ジャンル : 外国の小説
ガブリエルは仕事で知り合った実業家アンドレスから、宮殿で催される女王の誕生日パーティへの同伴を頼み込まれ、戸惑いつつ承諾した。幼い息子とつましく暮らすシングルマザーが人生で一度だけシンデレラになってもいいでしょう?きらびやかなパーティのあと、ガブリエルは彼に誘われるまま、一夜限りのベッドで情熱に身を焦がした。だが翌朝、夢から覚めた彼女は早々に逃げだすー私が処女だったことに、気づかれていませんように。やがて彼女の妊娠が判明。アンドレスは認めるも、一方で厳しく問うた。「きみの息子の母親は、本当は誰なんだ?」
出会って一瞬で燃えあがる恋なんて、初めてだった。 ウィンドーディスプレイを手がけるデザイナーのジャスミンは、 デパートのオーナー一族の御曹司カイドと恋に落ちた。 出会い頭のエレベーターでのキス。親密さを分かち合うベッド。 ふたりの情熱は永遠に続くかに思えた。 だが、彼が望むのは仕事を捨てて無私で尽くす女性だと聞かされ、 ジャスミンは泣く泣く彼のもとを去るしかなかった。 4カ月後、ジャスミンの職場に突然カイドが現れる。 和解にきてくれたんだわ。彼女は胸を弾ませて駆け寄るが、 そこにいたのはまるで別人のように冷酷なカイドだった。 男女の“価値観の違い”、そして“理想と現実のギャップ”--この古くて新しいテーマを、大御所作家ペニー・ジョーダンが新鮮な切り口で描きだします。カイドがジャスミンに贈る、クリスマスプレゼントの中身に感涙必至です!
私を娼婦扱いした残酷な人── まさか彼の子を身ごもるなんて。 タクシー運転手のケーラは、イタリアのホテル業界の大物、 マッテオ・ヴァレンティの視察旅行に同道した。 途中、天候が急変して車が立ち往生し、やむなく宿を探すが、 見つかったのは唯一、小さなB&Bの屋根裏部屋だけだった。 嘘でしょう……こんな狭い場所にセクシーな富豪と二人きり? 互いの身の上話はやがて熱い囁きに変わり、気づけばケーラは 純潔を差しだしていた。だが翌朝、彼は忽然と姿を消した── 大金と命の芽をケーラに残して。10カ月後、出産と引き替えに 職も住処も失った彼女は、恥を忍んでマッテオに連絡するが……。 身分違いのマッテオの子を一夜で身ごもり、密かに出産したケーラ。身寄りも職もなく、追いつめられた彼女はマッテオを頼りますが、現れた彼の振る舞いはあまりにも冷たくて……。シャロン・ケンドリック得意の傲慢ヒーローの魅力を存分に味わえる一作です。
重い病におかされた姉に両親がかかりきりだったため、ピッパは幼い頃から、誕生日のお祝いも含めていろいろ我慢をしてきた。だが16歳のとき、女子生徒憧れの上級生ルークに図書館で声をかけられ、彼とつかのま会話を楽しんだピッパは天にも昇るような心地を味わった。しかしその日の夜、ルークが学校のダンスパーティに姉を誘ったと知り、ピッパの初恋は目の前ではかなく散ったのだった…。14年後、看護師として忙しく働く彼女を、運命の再会が待っていた。外科医となったルークが代理医師として同じ職場にやってきたのだ!今は亡き姉と初恋の思い出がよみがえり動揺するピッパの胸に、ルークの悪気のない言葉が突き刺さる。「君とはどこかで会ったことが?」
あなたは我が子のために帰ってきた。 わたしを愛していたからではなく……。 ベスとカラムは平凡ながらも幸せな夫婦……のはずだった。 けれど彼女にはなかなか赤ん坊ができず、不妊治療も失敗が続いた。 そんな妻に愛想を尽かしたように、カラムは離婚を切り出し、 仕事と言って遠い異国へ旅立ってしまう。 ところがその後、ベスは自分が妊娠していることに気づいた。 やっと苦労が報われた。これでカラムとわたしは親になれる……。 だが喜びは続かず、ベスが書いた手紙に彼からの返事はなかった。 捨てられた失意の中、彼女は待ち望んだ赤ん坊を出産して育て始める。 だから1年後、突然カラムが戻ってきても、ベスの気持ちは複雑だった。 心は親子で拒絶された悲しみと、今もつのる彼への愛に引き裂かれていた。 2017年、惜しくもこの世を去った名作家J・テイラー。今作は彼女が闘病中に執筆した一作です。元夫婦のあいだに生まれた、未来の象徴である小さな女の子に、作家がどんな思いを託していたか……。愛と命を紡ぐ温かな涙流れる物語を、どうぞお読みのがしなく!
ロンドンからスコットランド高地への旅は散々だった。イライザは雨に濡れながら、人里離れたロッジの玄関にたどりついた。こんな場所で、二人の教授が研究を続けているなんて信じられない。看護師のイライザは、彼らの手助けをするためにこの地を訪れた。きっと年老いた学者たちが、ここで実験に夢中になっているのだろう。ところがイライザの前に現れたのは、そんな予想を裏切る、端整な顔立ちにエレガントなスーツをまとった男性だった。戸惑うイライザに、彼は笑みを浮かべて言った。「きみはぼくの下でも働くことになるんだよ」彼こそがオランダから来たクリスチャン・ヴァン・ドイル教授。彼女に手伝いを頼んできた老教授のパートナーだったとは……。
彼女もあんな顔で式を挙げたくないでしょう── 元婚約者の心ない言葉を思いだし、リリーは涙をぬぐった。 事故のせいで頬に残った醜い傷跡にそっと触れる。 いっそのこと、誰も知らない土地に行って人生をやり直そう。 そう思った矢先、ふと新聞の求人記事に目がとまった。 “料理人求む。オクラホマ州クリントン” 秘書の経験しかないリリーだったが、応募に迷いはなかった。 そして雇い主の大牧場主ケイスに会った瞬間、彼女は確信した。 ロサンゼルスからはるばるここに来たのは、間違いではなかったわ。 ケイスはたじろぐこともなく、澄んだ目でリリーを見つめていた。 シャロン・サラの真骨頂、さわやかな涙と感動を誘うロマンス。
「鏡の中の女」(シャーロット・ラム/馬渕早苗訳)目覚めるとそこには、濃い霧に覆われた荒れ地だった。ここはどこ?わたしはなぜこんなところに?それより、自分が誰なのかすらわからない!寒さと恐怖に震えていると、霧の中に長身の人影が。衰弱した彼女は、通りがかりのその男性に連れられて病院へ行ったが、不可解なのは、ジェイクという名の彼が敵意のまなざしを向けてきたこと…。数日後、退院を許された彼女のもとに、再びジェイクが現れた。いまだ記憶が戻らず途方に暮れる彼女に、彼はあっさり言った。「君の名前はリン・シェリダン。君は僕のものなんだ」 「アンダルシアにて」(ヴァイオレット・ウィンズピア/斉藤雅子訳)青白い顔をしたアラベルの病室には、高価な見舞いの品々が毎日届けられる。送り主はスペイン人の名士で、彼女の“夫”であるコルテスだという。記憶喪失のアラベルには、結婚など身に覚えがなかった。そこはかとない不安を感じていた彼女の前に、ある日、夫が現れた。威厳に満ち、尊大な雰囲気漂うコルテスを見て、アラベルが思わず結婚の無効を申し出ると、彼は言った。「君には僕しかいない。君は僕の妻なんだよ」そして、豪奢な屋敷にアラベルを連れて帰ったコルテスは、名実ともに妻となることで要求してきて…。
韓国の文壇と読者から多くの人々に愛されてきた詩人、アン・ドヒョン。 4作目の詩集となった本作には、 世界的ヒットを記録したドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で朗読された、 「練炭一つ」を収録。 灰になった練炭をむやみに蹴るな 君は 誰かに一度でも熱い人であったことがあるのか ──「君に聞く」より 1980年の光州事件以降、文学より切実なことがあまりに多かった時代。 詩の力、言葉の力で、心を守り抜こうとした、 いまなお、読み継がれる詩集が待望の翻訳刊行! この詩集に載った「君に聞く」は「私」に厳しく問いかけ、 「私」に痛いほど鞭を打とうという詩である。 私でない他人に一度でも熱い人になること、 その思いで学校から追い出された自身の悲哀を自ら収めようとした。 そうして初めて、その険しい時代を耐えていけそうだと思えた ──「邦訳版 あとがき」より 1994年の初版刊行時から約30年を迎え、 著者による執筆当時を回想した、 邦訳版のための「著者あとがき」を特別収録。 時代のうねりのなかで、 何度も書いては消して、 自分へ、世の中へも屈することなく、 ペンを握り続けた詩人によって紡がれた、ことばの灯火。 自序 1 君に聞く/練炭一つ/半壊した練炭/太陽と月/機関車のために/芽項への道/ニンニク畑のほとりで/母岳山に登りながら /スミレ/土地 2 群山の沖合い/遠くの明かり/国防色のズボンについて/ポン菓子について/冬の夜に詩を書く/私の経済/あの家/服のせい/こんなに遅い懺悔を君は知っているか/この世に遠足に来て/私に送る歌/私をいらだたせるもの 3 木/白樺を探して/雪の止んだ野原/鮒/市内バスは行く/新築工事現場にて/葛藤/家について /古い自転車/井戸/ヒメジョオンの花/昔の風景画/洪水 4 この世に子どもたちがいなかったら/あのトネリコの幼い新芽も/学校へ行く道/その飯屋/群山の友 ── 李光雄先生/恋/新しい道/襲い掛かって来たら── アフリカ民謡を真似て/アメリカに関する研究/ソウルに住む友へ/草刈り 5 冬の葉書/法の通りに/教員労働者になって/マスの刺身を食べながら/妻の夢/ご飯/ミンソクの百日祝いが過ぎて外に抱いて出てみると/ステッカーを貼りながら/私の町のオリオン工場/懐かしい裡里中学校/希望事項 詩人の言葉 /解説 鍊鍛からの新しい道への風景/邦訳版あとがき/訳者あとがき
◆リトアニアを代表する詩人・ネリスの詩集 本書は、リトアニアの詩人サロメーヤ・ネリス(1904年11月17 日〜1945年7月7日)の第四詩集『オキナヨモギに咲く』収録の全ての詩、および、『選集(Rinktinė)』収録の小詩集「M.K. チュルリョーニスの絵より」の全ての詩を収めた、日本語では3冊目のネリスの対訳詩集である。 詩集『オキナヨモギに咲く』は、1938 年に刊行された。国家文学賞を受賞していることもあり、ネリスの代表作とも言われる詩集である。 (訳者あとがきより) 口絵:M.K.チュルリョーニス 我が子 旅人 行こう! 君は出て行った 青ざめた唇 誰が知っていたのか? 父さんは眠っている お母さんの涙 おばあちゃんのおはなし 大西洋の勝者よ どこでも私はそれを見る 白樺林 永遠の旅人よ 秋の近くに 秋の大通り 放蕩息子 凍える砂漠 走り去った幸せ 太陽の血 我が子 旅人 行こう! 君は出て行った 青ざめた唇 誰が知っていたのか? 父さんは眠っている お母さんの涙 おばあちゃんのおはなし 大西洋の勝者よ どこでも私はそれを見る 白樺林 永遠の旅人よ 秋の近くに 秋の大通り 放蕩息子 凍える砂漠 走り去った幸せ 太陽の血
戦争の暗雲は平沙里にも漂っている。母の家を逃げ出してきた南姫は心身ともに病んでいた。成煥の祖母は成煥の出征を知って失明してしまう。允国は戦地に出発し、還国はひどくやつれた母の姿に衝撃を受ける。李府使家の民雨も日本で行方をくらました。もはや親日派すら何の力もなく、禹介東は面事務所を解雇され、ハイ雪子には悲惨な結末が待っていた。他方、栄光は仁川に良絃を訪ね束の間の逢瀬に喜びを得るが、二人の未来を信じられない。麗玉はソウルに来た翔吉に自らの決意を伝え、緒方は父親と名乗れないまま荘次と満州への旅に出る。女学校四年生になった尚義は日本人教師の理不尽な振る舞いに敢然と立ち向かう。
弘を頼ってハルビンに行った栄光は、独立運動に関わり父と親しかった錫、良絃の実父・相鉉らと出会う。栄善は智異山の家に母が来たことで、兄の満州行きを知る。西姫は仁川の良絃を気遣い、平沙里の屋敷に連れ戻した。永八が死んで平沙里の来歴を知る人も少なくなり、代々続く家同士の因縁も新しい世代に払拭されていく。南姫は延鶴の配慮で晋州の参判家に身を寄せ、尚義は女学校を卒業した。自分の意思が希薄だった人生を悔やみ、明姫は周囲を驚かせる行動に出る。それを機に集まった海道士やカンセら山の男たちは、スパイを捉えたとの知らせに緊張感を高めた。そうした中、とうとう皆が待ち望んだ日を迎える。
これはオーレリーの18歳から20歳までの悪戦苦闘の記録。優秀な成績で大学に入った彼女を待っていたのは、平等とは名ばかりの階級社会が押しつけてくる、平板で息もできない退屈の日々だった。メディアが報じない現代フランス社会の現実に肉薄するデビュー作
ホメーロスの『イーリアス』は、トロイの木馬でよく知られているトロイア戦争における人間の英雄の物語であり、世界最古の、また、世界最高の西洋古典文学である。イーリオス(トロイア)を舞台にして、ギリシア軍とトロイア軍の英雄たちの実にすさまじい戦い、そして、英雄どうしの熱い友情の交換が繰り広げられる。そして、また神話上の神々が登場して、物語の展開を左右する。 訳者の小川政恭は、『ギリシア文化の流れ』(本書下巻に掲載)において、以下のように述べている。 「神話や英雄の物語は、王や貴族が支配した英雄時代にできた。それらを王の広間で吟誦詩人が竪琴の伴奏で物語るのを、人々は夢中になって聞いて楽しんだ。神々の祭のとき神々の事蹟をほめて歌う詩歌もあり、最初神々をほめた後で吟誦する英雄の物語もあった。神々の讃歌を集めたものは『ホメロスの讃歌』として残っているし、人間の英雄の物語はホメロスの『イリアス』『オデッセイ』である。」 『ホメロスの讃歌』には、小川政恭訳『ホメロスの讃歌集』生活社(1948年)がある。 こうして伝承されたホメーロスによる詩歌は、『イーリアス』として、紀元前6世紀のアテナイにおいて文字化され、紀元前2世紀にアレクサンドリアにおいて、ほぼ今日のかたちにまとめられたとされている。その昔、『イーリアス』は神話であるとされていた。だが、『イーリアス』の物語を手掛かりとして、ドイツの実業家で、考古学者のハインリッヒ・シュリーマンは、1871 年のトロイ遺跡、1876年のミケネ遺跡、および1884年のティリンス遺跡の発掘によって、『イーリアス』は神話と叙事詩の融合であることを実証したのである。 書評を執筆いただいた伊坂青司先生は、本書について「ギリシア最古の叙事詩にふさわしい格調高い訳と簡潔にして丁寧な頭注によって、読者をトロイア戦争の現場へと導きいれてくれる」と述べている。『イーリアス』のストーリーについては、伊坂先生の書評に、実に簡潔にまとめられている。
ホメーロスの『イーリアス』は、トロイの木馬でよく知られているトロイア戦争における人間の英雄の物語であり、世界最古の、また、世界最高の西洋古典文学である。イーリオス(トロイア)を舞台にして、ギリシア軍とトロイア軍の英雄たちの実にすさまじい戦い、そして、英雄どうしの熱い友情の交換が繰り広げられる。そして、また神話上の神々が登場して、物語の展開を左右する。 訳者の小川政恭は、『ギリシア文化の流れ』(本書下巻に掲載)において、以下のように述べている。 「神話や英雄の物語は、王や貴族が支配した英雄時代にできた。それらを王の広間で吟誦詩人が竪琴の伴奏で物語るのを、人々は夢中になって聞いて楽しんだ。神々の祭のとき神々の事蹟をほめて歌う詩歌もあり、最初神々をほめた後で吟誦する英雄の物語もあった。神々の讃歌を集めたものは『ホメロスの讃歌』として残っているし、人間の英雄の物語はホメロスの『イリアス』『オデッセイ』である。」 『ホメロスの讃歌』には、小川政恭訳『ホメロスの讃歌集』生活社(1948年)がある。 こうして伝承されたホメーロスによる詩歌は、『イーリアス』として、紀元前6世紀のアテナイにおいて文字化され、紀元前2世紀にアレクサンドリアにおいて、ほぼ今日のかたちにまとめられたとされている。その昔、『イーリアス』は神話であるとされていた。だが、『イーリアス』の物語を手掛かりとして、ドイツの実業家で、考古学者のハインリッヒ・シュリーマンは、1871 年のトロイ遺跡、1876年のミケネ遺跡、および1884年のティリンス遺跡の発掘によって、『イーリアス』は神話と叙事詩の融合であることを実証したのである。
青白い肌に残忍な目をした復讐者、エドモン・ダンテス。社交界で地歩を築き、仇討ちの準備を整えた伯爵の周囲に、ついに、ひとり、またひとりと死者が出はじめる。遠い国の王女の胸張り裂ける記憶、あこぎな盗人の手元できらめく短刀、鎖かたびらを身に纏う神父…… ゆらめく憎悪の炎に罪なき青年が犠牲になろうとする刹那、かつて愛した女が、ひとりの船乗りの名を叫ぶーー 【目次】 70 舞踏会 71 パンと塩 72 サン・メラン侯爵夫人 73 約束 74 ヴィルフォール家の墓所 75 調書 76 カヴァルカンティ息子の進歩 77 エデ 78 ジャニナ発の通信 79 レモネード 80 告発 81 パン屋の隠居部屋 82 押し込み 83 神の手 84 ボーシャン 85 旅 86 審判 87 挑発 88 侮辱 89 夜 90 対決 91 母と子 92 自殺 訳注 70 舞踏会 71 パンと塩 72 サン・メラン侯爵夫人 73 約束 74 ヴィルフォール家の墓所 75 調書 76 カヴァルカンティ息子の進歩 77 エデ 78 ジャニナ発の通信 79 レモネード 80 告発 81 パン屋の隠居部屋 82 押し込み 83 神の手 84 ボーシャン 85 旅 86 審判 87 挑発 88 侮辱 89 夜 90 対決 91 母と子 92 自殺 訳注
丘の上には、「真理に到達した者」が住んでいるーー 明治期の催眠術ブームの仕掛け人にして超常現象の研究家、長く私塾を営み成田中学校校長も務めた教育家、ユニテリアン思想に傾倒した宗教家ーー。いくつもの顔を有した稀代の啓蒙家・竹内楠三(1867-1921)がドイツ語で著しドイツで出版された幻の思想小説。「真理に到達した者」=森田老人を信奉する人々の対話や省察を通じて、彼の思想がいま鮮やかに蘇る。 序(ヴィルヘルム・ゾルフ) 真理探究者たち──ある日本人の対話と省察 監訳者あとがき(岩下眞好) 解説(片山杜秀) 付記(橘 宏亮)
名探偵ドミニック少年を悩ませる新たな謎はミステリアスな遺言書。アヴリル家の先祖が残した巨額の財産を手にするのは誰だ? 〈パリの少年探偵団〉シリーズ待望の続編! レトロモダンなジュブナイル・ミステリ第二弾。 アヴリルの相続人 訳者あとがき
北京へ、ニースへ、降りしきる雪の中へ、そして日本の桜の下へ。 シャーマニズムの香り濃い故郷瀋陽の街から、青年は逃奔するーー 鄭執は作家・脚本家・映像作家として活躍する中国の若きクリエイター。80後(バーリンホウ)世代※の旗手。 初邦訳となる本書には、中国東北部の中核都市である故郷・瀋陽の街から、あるいは鬱々と・あるいは劇的に・あるいは飄々と逃奔する青年を主人公とする、三つの物語を収録。 (※80後世代:80年代後半生まれ。中国の一人っ子政策の申し子で、他の世代より恵まれた経済環境に育ち、国際的な視野も経験も十分とされる) 【各作品紹介】 「ハリネズミ」 シャーマニズムの色濃い街で繰り広げられる不条理な茶番劇。周囲から変人扱いされてきた伯父と内向的な主人公が40歳の年の差を超えてかわす魂の交流。 「モンテカルロ食人記」 厳しい受験戦争に疲弊した主人公。その鬱屈する愛憎の相剋から溢れ出すエネルギーが巻き起こす、吹雪の街の奇譚。 「森の中の林」 「四人で五つの良い目を持つ」という祖父、父、息子、三世代の家族。それぞれの人生と愛、そして一つのミステリー。 【目次】 ハリネズミ モンテカルロ食人記 森の中の林 一 コウライウグイス 二 森林 三 春の夢 四 娘 五 瀋陽 日本の読者のみなさんへ 解説 鄭執ーー東北の大地に愛された若き創作者