音楽むすび | 発売元 : 株式会社ワードレコーズ

発売元 : 株式会社ワードレコーズ

オーファンズオーファンズ

現ARCH ENEMYの女性シンガー、アリッサ・ホワイトーグルーズを輩出したカナダのエクストリーム・メタル・バンド、ジ・アゴニスト。 メタルコアを基盤にプログレ、ジャズ、クラシック音楽の要素を盛り込んだ独自のサウンドを進化させたニュー・アルバムをリリース! 現ARCH ENEMYの女性シンガー、アリッサ・ホワイトーグルーズが在籍していたことでも知られるカナダはケベック州モントリオール出身のジ・アゴニスト。 このバンドは、2004年にアリッサ、ダニー・マリノ[g]、クリス・ケルズ[b,vo]の3人によって結成されている。 ちなみにダニーは、MAHOGANY RUSHのリーダーとしても知られるギター・ヒーロー、フランク・マリノの甥だ。 当初はTHE TEMPESTというバンド名だったが、『Century Media』と契約してワールドワイドでデビュー・アルバムをリリースするにあたって そのバンド名は余りにもありきたりであると考え、また同名のバンドがいたこともあってジ・アゴニストに改名している。 そのデビュー・アルバム「ONCE ONLY IMAGINED」は、2007年にリリースされている。この時点でサイモン・マッケイ[ds]が加入していたが、 タイミングの関係上、アルバムではゲストを起用している。さておき、ヘヴィでアグレッシヴでブルータルで、なおかつメロディックでキャッチーで コマーシャルなサウンドはここ日本でも高く評価された。スクリームとクリーンを完璧に使い分ける表現力豊かなアリッサのヴォーカルも大きな魅力だった。 2009年には2nd「LULLABIES FOR THE DORMANT MIND」をリリース。前作を進化させた内容で、PV化された“Thank You, Pain”はこのバンドの代表曲になった。 2010年2月にはHEAD PHONES PRESIDENTを従えての初来日公演が実現。この時はセカンド・ギタリストとして、CRYPTOPSYのメンバーでもあり、 1st、2ndのプロデューサーでもあるクリスチャン・ドナルドソンが同行した。2012年には正式なセカンド・ギタリストとしてパスカル・ジョビンを迎えた 5人編成による3rd「PRISONERS」をリリース。同年11月には二度目の来日公演が実現した。サポートを務めたのはALDIOUSだった。 そして、2014年。アリッサがアンジェラ・ゴソウの後任としてARCH ENEMYに移籍する。この時起こったことは、アリッサにとってもジ・アゴニストにとっても 苦い思い出でしかないだろう。アリッサは「2つのバンドを並行してやろうと思っていたのに、(ジ・アゴニストの)他のメンバーにその機会を奪われた。 追い出された」と辛辣な言葉を浴びせた。アリッサの気持もよく判る。フェイヴァリット・バンドの1つであるARCH ENEMYから声が掛かったのだから受けない手はないし、 2つのバンドを並行してやっていこうと考えていたのも事実だ。しかし、アリッサのARCH ENEMY加入を「WAR ETERNAL」(アリッサ加入後のARCH ENEMYの第一弾。 2014年リリース)の完成後に間接的に聞かされたという他のジ・アゴニストのメンバーの気持も判る。彼らが「このまま続けたらフルタイム・バンドとしての ジ・アゴニストはもうおしまいだ。ARCH ENEMYのシンガーのサイド・プロジェクトになってしまう」と危機感を抱いたのも判る。 ジ・アゴニストよりもARCH ENEMYの方がビッグなのだから、アリッサがそちらを優先して動くことはある意味当然だった。 ダニーがヴィッキー・サラキス、ギリシャ人の両親を持つシカゴ出身のこの女性シンガーの存在を知ったのは、インターネットの動画サイトで、だった。 彼女はIRON MAIDENやNEVERMORE、NIGHTWISHの曲の他、“Thank You, Pain”を歌っていた。ダニーは早速コンタクトを取るが、最初は「アリッサが辞めるので、 ジ・アゴニストのオーディションを受けてみないか?」ではなく「別プロジェクトをやろうと思っているので、君のことをもっと知りたい」と言ったそうだ。 ジ・アゴニストとARCH ENEMYはどちらも『Century Media』の所属で、レーベルを介して「しかるべき時が来るまでどちらも何も言わない」という取り決めをしていたためだ。 そして、音を合わせたり話をしたりしているうちに“相思相愛”になっていき、“しかるべき時”が来るとジ・アゴニストはヴィッキーに正式に加入をオファーする。 アリッサのARCH ENEMY加入とヴィッキーのジ・アゴニスト加入の発表はほぼ同時期だった。 ヴィッキーを迎えた新体制による4th「EYE OF PROVIDENCE」は2015年にリリースされた。音楽的に大きな変化はなく、 ヴィッキーもアリッサと遜色のないヴォーカルを聴かせた。スクリームを本格的に始めたのがジ・アゴニストに入る約1年半前だったというのが信じられないくらいに。 2016年には、『Napalm Records』に移籍して5th「ファイヴ」をリリース。2018年8月には、三度目の来日公演が実現した。 この時はCELLAR DARLINGとのダブル・ヘッドライナーで、他にもゲスト・バンドが出演した。 そして、ここに6thアルバム「オーファンズ」がリリースされた。メタルコアのヘヴィネスとアグレッションを基盤にしながらプログレ由来のテクニカルな展開、 さらにはジャズやクラシック音楽の要素を盛り込んだサウンドは健在だ。ヴィッキー加入後に増えたオーセンティックなHM/HR色の強い曲もある。 さらなる飛躍が期待出来るアルバムだ。 【メンバー】 ヴィッキー・サラキス (ヴォーカル) ダニー・マリノ (ギター) クリス・ケルズ (ベース) サイモン・マッケイ (ドラムス) パスカル・ジョビン (ギター)

ウィ・ウィル・ライズウィ・ウィル・ライズ

シルヴァー・マウンテン、イングヴェイ・マルムスティーン、ハンマーフォール等のドラマーとして知られる名手アンダース・ヨハンソンが、 2人の息子たちとニュー・バンドを結成!インダストリアルやフォーク・ミュージックの要素を取り入れたパワフルでメロディックな 音楽は実にエキサイティングで、一体感のあるプレイはまさに親子ならでは! スウェーデンで結成されたヘヴィ・メタル・バンド、シルヴァー・マウンテンのメンバーとして1984年にデビューを果たした アンダース・ヨハンソン(ドラム)。その後、弟でキーボード・プレイヤーのイェンス・ヨハンソンと共にイングヴェイ・マルムスティーンに引き抜かれた彼は、 アルバム『マーチング・アウト』(1985年)をはじめとする3枚のスタジオ作品とツアーに参加し、その名が知られるようになる。 イングヴェイのバンドから離れたアンダースは、イェンスと結成したヨハンソン・ブラザースやヨハンソンでの活動の他、 ビリオネアーズ・ボーイズ・クラブやスネーク・チャーマーなど、数多くのレコーディングに参加すると、 1999年にスウェーデンの人気メロディック・メタル・バンドのハンマーフォールに加入。アルバム制作とワールド・ツアーを精力的に行なった末、 2014年にバンドを離れた彼は、セッション・ワークをこなしながら、2019年からニューヨークのパワー・メタル・バンドのマノウォーでもプレイしている。 こうして多忙な日々を送っているアンダースは2016年のある日、ニック(ギター)とカール(ベース/キーボード/スクリーム)の2人の息子から 彼らが作った曲を聴かされ、自分が思いつかないようなモダンなメタル・チューンを気に入り、息子達とバンド結成を決意。 シンガーに元クラウドスケープのマイク・アンダーソン(ヴォーカル)を迎えた彼らは、STROKKURというバンド名で実験的にデジタル配信のみによるアルバム 『VANTABLACK』(2017年)をリリース。そして今回、タングステンと改名し、本作『ウィ・ウィル・ライズ』で本格的にデビューを果たしたのであった。 インダストリアル・ミュージック・スタイルのデジタリックなビートを軸にしたしたパワフルな音楽は、重厚でかつメロディックで、 北欧のフォーク・ミュージック的なメロディを取り入れた楽曲も目立つ。その直線的なビートとシリアスなムードにはラムシュタインを思わせる部分があるが、 叙情性を感じさせるヴォーカル・メロディを取り入れた曲にはサバトンのような雰囲気ものもある。アンダース親子の一体感となった力強い演奏と、 マイケルの表現力豊かなヴォーカルのマッチングも完璧で、北欧の伝統とモダンな要素を見事にミックスした作品に仕上がっている。 【メンバー】 アンダース・ヨハンソン (ドラムス) カール・ヨハンソン (ベース/キーボード/スクリーム) ニック・ヨハンソン (ギター) マイク・アンダーソン (ヴォーカル)

エヴォリューションエヴォリューション

吐息から絶叫へ、コブラ・ペイジの女声ヴォーカルが冴えわたる。コブラの“毒"とロータスの“清らかな心"の清濁併せ呑むハード&ヘヴィ・サウンドが炸裂する6thアルバム。 日本のファンのためにだけに特別にレコーディングされた全編日本語曲「トーキョー」を日本独占収録! カナダのカルガリーで2009年に結成、KISSのジーン・シモンズに見出されてワールド・デビューを果たしたコブラ・アンド・ザ・ロータスは、 現代ハード&ヘヴィ界で最も刺激的なバンドのひとつとして絶大な支持を得てきた。KISSやジューダス・プリースト、デフ・レパードのオープニング・アクトとして 世界をツアー、ドイツ“ヴァッケン・オープン・エア"、イギリス“ダウンロード・フェスティバル"、フランス“ヘルフェスト"など 世界各国のメタル・フェスに参戦して、彼らはその実力を知らしめている。 コブラ・ペイジの表現力豊かなヴォーカルは時にアグレッシヴ、時にメロウ、そして常にエモーショナル。そのアグレッシヴでメロディアスな音楽性は、 国境や世代を超えてファンを魅了してきた。『プリヴェイルI』(2017) 『プリヴェイルII』(2018)の二部作ではスケールの大きなトータル性を追求。 後者は米グラミー賞に相当するカナダのジュノー賞“メタル/ハード・ミュージック・アルバム"部門にノミネートされるなど、その存在がクローズアップされてきた。 そんな状況下で発表される通算6作目のアルバムが『エヴォリューション』だ。 バンドの“エヴォリューション=進化"をアルバム・タイトルに冠した本作。激リフとキャッチーなメロディがせめぎ合う(2)「エヴォリューション」、 エレクトロニックなサウンドとヘヴィネスに乗せて圧倒的なヴォイスの迫力で魅せる(3)「バーン! 」、大会場をひとつにするアリーナ・アンセム(6)「サンダースミス」、 タイトルに反して歌わずにいられない(10)「ゲット・ザ・ファック・アウト・オブ・ヒア」など、バンドの持つ多彩な魅力をさらに進化させたアルバムとなっている。 前作『プリヴェイルII』では「レット・ミー・ラヴ・ユー」(日本語 ver)での完璧な発音が日本のファンから絶賛されたが、 今回はジャパン・オンリーの新曲「トーキョー」をボーナス・トラックとして収録。コブラの日本語ヴォーカルを再び堪能することが出来る。 スラッシュ、アルター・ブリッジ、トリヴィアムなどの作品を手がけてきたマイケル“エルヴィス"バスケットをプロデューサーに起用。 さらにスケールアップした世界観を提示しながら、結成10年を迎えたコブラ・アンド・ザ・ロータスは新たなる地平線へと飛び立っていく。 【メンバー】 コブラ・ペイジ(ヴォーカル) ジェシオ・クラオウスキー(ギター) ロニー・グティエレス(ギター) ブラッド・ケネディ(ベース) マーカス・リー(ドラムス)

モーン・ザ・サザン・スカイズモーン・ザ・サザン・スカイズ

グルーヴ・メタルはエグゾーダーが発明し、パンテラが広めた。 そんなオリジネイターとしてリスペクトされ続けるエグゾーダーが放つ27年ぶりのサード・アルバム! スラッシー、ヘヴィ、グルーヴィー。どこを切ってもエグゾーダー。ブランクを一切感じさせない完全復活作。 プロデューサーにイエンス・ボグレンを迎え、ついに真の評価を得るときが来た! エグゾーダーはニューオーリンズ出身のスラッシュ・メタル・バンド。結成は85年だが、『Slaughter in the Vatican』で アルバム・デビューを果たしたのは、90年になってから。92年にはセカンド・アルバム『The Law』を発表するが、 何しろスラッシュ・メタルに逆風が吹き荒れていた90年代初頭のこと。どちらのアルバムも商業的な成功に恵まれることはなく、 バンドは93年に解散。それだけならば、何てことのない、多少遅れてデビューしたスラッシュ・メタル・バンドにありがちな話で終わりだ。 だが、エグゾーダーはその後20年以上に渡り、ヘヴィ・メタル界の論争の中心であり続けた。 グルーヴ・メタルの元祖はエグゾーダーなのか。もっとストレートに言えば、「パンテラの元ネタはエグゾーダーなのか」という論争だ。 パンテラがパンテラらしいスタイルを確立したのが5thアルバム『Cowboys from Hell』であることは、周知の事実だろう。 この作品がリリースされたのは、『Slaughter in the Vatican』と同じ90年のこと。そのあたりの時系列が非常に微妙なのだが、 『Slaughter in the Vatican』はフィル・アンセルモによるプロジェクトだと偽れば、信じる人も少なくないであろうと思うくらい、両者の共通点は多い。 いわゆるグルーヴィーなパートもそっくりだが、何よりカイル・トーマスとフィルの声質、節回しは酷似していると言わざるをえない。 当時、知名度の差もあり、エグゾーダーはパンテラのフォロワーだという印象を持った人もいたことだろう。 だが、実際影響下にあったのは、パンテラの方である。少なくとも、フィルがエグゾーダーの大ファンであったことは間違いない。 彼は「リスペクトするエグゾーダーを他のメンバーにも聴かせた」と証言している。「エグゾーダーがグルーヴ・メタルを発明し、 パンテラがそれを広めた」というが、現在の定説なのである。肝心の本人たちは、「パンテラが俺たちから影響を受けたかって?それは間違いない。 パクリかと言われれば、まあそうかもしれないな。だけど、彼らは俺たちよりずっと頑張った。だから成功したんだ。 それだけのことさ」と、外野の論争など意に介さず、潔いコメントをしているのだが。 そのエグゾーダーが、27年ぶりとなる3枚目のアルバム『モーン・ザ・サザン・スカイズ』をリリースする。 メンバーはカイル・トーマス(Vo)、ヴィニー・ラヴェラ(G)のオリジナル・メンバー2人に加え、ベースがヒーゼンのジェイソン・ヴァイブルックス、 ドラムがフォービドゥンのサシャ・ホーンという豪華ぶり。さらに、セカンド・ギタリストのマージ・モンタゼリは、数々のパンテラ・ナンバーも披露する フィリップ H. アンセルモ&ジ・イリーガルズのメンバーであったというのも興味深い。「ティーンエイジャーだったころ、俺たちは夢を見ていたんだ。 月並みな言い方だけど、50になった今も、まだ目を覚ましていないのさ。エクゾーダーは、俺たちの人生にずっとつきまとっているからね」とヴィニーが語るとおり、 『モーン・ザ・サザン・スカイズ』は一切ブランクを感じさせないパワフルな作品だ。ヘヴィでグルーヴィーでスラッシー。 まさにエグゾーダー以外何ものでもない。名プロデューサー、イエンス・ボグレンの手により、21世紀のサウンド・クオリティを手にした元祖グルーヴ・メタル。 正当なる評価を得るときが、ついにやってきた。 【メンバー】 カイル・トーマス(ヴォーカル) ヴィニー・ラヴェラ(ギター) マージ・モンタゼリ(ギター) ジェイソン・ヴィブルックス(ベース) サシャ・ホーン(ドラムス)

アナザー・ステイト・オブ・グレイスアナザー・ステイト・オブ・グレイス

スコット・ゴーハム擁する、シン・リジィの血を受け継ぐブラック・スター・ライダーズの4thアルバムが登場。 哀愁を感じさせるヴォーカル・メロディ、深みのある歌唱、美しいツイン・リード…。 ストーン・サワーのクリスチャン・マルトゥッチ(ギター)を新たに迎え、ロックの伝統と格式に満ちあふれた珠玉の1枚がここに完成。 リッキー・ウォリック(ヴォーカル/ギター)、スコット・ゴーハム(ギター)、クリスチャン・マルトゥッチ(ギター)、ロビー・クレイン(ベース)、 チャド・スゼリガー(ドラムス)という5人が名を連ねるブラック・スター・ライダーズ。その歴史は、シン・リジィを率いて 数々の名曲を残したフィル・ライノットが他界してから10年が経った1996年に遡る。 ジョン・サイクス(ギター/ヴォーカル)、スコット・ゴーハム、ブライアン・ダウニー(ドラムス)、ダーレン・ワートン(キーボード)、 さらにマルコ・メンドーサ(ベース)により再結成が実現したシン・リジィは、メンバーを入れ替えながら、ライヴ活動を精力的に実施。 2009年に元ジ・オールマイティのリッキー・ウォリック(ヴォーカル/ギター)を迎え、オリジナル曲の制作を開始した彼らは、 シン・リジィの名前でアルバムを制作することはないと公式に発表し、2012年にブラック・スター・ライダーズと改名する。 その後、ブライアン・ダウニーとダーレン・ワートンが脱退したため、リッキー、スコット、マルコ、元ブラザー・ケインのデイモン・ジョンソン(ギター)、 元メガデスやY&Tのジミー・デグラッソ(ドラムス)という5人のメンバーでレコーディングに臨んだバンドは、 アルバム『オール・ヘル・ブレイクス・ルース』(2013年)でデビューを果たす。フィルを彷彿とさせるリッキーの歌唱と・ヴォーカル・メロディ、 スコットとデイモンのツイン・ギター、アイリッシュ・テイストの旋律など、シン・リジィの流れを汲んだこの作品が全英チャート最高25位にランク・インする。 ザ・デッド・デイジーズに専念するために脱退したマルコに替わり、ヴィンス・ニール・バンドやラットなどでプレイしていたロビー・クレインを迎えたバンドは、 2ndアルバム『キラー・インスティンクト』(2015年)をリリース。このアルバムを全英チャート最高13位に送り込むと、その勢いに乗り、 同じメンバーで3rdアルバム『ヘヴィ・ファイア』(2017年)を発表し、この作品も全英チャート最高6位に入るヒットとなる。 アルバム・リリース後、ジミーが脱退したためブレイキング・ベンジャミンのチャド・スゼリガーを迎えてツアーを行なった彼らだが、 ツアー終了後にデーモンが自身の活動に専念するために脱退。新たにストーン・サワーのクリスチャン・マルトゥッチを迎えた新布陣でレコーディングを実施した末に 完成したのがこの4thアルバム『アナザー・ステイト・オブ・グレイス』である。 これまで同様にシン・リジィのエッセンスを取り入れた楽曲を軸にしたこの作品は、 アイリッシュの旋律を交えたタイトル曲の「アナザー・ステイト・オブ・グレイス」、キャッチーなツイン・リード・プレイで始まる 「エイント・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」など、シン・リジィ・ファンもグッと来るような曲が並ぶ。 その一方で、アコースティック・ギターを使ったバラード、パワフルなロックン・ロール系の曲など、シン・リジィの哀愁やポップ性を受け継ぎつつ、 このバンド独自のスタイルを追求した楽曲の充実ぶりも目覚ましく、フィル・ライノット風に歌うリッキーの歌唱も実に味わい深い。 シン・リジィの魂を受け継ぎつつ、バンドとしての進化を取り入れたこの作品は、幅広い世代のロック・ファンを虜にすることは間違いないだろう。 【メンバー】 リッキー・ウォリック(ヴォーカル/ギター) スコット・ゴーハム(ギター) クリスチャン・マルトゥッチ(ギター) ロバート・クレイン(ベース) チャド・スゼリガー(ドラムス)

イン・ザ・ロウイン・ザ・ロウ

北国の女王、ここに降臨す。雪の結晶の脆さと鉄(くろがね)の強靱さを兼ね備えた歌声で、ターヤがすべてを露わにする。   かつてメタル・バンド、ナイトウィッシュの一員であり、現在ではジャンルを超えてフィンランドを代表する女性ヴォーカリストとして活躍するターヤ。 7作目のソロ・アルバムとなる『イン・ザ・ロウ』はそのタイトル通り、彼女の歌手人生において最も“生々しい=RAW”な作品だ。 ヘヴィでメランコリック、繊細で重厚。ターヤの多彩な精神性と想いを歌い上げた本作は、その内面を露わにし、脆く、それでいて猛々しい作品に仕上がっている。 「クリエイティヴであることは苦痛を伴う。アルバムの歌詞を書き上げたとき、自分が空っぽになって、浄められたように感じた」とターヤ自らが語る本作は、 さまざまなスタイルの楽曲に乗せて、そのエモーションを歌い上げる。 その美麗でオペラチックな歌唱は、さらに磨きがかかっている。ダークでヘヴィでありながら耽美的なメロディに満ちた(1)「デッド・プロミシーズ」は 「私のライヴで、みんなでジャンプしまくる曲を書きたかった」とターヤ自身が語るものだ。 デペッシュ・モードからマリリン・マンソンの系譜に則った(2)「グッバイ・ストレンジャー」、彼女のポップな情感を表現した(4)「レイルローズ」、 ピアノとストリングスを従えて歌い上げる(5)「ユー・アンド・アイ」、クラシカルな調べとインストゥルメンタル・パートが強化された (6)「ザ・ゴールデン・チェンバー」など、シンガー“ターヤ”“としてのペルソナに留まることなく、“ターヤ・トゥルネン”の人間像が掘り下げられた作品だ。 本作はかつてナイトウィッシュが『ワンス』(2004)で成し遂げた音楽的達成を、彼女のソロにおいて具現化させたアルバムだといえるだろう。 彼女に共鳴した実力派アーティスト勢がゲスト参加。(1)「デッド・プロミシーズ」では ビョーン“スピード”ストリッド(ソイルワーク)、 (2)「グッバイ・ストレンジャー」ではクリスティーナ・スカビア(ラクーナ・コイル)、(8)「サイレント・マスカレイド」では トミー・カレヴィック(キャメロット)がヴォーカルを披露している。 メタルからクラシック、ポップ、ゴシックに至るまで、ターヤ・ワールドを余すところなく描き切った本作のミックスは、 彼女の音楽性を熟知するティム・パーマーが手がけている。 本作をターヤは“黄金”に例える。「黄金は洗練されて完璧な物質。でも同時に、自然に存在する生々しい物質でもある」 聴く者を黄金の道へと導くアルバム。それが『イン・ザ・ロウ』だ。 【メンバー】 ターヤ(ヴォーカル) 【ゲスト・ヴォーカル】 ビョーン“スピード”ストリッド (ソイルワーク) クリスティーナ・スカビア (ラクーナ・コイル) トミー・カレヴィック (キャメロット)

ワンダラーズワンダラーズ

Napalm RecordsのCEOであるトーマス・カザー (ドラムス)、男女ヴォーカルを擁するオーストリア出身の ヴィジョンズ・オブ・アトランティスのニュー・アルバムが早くもリリース! 『指輪物語』の一説からタイトルが採られたこの第7作『ワンダラーズ』にて、劇的かつシンフォニック、優美にしてダイナミックな叙情サウンドはさらなる高みへ…!!   '00年にオーストリアにて始動。'02年にアルバム『ETERNAL ENDLESS INFINITY』でデビューを飾ったシンフォニック・メタル・バンド、 ヴィジョンズ・オブ・アトランティスはこれまでに数え切れないメンバー・チェンジを経てきた。現在も残っているオリジナル・メンバーは、 ドラマーのトーマス・カザーだけで──当初は、そのトーマスの近しい友人達で結成された、文字通り“オーストリア人のバンド”であったが、 ラインナップに異動がある度に各国から逸材を補充し、いつしか多国籍なバンドとなっていた。 しかし、ドラマティックな叙情サウンドはデビュー時からほぼ不変。“epic” “romantic” “mysterious” “dark” “powerful” “emotional” “intimate” “passionate” “exotic” “melodic” “poetic” “fantastic”…と、あらゆる劇的HR/HMのサウンド要素を常に内包している。 現ラインナップは、トーマス[Ds]以下、クレモンティーヌ・ドロネー[Vo]、ミケーレ・グアイトリ[Vo]、 クリスティアン・デューハ[G]、 ハーバート・グロス[B]となっており、元WHYZDOM〜SERENITYで現EXIT EDENでもあるクレモンティーヌはフランス出身、 KALEDONやTEMPERANCEにも籍を置くミケーレはイタリア出身。過去には、米人シンガーやギリシャ人シンガーを迎えたこともあった。 元々、NIGHTWISHを目標にしていたというヴィジョンズ・オブ・アトランティスだが、男女クリーン・ヴォーカルをレギュラーで擁し、 ゴシカルにもプログレッシヴにもなり過ぎず、基本グロウルやスクリームを用いることなく、飽くまでメロディックなHR/HM路線を堅持している点は特筆しておきたい。 セカンド『CAST AWAY』('04)以降、『TRINITY』('07)、『DELTA』('11)、『ETHERA』('13)、『THE DEEP & THE DARK』('18)と作を重ねる中で、 メロデスやNUメタルのエッセンスを盛り込もうとしたこともあるにはあったが、その主軸となる方向性がブレることはこれまでなかった。 そんな彼等は、この2月に初のライヴ・アルバム『ザ・ディープ・アンド・ザ・ダーク・ライヴ〜シンフォニック・メタル・ナイツ』を発表したばかりだが、 早くも『THE DEEP & THE DARK』に続くスタジオ新作『ワンダラーズ』が完成した。 通算7作目となる本作のタイトルは、かの『指輪物語』(J.R.R.トールキン作)に登場する詩の一節 “Not all those who wander are lost(彷徨う者は全て迷い人とは限らない)” から採られたという。この “アラゴルンの詩” は、“All that is gold does not glitter(全ての金が光っているとは限らない)” で始まり、 “The crownless again shall be king(王冠はまた王の許へ戻る)” で締め括られ──つまりは、 “見かけに騙されてはいけない” という意味が込められた、 誰しもが心掛けるべき金言である。過去最高にメロディックで、ノーブルで、エレガントな仕上がりとなった最新作『ワンダラーズ』。 その日本盤には、海外盤と共通のボーナス・トラック2曲に加え、さらに日本限定のボーナス・トラック1曲が収録される予定だ。 【メンバー】 クレモンティーヌ・ドロネー (ヴォーカル) ミケーレ・グアイトリ (ヴォーカル) クリスティアン・デューハ (ギター) ハーバート・グロス (ベース) トーマス・カザー (ドラムス)

レネゲイズレネゲイズ

前作『アルマゲドン』('16)から3年振り、'17年の初来日公演後にメンバー交代を経た、 ドイツ産エピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド、エクリブリウムの新たな章がここに幕を開ける! ジャンルの壁を突破し、鮮烈なる進化を遂げた彼等のニュー・サウンドに注目せよ! 挑戦は時にリスクを伴う。それは音楽の世界においても言える。ファンとは身勝手なものだ。 安定路線に甘んじていると「マンネリ」と揶揄され、新機軸を打ち出すと「裏切り行為だ!」と断罪される。 しかし、古今東西のあらゆるミュージシャン達は、常にリスクを恐れず挑戦を続けてきた。 その結果、目覚ましい進化を遂げたバンドもいる一方、ファンに受け入れられず、そのまま失速してしまうバンドもいる。 それでも、同じことの繰り返しを良しとしないミュージシャンは後を絶たない。 前作『アルマゲドン』('16)からちょうど3年振り、待望のニュー・アルバムをリリースするドイツのエピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド、 エクリブリウム。彼等もまた、ここにきて大勝負に出た。『レネゲイズ』とタイトルされた、この6枚目のフルレンス・スタジオ新作には、 アッと驚く新機軸が提示されている。果たしてこの進化と新化を、ファンやシーンがどのように受け止めるのか──バンド自身としても興味津々なのではないだろうか。 エクリブリウムの母体となるバンドは、独ミュンヘン近郊の町マイザッハにて、'01年夏にスタートしている。ただ、当初はカヴァー曲中心の学生バンドに過ぎず、 ヘルゲ・シュタンク[Vo]、レネ・ベルティアオメ[G]、アンドレアス・フェルクル[G]、ザンドラ・フェルクル[B]、ヘニング・シュタイン[Ds]、 ミヒャエル・ハイデンライヒ[Key]というラインナップが確定し、本格的に活動を開始したのは、数度のローカルなギグを経てからのことであった。 驚くべきは、当時のメンバー達の年齢。リーダー格のレネは20歳だったが、ヴォーカルのヘルゲは18歳で、他のメンバーも殆どが10代、 ベースのザンドラはまだ15歳だったという。当初、志向していたのはエピックなヴァイキング/ペイガン・メタル。MOONSORROWやFINNTROLLからの影響が強く、 ゲルマン神話や北欧神話、エッダやサーガを下敷きにした歌詞が、全て母国語で書かれていたのも興味深い。 アルバム・デビューは'05年、『TURIS FRATYR』にて。次いで、'08年にはセカンド『SAGAS』を、'10年にはサード『REKREATUR』をリリース。 だがその間、メンバー・チェンジが繰り返され、'14年に第4作『ERDENTEMPEL』が発表される頃には、オリジナル・メンバーで残っているのは、 バンマスのレネだけとなっていた。とはいえ、バンドとしては作を追う毎に成長を遂げ、特に'10年加入の2代目シンガー、ロブセことロベルト・ダーンは、 その剛毅な存在感でもって、ファン層拡大に大きく貢献したと言えよう。 そんな彼等が初来日を果たしたのは、前作『アルマゲドン』に伴うツアーにて、'17年3月のこと。その時点でのバンド・ラインナップは、 ロブセ[Vo]、レネ[G]、ドム・R・クライ[G]、マルクス“マッキ”ライヴァルト[B]、トゥヴァル“ハティ”レファエリ[Ds]だったが、 その後またもやメンバー・チェンジが起こり、今年に入って、ベースがマルティン・ベルゲルに交代し、 さらに鍵盤奏者としてスカディ・ローゼフアストが新加入した。その現ラインナップで制作されたのが、新作『レネゲイズ』ということになる。 先に“エピック・フォーク/ペイガン・メタル・バンド”と書いたが、もはやエクリブリウムをそう呼ぶことは出来ないだろう。 それは『レネゲイズ』を聴けばすぐに分かる。ここには、ジャンルの壁に囚われたかつてのバンドはもういない。より自由度の高い楽曲が、 新たな章の幕開けを高らかに宣言している。中でも、最も衝撃度が高いのが「パス・オブ・デスティニー」だ。何とこの曲には、同郷のラップコア・バンド、 ザ・ブッチャー・シスターズの面々が客演しているのだ。ペイガン・メタルにヒップホップとは意表を衝くどころではないが、決して奇をてらったワケではない。 元々、幅広い音楽的嗜好のレネ達が今、本当にやりたいことをシンプルにやってのけたのが、この『レネゲイズ』なのである。 無論、フォーキーな要素や、エスニックな手法など、お馴染みの曲想も残されてはいる。だが、そこに神話や伝説の世界はもう存在していない。 進化は既に起こっており、もう誰も新生エクリブリウムを止めることなど出来ないのだ…!! 【メンバー】 ロブセ(ヴォーカル) スカー(クリーン・ヴォーカル) レネ(ギター) ドム・R・クライ(ギター) スカディ(シンセ) ハティ(ドラムス)

コントラクチュアル・オブリゲイション#1:ライヴ・イン・モスクワコントラクチュアル・オブリゲイション#1:ライヴ・イン・モスクワ

イアン・ギランのソロ・コンサートの様子を収めたライヴ・アルバムが登場! ディープ・パープルのシンガーであるイアン・ギランが、ドン・エイリーと彼のバンドのメンバー、 現地のオーケストラと共に2016年に行なったモスクワでのライヴを収録。 ディープ・パープルの楽曲を中心にした選曲、パワフルで妖艶な演奏、イアンのエモーショナルな歌唱など、圧巻のパフォーマンスが楽しめる! 1969年にディープ・パープルに加入し、『ディープ・パープル・イン・ロック』(1970年)、『ファイアーボール』(1971年)、 『マシン・ヘッド』(1972年)、1972年の来日公演の様子を収めた『ライヴ・イン・ジャパン』(1972年)など、 黄金期と呼ばれる第2期ディープ・パープルのメンバーとして数々の伝説を残したイアン・ギラン。 バンド脱退後はイアン・ギラン・バンド、ギラン、さらにブラック・サバスにも参加した彼は、 1984年にディープ・パープルを再結成させ、1994年からはスティーヴ・モーズを迎えた体制で精力的に活動を続けている。 その一方で、ディープ・パープルがオフの際に、ソロとしても活動を行なっているイアンは、これまでソロ名義で5枚のスタジオ・アルバムをリリースし、 ライヴも数多く実施。この『コントラクチュアル・オブリゲイション#1:ライヴ・イン・モスクワ』は、 2016年11月に東ヨーロッパ8ヵ国で行なわれたツアーの中の11月15日のモスクワ公演を収めたものである。 イアンのバックを務めるのは同じくディープ・パープルのドン・エイリー(キーボード)と、彼のバンドのメンバーであるサイモン・マクブライド(ギター)、 ローレンス・コトル(ベース)、ジョン・フィニガン(ドラム)の4人。さらに、コンダクターのスティーヴン・ベントリー・クレインの指揮のもと、 各国で地元のオーケストラ隊と共演しているのもこのツアーの大きな見所となっていた。 イアンのソロ・アルバム『TOOLBOX』(1991年)に収録された「ハング・ミー・アウト・トゥ・ドライ」で幕を開けるこのライヴは、 ソロ・アルバムからの曲もプレイはしているものの、大半の曲がディープ・パープルのナンバーとなっているのが大きな特徴だ。 「ストレンジ・ウーマン」「レイジー」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「ハッシュ」「ブラック・ナイト」などの定番曲に加え、 2000年以降の作品など、新旧を織り交ぜた楽曲がセレクトされている。さらに、かつてドン・エイリーが在籍していたレインボーの 「治療不可(Difficult To Cure)」をカヴァーしているのも興味深い。 どの曲もディープ・パープルと同じようなスタイルで演奏しつつ、ストリングスが楽曲を美しく彩るようなかたちでプレイされており、 パワフルでありながら、気品を感じさせる仕上がりとなっている。コーラス隊として参加しているイアンの娘のグレイス・ギラン、 トリリウム等で知られる女性シンガーのアマンダ・ソマーヴィルらによるハーモニーも印象的で、レイジー・レスターのブルース・ナンバーの 「ユア・ゴナ・ルイン・ミー・ベイビー」のカヴァーではグレースとイアンのデュエットも聴くことができる。 サイモン・マクブライドの技巧派プレイ、ジョン・ロード・スタイルを継承したドンのキーボード、そして、イアンのハリのある歌声も素晴らしく、 本家のディープ・パープルとはひと味違う演奏は聴き応え満点。ディープ・パープルの楽曲、そしてイアン・ギランの新たな魅力を発見できる作品である。 【メンバー】 イアン・ギラン (ヴォーカル) ドン・エイリー (キーボード) サイモン・マクブライド (ギター) ローレンス・コトル (ベース) ジョン・フィニガン (ドラムス) スティーヴン・ベントリー・クレイン (指揮者) グレイス・ギラン (バッキング・ヴォーカル) アマンダ・ソマーヴィル (バッキング・ヴォーカル) ジャキュース・ヴェルハーレン (バッキング・ヴォーカル)

アウェイクニングアウェイクニング

セイクレッド・ライクが23年ぶりのニュー・アルバムをリリース! 昨年マシーン・ヘッドを脱退したデイヴ・マクレインを迎えて製作された5thアルバム 『アウェイクニング』は、名作『The American Way』(90年)を彷彿させる会心の出来。 セイクレッド・ライクが23年ぶり(!)、5枚目となるアルバムをリリースする。アリゾナ出身のセイクレッド・ライクが結成されたのは、85年のこと。 86年に『Draining You of Life』デモが一躍話題になったかと思うと、あっという間にメタル・ブレイドとサイン。 87年にはファースト・アルバム『Ignorance』をリリースと、非常に速いペースでデビューを果たしたバンドである。 ブラック・サバスからMDCと振り幅の広いカバーを披露していたことからもわかるとおり、彼らの音楽的スタイルは懐の深いもの。 デビュー作こそ速いナンバーが大半を占めるが、やがてスピードを抑えることで独自のスタイルを築いていき、『Surf Nicaragua』EP(87年)、 2ndアルバム『The American Way』(90年)では、ベイエリアのバンドらと同様、いわばポスト『Master of Puppets』的スラッシュ・メタルを 武器にシーンの最前線へと躍り出る。冷戦時代、アメリカとソビエトの代理戦争の舞台となっていたニカラグアを取り上げるなど、 その政治的な歌詞も彼らの大きな特徴であった。 だが、有名になるのも早かった分、その栄光も短命であったというのもまた事実。『The American Way』をリリース後、 大手のハリウッド・レコーズと契約するも、この頃すでにスラッシュ・メタルには逆風が吹き荒れていた。グランジやデスメタルという大波に、 スラッシュは飲み込まれる寸前だったのだ。そんな中、ほとんどのスラッシュ・バンドが、生き残りのためにスタイルの変更を余儀なくされていく。 セイクレッド・ライクも例外ではない。93年の『Independent』では、さらにスローダウン、グルーヴ・メタルへと接近。 メタル・ブレイドへの出戻りとなった96年『Heal』でも、残念ながら時代の逆風には逆らえず、00年にバンドは解散してしまう。 そんな彼らも、06年に再結成。12年には『Live at Wacken』という、その名の通りヴァッケン・オープン・エアでのライヴ映像作品をリリース。 ついに「新作を作ろう」という意欲が芽生えてきたのが18年になってから。そうなると仕事の速いのがセイクレッド・ライクだ。 あっという間に23年ぶりの新作、『アウェイクニング』を完成させてしまった。復活作となると、気になるのがそのメンバーだが、心配ご無用。 ベース/ヴォーカルがフィル・リンドなのは当然として、リード・ギターもアルバム皆勤賞のワイリー・アーネット。 そして、ドラムは昨年マシーン・ヘッドを脱退したばかりのデイヴ・マクレイン。デイヴはもともとセイクレッド・ライクのドラマー。 『Independent』、『Heal』の2枚に参加したのち、マシーン・ヘッドに参加するためにバンドを脱退したわけであるから出戻りである。 一方、バンドに新風を吹き込んでいるのが、セカンド・ギタリストのジョーイ・ラジヴィル。 彼は若干22歳。つまり前作リリース時には、まだ生まれてもいないのだ! 古巣のメタル・ブレイドからリリースとなる本作であるが、肝心の内容はというと、「俺たちをずっとサポートしてくれてきたオールドスクール・ファンを 称えるような速くてヘヴィな作品」とフィルが言うとおり、これがセイクレッド・ライクでなくて何であろうという仕上がり。 名作『The American Way』の21世紀版とでも言うべき内容である。「覚醒」というタイトルが示すとおり、 現代社会の問題点を切り取る視点の鋭さも相変わらず。まさにスラッシュ・メタルが、悪魔と初期衝動だけの音楽ではなくなっていった、 あの時代へとタイムスリップしたような気分にさせてくれるアルバムである。百戦錬磨の3人、そしてフィルが「あいつの右手は電動のこぎりだ!」と 絶賛する若いジョーイによる演奏は実にタイト。フィルのヴォーカルが、力強く進化しているのも印象的。 「みんなもこの作品を気に入ってくれるといいな。でも、仮にこれが大失敗になったとしても関係ないよ。 俺たちは自分たちがどんなものを作り上げたのか、はっきりわかっているからね」というフィルの言葉に、その自信のほどが伺える。 【メンバー】 フィル・リンド (ヴォーカル) ワイリー・アーネット (ギター) デイヴ・マクレイン (ベース) ジョーイ・ラジヴィル (ドラムス)

ドーン・オブ・ザ・ドラゴンスタードーン・オブ・ザ・ドラゴンスター

“アドヴェンチャー・メタル”を展開するスウェーデンのエピック/シンフォニック系メタル・バンドのトワイライト・フォースが 約3年ぶりに3rdアルバム『ドーン・オブ・ザ・ドラゴンスター』を発表。ニュー・シンガーを迎え、壮大でドラマティックな音楽は驚くほどの進化を実現! 解説:  トワイライト・フォースの歴史は2011年にサバトンの出身地としても知られるスウェーデン中部のファールンにて、リンド(ギター)とブラックヴァルト(キーボード)が バンド結成へと動き出したことでスタートする。スタジオにこもり、楽曲の制作を行なった2人は、曲がまとまったところで、元SUNSTRIKEのクリレオン(ヴォーカル)と ボルン(ベース)、元バルティモアのロベルト(ドラムス)を迎え、リハーサルを開始。2013年11月にスペインのマドリードで初めてのライヴを行なったバンドは、 スウェーデンのインディー・レーベルBlack Lodgeと契約し、アルバム『テイルズ・オブ・エンシェント・プロフェシーズ』(2014年)でデビューを果たす。 イタリアのラプソディー・オブ・ファイアの流れを汲んだようなエピック/シンフォニック・メタルを展開したこの作品が日本でも好評を博すと、 ドイツの大手メタル・レーベルのNuclear Blastと契約が成立。2ndアルバム『ヒーローズ・オブ・マイティ・マジック』(2017年)を発表する。 この作品からドラムがディアッシュに交代し、2人目のギタリストのエレンディールを迎えた6人編成となっていたが、前作からサウンド・プロダクションが向上するだけではなく、 楽曲そのものもスケール・アップを果たしており、ゲストとしてサバトンのヨアキム・ブロデーンとラプソディやANGRAのファビオ・リオーネという 2人の人気シンガーが参加したことも話題となったものだった。 こうしてエピック/シンフォニック・メタル・シーンにおいて注目のバンドとなったトワイライト・フォースだが、ツアー中の2017年10月にクリレオンが脱退。 残りのツアーはサバトンのギタリストで、自己のバンドのマジェスティカでも活動しているトミー・ヨハンソンを起用して乗り切ったバンドは、 2018年にトリック・オア・トリートやルカ・トゥリッリズ・ラプソディーのシンガーとして知られるアレッサンドロ・コンティがアリオンという名前で加入。 新体制で制作したのがこの3rdアルバム『ドーン・オブ・ザ・ドラゴンスター』である。 華やかなシンフォニック系スピード・メタル・チューンのタイトル曲「ドーン・オブ・ザ・ドラゴンスター」で幕を開けるこの作品は、 荘厳なクワイアとオーケストレーションを盛り込み、オペラのようにスタートする「ウィズ・ザ・ライト・オブ・ア・サウザンド・サンズ」、 12分を超えるミュージカルのような様々な展開を見せる「ブレイド・オブ・イモータル・スティール」など、メロディック・スピード・メタルをベースにしつつ、 ゴージャスなアレンジを施したナンバーが並んでいる。アリオンのハイ・トーン・ヴォイスを武器にしたポップ性のあるヴォーカル・メロディ、 テクニカルなギター・ソロも聴きどころで、曲によってはトビアス・サメットのアヴァンタジアのような雰囲気も感じられるのも魅力。 まさにバンドの進化を示したエピック/シンフォニック・メタルの傑作に仕上がっている。 ボーナス・トラックにはデビュー作『テイルズ・オブ・エンシェント・プロフェシーズ』収録の「ザ・パワー・オブ・ジ・エンシャント・フォース」を スウェーデン人女性シンガーのハンナ・トゥリが歌ったヴァージョン、本作収録の「ウィズ・ザ・ライト・オブ・ア・サウザンド・サンズ」の オーケストラル・ヴァージョン、『テイルズ・オブ・エンシェント・プロフェシーズ』に収録された 「エンチャンテッド・ドラゴン・オブ・ウィズダム」と「フォレスト・オブ・デスティニー」の2007年のデモが収録されている。 【メンバー】 アリオン(ヴォーカル) リンド(ギター) エレンディール(ギター) ディアッシュ(ドラムス) ボルン(ベース) ブラックヴァルト(キーボード)

ボーン・トゥ・ペリッシュボーン・トゥ・ペリッシュ

スラッシュ・シーンを牽引しつづけてきたシュミーア擁するデストラクションが、 誰も予想だにしなかった4人編成へとモデル・チェンジして放つニュー・アルバム! ツイン・ギターの利点をフル活用し、さらなるグレードアップが図られたデストラクション節。彼らの進化は止まらない! デストラクションについて、改めて多くを説明する必要はないだろう。 ドイツが誇るベテラン・スラッシャー、というよりも、スラッシュ・メタルというジャンル自体の成立に深く関わり、 そのシーンを牽引し続けてきたパイオニア・バンドの1つである。そんなデストラクションが、14枚目となるニュー・アルバム、 『ボーン・トゥ・ペリッシュ』をリリースする。(これが何枚目のスタジオ・アルバムなのかは議論のあるところだが。 デストラクションには再録盤のスタジオ・アルバムが複数あり、さらに90年代には、 現在その存在を認めていない黒歴史すぎるアルバムをリリースしているからだ。) 82年に結成されたデストラクションは、84年『Sentence of Death』EPでデビュー。翌85年にリリースされた初のフルレングス『Infernal Overkill』は、 後のブラック・メタルやデス・メタル、さらにはグラインドコアの誕生にも大きな影響を与えた歴史的金字塔だ。続く『Eternal Devastation』(86年)も、 名盤の呼び声が高い傑作である。だが、80年代後半から90年代初頭にかけてのスラッシュ・メタル暗黒時代は、デストラクションにも暗い影を投げかけた。 89年、バンドの顔でもあるヴォーカリスト/ベーシストのシュミーアが脱退。残されたメンバーはデストラクション名義での活動は継続するも、 シュミーアを欠いたデストラクションは迷走を余儀なくされた。シュミーアが戻ってきたのが、脱退から10年後の99年。 00年の『All Hell Breaks Loose』を皮切りに、その後は数年に1度スタジオ・アルバムをリリースするというペースを守り続け、今日に至るまで順調に活動を続けている。 さて、この度リリースとなる『ボーン・トゥ・ペリッシュ』は、新生デストラクションの第一歩となる作品だ。コア・メンバーがシュミーア、 そしてギタリストのマイクであることに変わりはない。だが、ドラマーはランディ・ブラックへと交代。ランディはカナダ出身で、 アナイアレイターやプライマル・フィアにも在籍していた経験を持つ猛者だ。しかしまあ、ドラマーの交代は、デストラクションにとっては恒例のイベントとも言える。 99年以降の活動を見ただけでも、ランディですでに4代目。驚くべきは、ギタリストをもう1人加えたことだ。ギターが2人になったくらいで大げさな、 と思われるかもしれない。だが、デストラクションはトリオであることをポリシーにしていたバンドである。シュミーアは「3人編成が一番しっくりくるし、 それをわざわざ変える理由がない」と言っていたし、マイクの方も「3人編成の方が好きだし、ステージでのノイズも減ってやりやすい」と明言していた。 もちろん、デストラクションは過去にセカンド・ギタリストがいたこともある。日本ではなぜか代表作扱いされることも少なくない87年の『Release from Agony』は、 確かに4人体制で作られている。だが、これはデストラクションとしては特殊な位置づけにある作品だ。シュミーアやマイクは、この作品を経た上で、 「3人編成が一番だ」と発言し、実際に20年近く3人で活動をしてきたのだ。それがここへ来て、もう1人ギタリストを加入させたわけだから、 これが驚きでなくて何であろう。さらにシュミーアは、「ずっともう1人ギタリストを加えたいと思っていた」と、あっさり前言を翻しているのである! 実際『ボーン・トゥ・ペリッシュ』を聴いてみれば、彼らがやすやすと前言撤回をした理由も理解できる。そのくらい、本作の出来は素晴らしい。 かつてシュミーアは、「確かにツイン・ギターというのも悪くはない。だけどぴったりハマるセカンド・ギタリストを見つけるのは簡単なことじゃない」とも語っていた。 言い換えれば、それに値する人物さえいれば、4人編成も視野に入れるということ。そして今回ついに、「ぴったりとハマる」ギタリストが見つかったのだ。 その人物とはダミール・エスキッチ。スイス出身のダミールは、前作『Under Attack』(16年)でもギター・ソロでゲスト参加。 さらにはシュミーアがマネジメントを手掛けているスイスの女性ヘヴィメタル・バンド、バーニング・ウィッチーズのアルバムや、デストラクションのレコーディング、 プロデュースを長年担当しているV.O.プルヴァーのプロジェクト、GURDにも参加経験を持つ、言わば生粋のデストラクション・ファミリーだ。 加えて長年バンドの大ファンでもあったというのだから、これ以上の適任はいないだろう。リフやメロディの随所にハーモニーがちりばめられ、 ギターが2人になった利点がフルに生かされている本作は、さらなるグレード・アップを果たしたデストラクションに他ならない。 こんな作品が作れるならば、スリーピースに固執する理由などどこにもない。「ギターが2人になり、曲作り、レコーディング、ライヴ、 いずれにおいても可能性が広がった」というシュミーアの発言は、偽りのない本心であろう。 『ボーン・トゥ・ペリッシュ』は、ベテラン・バンド、デストラクションの新たなる一歩となる作品。まだまだ彼らの進化は止まらない。 【メンバー】 シュミーア(ベース/ヴォーカル) マイク(ギター) ダミール(ギター) ランディ(ドラムス)

ライヴ・イン・ジャパン2018ライヴ・イン・ジャパン2018

2018年、魂の“暴動=ライオット”を巻き起こした感動のライヴが蘇る。 名盤『サンダースティール』(1988)完全再現を含む、日本のメタル・ソルジャーズに捧げる永久保存名曲満載ライヴ。 日本盤限定ボーナス映像「スティル・ユア・マン」「ブラック・レザー」収録。LOUDNESS山下昌良が「ウォリアー」でゲスト参加。 2018年3月10日/11日、川崎CLUB CITTA'でヘヴィ・メタルの奇蹟が起こった。 名盤『サンダースティール』(1988)の30周年を記念するアニヴァーサリー・ライヴ。二部構成、 2時間半におよぶステージは早くも伝説の域に達している。本作は、その全貌を余すところなく収めた鮮烈なドキュメントだ。 第1部は 新旧クラシックスで押しまくるベスト・セット。最新アルバム『アーマー・オブ・ライト』(2018) のタイトル曲は、 当時まだ発売前にも拘わらずいきなり場内を沸点までヒートアップさせる。『ザ・プリヴィレッジ・オブ・パワー』(1990)からの「オン・ユア・ニーズ」 「メタル・ソルジャーズ」、『イニッシュモア』(1997)からの「エンジェル・アイズ」などが次々と繰り出されるライヴは、 突き上げた拳を下ろすことを許さない怒濤のメタル絨毯爆撃だ。今回の日本公演のハイライトである第2部、『サンダースティール』完全再現は、 永久保存級の凄演だ。アルバム当時のメンバーはドン・ヴァン・スタヴァン(ベース)のみだが、現在のラインアップにはライオット魂が伝承されており、 2012年に亡くなったギタリストのマーク・リアリへの愛と敬意が備わっている。2013年に加入したトッド・マイケル・ホール(ヴォーカル)は オリジナルを尊重しながら、闇を斬り裂くハイトーンのシャウトで観衆のハートと会場全体を揺さぶる。 さらにアンコールでは「ロード・レーシン」「ソーズ・アンド・テキーラ」「ウォリアー」という初期のクラシックス3連打を披露。 「ウォリアー」ではLOUDNESSの山下昌良がゲスト参加。さらにバンドのマスコットである“ジョニー”軍団がステージを占拠、 ヘッドバンギングを繰り広げるなど、アニヴァーサリー・ライヴに相応しい盛り上がりを見せた。 特筆すべきなのは、バンドと日本の観衆が生み出す化学融合だ。初期から『ナリタ』(1979)というアルバムを発表するなど、 常に日本から刺激とインスピレーションを得てきた彼らは、本作のライヴでも「ランド・オブ・ザ・ライジング・サン」をプレイ。 本作に収められたヘッドライナー・ツアーからわずか半年後、2018年9月にも“METAL WEEKEND 2018”で来日公演を行っていることからも、 両者の強い絆を感じることが可能だ。 バンドは1989年に初来日。1990年=2度目の来日公演は『RIOT IN JAPAN - LIVE!!』としてライヴ・アルバム化されたが、 オフィシャル・ブートレグ的な音質の作品だった。本作はライオットと日本の爆発的なケミストリーをフル装備で捉えた記念碑的作品である。 本作は2日目=11日のステージを軸とし、その日のみプレイされた「オン・ユア・ニーズ」「メタル・ソルジャーズ」を本編収録しているが、 日本盤限定ボーナス映像として、初日=10日のみプレイされた「スティル・ユア・マン」「ブラック・レザー」も収録している。 「SHINE ON!カガヤケ!」という熱いメッセージが、日本のヘヴィ・メタル・ファンの魂を鼓舞する。2018年3月の二夜は、本作によって永遠となった。 【メンバー】 トッド・マイケル・ホール(ヴォーカル) ドン・ヴァン・スタヴァン(ベース) マイク・フリンツ(ギター) ニック・リー(ギター) フランク・ギルクリスト(ドラムス)

ヒューマン・ターゲットヒューマン・ターゲット

混迷に拍車がかかる世界情勢。頻発する異常気象。SNSに興じるばかりの大衆。オーストラリアが誇るデスコアの雄、 ザイ・アート・イズ・マーダー渾身の5thアルバムは、我々が生きるディストピアにノーを突き付ける激烈な内容。 デスコア・ファンはもちろん、オールドスクール・デス・メタルやグラインドコア・ファンも必聴。 オーストラリアが生んだデスコアの雄、ザイ・アート・イズ・マーダー。 06年、ギタリストのショーン・デランダー、ドラマーのリー・スタントンらを中心に結成された彼らは、成功への階段を駆け上ったバンドと言える。 08年にデビュー作となるEP『Infinite Death』をリリースすると、これがいきなり地元オーストラリアのインディペンデント・チャートの10位にランクイン。 その後、ヴォーカリストの交代を経て、10年には『The Adversary』でアルバム・デビューを果たす。12年にリリースされたセカンド・アルバム『Hate』は、 オーストラリアの「メインストリーム・チャート」の35位にランクイン。エクストリーム・メタル・バンドとしては初のTOP40入りという快挙となった。 (インディペンデント・チャートでは1位を記録。)もともとはハーフカット・レコードという地元オーストラリアのレーベルからのリリースだった本作だが、 そのクオリティゆえ、ザイ・アート・イズ・マーダーの名はあっという間に世界中のエクストリーム・メタル・ファンへと伝播。 結果、彼らは超大手のニュークリア・ブラストとの契約を果たすこととなる。『Hate』もニュークリア・ブラストを通じ、全世界発売された。 その後、アメリカのサマー・スローター・ツアーやイギリスのダウンロード・フェスティヴァルといった名だたるステージを制覇していった彼らの人気は沸騰。 15年にリリースされたサード・アルバム『ホーリー・ウォー』は、アメリカでもTOP100入りを果たす。 これはオーストラリアのエクストリーム・メタル・バンドとしては初の偉業である。 そして、この度リリースとなるのが、17年の『ディア・デソレイション』に続く5枚目のアルバム、『ヒューマン・ターゲット』だ。我々が生きているこの世界は、 あらゆる意味でおかしくなってきている。「人間臓器収穫の悪夢?」などというデス・メタル顔負けの見出しがウォール・ストリート・ジャーナルの見出しを飾る。 (これは中国で囚人の臓器が摘出され売買されている疑惑を報じた記事だ。)人類を滅亡においやるかもしれないほどの急激な気候の変動は、地球上のあらゆるところで発生している。 にもかかわらず、人々はSNSに興じるばかり。これがディストピアでなくて何であろう。『ヒューマン・ターゲット』は、この狂った世界に対する最後の抵抗というだけあり、 その内容は激烈極まりない。ザイ・アート・イズ・マーダーは「デスコア」とカテゴライズされることが多いが、その根幹にあるのはデス・メタルの持つ暴虐性。 激しくて、ヘヴィで、速いその音楽は、リスナーに息つく暇を与えない。そしてもちろんテクニカルでグルーヴィー。『ヒューマン・ターゲット』は、 ファンが彼らに求めるものすべてを包含した作品であり、デスコアやメタルコアのファンだけでなく、オールドスクールなデス・メタルや グラインドコアのリスナーにも強烈にアピールするアルバムに仕上がっている。 【メンバー】 CJ マクマホン(ヴォーカル) アンディ・マーシュ(リード・ギター) ショーン・デランダー(リズム・ギター) リー・スタントン(ドラムス) ケヴィン・バトラー(ベース)

Did I make it?Did I make it?

制作・出演

CANTA

発売日

2019年7月24日 発売

CANTAの3年振りオリジナル・フルアルバムが完成。CANTAならではの骨太なROCKを継承しつつゴスペルやUK、 トラディショナル・フォークといった様々な要素を採り入れた意欲作。 激しさと抒情性の双方が深化することで、さらに魅力を高めた最新形のCANTAを体感せよ。 2016年11月発売の「LOVE FIXXXER」以来3年振りとなるオリジナル・フルアルバム。 アルバム名の「Did I make it?」は「間に合った?」の意味で、制作が大幅に遅れ、心配になった気持ちをストレートに表現したタイトルが付けられた。 作曲に半年、作詞に1年以上の歳月を費やし、才能の限界まで挑戦した力作。ギターサウンド中心の楽曲はよりギターを際立たせ、 バラードタイプの楽曲ではエレクトリック・ギターを入れないものがあったり、アコースティック・ギターのスリーフィンガー奏法を駆使したものもあり、 楽曲のヴァラエティさはいつものことながら、それらをより際立たせる工夫が随所に見られるのが今作の特徴だ。 それでいて、一貫して骨太のROCKを感じさせる辺りは、さすがは30年以上もの長きに渡り、ROCKとともに歩んできたミュージシャンであると感心させられる。 1年以上掛けたという歌詞も、持ち前の独創性が聴き手の胸の奥深くを優しく撫で、他では聞けないような言葉で心の横っ面を張る。 メンバー全員が50歳を越えてなお瑞々しさを失わない奇跡のバンド・サウンドは必聴だ。 【メンバー】 ルーク篁 (ヴォーカル/ギター) 雷電湯澤(ドラムス) MASAKI(ベース)

ザ・グレイト・ウォーザ・グレイト・ウォー

新ギタリスト、トミー・ヨハンソンを迎えた新生サバトンの第一弾アルバムが堂々完成! 第一次世界大戦(1914〜1918)を舞台に、サバトンの新たなる戦記が綴られ、ヘヴィ・メタルの戦火が世界に上がる! 通常盤の他、『ザ・グレイト・ウォー』楽曲にナレーションを追加したヒストリー・エディションCDを付属した初回限定盤も発売。 ヘヴィネスとメロディを兼ね備えたメタル・サウンドとダイナミックなライヴ・パフォーマンス、そして歴史上の戦争を題材にした歌詞で世界を蹂躙してきたサバトン。 ヨーロッパ戦線では絶大な人気を誇り、母国スウェーデンでは自らの名を冠した“サバトン・オープン・エア”フェスティバルや“サバトン・クルーズ”船上ライヴで 不動のヘッドライナーを務めてきた。2012年、“ポーランド・ウッドストック”フェスでは50万人という空前の大観衆を前に、そのステージを披露している。 日本においても2015年・2017年にLOUD PARKに出場。2018年にはアモン・アマースとのダブル・ヘッドライナー・ツアー、BABYMETALとの“Dark Night Carnival”に出演、 メタル・コミュニティに一大センセーションを巻き起こした。前作『ザ・ラスト・スタンド』(2016)に西郷隆盛の最後の戦いを描いた「Shiroyama」を 収録して話題を呼んだことも記憶に新しい。 その20年にわたる闘いの軌跡の集大成といえるのが、『ザ・グレイト・ウォー』だ。 バンドのフロントマンでヴォーカリストのヨアキム・ブロデーンは本作についてこう語っている。「100%のピュア・サバトン。 最高級のサバトン流ヘヴィ・メタルだ。ただ、幾つかのヒネリを加えて、リスナーを驚かせるだろう」 ベーシストのパル・スンドストロムは本作について[情け容赦ない戦争の暴虐と勇敢な自己犠牲の精神のコントラストが描かれている」と描写しており、 サバトン史上最大のクライマックスが我々を待ち受けていることを約束している。 本作では新加入のギタリスト、トミー・ヨハンソンが参加。既に日本でのライヴでそのテクニカルかつメロディアスなギター・プレイを披露、 ステージ上でのヨアキムとのコントで日本のファンから“愛されキャラ”として認知されているトミーだが、本作でいよいよ牙を露わにする。 撃墜王マンフレート・フォン・リヒトホーフェンを描いた「レッド・バロン」、70万人の死傷者を出したヴェルダンの戦いを主題とする「フィールズ・オブ・ヴェルダン」など、 起伏に富んだ展開で魅了する『ザ・グレイト・ウォー』は、2019年のメタル・ワールドに打ち込まれる最重量の鋼鉄の楔(くさび)だ。 世界最大級のメタル・フェスであるドイツ“ヴァッケン・オープン・エア”では20周年記念ライヴを行い、“ザ・グレイト・ツアー”と名付けた 大規模のワールド・ツアーを行う彼らにとって、このアルバムは進軍のファンファーレとなる。 通常盤の他、各曲の題材となった歴史的事件や人物についてのナレーションを加えた“ヒストリー・エディション”を付属した初回限定盤2枚組CDも同時リリースとなる。 戦車や飛行機など最新兵器の導入、兵士たちの心を蝕んだ苛酷な塹壕戦など、第一次世界大戦は多くのドラマを生んできた。 レマルクの小説『西部戦線異状なし』(1929)やスタンリー・キューブリック監督の映画『突撃』(1957)など、“偉大なる戦争”は数々の作品にインスピレーションを与えている。 サバトンの『ザ・グレイト・ウォー』は、そんな名作の系譜に名を連ねることになるだろう。 【メンバー】 ヨアキム・ブロデーン (ヴォーカル/キーボード) パル・スンドストロム (ベース) クリス・ローランド (ギター) トミー・ヨハンソン (ギター) ハネス・ヴァン・ダール (ドラムス)

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