公爵の望みだと言われて、彼の城を訪れた。実は公爵は、彼女の料理を一瞥するなり捨てていたのに。城で待っていたのは、放蕩者で知られる公爵の熱い誘惑だった。なぜ高貴な彼が、あくせく働くだけの平凡な私に目をとめたの?セイディはまだ知らなかった。自分が公爵の子を身ごもる運命を。
失業中のアイラは、故郷のスコットランドの農場に戻っていた。貧しさゆえ、シチリアでの姉の葬儀にも行けずに悲しんでいると、突然、大富豪アリッサンドルが彼女のもとを訪ねてきた。会うのは6年ぶりだけれど、姉の義兄は相変わらず魅力的だ。どんなに無視されても、アイラは彼を目で追うのをやめられず、初めて興味を示された喜びから、純潔を捧げてしまう。だが翌朝、彼女を亡き弟の愛人と思いこむアリッサンドルは、昨夜のすべてを“不覚”と切り捨て、一顧だにせずに立ち去った。報われぬ愛と、小さな命をアイラに授けたとも知らずに…。
冷酷無比な王は私からすべてを奪った。 残されたのは、彼との名ばかりの結婚。 兄の結婚式の夜、ガリラは中庭で自分の孤独を痛感していた。 誰かに愛されるってどんな感じ? 私もいつかは経験できるの? そのとき暗闇からカリムという男性が現れ、彼女を熱く見つめた。 初めて経験する胸のときめきに、ガリラは有頂天になり、 気づいたときには、彼に情熱的な口づけを許していた。 ところが翌日、カリムは国王という身分を明かし、 ガリラを妻にすることを、彼女の兄に強引に承知させた。 ばかね、一瞬でも、カリムに愛されたと思ったなんて……。 愛はないがベッドで満足させる、とバージンの私に言う人なのに。 R-3404『授かったのは、王家の秘密』、R-3409『国王からの結婚命令』の関連作をお贈りします。愛を知らない純粋なヒロインは、初めて惹かれた男性に愛を拒まれたうえ、幸せなふりをするよう強いられて……。二つの王家にまたがる秘密も、いよいよ佳境です!
ソフィーは家を繁栄させるため、育てられた人形だった。政略結婚で人生が終わる前に、せめて情熱や愛を知りたい。一目で惹かれたシチリア富豪レンツォにバージンを捧げた結果、彼女はおなかに小さな命を宿した。しかし再会した彼はなぜか激怒していて、妊娠を言い出せず、ソフィーは親が決めた伯爵と結婚するしかないことに絶望する。チャペルに乗りこんだレンツォが、花嫁の彼女をさらうまでは。彼はソフィーを自分の城に閉じこめ、離婚を前提とした結婚と赤ん坊の親権を要求する。その目には彼女への憎悪しかなかった。