制作・出演 : 古川昌義
クラシックの名曲が高音質で味わえる“おとなBEST”シリーズ。2007年に発表された『ザ・ヴァイオリン・ミューズ』(通常盤)をSHM-CDでパッケージ。川井自身による選曲で、選りすぐりの名演を収録したベスト・アルバムだ。
フツウにクラシックの作品を聴いているぶんにはあまり出くわすことはないが、どうしてどうして、一皮剥けばヴァイオリンは、人間の生々しい感情を赤裸々に表わすことにも長けている。スラヴ風・オリエント風の編曲による川井の演奏、そこを突いて濃厚である。
この人が歌うと、「風をあつめて」のような曲すら羽毛のような心地よいものに感じられる。ささやくような歌い口には、ますます磨きがかかり、選曲もその美質を強調する方向に変わってきた。“ジャズ”の引力から自由になりつつある今らしい、繊細でプライヴェートな世界だ。
2000年から2006年まで、6枚のアルバムからのベスト盤。クロスオーヴァーが市民権を得る前から、ずっとエキサイティングな作品を発表し続けてきた彼女の音楽に、ようやく時代が追いついたか。もっと聴かれていい、力のある音楽だ。「キャラバン」は新曲。フォトグラフは過去最高。
ストリングスを配したボサ・ノヴァ・ジャズ・ピアノ集。「おいしい水」他ボサ・ノヴァの名曲と木住野のオリジナル曲が、彼女特有のエレガントで透き通ったタッチにより紡がれていく。叙情性だけではなく、時には力強く、ジャズの醍醐味を十分に味わえる。
さまざまなアーティストの録音やライヴで活躍するギタリストの4作目のソロ・アルバム。親交の深い坂本サトルの楽曲を取り上げたギター・インスト作品だ。多彩なスタイルを自在に使い分けるギタリストとしてのセンスとテクニックはギター・プレイヤー必聴。
つくづく、歌手とは“依代(よりしろ)”なのだ。歌の背後にある(あるいは、実はない)さまざまなものが彼の歌唱から浮かび上がってくる瞬間を、どう録音という手段ですくい取るか。その試行錯誤が生んだ、驚くべき密度と、いくつもの得難い瞬間。(1)(3)(11)はスペシャル級。★
ASKA、宇多田ヒカルほか多くのレコーディングに参加してきたギタリストの歌ものアルバムで2002年作。シンセの深い響きが気持ちいいボサ・ノヴァの(1)はメロウ歌謡/日本語AORとして快作。(9)などのロックでもおとなの落ち着きと余裕を感じさせるのが持ち味。