小説むすび | ハザール事典(女性版)

ハザール事典(女性版)

ハザール事典(女性版)

かつて実在し、その後歴史上から姿を消したパザール族。この謎の民族に関する事典(1691年)の新版という形をとった前代未聞の事典小説。キリスキ教、イスラーム教、ユダヤ教の交錯する45項目は、どれもが類まれな奇想と抒情と幻想に彩られ、五十音順に読むもよし、関連項目をとびとびに拾うもよし、寝る前にたまたま開いた項目一つを楽しむもよし、完読は決して求められていないのです。失われたバザール語で歌う鸚鵡、悪魔に性を奪われた王女、時間の卵を生むニワトリ、他人の夢に出入りする夢の狩人…。オーソドックスな物語文学の楽しみを見事なまでに備えながら、その読み方は読者の数だけあるという、バルカンから現われた魅惑に満ちた(21世紀の小説)!本書には男性版・女性版の2版があります。旧ユーゴスラビアNIN賞受賞。

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没後10年記念復刊、ヌーヴォー・ロマンの到達点!  というわけで、ここで私はまた反復し、要約する。アイゼナッハから廃墟だらけのチューリンゲンやザクセンを経てベルリンへと向かう果てしなくながい列車旅行の最中に、私はずいぶん久しぶりに、話を簡単にするために私の分身、あるいはそっくりさん、あるいはさらにもっと演劇的でない言い方で《旅人》と呼ぶ男を見かけた──。  〈第二次世界大戦直後の混乱したベルリンへの特殊工作員の潜入あり、謎の殺人事件あり、煽情的なうら若い少女売春あり、網をはりめぐらした秘密組織や警察と風俗業者の癒着があり、サドマゾ的な拷問があり、裏切りや処刑があり、最後も連鎖的な殺人と偽装で終わる。(中略)『反復』はB級エンターテインメント的な軽快さとばかばかしさが充満していて、アメリカ文学で言う《パルプ・フィクション》と受け取る読者もいるかもしれない〉(本書「訳者あとがき」より)。  ベルリンへと向かう列車、窓から殺人現場の見えるホテル、SMプレイに魅せられた少女のいる人形店……華麗なる迷宮を、秘密の使命を帯びた〈私〉がさまよう5日間。  没後10年記念復刊、著者渾身の最高傑作。ヌーヴォー・ロマンの到達点! 2018/11/16 発売

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究極のノワール 復刊! 『このミステリーがすごい!2001年版』(宝島社) 海外編 第1位 『同 2019年版 キング・オブ・キングス』(過去30年のベスト10) 海外編 第5位 「安物雑貨店(ダイムストア)のドストエフスキー」 ーージェフリー・オブライエン(本書所収評論より) 「トンプスンの最高傑作は他とは別格で、 ハメットの『赤い収穫』と比較されるべき 犯罪文学の金字塔。この魂の荒涼が吐きつける 言葉に震撼させられずしてハードボイルドの なんたるかはとうてい語れまい」 ーー中条省平(フランス文学者) ポッツヴィル、人口1280。この田舎町の 保安官ニックには、心配事が多すぎる。考 えに考えた結果、自分にはどうすればいい か皆目見当がつかない、という結論を得た。 口うるさい妻、うすばかのその弟、秘密の 愛人、昔の婚約者、保安官選挙……だが、 目下の問題は、町の売春宿の悪党どもだ。 思いきった手を打って、今の地位を安泰な ものにしなければならないーー饒舌な語り と黒い哄笑、突如爆発する暴力! 人間の 底知れぬ闇をえぐり、読者を彼岸へとみち びく、究極のノワール。巻末にトンプスン 再評価のきっかけとなった歴史的評論を収 録のうえ、新装版で復刊!〈解説・吉野仁〉 Jim Thompson ジム・トンプスン 1906年生まれ。職業を転々としながら作家活動をつづけ、42年に初長編を出版。49年に犯罪小説に転じ、その後、ペイパーバック・オリジナルを書きとばす。50年代なかば、S・キューブリックの映画製作にかかわる。小説が斜陽となると、TV脚本にも従事。作品がすべて絶版の状態で、77年に死去。死後、ようやく作品の再評価がはじまった。 〈扶桑社ミステリーのジム・トンプスン作品〉 『グリフターズ』 『おれの中の殺し屋』 『ポップ1280』 『失われた男』 『荒涼の町』 『残酷な夜』 『この世界、そして花火』 2019/08/02 発売

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