小説むすび | 北欧の文学(古代・中世編)

関連小説

反復(新装版)反復(新装版)

没後10年記念復刊、ヌーヴォー・ロマンの到達点!  というわけで、ここで私はまた反復し、要約する。アイゼナッハから廃墟だらけのチューリンゲンやザクセンを経てベルリンへと向かう果てしなくながい列車旅行の最中に、私はずいぶん久しぶりに、話を簡単にするために私の分身、あるいはそっくりさん、あるいはさらにもっと演劇的でない言い方で《旅人》と呼ぶ男を見かけた──。  〈第二次世界大戦直後の混乱したベルリンへの特殊工作員の潜入あり、謎の殺人事件あり、煽情的なうら若い少女売春あり、網をはりめぐらした秘密組織や警察と風俗業者の癒着があり、サドマゾ的な拷問があり、裏切りや処刑があり、最後も連鎖的な殺人と偽装で終わる。(中略)『反復』はB級エンターテインメント的な軽快さとばかばかしさが充満していて、アメリカ文学で言う《パルプ・フィクション》と受け取る読者もいるかもしれない〉(本書「訳者あとがき」より)。  ベルリンへと向かう列車、窓から殺人現場の見えるホテル、SMプレイに魅せられた少女のいる人形店……華麗なる迷宮を、秘密の使命を帯びた〈私〉がさまよう5日間。  没後10年記念復刊、著者渾身の最高傑作。ヌーヴォー・ロマンの到達点! 2018/11/16 発売

ポップ1280(新装版)ポップ1280(新装版)

究極のノワール 復刊! 『このミステリーがすごい!2001年版』(宝島社) 海外編 第1位 『同 2019年版 キング・オブ・キングス』(過去30年のベスト10) 海外編 第5位 「安物雑貨店(ダイムストア)のドストエフスキー」 ーージェフリー・オブライエン(本書所収評論より) 「トンプスンの最高傑作は他とは別格で、 ハメットの『赤い収穫』と比較されるべき 犯罪文学の金字塔。この魂の荒涼が吐きつける 言葉に震撼させられずしてハードボイルドの なんたるかはとうてい語れまい」 ーー中条省平(フランス文学者) ポッツヴィル、人口1280。この田舎町の 保安官ニックには、心配事が多すぎる。考 えに考えた結果、自分にはどうすればいい か皆目見当がつかない、という結論を得た。 口うるさい妻、うすばかのその弟、秘密の 愛人、昔の婚約者、保安官選挙……だが、 目下の問題は、町の売春宿の悪党どもだ。 思いきった手を打って、今の地位を安泰な ものにしなければならないーー饒舌な語り と黒い哄笑、突如爆発する暴力! 人間の 底知れぬ闇をえぐり、読者を彼岸へとみち びく、究極のノワール。巻末にトンプスン 再評価のきっかけとなった歴史的評論を収 録のうえ、新装版で復刊!〈解説・吉野仁〉 Jim Thompson ジム・トンプスン 1906年生まれ。職業を転々としながら作家活動をつづけ、42年に初長編を出版。49年に犯罪小説に転じ、その後、ペイパーバック・オリジナルを書きとばす。50年代なかば、S・キューブリックの映画製作にかかわる。小説が斜陽となると、TV脚本にも従事。作品がすべて絶版の状態で、77年に死去。死後、ようやく作品の再評価がはじまった。 〈扶桑社ミステリーのジム・トンプスン作品〉 『グリフターズ』 『おれの中の殺し屋』 『ポップ1280』 『失われた男』 『荒涼の町』 『残酷な夜』 『この世界、そして花火』 2019/08/02 発売

アウステルリッツ(新装版)アウステルリッツ(新装版)

全米批評家協会賞ほか、多数受賞の最高傑作  ウェールズの建築史家アウステルリッツは、帝国主義の遺物である駅舎、裁判所、要塞、病院、監獄の建物に興味をひかれ、ヨーロッパ諸都市を巡っている。そして、彼の話の聞き手であり、本書の語り手である〈私〉にむかって、博識を開陳する。それは近代における暴力と権力の歴史とも重なり合っていく。  歴史との対峙は、まぎれもなくアウステルリッツ自身の身にも起こっていた。彼は自分でもしかとわからない理由から、どこにいても、だれといても心の安らぎを得られなかった。彼も実は、戦禍により幼くして名前と故郷と言語を喪失した存在なのだ。自らの過去を探す旅を続けるアウステルリッツ。建物や風景を目にした瞬間に、フラッシュバックのようによみがえる、封印され、忘却された記憶……それは個人と歴史の深みへと降りていく旅だった……。  多くの写真を挿み、小説とも、エッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない、独自の世界が創造される。全米批評家協会賞、ハイネ賞、ブレーメン文学賞など多数受賞、「二十世紀が遺した最後の偉大な作家」による最高傑作。  多和田葉子氏の解説「異言語のメランコリー」を巻末に収録。 2020/03/02 発売

移民たち(新装版)移民たち(新装版)

どんな眼からもぬぐい去れない靄がある  異郷に暮らし、過去の記憶に苛まれる4人の男たちの生と死。みずから故郷を去ったにせよ、歴史の暴力によって故郷を奪われたにせよ、移住の地に一見とけ込んで生活しているかに見える移民たちは、30年、40年、あるいは70年の長い期間をおいて、突然のようにみずから破滅の道をたどる……。語り手の〈私〉は、遺されたわずかの品々をよすがに、それら流謫の身となった人々の生涯をたどりなおす。〈私〉もまた、異郷に身をおいて久しい人だ。個人の名前を冠し、手記を引用し、写真を配した各篇はドキュメンタリーといった体裁をなしているが、どこまでが実で、どこまでが虚なのか、判然としない。  本書は、ゼーバルトが生涯に4つだけ書いた散文作品の2作目にあたる。英語版がスーザン・ソンタグの称讃を得て、各国語に翻訳され、ドイツではベルリン文学賞とボブロフスキー・メダル、ノルト文学賞を受賞した。  堀江敏幸氏による巻末の解説「蝶のように舞うぺシミスム」から引用する。「作家の極端なぺシミスムが読者にかけがえのない幸福をもたらすとは、いったいどういうことなのか? ゼーバルトの小説を読むたびに、私はそう自問せざるをえなくなる」。 2020/05/18 発売

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