ジャンル : 外国の小説
彼を知る必要がある。 おなかの子のことを明かす前に。 無垢なラリッサは子宝に恵まれない姉夫婦のために代理母になったが、 姉夫婦が赤ん坊の誕生を見ることなく相次いで死んでしまった。 身重で天涯孤独となったラリッサは、おなかの子の家族を捜そうと、 亡き義兄ジャワドの故郷ビダリヤ国へ移り住む。 そこで待っていたのは、新しい勤務先の優秀な上司で、 美しい黒髪と神秘的な瞳を持つ外科部長ファレス。 二人は一目で惹かれ合ったが、ほどなく驚きの事実がーー なんとファレスはこの国の皇太子で、ジャワドの弟だったのだ! ラリッサが兄嫁だったと思い込んで機嫌を損ねたファレスに、 それは違うと彼女は言えなかった。おなかの子を奪われてしまいそうで。 情熱的な作風のUSAトゥデイのベストセラー作家オリヴィア・ゲイツが《至福の名作選》に登場! 憎からず想っていたラリッサが亡き兄の妻で金目当てで近づいてきたと考えたファレスは、おなかの子は兄の子かどうかわからないと酷い言葉を投げつけて……。
この身を囚われるより、 心を囚われるのが怖くて……。 18歳で両親を亡くしてから働きづめのリリーは休暇のため、 ローマで伯爵ドミトリの個人秘書を務める弟を訪ねることに。 ところが、弟が伯爵の妹と駆け落ちしたと知って驚く。 しかも、妹が金目当てでたぶらかされたと信じこむドミトリに、 リリーまでが蔑みの目を向けられ、伯爵邸に閉じこめられてしまった。 彼女の弟が連絡してくるまでは解放しないという。 純粋な恋愛を不埒な誘惑と断罪したうえ、私からも自由を奪うなんて! 怒れる伯爵から逃れたくて誰かに助けを求めようと考えたリリーに、 ドミトリが告げた。「使用人には休暇をとらせたから、君と僕だけだ」 ああ、どうしよう、傲慢伯爵の籠の鳥になってしまった……! 「妹が僕のもとに帰ってくるまで、君を監視下に置かせてもらう」とんでもなく傲慢な伯爵は、とてつもなく魅力的な男性でもありました。高級服を着こなす長身のドミトリは“ローマ人とはこうあるべき”と言えるほど男らしく、リリーは思わず見とれてしまい……。
傲慢富豪に恋したら最後、 “愛の囚人”になってしまう……。 最愛の父が倒れ、サリーは父の会社が破産寸前だと知らされた。 彼女は金策に奔走するもすべて断られ、最後の手段として 債権者の大富豪ルチアーノ・アンドレッティに助けを求めた。 だが長身でハンサムな彼はサリーを上から下まで眺めたあと、 助けてほしいのなら、妻になれと要求してきた。 さもなければ、明日にも君の父親を破産に追い込むだろう、と。 「あなたとなんて、悪魔と結婚するようなものだわ!」 そう反発してみたところでほかに打つ手はなく、 サリーは愛されぬ花嫁となったーー彼はただ跡継ぎが欲しいだけだから。 それなら私もこの尊大な夫を愛さなければいい。そう思っていたが……。 窮地に陥った若き乙女と自信たっぷりのイタリア大富豪の愛なき結婚を描いた本作は、ハーレクインが日本に上陸した1979年に書かれた作品です。紙書籍限定の再版ですので、どうぞお見逃しなく!
そばにいるのに愛されないのは、 あまりにさみしい……。 社交界デビューしたばかりの19歳のエヴィには、 数多の紳士に言い寄られても、とうに心に決めた相手がいた。 親友の兄で11歳年上のジェームズ。やがて伯爵となる彼が、 遠い国へ旅に出ると知って、エヴィは勇気を出して恋心を打ち明けた。 彼が鮮やかな緑の瞳でエヴィを熱く見つめーー熱烈なキスをくれるとは 想像もせずに。驚きと喜びに舞い上がるエヴィ。だがその手を握った彼は 翌朝、求婚を心待ちにしていたエヴィに何も言わず、旅立った。 エヴィは泣き暮らし、心に誓った。もう誰も愛さないし、結婚もしないと。 2年後、舞踏会でしつこく言い寄ってくる男に襲われかけたエヴィは、 相手の足を撃ち難を逃れたが、悪評が立つ前に形だけの結婚をすることに。 花婿に名乗りを上げたのは誰あろう、帰国したばかりのジェームズだった! Kindleのベストセラー作家にしてRITA賞ファイナリストという実力派M・ウィリンガムがシェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』にインスパイアされて執筆した作品! 傷心からじゃじゃ馬となったヒロインの、初恋の伯爵との切ない愛なき結婚の行方は?
静寂な修道院から一転、 彼女の世界は情熱に染まって……。 修道院で静かに過ごす日々を終え、キャロラインは妹たちを連れて、 後見人であるトワイフォード公爵のもとへと向かった。 父の喪が明けた今、彼女は新たな人生の扉を開こうとしていたーー 華やかな社交界にデビューして、理想の花婿を見つけるために。 だが、現れた公爵を見た瞬間、キャロラインは目をみはった。 父と同じ年頃の男性を思い描いていた彼女の瞳に映ったのは、 若く危険なほど魅力的な男性。いったいどういうこと? キャロラインが鼓動の乱れを感じたその刹那、 公爵の瞳がきらりと輝いた。 無垢な乙女を手に入れようと、甘美で危険な策略を巡らせて……。 放蕩貴族に魅せられた、清らかな乙女の初めての恋を描くのは、海外ロマンス市場でも大人気の実力派、ステファニー・ローレンス。社交界デビューするや、華やかなパーティでも舞踏会でも紳士たちを虜にするヒロインが、やがて本当の愛に辿り着きます。
二〇世紀アジアを代表する作家プラムディヤ・アナンタ・トゥール。その八一年の生涯はオランダの植民地支配、独立後の新国家建設、スハルトによる独裁的支配まで、インドネシアが歩んできた歴史と重なる。その間、彼は三度におよぶ牢獄と流刑生活のなかで、さまざまな物語を紡ぎだし、作品は四〇を超える言語に翻訳され世界的な名声を獲得した。作家はいかに誕生し、いかに生き、いかに闘ったのか。豊富な資料をもとに、彼の生涯と時代との格闘をいきいきと描きだす世界初の本格評伝。 一人の作家の伝記がそのまま一国の歴史に重なる。 反体制派であった作家の視点と権力者のふるまいは対立するから、この本には弁証法的な奥行きが生じて真の歴史となった。 投獄に耐えて書き継がれた彼の作品群は国の歩みの証言でもある。池澤夏樹
過酷な労働と理不尽な暴力が支配する流刑地ブル島に一〇年あまりつながれた作家は、参照すべき資料もなく、渾身の歴史小説を書き上げた。プラムディヤの世界的な評価を決定づけた『人間の大地』四部作である。それはどのように書かれ、どのように島から持ち出されたのか。独裁政権によるたび重なる発禁を受けながら、小説は、どのように読まれ、国境を越え、いかにして世界文学となったのか。政治権力とのあやうい緊張に身をさらしながら、ペンを武器として闘い抜いた作家の姿を描く。 プラムディヤが流刑先であの大河小説「ブル島四部作」を書いたという伝説がある。 その詳細をこの本で知ることができた。やはり偉大な人物であったと感動する。 それと同時に、本国にもまだない細密な伝記が日本人の手で書かれたことにも感動する。池澤夏樹(帯より) 第五章 政変まで 一九六〇年ー一九六五年 『インドネシアの華僑』と二度目の逮捕投獄 スカルノと「指導される民主主義」 アジア・アフリカ作家会議執行委員会 「ルンテラ」編集人になる 歴史家・文学史家として 「ニャイ物語」の世界 自然としてのジャワ語、意志としてのインドネシア語 『わたしをカルティニとだけ呼んで』と『浜の娘』 「伐採する=一掃する」という攻撃的修辞法 ハムカ作『ファン・デル・ウェイク号の沈没』の剽窃問題をめぐって 『サストラ』文学賞拒否問題とH・B・ヤシン批判 「社会主義リアリズムとインドネシア文学」 「文化宣言」をめぐって 革命的文学芸術会議 文学教育について 短編「ハンマーおじさん」など 破局の前夜 第六章 三たび政治囚として 一九六五年ー一九七九年 三度目の逮捕投獄 九月三〇日事件 「国家の敵」となる サレンバ特別拘置所 happy land somewhere--ヌサカンバンガンからブル島へ 流刑地ブル島 「凧揚げをするように」 執筆許可ーースミトロ司令官との対話 大統領の手紙 ブル島で書く 滅びの物語『逆流』 『人間の大地』--「歴史を再想像する」 「元従軍慰安婦」の記録とメモワール B級政治囚の釈放 政治囚釈放をめぐる国際関係 最後の船で 第七章 強権に確執を醸す 一九八〇年ー二〇〇六年 ETというパーリア ハスタ・ミトラ社と『人間の大地』 発禁をめぐって ブル島四部作はいかに読まれ、あるいは攻撃されたか 『ある啞者の孤独の歌』 正史を相対化する物語 家族基金 かたくなな夫、無関心な父 マグサイサイ賞をめぐって スハルト独裁の崩壊のあとで 民主人民党 栄誉と反撥と 「わたしはネルソン・マンデラではない」--謝罪と和解をめぐって ハシム・ラフマン、ユスフ・イサクとの別れ 第八章 エピローグ 怒りに身を焼かれて 最期のとき ふたたび、最初に戦場に立つ者 あとがき プラムディヤ作品リスト 事項索引 人名索引 略語一覧 写真引用一覧 参考文献と資料 プラムディヤ・アナンタ・トゥール略年譜
トランプ復活&暴走を予言!? 制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へ…… 奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉! 『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』のアカデミー賞天才作家カウフマンの初小説が、ついに日本上陸。 ◎推薦コメント 異常な映画愛と懐かしきポストモダンの饒舌思考で、アメリカ合衆国の〈今〉を走査(スキャン)する。奇妙かつ壮大な旅。 佐藤究 やりやがったな、カウフマン! 超絶クレイジーで最高にクール!! 押し寄せる不条理の洪水に脳がバグって昇天寸前!! これ、世に出したらまずくない?! ふかわりょう 人が世に生きることの惨めさ切なさ情けなさ。そして映画という芸術に対する愛以上の強い感情。それをこんな奇想天外な物語にするなんて、チャーリー・カウフマンにしかできない。物語の情報量もギャグも彼の映画以上の圧縮バージョン! 山崎まどか 人生観を変えてくれる、ユニークで大胆な傑作。“人生”に対して幻想と矛盾を抱える、すべての迷える人におすすめしたい フランシス・フォード・コッポラ ◎あらすじ 冴えない映画評論家のB・ローゼンバーガー・ローゼンバーグは、インゴという引きこもりの老人が90年かけて制作した、上映時間90日の映画を見る。空前絶後の傑作だと確信したが、上映中にインゴは急死し、フィルムも火事で失われる。 失われたフィルムを復元しようと催眠療法に励むローゼンバーグのもとに、未来人を名乗る女性アビサがある依頼とともに、映像技術「ブレイニオ」を携え訪れる。ブレイニオにより映画の裏側の「不可視の世界」へ入り込めるようになり、夢・映画・現実の境界が徐々に崩壊しはじめる。 やがて自律型ドナルド・トランク(プ)・ロボットが出現すると、暗殺未遂を乗り越えて政権を掌握。大量増殖と暴走の末、巨大ファストフードチェーンと内戦を始め、終末戦争へと突入する。未来の地球で生き残った超天才アリまでもが登場し、全てが混沌の極限へと向かっていく……
国家が分裂し断片化した近未来世界。プーチン、トランプ、メルケル、アベなど、尻のような姿をしたG8元首脳のクローン(pb=政治的存在)たち。彼らを治療するサナトリウム院長ドクトル・ガーリンは、アルタイ共和国への核攻撃をきっかけに、北へ向かうことを決意する。身の丈3メートルを超すバイオ巨人、バービー人形のような女神を信奉する〈自由〉という名のアナーキストキャンプ、帝政期ロシアの貴族のように暮らす伯爵一族、カザフスタンから来る麻薬販売キャラバン、多種多様な人間的存在が登場する見世物サーカス、白いオオガラスへの崇拝…。『青い脂』『氷三部作』『吹雪』など、圧倒的な想像力で世界を震撼させてきた作家が描く愛の物語。
【本書「まえがき」より】 この本はアメリカの作家ナサニエル・ホーソーン(1804-1864)が、建国までのアメリカ初期の歴史をこども向けに書いた物語です(第一部〜第三部)。 第四部はさまざまの偉人のこども時代を描いています。日本人にはなじみの少ない人が多いかもしれません。でも、戦争あり、恋の成就や英雄の活躍ありの物語をドキドキハラハラしながら読んでいくと、だれもが信念を持って精いっぱい生きていたとわかるでしょう。人生の道しるべを見つけることができるかもしれません。 ホーソーンは、〈ピューリタン〉と呼ばれる人々の入植からアメリカの独立に至る歴史に深い関心を持ち、多くの作品の舞台にその時代を選んでいます。代表作の長編『緋文字』や、「優しい少年」、「白髪の戦士」、「エンディコットと赤い十字架」、「総督官邸に伝わる物語」のような短編はまさにこの時代を扱っています。 【目次】 まえがき 第一部 おじいさんの椅子 序文 第一章 おじいさんのお話の始まり 第二章 レディ・アーベラのお話 第三章 赤い十字架のお話 第四章 ロジャー・ウィリアムズ 第五章 植民地の政治 第六章 松の木銀貨のお話 第七章 クエーカー迫害とインディアン迫害 第八章 インディアンの聖書のお話 第九章 ピューリタン革命と植民地 第十章 沈没船の宝物のお話 第十一章 椅子のお話はひと休み 第二部 有名なむかしの人たち 序文 第一章 秋になってお話が再開 第二章 セーレム魔女騒動 第三章 むかしの学校のお話 第四章 フランス植民地との抗争 第五章 コットン・マザー牧師 第六章 人びとが拒んだ恩恵のお話 第七章 当時のファッション 第八章 植民地総動員のお話 第九章 流浪のアカディア人のお話 第十章 〈むかしのフランス戦争〉 第十一章 トマス・ハッチンソン副総督 第三部 自由の木(リバティー・ツリー) 序文 第一章 年が明けてお話はつづく 第二章 印紙法 第三章 ハッチンソンさんと暴徒のお話 第四章 イギリスによるボストン制圧 第五章 ボストン大虐殺のお話 第六章 独立の偉人たち 第七章 ボストン茶会事件のお話 第八章 ジョージ・ワシントン 第九章 ある王党派のお別れのお話 第十章 アメリカ独立 第十一章 おじいさんの夢のお話 第四部 偉人伝物語 序文 第一章 目の見えなくなったエドワード 第二章 ベンジャミン・ウェスト 第三章 アイザック・ニュートン卿 第四章 サミュエル・ジョンソン 第五章 サミュエル・ジョンソン(つづき) 第六章 オリヴァー・クロムウェル 第七章 ベンジャミン・フランクリン 第八章 ベンジャミン・フランクリン(つづき) 第九章 クリスティーナ女王
火山の麓で、氷河の上で、崇高な大地の前でーー アイスランドに生きる作者が自分自身や家族、これまで関わってきた人たちの視点、そして古くから伝わる伝承や北欧神話から、人と自然の「これまで」と「今」と「これから」を書き留める。すべての人に送る、物語のような随想録。 アイスランド本屋大賞、Tiziano Terzani賞(イタリアの国際文学賞)を受賞し、30か国以上で翻訳された話題作
フランス革命の前後のロンドンとパリという二つの都市を舞台に,ダーネイとカートンという二人の若者と,無実の罪で18年間投獄され精神を病んだマネット医師の娘ルーシーを中心に繰り広げられる数奇な物語。今なお舞台や映画,ミュージカル作品として人気の高い,ディケンズの後期の代表作。社会批判や諷刺も鏤められ,著者の面目躍如たる傑作。
『ドン・キホーテ』のパロディーたるスペイン自然主義文学にして、マリオ・バルガス゠リョサに「20世紀初頭の前衛小説に先んじた手法」と称された《非現実の夢》を用い、首都マドリードの都市空間の綾を読み解くベニート・ペレス゠ガルドスの都市小説の傑作長編。本邦初訳。
アジアの現代作家作品を集め、作家名の五十音順に排列した図書目録。1970年代〜2025年4月までに日本国内で刊行かつ日本語に翻訳された図書を対象とし、東アジア(日本を除く)、東南アジア、南インド、中東の主な作家による小説・詩・戯曲・ノンフィクション作品を収録。2,186人のアジア作家別に翻訳作品5,430点を一覧できる。巻末に便利な「書名索引」「国・地域別索引」付き。
アメリカ合衆国在住の作家バリー・ユアグローがトランプ政権下のアメリカに住む不安を小説に。 『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』からわずか5年。ユアグローから再び届いた「アメリカのいまを伝える」緊急文書。 「ここに収められた物語は心の、思いきっていえば魂の訴えである。」(柴田元幸) “昨年の大統領選で、本書の収録作「彼」で言及される「彼」の元とおぼしき人物が、七千万以上の国民に支持されて大統領に復帰して以来、合衆国から暗い知らせが届かない日はない。そして、七千余万の人たちのうちかなりの人数にとっては、それら暗い知らせも暗くはなく、ひょっとすると喝采すべき明るい知らせなのかもしれない、と思うと気持ちはますます暗くなる。 とはいえ、そんな吞気なことを言っていられるのも、あくまで当方は外国にいて、いまのところは直接、精神的にも物理的にも甚大な害は被っていないからだろうーーいまのところは。が、暗さの渦中にいる人々は、どんな思いで生きているのか? バリー・ユアグローから届いたこれらの寓話は、そのひとつの実例を伝えてくれる“ (訳者あとがきより) ーー 『松明のあかり』作者からのメッセージ 2020年、コロナ・ウィルスがニューヨークで猛威を振るっていたときに私は『ボッティチェリ』を書きました。そしていま、別の疫病のさなかに『松明のあかり』を書きました。今回は全米で猛威を振るっている政治的な疫病です。この本に収めた一連の寓話は、切羽詰まった警鐘であり、助けを求める訴えであり、自分が子供のころに移ってきた国でいま為されているさまざまな酷(むご)いことに対する苦悶の叫びです。日々押し寄せてくる、アメリカのみならず世界中を危険にさらしている暴虐、非道、噓のただなかで生きる、その痛みに満ちた経験を、これらの物語は想像力を通して綴っています。ところどころで暗いユーモアを使ってもいますが、絶望に陥らないため、ただ単に絶叫してしまわないために笑うのです。日本の読者の皆さんに、アメリカにいる私たちが、私たちの多くが、いまだ人間でいること、なんとか人間らしさを保ち、私たちの名において日々為されていることに深い恐怖を覚えていることをわかっていただければと思います。『ボッティチェリ』を素晴らしい本にしてくれたチームが、この『松明のあかり』も素晴らしい本にしてくれたことに感謝します。 バリー・ユアグロー 2025年7月20日 柴田元幸訳 ーー 《感想コメント》 小川洋子さん 「民主主義の断末魔の声が響く中、まさに急送文書のように届けられた 貴重な一冊。掌にのるこの一冊が、あかりとなるよう、祈るような思いです。」 ーー 佐川亜紀さん 「現在の危機の本質を鮮明に描いていて、この通りと… 松明のあかり ドッキリ 国境 カット! 何か 情報 埃 揺り木馬 光沢 地図帳 ティーカップ のたうつ 彼 ゴヤ 塹壕の日々 気をつけて 飾り戸棚 危険 君は何をした? 墓 逃れる 枕の下に見つかったさまざまな政府のリスト 訳者あとがき
話題沸騰のロマンタジー、待望の日本上陸。 運命の恋と宮廷の命運を懸けた激闘が今、幕を開ける! 〈七つの大罪〉をつかさどる王子たちが潜むと噂される、霧深き街ウェイヴァリー・グリーン。そこでは闇取引が横行し、魔力をもつ品や呪われた品々が息づいている。この街に暮らす人間(モータル)たちは、説明のつかないできごとをいくつも目にしながらも、その真相には気づかずにいる。だが、その裏では人間界で知られる由もない、危険な遊戯ーー命を懸けたゲームーーがひそかにくり広げられていた。 この街に暮らす人間(モータル)のひとり、有名女性画家カミラは、生計を立てるため過去に描いた贋作を盾に脅迫され、生きるすべを探していた。そんな彼女の前に現れたのは、謎めいた美貌の男性エンヴィ。 本来交わるはずのなかったふたりの出会いが、やがて魔界と人間界の運命を揺るがすーー。 抗えぬ欲望と宿命が交錯する、ダークでドラマティックなロマンタジーの幕開け。
Goodreads Choice Awards 2023 「ロマンタジー」部門 選出作品! 暴かれる正体、揺らぐ運命、そして終わりなき試練。 すべてを懸けた過酷なゲームが、やがて隠された真実を暴き出すーー。 互いへの疑念を抱えたまま、カミラは自身の力を取り戻すため、エンヴィとともに数々の試練へ挑む。陰謀渦巻く世界を巡るうちに、ふたりの絆は次第に信頼と愛へと変わっていく。 たどり着いた先は、闇のフェイ族が統べる王国〈ワイルド・コート〉。そこにはゲームの主催者である王レノックスが待ち受けていた。ゲームの真の目的が明かされるとき、思わぬ敵が浮かび上がり、ふたりは運命を懸けた最終決戦に挑むこととなるーー。 物語は闇と光、愛と裏切りが交錯する壮絶な結末へ。危うくも熱いロマンスと命を賭したサバイバルゲームが交錯する、衝撃のクライマックス。
第三次大戦後、汚染された地球では動物の所有が地位の象徴となっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、〈奴隷〉アンドロイドの首にかけられた賞金を狙い、決死の狩りを始めるーー『ブレードランナー』原作の伝説的SFが豪華特典付属の函入り本として登場
饒舌な弁護士だが私生活では空回りが多い兄と、社交が苦手な頭脳派チェスプレイヤーの弟。二人は父の死をきっかけに、互いの不器用さと向き合うことに。喪失の中で愛情を求め、複雑な恋愛関係や社会との距離に揺れ動く兄弟を描き切る、サリー・ルーニー最新作
ドラッグの売人、元ロック・スター、トップモデル、革命家、UFO研究者、分断世界の監察官、そして不滅の男ーー7つの物語が交叉する。仏哲学界の新スターによる驚異的建築物のごとき傑作。 ・ ・ 「彼は死ねないんだよ。人が経験することをすべて経験しちゃってるんだ」(本文より) ・ 【仏メディア、困惑と絶賛の驚異的傑作!】 *よくできた短編集ではなく、特異かつ驚異的な建築作品ーーテレラマ *本作をもって、トリスタン・ガルシアは短編と長編の中間にある物語集(という新たなジャンル)の作者となった。真実はときとして危険なほど超自然に接近するーーゾーン・クリティック *信仰と美と歴史と時間をめぐる7つの精神的な寓話。今年の避けては通れない10冊のうちの1冊ーーレクスプレス *一見多様な小説の寄せ集めにみえるこの作品は首尾一貫した構造を持っている。だが、その一貫性は見出すべきものなのである。それは読者に差し出された大いなる喜びでもある。トリスタン・ガルシアの最高の作品であるーール・ヌヴェル・オプス ・ ・ 「鼻血が出ない。とても孤独だ」(本文より) ・ 7つの物語が交叉する、巨大な人生万華鏡! 「エリセエンヌ」……若返りのドラッグを求めて、閉ざされた世界の混沌へと深入りしてゆく売人。 「木管」……元ロック・スターが見つけた不思議な楽器には、過去のあらゆる名曲が刻まれていて……。 「サンギーヌ」……〈顔〉と呼ばれるスーパーモデルと、傷を負った男との奇妙な相関関係。 「永久革命」……革命を夢みた一児の母が迷い込んだ世界は、1973年に革命が成就した世界だった。 「宇宙人の存在」……宇宙人を研究する兄とその恋人のもと、すべてを疑いはじめた幼いムーンは……。 「半球(ドーム)」……国境が消え、同じ思想の者同士が〈囲い〉で暮らす完全な分断が実現した世界で、〈普遍主義者〉が見たもの。 「第七」……大量の鼻血を出して何度でも生まれなおす男が、7度目の人生でついに到達した新たな世界。